リビアの国民統一政府(GNA)は21日、エジプトのシシ大統領が明らかにしたリビアへの軍事介入は「宣戦布告」だと非難したと報じられている。
参考:Libya unity govt says Egypt threat ‘declaration of war’
リビア国民統一政府、エジプトのリビア軍事介入宣言は事実上の宣戦布告に等しいと批判
リビア国民統一政府はエジプトが提案していたアラブ連盟主催の緊急会議開催を断った直後、エジプトのシシ大統領はテレビ演説を通じて「シルトやアル・ジュフラはエジプトの安全保障上におけるレッドラインだ」と語り国民統一政府のシラージュ暫定政権やこれを支援する国が強引に奪取を試みればエジプト正規軍を動かすと警告、さらにシシ大統領は「エジプトは隣国リビアへ軍事介入を行う正当な権利を有しており、必要に応じてリビアで任務を遂行する準備を行うよう軍に命じた」と明かしてこの警告が脅しではないこと強調している。
これに対してリビア国民統一政府は「エジプトの発言は直接的な干渉の敵対的行為であり、リビアに対する宣戦布告に等しい」と語り「リビアへの内政干渉や主権の侵害はエジプトの大統領であれ、独裁者や民兵、それを支援する傭兵によるものであれ容認できない」と批判して、エジプトの提案した停戦プロセスを支持した国際社会にエジプト暴走の「責任」をとるよう要求した。
エジプトはリビア国民統一政府と対立している反政府組織「リビア国民軍(LNA)」をロシアやフランス等の国々と支援してきたが首都トリポリへの攻勢が失敗に終わって形勢が逆転、トルコ軍の支援を受ける国民統一政府側に支配を地域を次々と奪取され石油積出基地「シルト」や内陸部の油田地帯に近い軍事拠点「アル・ジュフラ空軍基地」陥落も目前だと言われており、ここを国民統一政府側に抑えられることはエジプトにとって容認できない理由がある。
シルトとアル・ジュフラを抑えられればリビアの油田地帯は全て国民統一政府側の支配下に置かれてしまい事実上、隣国にトルコの影響力が及ぶ国が成立してしまうためエネルギー問題や安全保障上の観点からエジプトは到底することが容認できない。そのためエジプトのシシ大統領は提案していた緊急会議開催をリビア国民統一政府側が断った直後、シルトとアル・ジュフラをレッドライン=越えてはならない一線に指定して国民統一政府とトルコに「これ以上戦線を西に前進させるな」と圧力をかけているだ。
これに対して国民統一政府のサラー国防副大臣は20日、国際社会や国連が承認した合法的な政府の権限下にリビア全土の置くため武力による支配権確立を目指すと話しており、最近リビアを訪問したスーダンの軍事代表団が両国の利益のため安全保障面で協力することを協議したとエジプトを牽制するような発言を行っているのも注目される。
参考:Libyan Deputy Defense Minister says GNA forces will seize control of entire country
スーダンはエジプトがナイル川流域の開発を進める上で欠かせない国で、エチオピアがナイル川上流にエジプトの反対を押し切って建設した大エチオピア・ルネッサンス・ダム問題でもスーダンとエジプトは共同歩調をとるなど実利面での結びつきが強い国だが、スーダンの反体制組織を影でエジプトが支援していた問題やハラーイブ・トライアングルの帰属問題などで両国間の関係は良好とは言い難い。
そこに目をつけたリビア国民統一政府は何かしらの利権を与えてスーダンを取り込み、エジプトとスーダンの関係悪化=リビアに向けられるエジプトの力を分散することを狙っているのだろう。ただエジプトも無為無策ではなく、リビア国民統一政府に肩入れしているイタリアから総額100億ユーロ(約1兆円)規模の武器調達を行うことで両国の関係に楔を打ち込もうとしており、リビアを取り巻く外交戦はより激しさを増していると言っていい。
関連記事:各国の第4世代戦闘機を調達するエジプト空軍、今度はタイフーンを導入
果たして、リビア内戦はエジプト軍の軍事介入を招いて更に戦闘が激化するのか、それとも国連や米国が介入して何とかするのか注目される。
※アイキャッチ画像の出典:army.mil / CC BY 2.0
アメリカ大統領選挙を控えてるからトランプは介入しないだろうな
失敗したときの選挙への影響を考えると票につながらないものには手を出さないと思う
オバマ元大統領のレガシーリビア介入
結果は
EU分裂トルコロシア加勢の大乱闘スマッシュブラザーズX。
トランプ嫌いも現実を見よう
共和党が戦争起こしてばっかりと言うけど
民主党がやらかした結果尻拭いで共和党が戦争やらざるを得なくなってるんだよねぇ……