日本関連

カナダ企業、海自のP-1能力向上型向けに磁気探知機を出荷したと発表

カナダの防衛産業企業CAEは31日「海上自衛隊の新型P-1に搭載されるMAD-XRシステムの初回分を三菱電機に納入した」と発表、P-1能力向上型が採用する磁気探知機は米海軍のMH-60が採用しているものと同じだ。

参考:CAE delivers first MAD-XR systems for Japan Ministry of Defense and Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF)

三菱電機製の磁気探知機(HSQ-102)も中身はCAE製のAN/ASQ-508なので順当な選択

海上自衛隊が調達中の海上哨戒機「P-1」は導入開始から10年以上が経過し、令和2年度予算の中で「(2020年度発注分から)探知識別、飛行性能、情報処理能力等が従来のP-1よりも向上した機体になる」と説明していたものの、具体的な説明がないので「能力向上型と呼ばれる新型P-1の正体」は謎に包まれていたが、カナダの防衛産業企業CAEは31日「海上自衛隊の新型P-1に搭載されるMAD-XR(磁気探知機)システムの初回分を三菱電機に納入した」と発表した。

出典:CAE MAD-XR

CAEは磁気探知分野で最高の技術をもつと評価され、同社のMAD(AN/ASQ-508)はカナダ海軍のシーキング、CP-140、米海軍のP-3C、SH-60、SH-2、英海軍のシーキング、リンクス、オーストラリア海軍のP-3C、S-70B-2、海上自衛隊のP-3C、P-1、韓国海軍のP-3CK、インド海軍のP-8I、トルコ海軍のCN235などが採用しており、三菱電機製の磁気探知機(HSQ-102)も中身はCAE製のAN/ASQ-508だ。

CAEはMAD-XRについて「従来のMAD=AN/ASQ-508よりもコンパクトで回転翼機や無人航空機といった小型プラットフォームへの搭載に適している」と説明しており、2020年11月にロッキード・マーティンが米海軍のMH-60向けにMAD-XRを発注している。

出典:海上自衛隊

順当な選択と言えばそれまでだが、MH-60とP-1では機体サイズが全く異なるのにMADの性能が一緒というのも何となく変な感じだ。

因みにP-8Aの地上シミュレーターを開発を請け負っているのもCAEだったりする。

関連記事:着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」を調達

 

※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊

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コメント

    • COSY
    • 2023年 6月 01日

    軍事情報には出てこない専門的な話だが、ASQ-508(V) って前身のASQ-504(V)の頃から磁気センサ部に、セシウム蒸気封入した光ポンピング磁力計(OPM 大学や科学研究機関等の磁気測定装置等でしか使われていない技術)が使われてる、ってことを海自のMADの調達情報の技術仕様から最近知ることができた。次世代は、量子センサー技術のNVセンターダイヤモンド使った磁力計が実用化されれば採用されるだろう。

    32
      • STIH
      • 2023年 6月 01日

      磁場であればゼーマン効果ですかね。研究を見たことあるのですが、まさか潜水艦検出センサに使われているとは。
      これを見ると、どんな研究が軍事技術に用いることができるのか、予想ができませんね。
      あわせて研究内容の輸出管理の難しさも強く感じます。

      23
    • あばばばば
    • 2023年 6月 01日

    私の頭の中には、
    P-1は大した調達数もないくせに対潜性能はP-8と同等レベルなのだから、P-8に調達を切り替えろ派。
    P-8は2025年には生産ラインが閉鎖することが決まっており、P-1と同等レベルで部品調達に苦労することが目に見えてるので、737MAXをベースに新規開発を米国に打診するべき派。
    根本的問題は予算の不足による部品調達が満足に行えない事が原因であるので、予算を解決しない限り1/1スケールモデルが増えるだけ派。
    の三つに分かれて混沌を極めている。

    3
    • 2023年 6月 01日

    CAEという企業は初めて聞きましたが本文を見ると国際的な結構凄い企業なのですね。日本はイギリス・イタリアと一緒に戦闘機を開発してますがこれからこうした海外の企業と連携して防衛産業を発展させていけたらいいですね。なるべく対等な関係で。

    21
    • 戦略眼
    • 2023年 6月 01日

    結局純国産というわけでもなく、輸出の売りが無さそう。

    3
    • nachteule
    • 2023年 6月 01日

    >サイズが全く異なるのにMADの性能が一緒というのも何となく変な感じだ。
     航空機搭載レベルの磁気検知に関してはって多少の出力やサイズってそれほど影響しない感じなんだけどどうなのかな?2次大戦頃の初期から比べれば探知範囲は増えているけど、磁気が特殊な物であるから2キロ以上離れた物体を高確率で検知するような状態にはなっていない。
     広域はソナーやソノブイで大まかな位置を、そこから絞り込むためにMADでピンポイントは昔から変わりない。仮に現時点の技術で探知制度上げるなら解析能力の向上やセンサー能力上げるための装備が大げさになりすぎてコストやスペース、電力の面で割に合わない感じはする。

    2
    • れんちゃ
    • 2023年 6月 01日

    MADの性能が同じっていうより、よりコンパクトになった上にMH-60用に継続生産される新型を採用したって考えた方が良いのではないかな?空いた分で燃費や機内機器の配置とかで有利になるんだろうし。

    22
    • 58式素人
    • 2023年 6月 02日

    なんとなく思うのですが。
    潜水艦の位置を最終的に確定するには、MADだけを搭載した複数の無人機が必要なのかしら。
    潜水艦が速いもので40kt弱だろうから、当該無人機は0〜150km/hくらいの速度が出せるもので。
    MADは使い捨てにはならないだろうから、母機に回収可能で。そんな機体はあったかな。
    V22を小型にしたようなものかな。それとも、昔のシュトルヒ連絡機みたいなものかな。
    プローブ&ドローグ式の空中給油システムを改装して回収できるかな。
    母機の翼にポッドを懸架して、そこに収納し発進回収も行えるような形で。
    MADがどれほど電力を消費するかは知りませんが。また、色々と妄想しますが。

    • 名無しさんZ
    • 2023年 6月 02日

    MADの性能はその性質上、機械単体よりも電力供給量に大きく依存していて
    だから大型固定翼機の搭載が有利で小型のUAVの搭載には向かないって理解してたんだけど
    自分の理解が間違ってたのか?
    P-8の開発難航当時に低空飛行能力の問題より電力供給量の不足問題でMAD搭載断念したとういう趣旨の記事を
    当時読んでなるほどP-1の4発にもメリットがあるもんだと思った記憶があるんだけど・・・
    誰ぞ詳しい人の解説どこかにないだろうか?

    2
      • バーナーキング
      • 2023年 6月 02日

      ん?積んでるだけで電気食う訳じゃないですよね?
      対潜哨戒機なんて状況次第で使う機器全然変わるんだから「電力供給量の不足問題でMAD搭載断念」ってのはイマイチしっくり来ないですね。
      AN/APY-10とFLIRと各種通信系を全部足したよりMADの方が電気食う、ってなら分かりますがそんな訳ないし。
      てか開発時点で「積みたかったのに電力供給量の問題で断念」するくらいなら右肺のジェネレータも左と同様の出力強化版に積み替えればあっさり解決しそうなもんですが。

      2
    • 名無しさんZ
    • 2023年 6月 02日

    今になってみればそれはそうなんですが
    じゃあP-8の開発が大炎上していた当時に
    エンジンの発電機だけでは電力が足りずにバッテリーを追加で搭載してそれでも結局解決できなかった云々の
    P-8の電力不足問題が当時の開発炎上の結構な重要ポイントとして
    また、MADの搭載を断念したタイミングとからんだニュースとして
    あの当時翻訳記事があちこちの軍事サイトに出回っていたのは一体なんだったんだろうなと
    結局、P-8がMAD搭載を断念した合理的理由にについては憶測は色々あっても説明はされてないわけですし

    自分は専門家ではないので、なんとなくMADで強力な磁界を発生させるのに電力が必要なんだろうか?
    くらいの感想で、まあ、電力供給を増やせば解決できる問題なら日本のP-1には影響ないっぽい話なので当時は気にしなかった話題だったんですが
    電力供給量に恐らく相当な差のある哨戒ヘリと大型固定翼機でも同じMADなら性能も一緒なの?
    と管理人さんが疑問を感じたのではないか?と最後の一文を見て思ったわけで

    P-1、P-8はさておき、自分が言いたい事としては
    >>MH-60とP-1では機体サイズが全く異なるのにMADの性能が一緒というのも何となく変な感じだ。
    という疑問を自分も感じたのでその辺を詳しく解説してくれるサイトがどこかにないか誰か知らないかな・・・というコメントだったわけです

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