日本関連

Rheinmetallが防衛省からUGVを受注、Mission Master SPを来年に納品

Rheinmetallは8日「防衛省から数百万ドル相当の契約を受注した」「試験用のMission Master SPを来年早々に納品する予定」「貨物輸送、監視、遠隔操作の武器ステーションなど異なるペイロードモジュールを搭載する」と発表した。

Rheinmetallは試験用のMission Master SPを来年早々に納品する予定

陸上自衛隊は先月末「空中や地上における非対称的な優勢を獲得するための無人アセット防衛能力強化として、偵察・輸送任務に使用でき長期連続運用が可能なUAVやUGVの実証を行い、本格導入に向けた検討を加速していく」と表明、Fuji imvac製のE-5L、Milrem Robotics製のTHeMIS、Rheinmetall製のMission Master SP、Ghost Robotics製のVISION 60によって実証が行われるらしい。

カナダのRheinmetall Canadaが開発したMission Masterには小型で電気モーター駆動のSP、水陸両用でハイブリッド(ディーゼルエンジンと電気モーター)駆動のCXT、最大1,000kgのペイロードを輸送できるXTの3種類があり、米国、英国、ドイツ、オランダ、ポーランド等のNATO加盟国が軍事演習等で使用しており、Rheinmetallも8日「防衛省から数百万ドル相当の契約を受注した」「試験用のMission Master SPを来年早々に納品する予定」「貨物輸送、監視、遠隔操作の武器ステーションなど異なるペイロードモジュールを搭載する」と発表した。

エストニアのMilrem Roboticsが開発したTHeMISはハイブリッド(ディーゼルエンジンと電気モーター)駆動のUGVで、最大1,200kgのペイロード輸送以外にも軽機関銃、重機関銃、グレネードランチャー、30mm機関砲、対戦車ミサイルを搭載することもでき、米国、英国、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、ノルウェー、エストニア、オーストラリア、インド、タイ、アラブ首長国連邦、ウクライナ(ドイツが購入して提供)等が採用している。

Mission Master SPはTHeMISよりも小型でペイロード輸送量も半分だが、Mission MasterシリーズとTHeMISは小型UGV市場を牽引する存在で、どちらが売れているかと言えばTHeMISの方だろう。

さらにMilrem RoboticsはUAEのEDGEに買収されたことで同社の豊富な無人プラットフォームとの統合が期待され、2023年9月にはTHeMISとHunter2-Sを統合したモデルが発表しており、中々面白い存在だ。

因みにACSLは3月「防衛省からSOTEN(蒼天)の大型納入案件を受注した」「契約額は3億7,000万円相当だ」と発表した。SOTENの国内価格はオープン価格で明確な数字は不明だが、米国での販売価格は1万ドル以下と報じられているため「150万円以下」となり、商用ドローンとして市場競争力があるのか詳しい方がいればご教授願いたい。

関連記事:パトリアと日本製鋼所がAMVのライセンス契約を締結、取得数量は810輌か
関連記事:防衛省、水上無人艇の早期導入に向けて海外から試験艇を調達する方針
関連記事:軽装甲機動車の後継車輌、今年度中にテスト用のハーケイとイーグルを取得
関連記事:防衛省が整備する自衛隊のUAV戦力、MQ-9やTB2などが導入候補に

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Cpl. Brayden Daniel

ロシア軍のインフラ攻撃は発電所の破壊が狙い、短期的な復旧が見込めない前のページ

米英豪がAUKUSに関する共同声明を発表、先端技術で日本との協力を検討次のページ

関連記事

  1. 日本関連

    日本の岸田首相、ウクライナのゼレンスキー大統領とマリア宮殿で首脳会談

    ウクライナのゼレンスキー大統領は日本の岸田首相をマリア宮殿で出迎え、首…

  2. 日本関連

    武器があっても食料がなければ戦えない、日本の食料自給率は安全保障上の脅威

    防衛費の大幅増額に取り組む日本についてBloombergは「干上がった…

  3. 日本関連

    日本政府は予算増額で防衛産業界の活性化を期待、企業側は投資拡大に消極的

    岸田政権は今後5年間の防衛費を現行2.5倍に相当する43兆5,000億…

  4. 日本関連

    日本が護衛艦輸出を進めているインドネシア案件は終了してない? 英国案が最有力候補か

    英議会の国防委員会に出席したバブコック最高経営責任者のデイビット・ロッ…

  5. 日本関連

    日本政府、次期戦闘機輸出を視野に防衛装備移転三原則の見直しを検討

    読売新聞は14日、日本政府は次期戦闘機の海外輸出を視野に「防衛装備移転…

  6. 日本関連

    ボーイングが空自向け契約を獲得、EPAWSSの調達単価が値下がりか

    国防総省は7日「ボーイングにF-15J改修に関する契約を授与した」と発…

コメント

    • jimama
    • 2024年 4月 08日

    >>商用ドローンとして市場競争力があるのか
    正直無理かなーと
    DJIの同クラスが大体15万以下でヨドバシとかに売ってますし
    映像伝送距離だとDJIの奴の半分以下では何ともかんとも

    1
      • ブルーピーコック
      • 2024年 4月 09日

      DJIの何と比べました?
      自分は蒼天のカタログを見て一番近いのは20万円のPhantom 4 Pro V2.0(あくまで近いだけであって性能的にDJIの方が上?)かなと思うんですが、書いてあることが多すぎる上に同じ項目なのに表記が違ったりでチンプンカンプンですわ。

      9
        • jimama
        • 2024年 4月 09日

        申し訳ないですけどこないだヨドバシに出かけたときに
        近い寸法(結構大きめのやつ)の見かけたというだけなんです
        おーこのサイズで15万切って4k撮れてそんなに飛べるんか~
        みたいな印象残ってたていうだけなんで詳しくは覚えてないです
        4月からドローン空撮始めませんかみたいなセールだったのかも

        2
          • ブルーピーコック
          • 2024年 4月 09日

          返信ありがとうございます。家電量販店で買えるレベルの製品でもウクライナの戦場で両軍に使われてますからね。実物見ると意外とデカいし。
          DJIのサイトを見ると値段が120万円とかするのがあって「競合機コレかな」と思ったら蒼天より遥かに高性能でさすがトップメーカーだなと思いました。クソぁ

          2
    • 2024年 4月 09日

    >商用ドローンとして市場競争力があるのか詳しい方がいればご教授願いたい。

    このクラスのドローンの標準価格は20万~30万円なので残念ながら。
    「外国政府に情報が抜かれない」以外の強みは特に無いです。

    7
    • たむごん
    • 2024年 4月 09日

    中国ドローンメーカー、価格競争力が圧倒的に強いですからね。

    量産効果で価格が下がる、産業育成の施策ならば分からなくもないかなあと。

    (仮に)中国製の部品使用、アセンブルなだけで価格が高いとなると、うーん…という感じでしょうか。

    5
    • 無印
    • 2024年 4月 09日

    VISION60って能登の地震で、避難経路の偵察に使ってましたね

    有用そうなUGVを片っ端からテストして、本命を決める感じなのかな?
    陸自はUGVの経験あんまり無いのに、無人水陸両用車を4年後に実用化って、本当に出来るのかちょっと不安

    2
      • ネコ歩き
      • 2024年 4月 09日

      >無人水陸両用車
      陸自は防衛装備庁の技術試験と並行して実用試験を担当するようで開発事業を統括するわけじゃないです。
      ですので、実用試験の結果現状では使えないと陸自が判断すれば、改修要求で装備化先送りや事業中止の可能性はあり得ます。
      技本/装備庁において先行実施された自律走行システムや遠隔操縦車両の研究試作・試験、及びサンゴ礁踏破可能な水陸両用車の要素技術研究等の成果を活用するとしていますので、技術的に十分に目標達成可能と見積もっているのかと。

      6
    • ブルーピーコック
    • 2024年 4月 09日

    ACSLは制御システムを独自開発しているため、性能や価格は劣るとしても中国メーカーは嫌だという組織には採用の芽はあるんじゃないですかね。開発にACSL・NTTドコモ・ザクティ・先端力学シミュレーション研究所・ヤマハ発動機が関わっているため素性は確かですし。

    11
    • あああ
    • 2024年 4月 09日

    ミッションマスターだけど試験用購入で既に数百万ドルって価格帯を考えると本格導入しても相当お高いわけで、この手の新機軸装備はまだまだ買い時でもないのかな感が凄いある。だったら数があるだけ嬉しい資材運搬車の追加やBVS10の導入にその配備予算も使って欲しいという身も蓋もない話になるというね。
    トレンドに追従する必要は分かるが歩兵UGVより先にまず足りない物を補うのが必要だろうけどその点では汎用軽機動車は当たりだったと思う。実際に戦術に広がりも見せてる。だけど歩兵UGVが来た所で背嚢運搬してリモート銃座とメディバックですか?リヤカーの電動アシスト付きが先では?

    1
    • バーナーキング
    • 2024年 4月 09日

    -20℃で運用可能ですのでその点は同価格か少し上のInspire 3並みですね。
    雪で切れた送電線の確認とかに使うつもりなら下限温度-10℃や0℃の低価格機では厳しいですし雪国の電力会社とか自治体とかならワンチャンあるかも。

    >最大対気速度15m/sと風に強く、災害時などの厳しい環境下でも安全に使用することができます。

    とあるのが文脈からして最大風圧抵抗の事なら約2倍大型のInspire 3よりわずかながら上ですのでかなりの強みになる気はします。
    ただ試験動画見る限りだと送風機の真ん前でブレながら風に耐えてるだけにしか見えないんでリアルの乱流まみれの15m/sの風に耐えられるかは怪しいですし「無風時最大速度と同じ速度の風に耐えられる」ってのも正直ちょっと信じ難いところですが。

    3
    • John
    • 2024年 4月 09日

    蒼天は2年前に制御ソフトウェアの不具合で墜落事故が発生し運用制限をしていた時期がありましたね
    ただソフトウェアのアップデートで問題は解決済みのようです
    リンク

    2
    • 58式素人
    • 2024年 4月 09日

    こうしたUGVの大きさはどのくらいが良いのでしょう。
    あまり小さいと障害を越えられないだろうし。
    高さは1m未満ぐらいでしょうか。目立つと優先目標にされるだろうし。
    人に先立って進むならば、地雷探知の地中レーダー(磁探ではなく)が必要では。
    動力はハイブリッドなのが良いですね。
    人の後について行くなら、軌跡を記録してもらわないと、でしょうか。
    後で弾薬や糧食を届けてもらったり、場合によっては、その人を回収したり
    する必要があるのでしょうから。
    当面、AIとまではいかないでしょうから、遠隔操作をするときには、
    光ファイバーのボビンを載せて自分で巻き取りながら、でしょうか。
    無線の場合、電波管制にひっかかる場合があるでしょうから。

      • ブルーピーコック
      • 2024年 4月 09日

      そういった疑問に対してか、ラインメタルのMissionMasterシリーズはSP(小)、CXT(中)、XT(大)のバリエーションで顧客の要望に沿ったラインナップを揃えてますね。
      小さ過ぎると荷物の運搬に難儀しそうですが、それでもさらに小型が欲しいのならロボット犬タイプが適してるかなと。能登で自衛隊が使ったVision60の可搬重量は10kgらしいですがカール・グスタフM4の本体か予備砲弾3発なら運べるので、人の負担は減らせますし。

      2
        • 58式素人
        • 2024年 4月 10日

        何だかですが。
        昔のM274トラック( ミュール)を思い出しました。
        大きさも使用目的?もよく似たような・・・。

    • 兵長
    • 2024年 4月 11日

    変な国産にし無くてありがたい。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP