アフガニスタン政府は陸路よるアクセスを失った地域や州都への補給や増援の派遣に欠かせないヘリコプターをタリバンに抑えられ、ロシアにヘリコプターを供与してくれるよう緊急要請した。
参考:‘Al-Qaeda will probably come back,’ warns UK defense minister
参考:Afghanistan likened to fall of Saigon as officials confirm Taliban take Kandahar
たった2ヶ月でバイデン大統領が否定した「サイゴン陥落」との類似性が高まってきたアフガニスタンの状況
アフガニスタン政府はタリバンの攻勢によって各地に配備していた航空機を急速に失いつつあり、特に陸路よるアクセスを失った地域や州都への補給や増援の派遣に欠かせないヘリコプターの喪失はアフガニスタン軍にとって深刻な問題を引き起こしている。
関連記事:Mi-35やスキャンイーグルを鹵獲したタリバン、州都ガズニーを落して首都カーブルに迫る
アフガニスタン軍が保有しているヘリコプター戦力の内、インドから供与されたMi-35(Mi-24Vの輸出バージョン)はクンドゥズ州の空港でタリバンの鹵獲されたことが確認されており、昨日には4機の大型輸送ヘリMi-17(Mi-8の輸出バージョン)がタリバンに鹵獲(内2機は整備中で残り2機は運用可能な状態)されたことを示す写真がネットにアップされ注目を集めている。
Taliban forces captured four Mi-8/17 helicopters today, two of which in operational condition while the other two were undergoing maintenance at the time of capture. pic.twitter.com/rhn4qdeRCk
— Oryx (@oryxspioenkop) August 13, 2021
アフガニスタン政府が現在支配している地域はカーブル周辺や首都に繋がる幹線道路周辺地域と中央の内陸部のみで、まだタリバンの手に落ちていない地方の州都(34州都中16州都をアフガニスタン政府が支配している)の殆どは陸路よるアクセスを失っており、これらの州都防衛は空路からの補給や増援にかかっていると言っても過言ではないのだが、恐らくタリバンは各地への攻勢の過程でアフガニスタン軍の航空機戦力を多数破棄するか鹵獲している可能性が高くアフガニスタン政府のハニーフ・アツマール外相はロシアに対して「ヘリコプターを供与して欲しいと緊急要請した」と明かした。
これに対してロシア政府側は「商業ベースの取引でアフガニスタン政府の要請に応えることを検討している」と明かしたがタリバンの攻勢は勢いを増しており、毎日どこかの州都が陥落する事態が続いているためロシアから新しいヘリコプターが到着する頃には空路で補給や増援を必要とする州都が無くなっている可能性が高い。
英国のベン・ウォレス国防相は昨夜「アフガニスタンからの米軍撤退は間違いでタリバンによる支配の時代が戻ってくる」と語っており、米メディアも「屈辱的なサイゴンからの撤退を再現している」と米軍撤退を決断したバイデン政権への批判が高まっているが、バイデン大統領はアフガニスタンからの撤退について頑なに「後悔していない」と主張している。
バイデン大統領はアフガニスタンから撤退開始と同時にタリバンの攻勢が勢いを増した6月「アフガニスタンの米大使館の屋上から大使館員を救出するような事態には陥らない」とサイゴン陥落との類似性を否定して見せたが、米軍撤退が完了する9月11日以降「ガニー政権は最低でも2年間は維持される」という目論見はエスカレートするタリバンの攻勢の前に崩壊、ガニー政権の存続可能な期間は2年→1年→6ヶ月へとどんどん少なくなり現在では「米軍撤退の完了期日前に首都カーブルが陥落しても不思議ではない」とまで指摘されている。
首都カーブルへの陸路は4本の主要幹線道路で構成されていて北と東と南の主要幹線道路周辺の支配権はアフガニスタン政府が維持しているものの、西から伸びる主要幹線道路周辺の支配権はタリバンが抑えており最後の障害だった州都ガズニーが陥落、西ルートの最前線はカーブル郊外から約18km離れたヴァルダク州の州都マイダーンシャーに移ったため米国防総省は3,000人(予備としてクウェートに4,000人の兵士が配備される予定)の兵士を緊急派遣してカーブル市内の米大使館で勤務する要員の脱出に取り掛かっており、たった2ヶ月でバイデン大統領が否定した「サイゴン陥落」との類似性が高まってきたと言えるだろう。
因みに英国も米国の脱出準備に呼応してベン・ウォレス国防相が600人の兵士をアフガニスタンに派遣することを発表、カーブル郊外にある英大使館をより安全な市内中心(カーブル国際空港の内部)に移転させ状況が悪化した際には直ぐに空路で大使館員を脱出させるための準備に取り掛かっており、カーブル陥落=ガニー政権の崩壊は最終局面に差し掛かっているのかもしれない。
※アイキャッチ画像の出典:Gage Skidmore / CC BY-SA 2.0
来週末にはもう首都陥落してそうな勢い
在アフガン日本大使館は避難しないのかな?
そもそもアフガン全土レベル4だけど
こんだけ武器奪われてるのはやっぱり戦略的撤退じゃなくて潰走なのかな・・
数万人の武装勢力に首都が包囲され
30万の正規軍が戦わず敗北したら歴史に残るね
撤退したら早々に落ちるだろうと言われてた政権側マジで落ちそう。
アメちゃん、いい加減にパキスタン切ってインドに乗り換えたら?
タリバンの件もそうだけど、インドにテロとか工作仕掛けすぎよ?
アメリカがパキスタン切れないと分かってやりたい放題
その為にアフガニスタンを捨てたのだろう。
アフガニスタンを維持しないのならば、パキスタンも要らない。
イランもあるからまだパキスタンを切れないのだよ
インドもアメリカに肩入れされ過ぎるのは嫌がると思う。
インドはロシア・アメリカと持ちつ持たれつの関係を目指しているから。
3極目指すなら理想的な立地だよね
南半球じゃ遠すぎて無視されちゃう
ベトナムどころかイランの再現になる可能性もあるのに緊張感ないな。バイデン政権は政策要綱の策定がまだ終わってないとはいえ、トランプ政権以上に外交問題に関心ないんじゃないか。
多分、周辺政府や大使館を設置してる国々は今アフガン政府とタリバーン政権を天秤にかけてるんだろう。アフガン政府のスポンサーだった米国や不朽の自由作戦に協力してた西欧諸国はともかく、中露やあるいは日本はここで下手にアフガン政府側の支援に動くとタリバーン政権の報復リストに加えられる可能性もある。最大のリスクが大使館員や在留邦人の身柄拘束/殺害である日本と違って、隣接地域にとってはタリバーンの聖戦リストに載るかどうかという際どい状況と見ていても不思議はない。ロシアがヘリ供与に「ビジネスなら」と前置きしているのなんかまさにそうだろう
酷い目あったから流石に対外テロはやらんだろう
アメリカともそういう事で手打ちになってると思うが
一応、去年の和平協定で公式に、テロ組織を国内に匿わない、とは宣言はしている。
>>隣接地域にとってはタリバーンの聖戦リストに載るかどうか
というか隣接地域の大部分を占めるパキスタンとイランがタリバンのスポンサーなんだけどね。
中露はアフガン政府を気にせず堂々とタリバンと交渉しているでしょ。
バイデン政権は対中に注力したいのでアフガンから手を引きたいけど、アフガン政府が総崩れになってる現状でアメリカ軍が撤退したら、アメリカの信頼性は下がるかもしれないね。
どこの国からの信用が下がるんだ?イギリスは多少文句はあっても両国関係に大した影響はないでしょう。
「戦況が悪化しているのにアメリカは自分の都合で支援していた国を撤退する」という状況なので、アメリカ内部でも同盟国からの目を気にしていますね。
ウクライナや台湾はアメリカを信頼できなくなるかもしれません。
ロシアや中国はアメリカの撤退を格好の批判材料にしていますし、イギリスも心の中では何を考えているのか分かりません。
そりゃあアメリカも、このままだとジリ貧で自国の兵士の安全も確保出来ないとなったら
メリットよりデメリットが勝るって事で撤退するわな
でもランボーの怒りのアフガン作った時と今とじゃ色々な面で雲泥の差やな
バイデン怒りのアフガン(2021年)
あらすじ
CNNを眺めながら十字を切り、バイデンはアイスを食べた。
微妙にずれたこと書くけどオスプレイってほんとに便利だよね、航続距離と速度あって輸送容量もそれなり、しかも滑走路はいらない。攻撃サイドからしたら相手方の後方にオスプレイで空輸可能な部隊が控えてるってだけで侵攻作戦の難易度が爆上がりするもの
一時的に航空優勢確保すれば空路で逆強襲かけて占拠された都市の奪還や敵後方への攪乱だって出来るわけで
……アフガニスタンの話ね、あくまで
それなりの輸送量の為に使い勝手が微妙だけどね、艦載前提だから仕方がないが。
>一時的に航空優勢確保すれば空路で逆強襲かけて占拠された都市の奪還
大戦略シリーズでは大変お世話になりました。
高過ぎて数が揃わねンだわ
テロの拡散にならない事だけを祈る
殆どの州都が無血開城しているし
地方から中央政府はどんだけ嫌われていたんだって話よね
たかだか数万の兵力ではこの広大な領域にある都市郡を、数時間単位で武力制圧するのは不可能だからね。
リンク
>アフガニスタン国軍は極めて無能で、戦意が低く、訓練不足、腐敗し、脱走者が続出する組織だと関係者は語る。
>国軍と治安組織、合計35万2千人がいるとされてきたが、実際は25万4千人しか確認できなかった。これは腐敗した軍司令官による給与水増し請求のためだ
>兵士の規律は弛緩し、敵対地域のパトロール中でもマリファナを吸引する。米国から提供された装備で私的な検問を建て通行人から金を巻き上げた。
>だが、米国の巨大な軍事支出にも関わらず、国軍兵士は無給が何ヶ月も続いていたし、負傷しても不十分な医療しか受けられない(もしくはそれすら無い)
そら、こういう有様ですのでね
国軍の住人からの印象は最悪ですし、兵士にしても政府への恩も義理も無いと
汚職のサラダボウルだっまからね
サイゴン撤退ではないだろう。
何だかんだで年単位でもっていた。
ほんとそれ
むしろ、現在のアフガンは政府軍の潰走ペースが早過ぎる点と内陸国なので海からの救援が望めない点でサイゴン陥落よりも酷い
タリバンと麻薬関連の利権で利害が一致した地方の軍閥が協力関係でないと、短期間の無血占領なんてあり得ないです。
アフガン政府軍自体、元々は地方の軍閥の寄せ集めなので、それを上手くまとめて支援していた米軍が去ればそれまででしょう。
問題は、地上支援でタリバンに損害を与えて来たアフガン空軍で、アフガン政府崩壊となればタリバンの報復を恐れる空軍将兵は、家族や親族を引き連れて隣国に脱出するしかなくなりますが、補修部品不足により使用可能な航空機が少ない状況で、どれだけの将兵が脱出出来るか分からないですね。
イスマーイール・ハーンが手勢1000以上引き連れて寝返ってて草
もう終わりだろアフガン軍
米軍はアフガニスタンから撤退するから代わりにアメリカに対してテロしないように交渉したのかもしれんが
タリバンはアフガニスタンを全面制圧したら約束を反故にしてアメリカに対してまたテロ起こしそう
そうなったらどうすんだろうなw精々ちょっと空爆するぐらいしかできないでしょ
タリバンはアルカイダでもISでもないが。
米国は911を発端としてアフガンに出兵し、タリバン政権を首都から追い出したわけですが、
そのアフガンではタリバンが国内要所の大半を掌握し、米国の出兵前の状態にもどりつつある。
溜息しか出ませんな。
タリバンの抵抗勢力だった北部同盟・マスード将軍がいない分、出兵前より状況は悪い。
9.11の時のタリバンはアフガン南部しか支配していなかったけど、今回はアフガン全土を支配しそうな勢いだしね。
しかも、今のタリバンは20年間のテロ戦争を戦い抜いた”百戦錬磨のつわもの”だし。
タリバンが強くなったのもイランが支援したとか要件はあるにしろ、アフガン政府軍があんまり過ぎる。有力軍閥のトップが拘束されたとの情報もあり、士気はドン底だろう。
サイゴン陥落を彷彿とさせるけど、各所が戦いにすらなっていない。州都が無血開城って中央政府が全く信用されてない証拠。これまで米軍がいる以外、支持されていたところが無いのかなと。
政府軍はその側にいる軍閥もタリバン同様に虐殺やっているし、両方共に支援者が違うだけで本質同じなんだろな
イスマイールハーンでしょ?あれ拘束じゃなくて寝返りね
ちなみにイスマイールハーンと一緒に1000以上の戦闘員も寝返ったね
今まともに戦っているのは北部に展開しているドスタム将軍の私兵と特殊部隊くらい
精神的支柱だったイスマイールハーンが裏切って、残るは軍閥の親玉殺戮者ドスタム将軍だけとか笑えないね
もう終わりだと思うよアフガンは
随分友好的だなと写真見て思ったんですが、あれ寝返りなんですね
ソ連侵攻時の英雄と聞いたので、タリバンにもそれなりの厚遇されたのかと勘違いしていましたわ
なんか変に伝わっちゃったのかも知れないけど
貴方の言う英雄であるイスマイールハーンはタリバン側に合流した後、タリバンの戦力として私兵率いていますから悪い扱いはされていないと思いますよ。
厚遇かは不明ですが彼は民衆に人気がありますからね。それにタリバン側に立って戦う旨の動画と集合写真みたいな写真が何枚かUPされていましたし、処刑される様な事はないでしょう。
逆に前述したドスタム将軍は長年タリバン相手にとんでもない事をしてきた手前、まぁ降伏はありえないでしょうね。タリバン側も身内をコンテナに押し込めて蒸し焼きにする人間を生かしておく筈無いですから…
投降しても十中八九なぶり殺しですよドスタム将軍は
アフガニスタンをテロの温床にしないために国際社会の積極的な関与が必要って言われ続けてたけど、
それを言っていた人たちもアフガニスタンのことは何も知らなかったのよね。
結局アフガニスタンは本質的に何も変わらなかった。
もうタリバンの勝利は避けられないし、歴史にIFは無いけど、
じゃあ911の後どういった対応が望ましかったのかという詳細な検証と総括は必要だろうな。
個人的にはタリバン政権を倒しに行ったこと自体は間違っていなかったと思っているが。
イスラム系の国は民主主義は無理だな・・・国民が望んで無いもん
独裁者に力ずくで抑え込まれる方が性に合ってると思うなぁ・・・
まあ、アメリカが押し付けた形の「民主主義」やその政府は、仮に汚職が無くても彼らの望むところでは無いでしょうね
まあこの20年、西側の文化に触れて育った若者たち中心にちょっとづつ意識は変わり始めてるから、
後100年ぐらい駐留すれば民主主義が根付いたかもね・・・
アフガン政府がタリバンになっても日本の取る選択肢て変わらないからどっちでもいいとなる
米国はやっと金にならない戦争から手を引けて良かったとしか思わん
Mi-35や17の航続距離を見るに飛び地が何とか維持できるレベルよな。5.56mmレベルならマガジン込みで1回で10万発以上運搬出来るけど流石に極端に偏ったな輸送はしないと思うけど2tの物資は中々馬鹿にはできない。理想を言うならMi-38を即デリバリーして貰えるならアフガンの中心から国土の9割以上カバー出来るけど、そもそも数がない。
>イスマーイール・ハーン
拘束じゃなくて寝返りって言う明確なソースだしで話して欲しい。今の書き方なら最初からタリバンに寝返るのが目的だったという風な書き方しかされていないんだけどな。
ロイターとかの内容だと他の偉い人とかと一緒にタリバン側に突き出されたとか、ヘリ脱出に失敗したとしかないんだが?大手メディアの報道信じるなら、タリバン側に拘束された後に罪に問われ無いようにする為?新政府(予定)に恭順を示したと言う流れしか見えてこないんだけどな。タリバン側に付かなければタリバンにすり潰されるだけだし、ハーンの息子はアメリカの支援打ち切りに等しい対応に憤っていたし、今の政府の対応とかをみるに犬死にするよりはマシな対応したとしか言えないね。
昨日、テレビである有識者が、「アフガンは帝国の墓場」って言ってましたが、妙に納得しました。
中国もタリバン支配のアフガンに深入りするつもりはなく、タリバンとはウイグルのテロリストを取り締まることと引き換えに、金をやって不介入程度の方針のようです。
世界は米中対立を軸に動き始めるし、もうアフガンに色気を見せる大国は、しばらくは出てこない気がしますね。
「世界から見捨てられた」とみることもできるし、外部の介入なしに「自らの国を自ら作れる」ようになったと見ることもできるし。
他人へのお節介も、中途半端にやるなら最初からやるなと思います。
お節介も何も、ビンラディンを匿ってたから行きたくもないアフガンに米国は侵攻したんじゃん。
>他人へのお節介も、中途半端にやるなら最初からやるなと思います
別に国・規模関係なく見当違いで撤退なんてプロジェクトは幾らでもあるし、最初から中途半端に終わらせるなら、新政権樹立なんかしないでもっと前に撤退している。最初からやるなと言えるのって今の現状を知った上で言っているだけじゃないの?
アフガンに関しては人間中心なら味方の損害を抑えつつ、如何に歩兵中心のタリバン側を低コストで確実に殺傷出来るか突き詰められなかったのは大きいと思う。撃合いだけに限れば特殊部隊はともかく一般部隊は効率悪すぎたね、前哨基地はかなりの率で攻撃されるけどに5.56~12.7mmばらまいていた事も多かったので効果の程は微妙。基地を攻撃したら一方的に損害受けてろくな事が無いって風には持って行けなかった。
後、陸続で山岳地帯を移動する兵士や武器の移動は止められなかったのも大きかった、前線で使用しやすいような安価でそこそこの性能のSchiebel Camcopterのような機体に誘導ロケット/迫撃砲投下/40×53mmグレネードタレット/7.62mm機銃いずれか積んで相手の射程外や射角外から嫌がらせ出来たら、極めて探知されにくく道が細いルートばかり使う事になって戦力増は抑えられたとは思う。でも脅迫や買収で表玄関から堂々と人や武器を運ばれていたならどうしようもないけどな。
21世紀初期まで続いた冷戦期のやり方の終焉って感じがする
政治的にも経済的にも不安定で、しかも国民が西側勢力の仲間入りをしたいとも思っていない国に武力侵攻して、西側政権を樹立してもやっぱり長続きしない
政府軍制服トップはドスタム=旧北部同盟でしかない20年前となんも変わらん
狂信的イスラム主義拗らせると20年経とうが何も変わらない