中東アフリカ関連

トルコ軍との衝突は不回避? エジプトがリビア内戦に正規軍投入を予告

エジプトのシシ大統領は20日、テレビ演説の中で「エジプトは隣国リビアへ軍事介入を行う正当な権利を有しており、必要に応じてリビアで任務を遂行する準備を行うよう軍に命じた」と明かした。

参考:Egyptian military intervention in Libya now has international legitimacy

エジプトのシシ大統領、リビア暫定政権やトルコがレッドラインを越えれば正規軍投入

エジプトはリビアの反政府組織「リビア国民軍(LNA)」を支援する形でリビア内戦に関与しており、シラージュ暫定政権が率いるリビア国民統一政府(GNA)首都トリポリの攻略に乗り出したが最終的にトルコの強力な軍事介入を得た暫定政権側がこれを退けることに成功、リビア国民軍側は敗走する形で西に逃げ帰ることになった。

この決定的な勝利を収めた暫定政権側はリビア国民軍に奪取されていた地域を奪い返しながら西へ進軍しており、リビア国民軍が支配していた石油積出基地の「シルト」や内陸部の油田地帯に近い軍事拠点「アル・ジュフラ空軍基地」奪回も目前だと言われている。

出典:Ali Zifan / CC BY-SA 4.0 支配地域のデータは最新ではないので注意

これを容認できないと言い出したのがエジプトだ。

要するにシルトやアル・ジュフラを暫定政権側に奪取されればリビアの油田地帯は全て国民統一政府の支配下に入るため事実上、リビア国民軍の負けが確定してしまう。そうなればエジプトの隣国にトルコの影響力が及ぶ国が誕生してしまうため、エジプトからしてみればエネルギー問題と安全保障上の観点から到底容認できない。

補足:トルコとシラージュ暫定政権は周辺国に相談なく勝手にEEZの境界を定める協定を締結してしまったため、イスラエル沖からキプロスを経由してギリシャへ伸びるパイプライン計画がトルコの設定したEEZに塞がれてしまい計画に関与していたギリシャ、イスラエル、キプロス、エジプトなどが反発している。さらに首都への攻勢を跳ね返したトルコは暫定政権とトルコ軍が駐留する軍事基地を2ヶ所設けることについて交渉を始めていると報じられている。

これを回避するためエジプトのシシ大統領はシラージュ暫定政権側に停戦を提案しているのだが、トルコや暫定政権にしてみれば停戦に合意して時間を与えればロシアやエジプトが支援を行いリビア国民軍を再建してくるので到底受け入れられないだろう。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Michael Battles エジプト陸軍の戦車M1A1エイブラムス

ただエジプトはリビアとの国境沿いにエジプト陸軍の戦車M1A1エイブラムスや装甲車両を多数集結済みで「無言の圧力」を加えていたのだが、エジプトのシシ大統領は今回の演説で「シルトやアル・ジュフラはエジプトの安全保障上におけるレッドライン」だと語り、シラージュ暫定政権やこれを支援する国が強引に奪取を試みればエジプト正規軍を動かすと警告している。

恐らく、これは脅しではなく本当にシラージュ暫定政権やトルコがレッドラインを越えれば国境に終結済みのエジプト陸軍がリビア国内になだれ込むことになり、トルコがリビアに持ち込んでいる旧式のM60A1や自走砲、無人航空機では対抗できないだろう。

出典:KIZILSUNGUR / CC BY-SA 3.0 トルコ陸軍のM60A1

今後、リビアの戦況はどのような推移をを見せるのか謎だが、現地リビアメディアによればエジプトが提案していたリビア停戦について話し合うアラブ連盟主催のリビア問題緊急会議開催を正式に拒否したと報じており、これが真実ならシラージュ暫定政権やトルコはエジプトが「レッドライン」に設定したシルトやアル・ジュフラの奪取を実行するかもしれない。

そうなればリビア内戦はトルコとエジプトによる正規軍同士の戦いに発展することになり、米国も無関心を決め込むことが出来ない状況になる陥るだろう。

関連記事:エジプト陸軍の戦車M1A1がリビア国境沿いに集結、トルコ軍と一戦交える可能性も

 

※アイキャッチ画像の出典:Tim Felce / CC BY-SA 2.0 エジプト空軍のラファール

カナダ、武器禁輸措置を破ってトルコに無人航空機コア装置を輸出前のページ

対決姿勢のリビア国民統一政府、エジプトの脅しは事実上の宣戦布告次のページ

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    エジプトは古代文明も、西暦からは主体性のなく、マケドニアらやキリスト教にボロボロにされた経緯もある
    スエズ運河も、フランスの所有物と言えるような状況で、フランスに振り回されたか
    ロシアよりであり、アメリカの補助金で暮らして、アラブの気概もなくなったかも

      • 匿名
      • 2020年 6月 22日

      はあ?何が言いたいの?笑

        • 匿名
        • 2020年 6月 22日

        イラン以上にズタズタ

      • 匿名
      • 2020年 6月 24日

      政治よりまず国語の勉強をしましょうね

        • 匿名
        • 2020年 6月 24日

        ガリベン君は、ちと人を引き付ける国語も勉強しましょうね、オバカより

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    記事が来ましたね。
    現在のトルコって、政治的にも地理的(軍事的)にも全方位でケンカを売ってるですよね。 EU、アメリカからのバックアップは受けられない状態だし、どうするんでしょうね。 つうか、トルコは何がしたい?

      • HY
      • 2020年 6月 22日

      オスマントルコ帝国を復活させたいのかもしれません。

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    エジプト、ナイル川の巨大ダム協議で安保理に介入要請 AFP

    で、エジプトは何したい?

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    トルコ破れかぶれになってるね
    危ない橋を渡り続けたらいつか諸共奈落に落ちるぞ

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    リビア国民軍が西に逃げ帰り、暫定政府側は西に進軍している?東じゃないの?私の読解力のせい?

      • 匿名
      • 2020年 6月 23日

      確かにややこしいですね。
      西リビアと東リビアってのはダメ?

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    トルコは経済的にも最悪だから対外的にケンカを吹っかけているが、その結果はフォークランド紛争。

    今現在これまでにないほど世界各国で紛争が起きる寸前状態になっている、武漢コロナで各国の収入が激減状態だから戦争で一気に勝利して国民の支持を上げたいと考えてる国が多そう。
    ただし半島では衝突は起きそうになり、ヘタレで金も実際艇的な軍事力も皆無だからヒキニートになるしかない。

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    トルコは、リビア以上に、
    戦争状態になったら、アフリカのエセな難民がどっと欧州に輸出できるメリット

      • 匿名
      • 2020年 6月 22日

      フランスとEUは、アフリカと緊密に活動出来て、人材と人口を確保できる、ドイツのメルケル首相も願ってたことだ、えっ

        • 匿名
        • 2020年 6月 22日

        >アフリカのエセな難民がどっと欧州に・・・

        そりゃ、ギリシャやイタリアのマフィアは、アフリカ人の難民という密貿易で大喜びだろう
        フランスとも繫がってるから、フランスは沢山の労働者を確保できるいい面もあるわな(笑)

    • 匿名
    • 2020年 6月 25日

    フランスの軍事介入があるのかイタリアがリビアから手を引くのかがもう一つのポイント
    正直トルコは自身のエゴによってEUに喧嘩売ってる状況だし、NATOからも追い出されるだろうしロシアも敵対するしで詰んでる
    そんなトルコと手を組んだリビアは負け組
    アメリカは介入しない気がする
    なのでフランスの動向がポイント

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