台湾は米国から新たに製造されたF-16V Block70を66機導入するのと引き換えにミラージュ2000-5を退役させる可能性が浮上している。
台湾が導入したミラージュ2000-5は予算を食い潰す金食い虫か?
台湾は1990年代にフランスからミラージュ2000-5を60機(単座の5Eiを48機+複座の5Diを12機)導入したのだが結論から言えば非常に評判が悪い。
ミラージュ2000はF-16と同じ単発エンジンを備えた小型の第4世代戦闘機として誕生したのだが、ミラージュ2000が搭載していたエンジンの推力が同時期のライバル機(F-16やMiG-29など)よりも劣っていたため最後まで飛行性能の差を埋めることが叶わなかったが、少なくとも2000年代初頭までミラージュ2000-5はF-16に大きく劣らない能力を台湾空軍にもたらしていた。
ただ実際にミラージュ2000-5とF-16A/Bを運用した台湾空軍に言わせれば、ミラージュ2000-5は台湾のような高温多湿の気候で運用するのに適していなかったため摩耗が激しく、メンテンスに手間がかかり稼働率が異常に低いという問題に悩まされた。さらにミラージュ2000-5が搭載していたエンジンの品質に問題がありタービンブレードの亀裂が多数発生する問題が浮上、この問題はフランス側が非を認め補償と修理を行い問題が解消されているが、異常に高いメンテナンスコスト問題は解消されていない。
さらに150機導入したF-16A/Bの損耗率は5.3%(8機)に過ぎないのに対して60機導入したミラージュ2000-5の損耗率は10%(6機)と高く、ミラージュ2000の製造が打ち切られて以降(2007年)は保守部品の入手性が悪化して搭載ミサイルの性能の陳腐化と合わせると、もはやミラージュ2000-5の存在は台湾空軍にとって予算を無駄に食い潰す存在とも言える。
補足:台湾空軍の資料(2010年)によればミラージュ2000-5の飛行コスト(1時間あたり)は約2万4,840ドル(約264万円)で、F-16A/Bの飛行コストは約5,500ドル(約58万円)だと言うのだから、どれだけメンテナンスコストが高価なのか良く分かる。あと保守部品の入手性が悪いのはフランスにも原因があるが、ミラージュ2000製造打ち切り前にアップグレードを行わければ保守部品の入手が困難になるとフランスが注意していたにも関わらず台湾がアップグレードを行わなかったことにも原因がある。
結局、メンテナンスコストと信頼性の問題で台湾はミラージュ2000-5にアップグレードを行わないことを決めており、新たに製造されたF-16 Block70を66機導入する際に退役させるのではないかと噂されているのだが、このミラージュ2000-5を狙っているのがインドだ。
インド空軍はミラージュ2000Hを50機運用中で台湾よりもフランス製戦闘機の扱いに長けており、フランス空軍やカタール空軍が使用しているミラージュ2000を購入したいと考えていた事もあるので、まだ耐久年数が残っているミラージュ2000-5を台湾が早期退役させるなら喜んで引き取りに手を挙げるかもしれない。
ただアップグレードを行っていない台湾のミラージュ2000-5は保守部品の確保が難しいため、この辺りの問題をインドに解決出来るのか疑問だ。もしかしたらインドが独自にアップグレードを施して使用することを考えているのかもしれないが、管理人的には旧式機に大金をかけるなら新型機を導入したほうがマシだと思う。
果たして台湾空軍は金食い虫のミラージュ2000-5を退役させるのか、インドが引き取りに手を挙げるのかは今後の経過を見てみないと何とも言えないが、台湾とミラージュ2000の相性は良くなかったことだけは確かのようだ。
※アイキャッチ画像の出典:玄史生 / CC BY-SA 3.0
どこかみたいにカタログスペックだけ優秀でも仕方ないという好例ですね。
このニュースで指摘されていない事を付け加えると、92年にフランスが台湾へミラージュ2000-5とラファイエット級フリゲート艦の輸出を決定した際、慌てた中国はフランスに対して貿易面での関係強化と引き換えに台湾への武器輸出を止める様に圧力を掛けた結果、これ以降台湾はフランスから兵器を輸入出来なくなっている
そして恐らくだが、フランスは中国との関係を重視した結果、台湾に対して輸出した兵器のサポート料金をかなり吹っ掛けていたのではないだろうか?
結論として台湾がミラージュ2000-5を持て余していたのは事実だろうが、台湾の政治的条件を考慮すると単純にミラージュ2000-5が台湾の風土に合わなかったと結論するのは早計だと思う
政治的条件も風土のうち。
政治的条件も風土の内と言いますが…台湾がミラージュ2000-5の購入を決めた当時の米国は今よりも遥かに台湾に対して冷たくて、台湾がF-16の導入を求めても一切応じなかったのです
その結果、台湾は米ゼネラル・ダイナミクス社の協力を得て国産戦闘機・経国の開発へ進むと共にフランスからミラージュ2000-5の導入を決めた所、当時の米大統領ブッシュ・シニアは慌ててF-16を150機売却する事を認めました
つまり、現在台湾空軍の主力であるF-16導入の発端を作ったのはミラージュ2000-5の導入であり、その点を考慮すれば台湾がミラージュ2000-5を導入した事自体は意義があったと思います
要らないならインドへ譲ってしまえば、中共への嫌がらせにもなるので良いと思います。
未改修で整備性の悪いミラージュ2000を渡されても、インドが困るだろう
もしこのタイミングで台湾とインドが、何でも良いので関係や交流を持ったなら中国は相当面白くないでしょう。であれば何か起きる可能性はゼロではないのでは。
仮想敵用でアメリカが少数買う。無いか…
世界的に見てもF16の圧勝だろう。
インドが引き取ってくれるなら何よりタダでも今後の維持費込みで引き取ってくれるなら台湾には利益だ。
台湾の環境なら戦闘機を廃してミサイルに後続任務を継ぐこともあり得る。
いやそれの何処が利益になるんだw
退役させるにしてもモスボール保管なら維持費はタダ同然で済む、台湾の戦略
環境なら予備装備として保管しておくだけでも価値がある
それに代替機入れないと戦力に大穴空くから費用捻出のために金に換えない理
由がない、ミラージュ2000なら民間に流しても寿命使い切ってるような機体で
も10億円は下らんのだぞ
台湾の気候で、タダ同然の維持費でのモスボ保管は不可能なのではと
最低限屋根は必要でしょうから、50数機ともなると博物館に少数保存するのとは訳が違うでしょうし
広大な砂漠に野晒しで置いておけるアメリカ等とは違うでしょう
小型戦闘機50機分程度の格納庫なら日本でも年1~2億ぐらいで借りれる筈だが。
台湾は日本以上に狭く山がちだからね
流石に無頓着過ぎるわ
日本のチャーター機運行会社とか機材は台湾に駐機させといて必要時に日本までフェリーさせるとかしてるがね、何でかというと露天でも格納でもフェリーコスト含んでも日本においておくより安いからだ
モスボール化しても、早晩、操縦できるパイロットがいなくなるから無駄になるだろう。
ミラージュ2000を退役させるてインドに渡すとしてもフランスが穴持ちしないときついんでないかなぁ?
近代化改修の関係で
そういえばミラージュ運用してて、フランスが肩入れしてる地中海の国がトルコともめてましたね。
欧州機は非力なエンジンを補うための試行錯誤の連続で泣けてくる
それほどまでにエンジン開発は難しいのだろう
そのうち軍用機は液体酸素積んで宇宙空間飛びかねないからますます開発が難しくなりそうだ
積載量と航続距離を最大化するために翼面積は大きく、
正面投影面積は小さく、
マッハ2超で飛べるように後退角は大きく、
地面効果とハードポイント配置の自由度が大きい低翼配置、
機体を少しでも軽くするための水平尾翼無し、
全部満たせるデルタ翼。
洗練された完成度の高いデザインで実に素晴らしい
こっちの記事を見るとF16よりミラージュ2000のほうがドッグファイトでは優れている気がするが
やはり同じ運用国でも政治的なコスト差がだいぶあるのかな
ギリシャ空軍のミラージュ2000とトルコ空軍のF-16Cがエーゲ海上空で交戦
リンク
F-16とミラージュ2000をシンプルに翼形状で比較しすると、双方が得意とする高度と速度域は異なります。
状況やフィールドによって有利・不利の差は出ると思いますね。
状況設定無くして、どちらの方が強いとは言い辛いなあと。
台湾のミラージュ2000も別に悪い機体ではないのだけど、台湾の運用環境には向いてなかったって事なんだろなぁ。
それも有っただろうけど、台湾空軍のミラージュは確か対地攻撃能力が削除された仕様で制空任務以外では使い物にならないヤツだったって言うのもデカイのでは?
その後の改修されなかったのは、そこが尾を引いたのでは無いかと。
インドの高温化では、ハリアーのVTOL運用が困難って話があったように、陸海空すべての兵器が気候環境に大きく影響されてるのは興味深いですね
国産兵器の輸出が実ったのちに、我が国にも参考になるでしょう
欧州系はそれこそww2の頃からずっと兵器の気候適正悪いイメージだな
特に高温多湿にすこぶる弱い
同じ欧米でもアメリカ製はやたらタフなのになぁ・・
欧州はそもそも寒冷の上、仮想敵は東側(≒ロシア)の更なる極寒地帯ですので……
世界中で戦いまくる前提のアメリカ様と比べるのも酷かと
インドの敵がパキスタンだけならともかく中国相手にせにゃならんのにミラージュなんか増やすか?
台湾と一緒にF-16V買うかSu-30MKIでも増産せんと話になんねえだろ
できればSu-57を輸入したいところだがロシア空軍向けですら大して生産してねえからなあ
安く増やせるならアリ。位に考えるんじゃないかなー。中国も全部が全部、殲99が配備されてる訳じゃない。旧型も飛んでいるから選択枝としてはアリなんじゃないかな。台湾もインドもFー16インドだと21だっけでいんじゃないかなとは思う。正直インドのもまとめてそこそこ重工業やれる対中で味方になる国に渡してやればいいんじゃないかと思ったけど丁度いい国がない。
インドなら部品取り用途で需要があると思うよ
フランス経由で部品確保より安く済むし良いのではないかな
「気象が適さず摩耗が激しく稼働率が低い」環境で長らく使われた機体を部品取りとして欲しがりますかね?
五毛さんか何か知りませんけど、blog主さんはリモホ記録してるんですがね。
そろそろ下らない荒らしはおやめになっては?
仮想敵機役を専門に仮想敵機役を専門に行うアメリカの民間軍事会社が買わないかな?行うアメリカの民間軍事会社が買わないかな?
先の記事でMirage F-1はあったからな
そろそろ揃え時ではあるけれど、、数十機はいらんだろ
仮想 中国 J–31は空軍にあるそうだが
同様に中国にもF15F16は当然としてF35あたりの仮想敵部隊もありそう
バラ捨てヤフオクで売ったらどうだろうか?
そういえば、日本も似たような話しがありましたね。
結局、実行したのでしょうか?
高温多湿とか影響あるのか
それでも、ボーイングにはお声がかからない。