ロシアのイラン駐在大使を務めるレヴァン・ジャガリアン氏は今月8日、ロシア、中国、イランは今月中旬にインド洋北部で3ヶ国共同による海上演習「AMAN 2021」を行うと発表して注目を集めている。
参考:Russia announces joint naval drill with China and Iran in the Indian Ocean ‘soon’
参考:В Пентагоне прокомментировали совместные учения России, Китая и Индии
参考:Pakistani, Chinese navies play important roles in maintaining maritime order of Indian Ocean: Exclusive with Pakistan Navy chief
ロシア、中国、イランが政治的にも軍事的にも非常に敏感な海域で軍事演習を実施か
この演習は海賊対策や火災を起こした商船の救助等を目的にしているとイラン国営放送が報じているが、予定されている演習海域はペルシア湾沿岸諸国が産出する石油の大部分が通過するホルムズ海峡の出口=オマーン湾に設定されており、この地域は政治的にも軍事的にも非常に敏感なのでメッセージ性が高い。
ではロシア、中国、イランは今回の演習を実施することで何を狙っているかと言うと当然、欧米やムハンマド皇太子率いるサウジアラビアが率いるイスラム教スンニ派に支配された中東地域の軍事バランスに変化を与えることを狙っている=つまり世界のエネルギー輸送に及ぼす影響力の拡大を目指しているのだ。
中国はホルムズ海峡に面したイラン(ジャスク港)とパキスタン(グワダル港)に海軍基地を基地を確保して拡張された中国海軍を中東地域やインド洋に展開させることで独自の海上交通ルート戦略「真珠の首飾り」を進めており、スーダンに原子力推進の艦艇も寄港可能な拠点確保に成功したロシアも中東地域への影響力を強めている。
さらにイランは欧米の干渉を遮断するためイラン、中国、ロシアなどのアジア主要国が結束して大陸の利益を保護する安全保障体上のメカニズム「アジア版NATO(米国が創設を主張しているアジア版NATOと別もの)」の創設を訴えており今回の演習はその布石かもしれない。
要するに拡張する中国を封じ込めるためクアッド(米日豪印)を立ち上げ4ヶ国の海軍による演習「マラバール(Malabar)」を実施したのと同じアプローチをロシア、中国、イランが採用しているという意味で、この動きを放おっておくと中東やインド洋における軍事バランスはロシア、中国、イラン、パキスタン側に傾く恐れがある。
そのためクアッドの発展や米国が主導するアジア版NATOの創設が重要になってくるのだが、問題はインド洋に面したインドの協力が得られるかどうかだ。
日本メディアは最近、クアッドを構成する4ヶ国(米日豪印)がテレビ電話方式で首脳会談を行う方向で調整に入ったと報じたが、加藤官房長官は定例会見で「現時点で米日豪印4ヶ国による首脳会談を行う予定はない」と明確に否定しており、クアッド構成国でも首脳会談実施に向けた調整が行われているという報道は一切なく「日本発」のニュースとして紹介するに留まっているため河野行政改革相の指摘通りなのだろう。
新聞各紙が「政府関係者」なる者を引用しているけれど、全く根拠のないあてずっぽうになっている。信用しない方がいいよ。
— 河野太郎 (@konotarogomame) January 20, 2021
そもそもインドは米国のインド太平洋戦略にオールインする気はないと見られており、米日豪3ヶ国で実施されていた演習「マラバール(Malabar)」に豪州を招待したのも国境問題で中国側に圧力を加えるためでマラバールの正式メンバーに豪州を加えることには同意していない。
さらにロシアからの導入するインドの「S-400」について米国のバイデン政権は制裁発動を公式に言及しているため米印関係は非常に不透明で、インド側としては米国と中国の出方を慎重に見極めるまで無闇に動くことはない=クアッド発展を望まない可能性が高いので日本メディアの推測は的外れに映る。
どちらにしても中国との国境問題を抱えるインドが両手を挙げて米国が主導するクアッドに協力するような雰囲気や環境は整っていないので、今すぐクアッドに大きな期待を掛けるのは時期尚早だ。
関連記事:イラン、中国やロシアと共同で「アジア版NATO」創設を主張
関連記事:パキスタン海軍長官、力の均衡維持に役立つ中国海軍の空母寄港を歓迎
関連記事:米国がインド制裁に言及、英国が参加を示唆したクアッドは崩壊の危機
※アイキャッチ画像の出典:flickr rhk111 / Public domain
イランも中国国内のイスラム教徒弾圧と自国の安保環境を見比べて中露べったりという訳ではないのでは?
イスラム教圏の国々が中国の宗教弾圧に沈黙しているのはハラールオーガンの提供を受けているからという推測が有力じゃないかな。イランの安保環境については確かに中露べったりという訳ではないとは思うけど、敵の敵は味方という事でしょう。イランもアメリカに一国で対抗出来るとは思ってないだろうし、その時の結末は火を見るより明らかなんだから。
イスラム教徒のウイグル人から摘出した臓器は、まさに臓器移植には理想的だからな。豚肉食ってる人種の臓器は自分の体に移植したくない。
悪の枢軸ver.2
新旧の「悪の帝国」が手を組む模様。全体主義の闇の中にいる香港やウイグルの人々の為に祈りましょう。
ロシアはどこに着地しようとしているのか・・・。
プーチン独裁政権を非難しないのは、主要国だと中国(と日本)ぐらいだから、普通に中国側に着地するでしょ。
プーチン大統領亡き後は、中国に喰われる。
安倍内閣がロシアに経済制裁してることを知らないのかね。いい加減なことを言うなよ。
少なくとも西側に着陸することはないでしょう
プーチンはインドには裏から筋を通してるよ、なんたって長年のお得意様だし、今世紀伸び盛りのインドとのつながりこそ、中国とアメリカを牽制するには欠かせない
いずれ、パキスタンも加わるのかな?
とはいえ中国がインドに譲歩することもないので、結果は同じでしょう。インドの決断が少し遅れているに過ぎません。
ですね。
中国海軍がインド洋で、我が物顔してのさばる近未来を受け入れたくなければ、インドにはクワッド参加以外の選択肢はないでしょう。
インドは、そのへんの状況を理解していると思いますよ。陸・空は別として、
海軍は現実的な対応をしているかと。アンダマン・ニコバル諸島に建設中の
新しい海軍基地に、日、米の寄港もウェルカムだと報道されていました。
インド洋海戦勃発かな。
結構荒れる海なんだけど、事故起こさないで粛々と演習できますかね?
2019年の年末にも同じメンバー・同じ場所で、海軍合同演習をしていますし大丈夫だと思いますよ。
トルコはこの同盟に加わっても違和感無くなってるよね
これを機にインドはS400を手放してくれるといいんだけどなあ
まあ甘い幻想か
位置的にもインドへの圧力やね
ここからなら容易に切り崩せると見込んだんだろう