インド太平洋関連

インド、国産の艦上戦闘機「TEDBF」やステルス無人戦闘機「Warrior」を初公開

インドは総額496億ドルの国防予算を発表、さらに双発タイプの国産艦上戦闘機「TEDBF」や戦闘機随伴型のステルス無人戦闘機「Warrior」を公開して注目を集めている。

参考:India releases details of new defense budget

前年度よりも増額された国防予算を発表したインド、問題は兵器調達予算の大部分が契約済みの支払いに回される点

中国との軍事的対立に直面するインドは前年度と比較して3%以上増額された2021年度の国防予算を発表した。

インドが発表した2021年度の国防予算は退役軍人に支給する年金額を除外すると約496億ドル(約5.2兆円)で前年度の479.8億ドルから3%以上の伸びを示しており、契約済みの支払いを含む兵器調達に184億8,000万ドル(約1兆9,400億円)、装備の維持や人件費等に287億5,000万ドル(約3兆200億円)、技術開発の分野に15億5,000万ドル(約1,620億円)分配している。

注目すべき点は契約済みの兵器導入に対する支払いが積み上がってインド軍の兵器調達予算を圧迫している点で、新たに分配された184億8,000万ドルのうち約90%に相当する166億ドルは既存の支払いに回されるため新規の兵器調達には約19億ドル(約2,000億円)程度しか資金を割く余裕がなく、まだ契約には至っていない海外製の通常動力式潜水艦調達や韓国から調達が予定されている近距離防空システムなどが影響を受けるかもしれない。

このような見方は依然から指摘されており、予算の裏付けのないまま装備調達を計画・選定しても予算確保に手間取って時間を浪費している間に調達予定の装備が陳腐化してしまい、いざ導入すると「なぜ性能の劣る装備を導入したのか?」と問題になっている部分だ。

出典:public domain K30Biho

特にこの傾向が顕著なのがインド陸軍の近距離防空システム調達プログラムで2010年頃にインド陸軍内部で仕様書がまとめられ2013年に選定作業がスタート、2017年まで各種テストが続けられ韓国製のK30Bihoを勝者に選定したが資金問題とロシアの横やりで正式な契約締結に進めず放置中で、結局インド国防省が10年前に策定された仕様書に基づくK30Bihoの調達に意味がないと判断して事業中止を勧告、これを受けてシン国防大臣はK30Biho調達を中止して国内調達(Make in India)に切り替える決定を下した。

しかし韓国企業側はインド企業と共同で現地生産することをアピール、韓国政府もインド政府に対してK30Biho調達継続を働きかけ事業継続を引き出すことに成功したと韓国メディアは報じているが、契約締結に向けた動きは一切観測されておらず、インドは2021年度も新規の兵器調達に割ける資金的余裕のないので韓国と契約総額3兆ウォン(約2,600億円)と言われるK30Biho調達契約を締結するは難しいという見方が強い。

ただインド国防省の兵站担当者は「軍の近代化に伴う装備調達は特定年度の国防予算に依存しない」と発言しているため本年度の予算とは別に資金を確保して韓国との契約に漕ぎ着ける可能性もあるが、無人航空機のブレークに伴い近距離防空システムの開発速度は飛躍的に加速しているので、ロシアの新しいPantsir-S1Mと比べると2000年初頭に開発されアップグレードされていないK30Bihoでは力不足だろう。

双発タイプの国産艦上戦闘機や戦闘機随伴型のステルス無人戦闘機が登場したエアロ・インディア2021

あと興味深いは今月3日に開幕した「エアロ・インディア2021」で公開された双発タイプの国産艦上戦闘機(Twin engine deck based fighter:TEDBF)や戦闘機随伴型のステルス無人戦闘機「Warrior(ウォーリア)」の存在だ。

インド政府は国産戦闘機「テジャス」の海軍仕様機が空母「ヴィクラマーディティヤ 」への着艦に成功したことを受けて、双発タイプの国産艦上戦闘機開発に着手することを正式に決定したと現地印メディアが昨年6月に報じていたが、エアロ・インディア2021に国産艦上戦闘の縮小スケールモデルを展示して注目を集めている。

このTEDBFの基本仕様は全長16.3m、全幅11.2m(主翼折りたたみ時は11.2m)、最大離陸重量26トン、最大速度マッハ1.6、最大高度18,000mで搭載エンジンについては明かされていないが、国産戦闘機テジャスで採用されているF414-GE-INS6を引き続き採用する可能性が高く10年以内の実用化が目標なのだが、政府による正式な開発承認は得られていないらしい。

どちらにしてインドがTEDBFの開発に踏み切れば海軍の海外製艦上戦闘機調達プログラムが国産機に切り替えるため、この需要を狙っていたボーイング、ラファールなどはショックを受けるだろう。

あとヒンドスタン航空機(HAL)がエアロ・インディア2021で発表した戦闘機随伴型のステルス無人戦闘機「Warrior(ウォーリア)」にも注目が集まっている。

Warriorはフルスケールモデルが展示されおり、ヒンドスタン航空機の説明よれば「同社は無人戦闘機の開発に5年以上前から取り組んでWarriorの主要なシステム開発を進めている。Warriorは国産戦闘機テジャスと連携して作動するよう設計されており、テジャスはミサイルで武装した複数のWarriorを制御できるようになる」と語り、現地メディアは3年~5年以内にWarriorのプロトタイプが初飛行を迎えると報じているのが興味深い。

双発タイプの国産艦上戦闘機も戦闘機随伴型のステルス無人戦闘機も予定通り開発するが進むのかは謎だが、先進国もそうでない国も競って戦闘機随伴型の無人戦闘機に取り組んでおり、今後10年で数多くの無人戦闘機が登場してくることだけは確実だ。

関連記事:インド版F/A-18E/Fを開発? 印政府が海軍向け双発戦闘機の開発承認
関連記事:調達中止をひっくり返した韓国、インドのK30調達事業は予定通り実行か

 

※アイキャッチ画像の出典:@ThingsNavy Twin engine deck based fighter

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    クローズドカップルデルタの第4.5世代機かな、カナードのやエアインテークの位置から同じ艦上戦闘機のラファールを参考にしてるっぽいか、あと胴体が平面を多用していて細部が第5世代機みたいになってるからラファールがそのまま第5世代機になったようなデザインだな

    7
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      こまかいこと言うかもだけど
      閉じる(close クローズ)じゃなくて
      近接して(close クロース)組み合わされた(coupled)デルタ(delta)
      だよ。クローズとクロースでは大分意味が違います。

      7
    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    またステルスっぽいデザインのミサイル外装機が…

    10
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      ミサイル発射後からステレスします

      2
    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    ステルスラファールって塩梅のデザインやね。機種が5角形ってのは珍しいけどどういう意図があるんやろ。

    機体形状はステルスだけどウェポンべイは省略の4.5世代機っていうKF-Xと同じコンセプトかな

    9
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      KF-Xは対北朝鮮用だからいいんだろうけど、中国相手にこんな装備で大丈夫か?

      6
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      まだこれだけだと判断出来ないけどこれにも空洞あったらマジでKFX

      2
    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    カナードに外付け兵装でステルス・・・?
    無人機だから許されるのか?

    1
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      中国がJ-20で採用したから鬼の首を取ったように叩かれてるけどカナードのステルス性に対する影響はだいぶ前にすでに否定されてる
      外付けはまあ…艦載機のペイロードを考えれば…

      10
        • 匿名
        • 2021年 2月 04日

        元々F-2の時に「垂直カナードの追加はFBWで概ね賄えるんでステルス性も考慮してやめた」とかその辺の話が過大に受け取られた感がある。
        そりゃF-16に垂直カナード丸々追加すりゃその分ステルス性は悪化するわな。
        あと同面積の主翼+尾翼と単純比較すれば先尾翼+主翼の方がちっこい動翼が前に来る分(全遊動なら特に)、「前方RCSが悪化する要素」は細かいのが色々とあるだろうけど、J-20やTEDBFでは気にするレベルじゃないんだろう。

        5
    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    艦上機を国産で作れるのはいいなぁ。
    日本もいずれ正規空母が必要になるかもしれないし、ボーイングからちょちょっと技術もらえないかな。

    1
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      今のボーイングから学ぶべき技術って有るのかね? つい先日F/A-18E/F用のコンフォーマルタンクが使えないというニュースが入ってきたばかりだが
      吸収合併で色々なメーカーの製品の権利こそ取得すれど、その継承には悉く失敗しているイメージしかないが
      F-15JSIの顛末からすれば、高い金だけ払って実質何も貰えなかったってオチしか思い浮かばんがな。正直F-15Jに関しては、日本側で勝手に弄繰り回せる許可さえ貰えれば、他に余計な物は要らない。下手に米国やボーイングの部品や技術が入るだけ、足枷が追加される状態だぞ

      16
    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    ウエポンベイがない機体はステルス機とは言わない、あの巨大な扉を超音速の気流の中で高速に開閉するのは並大抵の技術ではない。
    強力なアクチュエータと空力的なモーメント変化を補正するエレベーターの自動操作、開閉後にぴったりと隙間なく閉じることができる強度と精度があるのかなどいくつものハードルを越えなければならない。

    2
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      ところがどっこい
      管理人が取り上げなかったけど今回の展示会では双発テジャスの他にインドの第5世代機であるAMCAも展示されててそっちはしっかりとウェポンベイを持ってる
      恐らくだが双発テジャスはあくまでも艦載機ということでそこまでの能力は求められてなかったんじゃないかな?

      7
        • 匿名
        • 2021年 2月 04日

        おお、本当だ。
        リンク
        昔のイメージ模型はF-35のソックリさんだったけど今回のは結構印象違うな。
        ウェポンべイとは別に吊り下げ武装もあるけど、これはビーストモードもできるぜアピールかな?

        3
          • 匿名
          • 2021年 2月 04日

          なんとなくルックスがロシア機っぽくてカッコいいですね!

          2
        • 匿名
        • 2021年 2月 04日

        STOVL機ではないからスキージャンプかな、だとすると着艦を考えると空母自体のサイズは英QEなみに大きくなりそうな・・・。
        建造も運用にもそれなりのコストが必要になる。

        1
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