世界中の防衛関係者にとってフィンカンティエリが発表したインドネシア国防省との契約は「寝耳に水」で、現地メディアでさえ突然の発表に驚きながら今回のニュースを報じている。
参考:Fakta-fakta Prabowo Borong 8 Kapal Perang Made in Italia
フィンカンティエリが発表したインドネシア国防省との契約は日本の護衛艦輸出に影響を与えるのか?
イタリアのフィンカンティエリは10日、インドネシア国防省とカルロ・ベルガミーニ級(別名FREMM級)フリゲート×6隻の建造に加えてイタリア海軍が運用中のマエストラーレ級フリゲート×2隻(引き渡し前のアップグレード作業を含む)の売却に関する契約を締結したと発表、インドネシアメディアを含む多くの海外メディアが突然の発表に驚きながらも今回の契約に関するニュースを大きく伝えている。
参考:FINCANTIERI WILL PROVIDE 8 VESSELS TO INDONESIA
インドネシアメディアはフィンカンティエリの発表について「国営造船企業PT PALのカルロ・ベルガミーニ級フリゲート建造参加にもフィンカンティエリは可能性を排除していない」と報じているが、何の前触れもなく契約締結が発表されためフィンカンティエリが発表した以上の情報を何ももっておらず国防省への問い合わせも今のところ回答を得られていないらしい。
米国のDefenseNewsもフィンカンティエリの発表を報じて「インドネシアがカルロ・ベルガミーニ級フリゲート調達を決断したのは米海軍が同艦をコンステレーション級フリゲートとして調達することを決めたのが影響を与えたのだろう」と言っており、NavalNewsはインドネシア海軍のフリゲート艦調達は幾つかの国(英国、オランダ、日本)が競合していた案件だが今回のカルロ・ベルガミーニ級フリゲートとの関連性については情報がないと言っている。
参考:Indonesia orders six FREMM frigates from Fincantieri
参考:Fincantieri Signed A Contract To Provide 8 Frigates To Indonesia
つまり世界中の防衛関係者にとって今回の契約発表は「寝耳に水」でインドネシア海軍が調達を予定していたフリゲート需要はフィンカンティエリが供給するカルロ・ベルガミーニ級フリゲートと中古のマエストラーレ級フリゲートで満たされるのか、それとも幾つかの国が提案しているフリゲート艦の中から更に調達を行うのか謎だという意味なのだが少なくともフィンカンティエリが発表したフリゲートの売却数は日本がインドネシアに輸出を予定していた護衛艦「8隻」と一致するため無関係ではないだろう。
因みにNavalNewsは現地メディアの情報として「インドネシアの国営企業PT PALがデンマークと共同で新型フリゲートを2隻共同開発する事業(※)を請け負った」と報じており、インドネシア海軍は地域海軍から外洋海軍に発展するためより大型のフリゲート艦を調達する意思があるのではないかと分析していたが、フィンカンティエリが導入するカルロ・ベルガミーニ級フリゲートのサイズは約5,000トン~6,000トンと比較的大型(アーレイ・バーク級駆逐艦などと比べれば小さい)なので新型フリゲートの開発話も非常に怪しい。
補足:デンマークと共同で新型フリゲートを2隻共同開発する事業とは英国のバブコックが提案しているデンマーク海軍が採用したアイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲートの派生型「Arrowhead140(約6,000トン)」のことで「PT PALはドイツのMTG MarinetechnikとトルコのFIGESにArrowhead140の設計をインドネシア海軍の要求に沿ったものへとカスタマイズするよう依頼した」と英国のジェーンズが報じている。
まぁインドネシア国防省が正式な声明を出せば状況がはっきりするのだが、インドネシア海軍のフリゲート艦調達を狙っていた国の関係者は大慌てで情報収集を行っているはずだ。
余談だがインドネシア国防省は今月7日にフランスのダッソーとラファール×36機調達に関する契約を締結したとの噂も流れているが、この契約は事前の情報通り調達資金の供給がインドネシア政府によって保証されていないため契約自体に署名を行ったものの契約の効力は今年の12月に発効する=つまりインドネシア政府による調達資金の保証を12月までに確保しなければ契約自体が不成立になるという意味なのだろう。
参考:Kabar baik, Kemhan dan Dassault sudah tandatangani kontrak awal 36 Rafale
果たして日本の護衛艦輸出はどうなるのか今のところ謎だが、インドネシア海軍がイタリアからフリゲート艦を8隻調達するということだけは確かだ。
関連記事:もがみ型護衛艦のインドネシア輸出で競合する相手はオランダ、イタリア、英国
関連記事:インドネシアの真意は? ラファール導入契約が失速してF-16V導入が前進?
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※アイキャッチ画像の出典:fincantieri
はたから見てると滅茶苦茶だけど国益を考えてタフなネゴシエーションをこなしてるってのは日本の官僚より素晴らしいのかもしれない
袖の下……?うん、そうね……。
日本は第二の韓国なんかに構う必要はない、
目先の金なんか他国に譲ってしまえばいい
じゃ何処に日本は武器を売るの?
今だに日本が他国に「武器を売る」ことに馴染めない昭和世代な俺.
防衛産業が今まで通りやってけるなら国内にしか目を向けてなくても良かったんだろうけど
縮小してる以上国産を続けるためにもよそに売らないといけないという
そこで「防衛費の抜本的な増額」ですよ。
日本の経済はこれ以上成長することはないって事実+少子高齢化で医療や介護のお金で現状ヤバイのに抜本的な防衛費増額なんて無理
テクノロジーの進化でどんどん兵器が高額化していて輸出とかしないともう防衛産業周りのエコシステムが維持できない
個人的な意見としては輸出よりも国内の防衛産業を国が主導して整理、統合して合理化進めて行った方がいいと思う
日本経済がこれ以上成長しないなんてのはそれこそバブルの幻影から抜け出せない昭和のジジイの思考だけどな。
防衛費も別に5%10%にしろなんて言ってる訳でもないし。
1.5%や何なら1.2%でもいい。毎年1兆増えれば十分抜本的だ。
まあ国内防衛産業の整理統合を含む適正化が必要な事には同意する。
いや30年経済成長してなくてなんで上がると思ってんの?
主要産業も車産業もヤバい、ITも駄目、少子高齢化による生産人口の低下、高齢化による社会保障費の圧迫これだけの根拠があるのに流石に成長できるとかお花畑過ぎるだろ
政治家とか見てみろよ現実逃避した無能だらけじゃん
30年間出来なかった事はいきなり出来ないんだよ
毎年1兆円も追加とか財源どうするの?って感じだし抜本的な予算改革は無理だと思うからその点については賛同出来ないね
それでは、まず消費税を100%にして、医療費の自己負担も100%にしよう。
防衛費の増額は、それからだ。
貴方が数字に弱いのはよく分かった
輸出実績の結構ある国ですら競争が激しくて客選ぶ余裕なんて無いのに新参の日本ならなおさら売る相手なんて選べないな
台湾やニュージーランド、カナダなどなら、海自の船で相性いいかも。
あと、太平洋の島嶼国に掃海艦や警備艇などをODAで。
カナダはインドネシア以上のオフセットを要求するから日本に対応できるだろうか?
台湾は日本が売るといえば飛びつくだろうけど政治的に台湾に武器を売るのは難しいだろうね。
あとニュージランドは2隻保有しているアンザック級フリゲートですらオーバースペックだと批判が多いので海自のフネだと同じ問題に直面するんじゃない?
>アンザック級フリゲートですらオーバースペック
哨戒艦ベースのニュージーランド仕様なんかはどうでしょね。
台湾は中国を刺激してしまうので、日本の地政学的に難しい。
ニュージーランドはオーストラリアやヨーロッパとの繋がりが強いし、カナダは自国で艦船を建造できる。
ずっと前から棲み分けができているので、新参者が入れる隙間はほとんど無い。
売る必要はない、防衛費を上げればいい
まだ案件が生きていたとしても、右往左往の泥試合になりそうだ
もういっそ、販路をアフリカとかに
アフリカなんか絶対商売にならんわ
日本が開発援助資金(無利子)貸したらその金で欧州の銃火器買って
借金返せませんと開き直った挙句に欧州から途上国を食い物にするなと圧力かかって
債権放棄させられるってのがまかり通るんだぞ……
ネシアは色んな意味で強かやね
回らを振り回す振り回す
インドネシアをネシアと略すの初めて見た
お年寄りの中には「ネシアの土人が~」と言っちゃう人がいる
どっちの脳が土でできてるんだか
現地のミリオタと話をさせてもらったけど、まだ8隻分スペースが有るとか言ってるんだよな。
なお、日経新聞より引用
日本政府関係者は「(日本の護衛艦供与の)話がなくなったという理解はまだしていない」と述べた。
さてさてどうなるのでしょうな
インドネシア海軍はフリゲートを7隻、1,000トンクラスのコルベットを10隻しか保有してないのにフリゲートを計16隻も新規で導入するってこと?
基本的にインドネシア政府の正式発表待ちでしょ。
日本提案外に決定したのなら正式発表前に担当窓口か外交ルートでその旨の通知があるのが普通。
正式発表か通知あるまでは政府関係者が未確定としか言わないのも普通。
インドネシアのフリゲート調達計画を調べて見たけど、今回の調達はオランダから調達した6隻のファン・スペイク級フリゲートを更新するための計画でイタリアのFREMM、英国のArrowhead140、オランダのシグマ型コルベット改、日本の30FFMが候補らしい。
6隻のファン・スペイク級フリゲートを更新するのに16隻もフリゲートを調達する?
とにかく先端の玉っころが好かん。
追加の8隻はさすがに無いでしょ。
人はそこまで急には育たんと思うが。
もしかして、世界初、パーム油を燃料としたフリゲート艦とか。SDGsにあやかったエコロジーなミリタリー。
イタリアなら…!?
無理だな。パーム油は支払いだけか。
毎回興味深く拝読しております。
記事中に 「因みに」「余談だが」の文章の挿入が多すぎるように思います。
大変かとは存じますが、それぞれ別個の記事にされたほうがよろしいのではないかと愚考します。
別記事にするまでもない情報を書いて頂いているのだと思いますよ。
何より管理人さん個人で運用されているのに、一方的に負荷を増やす要求をするのはどうなんですかね?
インドネシアに何かを売るという必要性を感じない
特に防衛機器や鉄道・製鉄などの重工業品は日本が技術を渡す必要など無い。