搭載レーダーを「APG-82」に換装するなど、近代改修が施され「マルチロール機」化した日本のF-15Jが、2023年7月までに引き渡されると「Aviation Week」が報じている。
参考:APG-82 Key Feature In Japanese F-15 Upgrade
4年後、マルチロール機化したF-15Jの引き渡しが始まる
航空自衛隊が運用中のF-15Jは、これまで幾つかの近代改修を行った102機(単座68機、複座34機)の「J-MSIP」と、改修を行っていない110機(単座98機、複座12機)の「Pre-MSIP」に分類され、防衛省は「J-MSIP」タイプのF-15Jを対象に、さらなる近代改修を行うことを決定(注:中期防衛力整備計画)、平成31年度予算に2機分の改修費用を計上した。
今回、Aviation Weekが報じている、アップグレードされたF-15Jを、2023年7月までに引き渡しというニュースは、この2機を指したものだと考えられる。
アップグレードされたF-15Jには、近代改修を受けた米空軍のF-15Eが搭載しているレーダーと同じ「AN/APG-82」を搭載し、新たに敵射程圏外からの空対地攻撃モードを備えるとAviation Weekは報じているため、米軍が採用している空中発射型の空対地巡航ミサイル「AGM-158 JASSM」や、対艦ミサイル「ハープーン」の後継として開発された長距離対艦ミサイル「LRASM」の搭載はほぼ決定的だろう。
補足:AN/APG-82とは、フェーズド・アレイ型アンテナを搭載し、AN/APG-79(F/A-18E/F向け)のバックエンド部を移植し処理能力の向上を行ったタイプで、故障に強く信頼性が大幅に向上している。因みに、現在「J-MSIP」タイプのF-15Jに搭載されているのは、機械式アンテナ型のAN/APG-63(V)1だ。
航空自衛隊のF-15Jは当初、制空戦闘機(要撃機)として導入され運用が続けられてきたが、今回の近代改修で「J-MSIP」タイプのF-15Jは、マルチロール機へと姿を変えることになる。
恐らく、近代改修を受けたF-15J(J-MSIP)は、AIM-120の運用能力も獲得するだろうし、コンフォーマル・フューエル・タンク(一体型増槽)を搭載するのかは不明(J-MSIPは、一体型増槽を取り付ける部分に電子戦装置を追加したため、この電子戦装置を移動させなければ一体型増槽の装着は不可能)だが、何らかの手段で携行できるミサイルの本数を増やすはずだ。
2023年に引き渡される「AN/APG-82」を搭載したF-15Jをテストし、そこから残りの18機(20機の近代改修を行う事が決定している)を改修するのか、来年度の予算にも継続して改修費用を計上していくのかは、もう少し先に公表される予算案を見てみないと何とも言えない。
しかし、近代改修を受けたF-15Jが「2023年7月引き渡し」という具体的なスケジュールが出てきたことで、計画に「現実感」を感じられるようになった。
少し長いと感じるかもしれないが、あと「4年」で、日本のF-15Jが大きく生まれ変わる。
※アイキャッチの出典:photogoodwin / stock.adobe.com
Pre-MSIP機にF-2の機器を転用出来ないかな。
機体寿命がF-2の方が先に尽きるし。
おそらくF-2は予定通りには退役できないでしょう。
このままいくとF-3の開発・配備が間に合わず引退させるわけにいかなくなり寿命延長せざるを得なくなると思います。
>寿命延長せざるを得なくなる
私もそう思いますが、炭素系材料の主翼の強化って出来るのでしょうか。
A-10みたいに交換用主翼を製造してリプレースじゃないでしょうか。
ブレンデッドウイングボディの機体とはいえ、胴体と完全に一体化しているわけではないと思うので、交換用主翼を製造することは不可能ではないでしょう。
幸い、ボーイング787やエアバス350XWBのように民間航空機でカーボン主翼の需要はあるので、素材面で困ることは無いと思います。
問題は、製造ラインが閉じたことで主翼の製造ができるかどうかですね。
保守パーツとして細々とはやってると思いたいですが
F-15Eは機体重量増加に対応するために機体構造や降着装置を強化してエンジンも出力の大きいものに変えてるけど、F-15Jでどこまで対応するんだろ。
米州空軍の演習で爆撃したF-15Cが十分に整備されず、空中分解したことが有った。
米軍が採用見込みの再生産F15を導入する可能性ありそう
ステルスばかりの必要もないし