日本関連

ボーイングが空自向け契約を獲得、EPAWSSの調達単価が値下がりか

国防総省は7日「ボーイングにF-15J改修に関する契約を授与した」と発表、F-15J改修にEPAWSSを追加するため契約額は4億7,450万ドルで、2023年にEPAWSSは低率生産からフルレート生産に切り替わったため調達単価が大幅に値下がりした可能性がある。

参考:Boeing to install electronic warfare survival system on Japan’s F-15 fighters
参考:Contracts For Sept. 7, 2023

約10億円という数字は「EPAWSSの調達単価が大幅に値下がりした可能性」を示唆している

国防総省は7日「ボーイングはF-15 Japan Super Interceptor Program向けに総額4億7,450万ドルの契約を獲得した。この契約は空自向けにEPAWSSを追加する対外有償軍事援助の要件を提供するものだ」と発表、要するにF-15J改修に含まれる電子戦装置の契約を国防総省がボーイングに授与したという意味で、この数字によって大雑把なEPAWSSの取得費用が見えてくる。

国務省が2019年に承認した「F-15 Japan Super Interceptor Program」は最大98機分をカバーする内容で、電子戦装置(当時はEPAWSSではなくDEWS)については3基の予備を要求していたため計101基のDEWSを取得する内容だったが、改修機の数は68機で確定したため「EPAWSSの予備を2基=70基」と仮定すると1基あたりの取得費用は約678万ドル=約10億円(換算レートは1ドル/147.78 円)になる。

F-15J改修費用の単価は約35億円なので「改修費用の約28%が電子戦装置の取得費用」となるが、EPAWSSをF-15J改修の統合するための費用は他の契約(2021年12月30日分契約2022年3月16日分契約)にも含まれているため、正確なEPAWSS関連の費用を算出するのは不可能で「約10億円」という数字も関連費用を含んでいるためEPAWSSの単価ではない。

出典:BAE Eagle Passive Active Warning Survivability System(EPAWSS)

EPAWSSは開発遅延(33ヶ月超過)のため単価が24%上昇、EPAWSSへの換装費用は「1機辺り1,570万ドルだ」と言及されていたが、F-15EXへのEPAWSS統合費用は1,218万ドルに値下がりし、2023年から低率生産からフルレート生産に切り替わったため、今回の数字=約10億円は「EPAWSSの調達単価が大幅に値下がりした可能性」を示唆している。

追記:EPAWSの調達単価が低率生産時よりも低下した可能性があるが、F-15J改修費用の単価=約35億円はこれを見越した数字である可能性が高く、改修事業費用が約3,980億円から「さらに圧縮される」という意味ではないので注意してほしい。

関連記事:F-15J改修事業、電子戦システムに関する契約変更をボーイングに授与
関連記事:ボーイングと三菱重工業が契約締結、2022年からF-15JSIへの改修開始
関連記事:ボーイングがF-15Eに対するアップグレードを開始、EPAWSS統合へ

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Yosselin Campos

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コメント

    • ジュディ
    • 2023年 9月 09日

    他のブログなら、弾道ミサイルや無人機全盛期のこの時代にに有人戦闘機に大金かける国は無知蒙昧の愚か者
    と言ってるだろう
    私もかつて似たような意見を持っていたがこのブログで意見は多少変わった

    18
      •  
      • 2023年 9月 09日

      空母万能論者の大艦巨砲主義否定みたいな極論になってますよ
      必要なのは両方であって片方ではないと思います

      20
      •  
      • 2023年 9月 09日

      失敬、先程のコメントは無視してもらって結構です
      こちらの早とちりだったので

      4
      • k
      • 2023年 9月 09日

      現在、軍事大国ロシアとアメリカ率いるNATOの支援を受けたウクライナとの全面戦争中ですが、ドローンも多少は戦果をあげているとはいえ、戦場の主役は100年以上前から陸戦の主役だった榴弾砲ですからね。有人戦闘機が空戦の主役である時代が今後もある程度続くと思います。

      12
    • ラト
    • 2023年 9月 09日

    まあ安くなるならそれに越したことは無い、ところで防衛省の資料とか調べてもF-15JSIの納入時期が書いてないんだが一体改修初号機はいつロールアウトするんだ?

    22
    • daishi
    • 2023年 9月 09日

    DSCAの情報を見る限り、インドネシア向けF-15EXにもEPAWSSの輸出許可は出してるみたいですね。
    今後アップグレードとしてF-15E系を使ってる国にも許可を出して製造単価下げるのか気になりますね

    8
    • チェンバレン
    • 2023年 9月 09日

    一回凍結されたEPAWSSですが、F-15EXとともに復活したのですね
    既存の機体を一線級として維持する、良い買い物なのではないでしょうか
    性能は当然機密なのでしょうが、どれほど効果があるのか関心があります

    13
    • 航空太郎
    • 2023年 9月 09日

    EPAWSSってなんだろうと調べてみたら、「イーグル受動/能動警戒生存システム」(EPAWSS: Eagle Passive/Active Warning and Survivability System)と。まだまだ日本の主力戦闘機はF-15Jですから、延命措置になって良いですね。周波数スペクトルのサンプル化や脅威の特定、周波数の妨害電波の送出ってことですから、F-35Aが前に出て、F-15Jが後方からついていく運用にしていけば、F15Jの搭載量の多さも上手く活かせるでしょう。ステルス機は武装の少なさがネックですから。

    14
    • 旅人
    • 2023年 9月 09日

    F-15Jの取得単価は50億だったので時間がたったとはいえ電子戦装備含む改修に35億は安くはないが高くもないところ
    まだまだスクランブルやミサイルキャリアとして60機程度がグラスコクピット化され延命されるのは好ましい
    もし開戦した場合機齢的にも能力的にも航続距離的にも真っ先にあがるだろうし

    5
    • ありうえよ
    • 2023年 9月 09日

    円安の影響がモロ出ているような…。
    ここまで円安でなければ98機フルとまではいかないまでも、もっと改修工事が出来ただろうけどな。

    6
      • DEm
      • 2023年 9月 17日

      為替の影響デカいですよねぇ・・・
      民主党政権の負の遺産がまだまだ終わらない・・・

      1
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