ドイツはフランスと共同で2030年代までに新型海上哨戒機(MAWS)を開発する約束をしているのだが、P-3Cの早期退役に対処するため米国からP-8A導入に動いていることが発覚した。
参考:GERMANY – P-8A AIRCRAFT AND ASSOCIATED SUPPORT
ドイツはMAWSの開発から離脱するのか?後継機を導入してもMAWS共同開発を維持するのか?
米国務省はドイツに対して対潜哨戒機P-8Aを最大で5機売却に関する対外有償軍事援助(FMS)を発表したが、あくまで「売却の可能性」に過ぎないので必ず契約に結びつくという話ではない。しかしFMSは購入を検討している国の要請を受けて売却の可能性を検討・承認するためドイツがP-8A調達に動いているのは確実で、フランスと約束した新型海上哨戒機(MAWS)の開発が怪しくなってきた。
これまでの経緯を簡単に振り返っておくとドイツとフランスは2030年代までに新型海上哨戒機(MAWS)を開発して共同調達を行うことを約束、エアバスが2018年に発表したミリタリー仕様の「A320neo」をベースに開発するのではないかという噂さもあるが、日本も国産哨戒機「P-1」をベースに新型海上哨戒機を開発することを提案している。
しかしドイツ海軍が運用中のP-3Cが予想よりも早く退役することになり状況が一変してしまう。
ドイツ海軍は連邦会計検査院が「機体の状態が思わしくないので止めたほうが良い」と警告していたにも関わらずオランダから中古のP-3Cを約4億ユーロ(約520億円)で8機導入したが、会計検査院の予想通りP-3Cの状態は最悪で同機の平均稼働率は37%前後、最も状態の悪い機体は10年間で150分しか飛行していない(2016年時点)という目を覆いたくなるような結果を招いたのにフランスと新型海上哨戒機(MAWS)を共同開発する事になっていたのでP-3Cの延命維持にのめり込んでいくことになる。
ドイツ海軍は5億ユーロ(約600億円)の費用をかけて主翼やアビオニクスの交換を2023年までに行うことにしたのだが、新たに製造した主翼に亀裂が発生する問題や改修作業の遅延等で3億4,000万ユーロ(約400億円)の追加費用が発生、約2万個のP-3Cに使用するパーツが保管していた倉庫が火災(2018年)で消失してしまう。
さらに状態の良い貴重な稼働機が2020年5月の事故で破損してしまいドイツ海軍はP-3Cの延命を諦め2025年までに導入可能な後継機を探すことになった。
問題はドイツ海軍がP-3Cの後継機候補(エアバスのC-295MPA、自国企業が提案するRAS72、ボーイングのP-8A)に挙げられた中から調達すると新型海上哨戒機(MAWS)の必要性が薄れてしまうという点で、フランスとの約束を守るなら購入ではなくリースという形で導入するしかない。
しかし米国務省がドイツに対して対潜哨戒機P-8Aを最大で5機売却に関する対外有償軍事援助(FMS)を発表したためMAWSの雲行きが怪しくなってきた。米国務省の発表によればP-8Aを5機導入するのに17億7,000万ドル(約1,930億円)必要で、P-8Aを導入すればドイツ海軍は海上監視任務を今後30年間(2055年頃まで)維持することができると言及している。
今のところ米国務省の発表にドイツ国防省も現地メディアも反応していないので何とも言えないが、ドイツはMAWSの開発から離脱するのか?後継機を導入してもMAWS共同開発を維持するのか?答えを出さなければならない時期に来ているのかもしれない。
まぁP-3Cの早期退役は故意ではないにしてもドイツがP-8Aを導入してMAWS共同開発の約束を反故にすれば、共同開発相手のフランスが怒るのは間違いないと管理人は思っている。
関連記事:仏独への対潜哨戒機「P-1」売り込みに暗雲、EU防衛基金活用で日本参入が困難に
関連記事:日本のP-1が候補から外れた? ドイツがP-3C暫定後継機を必要とする理由
関連記事:ドイツが問題だらけのP-3C近代改修を中止、新型対潜哨戒機導入へ方針転換
アイキャッチ画像の出典:U.S Navy photo by Personnel Specialist 1st Class Anthony Petry
無難にATRで行くかと思ったが、アメリカ製を軍が望んだのかね
急場しのぎの機体としては少々高すぎる気もするけど
P1の提案とか当て馬にしかならない予感
しょうがないよ。
日本も散々当て馬にしてるし。
ドイツは特に日本人の提案を無視するし。
日本製兵器なんて当馬にすらならないだろ
ドイツ政府はP-1哨戒機に対して型式証明の取得を希望していますが、取得の可能性は絶望的で残念ながら当て馬にもなっていませよ。
幾ら軍用機に型式証明の取得は必要ないとはいえ、何故あらゆる未来を想定して型式証明の取得を前提とした開発をしてこなかったのか、実に悔やまれる。
あらゆる事を想定して開発してたら切り無いし、型式証明の取得前提で開発してたら何処かの民間機みたいに途中で凍結になってたかも。
各国の希望でオプション変更できて将来の無人機運用まで視野に入れるほど拡張性のあるP-8にはどのみち勝てないだろうし別に型式取らなくてもいいんじゃない?
軍用機は本来、民間機と違って形式証明の取得は前提としていないのよ…だから、軍用輸送機やヘリコプターの民間仕様を作る時は別に形式証明を取らないといけないのだけど
只、NATO諸国向けの場合はそれ専用の形式証明が必要と言うだけの話
後、MAWSプログラムについては、以前EU防衛基金を活用するかも知れないのでEU域外の機体であるP1はそれに引っ掛かって排除されると言う話の方が重要だと思うのだけど、もしドイツがP8を本当に導入したらEU内でのドイツの立場がどうなるか楽しみだな
型式証明取るのを見据えるのは完全に無駄な労力
ではなくて、断りの名目として形式証明を持ち出したんだろう
よくある手口
こんないい加減ことばかりしてるなら
国防費をGDPの2%にしても稼働率あまり変わらんやろうな
>>最も状態の悪い機体は10年間で150分しか飛行していない
中古車の走行距離みたいな感覚だと飛行時間少ないんじゃね?って思ってしまうけど
整備もせずに屋外に放置されてたってことなのかな?
中古車を例にして言うと、
状態がよくないから部品取り以外オススメ出来ないよと業者に言われた車を
どうしてもこれが欲しいから!と買ってしまって、結構な時間とお金をかけて
レストアして、試験走行に出てみたら不具合が発生してガレージに逆戻り。
嫁に言ってももう追加の修理代はだしてくれないので、ガレージに入れっぱなし。
みたいな状態だと思われます。
ドイツ軍が買い取ってから150分しか飛んでないってことでしょ
日本はまた輸出に失敗したみたいだな
しょうがない。P8はP3C3機分の性能があるがP1はP3C1.2機分しかないからね。
それどこ情報か教えてもらえます?
無人機使えるからじゃないの?
無人機随伴のないP8はP3Cにも劣りますけどね
日本以外だと低高度で燃料節約して長時間哨戒する必要性って薄いしさほど問題ないと思うよ
哨戒機とは低空飛行してなんぼの機体なんだが。
今でも目視に頼る部分は大きいから実戦での哨戒能力は段違い。
P8は低空飛行が出来ないから1万mからソノブイを落としても着水まで時間がかかるし、位置もずれる。
無人機を使わないP8はP3C以下の脳力しかないし、その無人機の価格がP1に近いという罠。
P-8はソノブイランチャーも省略して7基しかスロットがない(P-1は38基)からソノブイ撒くのも無人機頼りだよ
P-8、機内にロータリランチャやラックが数個あって、
120本以上のソノブイ等を投下できますよ。
ついでに、そのその無人機は別にP-8と組まなくても良いとのオチ付き
あと、P-1は現代版中攻も兼ねてるので、ASM x8搭載やある程度の運動性を持ってるけど、
そういうのも強大な仮想敵艦隊との対峙を想定していない場合は余計な性能ですね。
本人の脳内にしかない情報だから教えられない定期
今後の連携とかアップデートを考えればわざわざP-1を選ぶメリットが薄いからな
皮はP-1だけど、中身は欧州産ですよね?
それでアップデートが問題になるのなら、フランスとの共同開発でもダメだと思うのですが。
それにしてもP-8って1機約400億か。
高いなあ。
どーしょうもない話だけどポセイドンって海の中にいて空を飛ぶイメージじゃないんだよね〜(某2世)
FCASといいこれといい、こいつら共同開発成功させる気ないだろ・・w
まだ次期戦車の共同開発がある(震え声)
ここでP1がで出るのは、
エアバス本社(フランス)、ダッソー、タレス、ドイツエアバス連合「大規模メンテを迎えるP3後継機を開発、輸出しよう」。インド等有望視された契約失敗。各国P3移行終了。つまり全滅。
ドイツエアバス「ダッソーの既存機は嫌」
エアバス本社「契約がないなら、中型の軍用機は作らない」
タレス「営業のためデモ機が3機欲しい。エアバスが作らないなら、P1の機体だけ欲しい。」
という流れらしいよ。
P1機体輸出はタレスの本気次第?
すげえ妄想を膨らませてるな
なんでP-8を導入しているインドが新しく哨戒機を購入するんだよ
有望視されたインドがP-8を買っちゃった、で何かおかしい?
流れってことは過去の話だよ。
よしっ、タレスの役員を城崎温泉で接待しよう!
対潜哨戒機と一緒に海軍の脳みそも交換しろ
海軍だけじゃダメ。連邦軍全部と、政治家も。
いやいや、ドイツは民主主義国家だから国民全員の頭脳も要交換ですよ(黒い冗談w)
以前の「F35やFA18を導入しなくてもNATO加盟国の核搭載機をドイツ軍機が護衛や空中給油するなどでいくらでも貢献できる」のように、
「哨戒機を導入しなくてもNATO加盟国の哨戒機をドイツ軍機が護衛や空中給油するなどでいくらでも貢献できる」みたいな意見は出てないのか今回は。
また国防大臣が勝手にやって、議会がキレるんじゃないかな?
正気なのは国防大臣だけというオチ。
海軍も議会も変だし。
でも大臣もムリヤでマスク運んでたな。
F-35の件といいP-8といい、軍事的には正解の類いだろうからね。
WWIからの「潜水艦大国」のクセに自国で哨戒機も作れんのやなあ
それとも両方作れる日本やアメリカがおかしいんか?
陸軍国と海軍国の違いじゃまいか?
なんで潜水艦大国だったかというと海上戦力で海洋国家に対抗できなかったからだよ
本来ドイツは大陸国家なんだよね
まあそれなのに陸上戦力の方もガッタガタなんだけどさ…
米帝は、昔から規格外なところがあるので、仕方ないかと。
日本は、先の大戦のトラウマで注力した分野が、偶々大成しただけかな。
フランスとの次世代戦闘機が上手く行ってないことへの当てつけなのかなあ
結局共同開発でいいことなんてなんもないよなー 開発資金は分担できても金に換算してない(できない)部分での負担が大きすぎる
ただし、あのパイの大きさは正直羨ましい
しかしそれも確実なものじゃなくて量産効果が変動するからつらすぎる。F-35Aでさえ確かなものはないから・・・
たまたま日本が一通りある程度できるからそう思えるのかもしれないけど、
「技術面で協力出来る」ってのも大きいから必ずしも悪くはないですよ。
まあ仰る通り利害が全て噛み合って成功するケースは希有でしょうけど。
そこの利害のバランスを取ったのがテンペスト計画だと思うんだけど、
今聞こえる限りでは「技術持ってる側」の旨味が少なさそうなんですよね。
日本の退役するP3Cでも売ったらいいんじゃない。
状態はかりりいいと思うのだけど、どうでしょう。
それってとてもいい話だと思いますよ。
これドイツが抜けてフランス単独開発なんて羽目になったらP-1押す目がワンチャンあるかなぁ…。エアバスやダッソーを差し置いて採用してくれる可能性はかなり低いだろうけど。
ダッソーとエアバスはドイツと共同開発のFCASもやってるから、機体設計の技術陣に余裕が無かったらP-1の機体だけ輸入でアビオニクスは仏製の自前ならワンチャンあるかも?