日本政府はコストの問題で、空自向けF-35A国内最終組立を取りやめ、米国から完成機輸入に切り替える方針を打ち出していたが、組み立て作業の見直しでコストダウンが可能と報告を受け、2019年以降の国内最終組立を継続する意向だと日本経済新聞が報じている。
日本、コストダウンに成功したのでF-35A国内最終組立「継続」へ
日経新聞によれば、米国からF-35A完成機を輸入した場合の価格は94.2億円だが、防衛省が試算では、国内の最終組立ラインの作業見直し等でコストを圧縮すれば、93.7億円まで価格を引き下げる事ができ輸入機に比べて「5,000万円」ほど安くなるらしい。

出典:ロッキード・マーティン
F-35A国内最終組立の取りやめが報道された2018年の記事では、国内組立のF-35Aは1機約150億円(130億円という説もある)で完成機の輸入よりも30~40億円高いと言われていたが、2019年1月に防衛省が公開した「中期防別表装備品の単価について」で、F-35Aの調達価格が約116億円(平成30年度=2018年度の価格)だと明らかにしているため、報道された国内最終組立の価格はオーバーである事がわかる。
公表した約116億円という価格は、F-35Aを45機導入(資料公表当時の数字)した場合の平均単価であり、これはF-35の価格引き下げを見越した見積もり価格なのだろう。
因みにF-35Aの価格は、以下のように変動している。※1ドル108円で計算
- ロット01:約2億ドル(約216億円)
- ロット10:9,460万ドル(約102億円)
- ロット11:8,920万ドル(約96億円)←現在生産中のロット
- ロット12:8,100万ドル予定(約87億円)
- ロット13:7,920万ドル予定(約85億円)
- ロット14:7,600万ドル予定(約82億円)
ロット12~14は先月契約を結んだばかりの最も新しいF-35Aの価格で、ロッキード・マーティンはF-35Aの価格を最終的(ロット14)に7,600万ドル(約82億円)まで下げることを約束しており、日本が国内で最終組立を行うF-35Aの価格もこれに連動するはずで、恐らく防衛省が試算した数字は、ロット12以降の価格で計算した可能性が高い。

出典:public domain F-35A
仮にロット12の価格で試算されていた場合、完成機を輸入すればFMS(対外有償軍事援助)の手数料として7.2億円が上乗せされていることになる。
国内で組み立てた場合、同じ額のFMS手数料が要求されるのかは不明だが、少なくとも国内で組み立てられたF-35Aは直接、航空自衛隊に引き渡されているため、FMS手数料が安くなるだろうと推測出来る部分がある。
FMSを通じて調達される米国製防衛装備品は、製造企業が購入国に直接納品するのではなく、米軍に納品しチェックを受け、米軍の手で購入国まで輸送されるため引渡が終了するまでは米軍の所有扱い(引渡までに問題があれば米国の責任になるという意味)になるの一般的だ。
【速報】
岩国基地
航空自衛隊向けE-2D上がりました pic.twitter.com/cpkJ0r38Pu— Yushi🇺🇸AMC🤙 (@ejdk1002) March 27, 2019
最近、日本が導入したE-2Dも、日本に空輸し空自に引渡すまで米軍の国籍マークが描かれており、もちろん米空軍のパイロットの手で日本まで空輸されてきた。
もちろん、これは米国製兵器を購入してくれた国へのサービスではなく、輸送にかかるコストや管理費用は購入国負担なので、FMS手数料にきっちり盛り込まれ徴収されるのだ。
要するに日本のF-35A(国内組立分)は、この部分のFMS手数料は免除されている可能性が高いという意味で、F-35自体の価格が下がり、最終組立ラインの作業見直しでコストを圧縮し、輸入機よりもFMS手数料がやすいため、F-35A完成機を輸入するよりも、国内組立のほうが安くなるという、何とも珍しい「逆ざや」状態になったのだろう。
恐らく、ロット14までF-35Aの生産が進めば、国内組立のF-35Aの価格も、あと数億円は下がる可能性があり、もしかしたら90億円を下回るかもしれない。
※アイキャッチ画像の出典:航空自衛隊
朗報!
F-3の製造が始められるまでの収入源になるのでは?
最近はF35に対する無理筋の批判報道もすっかり鳴りを潜めましたね。こうして着実に改善・実績を積んでいるからだと思います。
でっかいプラモ組み立てが技術の維持・蓄積につながるかと言えば甚だ疑問だけど安くなる分には困らんし良かったね
それにしても、(込み込み価格ではないにせよ)最新鋭戦闘機としては破格の安さだなぁ
スケールメリット様々?
この記事の大本の日経新聞記事は菅官房長官によって否定されましたよ!ご確認あれ!
リンク
ステルス戦闘機F35A 国内組み立て継続へ 政府 | NHKニュース
ステルス戦闘機F35A 国内組み立て継続へ 政府
2019年12月11日 18時48分
航空自衛隊への配備が進むステルス戦闘機F35Aについて、政府は、国内での組み立てをやめて輸入するとした方針を見直し、組み立てを続ける方針を固めました。
これを報道してるのが日経新聞だけです。
菅官房長官はこの日経記事を否定しています。
残念ながらこの記事は信頼性が薄いです。
もともとが高価なF22の代替としてスタートしてるんだから当然のなりゆき
さて、純国産ステルスに熱心な人々は、調達価格がF2の轍を踏むことを考えてますか?
ノックダウンも経験値のうち
相手は軍民あわせて数万機を製造してきた強者なのだから経験が乏しい日本としては
スライムでも見つけ次第倒して経験値を蓄積しなければならない
そのうち魔王でもなんとかなるだろう
F-35は未完成の不良品だと批判していた層が、「F-35は国際的に運用されている安くて良い機体だ、高くて悪い機体である国産戦闘機F-3ではなく、F-35を追加購入しろ」って言い出すと思う。
ガースーが日経の報道受けて何も決まってないと言ってたみたい。
トランプは雇用アメリカファーストだから、まだ色々ネゴしてるんだろう。
アメリカ人の所得は日本の三倍って話だからさもありなん。国内雇用にも繋がるならいい話だと思うんだけどなー。
あー輸入じゃなくて最終組み立て国内に戻ったんだ まぁめでたい