エチオピア国防省で技術部門のトップを務めるデベレ将軍は「大エチオピア・ルネサンスダム(GERD)を戦闘機による攻撃で破壊するのは不可能だ」と語り、ナイル川の水利用に関する話し合いを拒否するエジプトを挑発したため注目を集めている。
参考:Ethiopian army commander says Egyptian fighter jets cannot destroy dam
着々と大エチオピア・ルネッサンスダムへの貯水を進めるエチオピア、武力行使を視野に周辺国と軍事協定締結を進めるエジプト
エチオピアは急速な経済発展の影響で電力需要が逼迫、この問題を解消するためナイル川(青ナイル)上流に「大エチオピア・ルネッサンスダム(GERD)」の建設を開始したのだがナイル川の水に依存しているエジプトやスーダンなど周辺国(タンザニア、ブルンジ、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ、南スーダン、ケニア)から合意を取り付けず建設が進められているため大きな対立を生んでおり、ナイル川の水利用に関する協議が関係国の間で行なわれているものの全く合意点が見いだせていない。

出典:Hel-hama/CC BY-SA 3.0 ナイル川に関係する国
特にエジプトやスーダンはナイル川の水利用に関する合意が確立される前にGERDが貯水を始めないようエチオピア側に要求していたが、これを無視してエチオピアはGERDの貯水を2020年に開始したため対立が激化、関係国の協議も「互いに相手が非協力で交渉を拒否している」と主張して破綻状態だがエチオピアは着々とGERDへの貯水を進めており、エジプトは国連安保理に問題への介入を要請すると同時に関係国との軍事協定締結を進めていて今月25日にエジプト軍とスーダン軍は軍事協定に署名を行ったため緊張感が高まっている。
※エジプトはブルンジ、ウガンダ、ルワンダ、南スーダン、ケニアとも軍事協定を締結したという情報もある
両国は先月末に大規模な地上軍と航空戦力による共同演習を実施したばかりで、このような動きは協議を無視してGERDへの貯水を進めている問題を軍事的解決するためへの布石ではないかと見られており、エチオピア国防省で技術部門のトップを務めるデベレ将軍はロシアメディアの取材に対して「問題解決にとって最も最善なのは話し合いなのにエジプト側は全ての提案を拒否するだけで話し合いを行う余地がない」と主張した。

出典:Public domain エチオピア空軍も運用する旧ソ連製のMiG-23
さらにデベレ将軍は「彼らは問題を武力で解決することはしないと思うが万が一彼が武力を用いても問題を解決することもダムを破壊することも出来ないだろう、なぜならダムは非常に丈夫で戦闘機による爆撃では破壊することが出来ないからだ」と語り、もしエジプトが武力を行使しても「エチオピア軍は攻撃を阻止するための準備が整っている」と付け加えエジプト側の動きを牽制した。
果たしてエチオピア側の主張通り航空作戦でダムを破壊することは不可能なのかは不明だが、エジプト空軍の航空戦力(F-16×218機、ラファール×24機、ミラージュ2000×19機、MiG-29×44機、Su-35×5機)はエチオピア空軍(MiG-23×10機、Su-27×20機)を圧倒しているので本当にエジプトが攻撃を仕掛けてきた場合これを阻止することは難しいかもしれない。
因みにエジプトのシュクリ外相は合意なきGERDへの貯水は自国の経済と食料供給に深刻な影響を及ぼすと主張、さらにエチオピアのデベレ将軍の発言についても「エジプトに対する挑発だ」と非難している。
関連記事:国防予算5億ドル未満の国に? 戦闘機F-16Vの購入国にアンゴラとエチオピアが浮上
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※アイキャッチ画像の出典:Tim Felce/CC BY-SA 2.0 エジプト空軍のラファール
GPS誘導のバンカーバスターどかどか撃ち込まれたら壊れると思うぞ
それはそうだろうがエジプトは持ってないんでないか
ダムの両岸を破壊すれば、支えを失って倒れる。
それ、ダムに水圧が掛かった状態での話しでは?
そして、その状態だと、下流の被害も酷い事になりそう。
早めにねダムを痛めつけで満水に出来ないようにするするとかね。
マンデラがレソトにやったあれの再来?
純粋に技術的に可能なのかは興味あるところ
いかにダムでも発電に使った水が消えちゃう訳じゃないんだから将来的には下流への水量も安定すんじゃないの?と思って写真見たけど、ダム湖クッソでかいですね。ある程度溜まってから爆撃したらスーダンもエジプトもタダではすまない…
今アフリカへの投資やインフラ開発が激しいから、こういう紛争増えていくんだろうか。
エチオピアが電気を欲しいタイミングと下流域で水が欲しいタイミングが
噛み合うとは限らん、というか噛み合わない可能性の方が高いだろう。
もっと言えば意図的に欲しいタイミングをズラす事も出来る訳で、
首根っこを掴まれた側はたまらんよ。
しかも、貯水は治下にも漏れるので、下流に行く量は、減るかと。
更に灌漑に使われたら、更に減る。
今のうちに、
ダムバスターするか、占領するしかない。
ダム攻撃はジュネーブ諸条約等第1追加議定書で禁止されています。
エジプトは条約に批准しているだけですが、ダム攻撃をしたら国際法違反で自分の立場が不利になるだけですね。
エジプトが乱心しない限りダム攻撃は行わないでしょうな。
それは戦闘の手段としてダムを攻撃して民間人の生活等を
犠牲にしちゃダメって話であって、
ダムその物が紛争の原因であれば話は別だろう。
特にそのダムが下流域にある自国の合意無しに建設されて
国民の生活や産業・経済に影響を与えてるのであれば、
ダムの存在そのものが自国への攻撃である、とさえ言える訳で
ダムへの攻撃の正当化は十分可能じゃないかな。
攻撃によるダムの撤去(しかも自国への洪水等の被害無しに)が
可能かどうかは分からん、というか難しいと思うが。
民間人の生活等を犠牲にせずにダムを破壊することは不可能だから、ダムその物が紛争の原因の場合であったとしても、ダム破壊で国際法違反で自分の立場が不利になることは、避けられないんじゃないかな。
ダムが軍事目標である場合であっても、住民の間に重大な損失をもたらすときは、
ダムを攻撃してはいけませんし、復仇の対象とすることも禁止されています。
ダムを攻撃して良いのは、第1追加議定書第56条第2項の場合だけですね。
【ジュネーブ諸条約等第1追加議定書第56条第2項】
「ダム又は堤防については、これらが通常の機能以外の機能のために、かつ、軍事行動に対し常時の、重要なかつ直接の支援を行うために利用されており、これらに対する攻撃がそのような支援を終了させるための唯一の実行可能な方法である場合」
下流域の合意を得てないダムですから解釈次第でまさしくそれを適用出来ると思いますよ。
ましてや「壊せるもんなら壊してみろ」と解釈可能な文言の言質取れれば尚更。
どう解釈すれば適用できると思うんですか?
「通常の機能以外の機能のために、かつ、軍事行動に対し常時の、重要なかつ直接の支援を行うために利用されている」・「そのような支援を終了させるための唯一の実行可能な方法である場合」の2件以外は攻撃対象になりませんが。
大エチオピア・ルネサンスダムは上記2件に該当するんですか?
他国(下流域)の合意を得てないダムは攻撃対象になる、とは条約に規定されていません。
あと、ナイル川の水利用に関する話し合いをエジプトは拒否しているので、エジプトの態度にも問題はあります。
エジプトは話し合いを拒否してない。話し合いで合意を形成してから貯水開始すべきと主張しているのに、エチオピアが知ったことかで貯水をはじめている
なおエチオピアは去年の豪雨のため勝手に貯水がはじまったと言ってる模様
国際法では水の使用量を規定する法律はないので、調停で納得いく妥協案を見つけるしかないのが現状です(基本的に上流の国が有利になる)。
ただし、エジプトがダムを軍事攻撃したら、国際社会はエチオピアの味方をするだけです。
【ナイル川めぐり上下流で険悪 エチオピアのダム建設にエジプト農民が懸念】
リンク
横入りの別人です。
感情的にはエジプトの味方をしたくなるのは分かりますけど、文字をみる限りではダム攻撃を正当化する根拠は存在しないんじゃないですかね。
エチオピアの行動は条文の文字に対応してないし。
いやエジプトが話し合いを拒否してると書いてあったからそんなことないと言っただけで、感情的とか別に…
ムバラクの頃のが自制が利いてた分マシで、今は対外的にアクション起こしすぎてるから、痛い目みた方がいいくらいに思ってるよ?
協議のできてない、情報共有も保証されないダムなんて
下流域からすりゃ水爆弾その物なんだけど。
自国内ですら放水するしないで命に関わる事態になるの
日本人なら知らない訳じゃないでしょ?
間違ってますね、第56条第2項の場合に限らずダム攻撃は可能です
第五十六条 危険な力を内蔵する工作物及び施設の保護
危険な力を内蔵する工作物及び施設、すなわち、ダム、堤防及び原子力発電所は、これらの物が軍事目標である場合であっても、これらを攻撃することが危険な力の放出を引き起こし、その結果文民たる住民の間に重大な損失をもたらすときは、攻撃の対象としてはならない。
この規定は当該工作物が破壊される事により危険な力の放出、即ち原発なら放射性物質等が、ダムなら貯水された水が住民に重大な損失を与える事が想定される場合に攻撃が禁じられるという話であり、危険な力の放出による住民への重大な損失が想定されない状況での攻撃を禁じるものではありません。
本件のダムで言えば破壊された所で危険な力の放出による住民への重大な損失が起こり得る事が想定される状況ではないので攻撃し破壊した所で条約上の違法性はないでしょう
国際法違反だろうが、やらなければ自国の未来が無いとなればやるしかないだろうし、やるだろうね
カラバフとかリビアとかイエメンのあれやこれやを見てると、もう国際法を無視してでも壊したもの勝ちな気がしますね
エジプトは中東情勢でキーとなる国ですから利害が複雑に絡んでいます
逆にエチオピアの肩を持つのはダムを建設した中国くらいでしょうが、
昔イラクで建設中の原子炉をイスラエルが爆撃した(完全に国際法違反)とき、建設に関わったフランスは事前に知ってて退避していたことを思い出します
中国としては表向きは非難しながらエチオピアを更に借金漬けにしてダムを再建し武器を買わせるだけですね
安保理に諮っても拒否権が出て終わりでしょう
そもそもエチオピアは民族紛争でルワンダ状態のようですが、どの国も「懸念」を口にするだけで介入しないですね
戦時国際法なんかまともに守って戦争してる国はないからw
ジェイノサイドでもしない限りは実効性のある制裁など課されずスルーでしょう
エチオピアのダムの放水量制限がエジプトに対する外交圧力になるってわけか
戦闘機はいらない、反政府勢力にちょっとお金を渡すだけで十分
トヨタの中古車の需要がますます高まりますな。
そうなれば莫大な投資をしてる国が「権益保護」に乗り出しそう
そう思わないかなエチオピア人のテドロスくん?
互いにつまんない挑発するなよ
揉めても白人の武器商人が喜ぶだけで、現地には禍根しか残らないから
白人の武器商人ってえらくステレオタイプで且つ古臭いな
それが世界の構造さ
他の地区でも同じようなもんだろ
具体的には、マッコイじいさん
西側先進諸国はこういう場合において大体禁輸措置をとるので
フランス以外は
中露イラン、アフリカで生産してる武器が流れ込むよ
トルコ・韓国人「そうだそうだ、もっと言え」
最近は中国も食い込んでるし、エスニックジョークだとしたらかなりつまらないよ
ダムの両岸を破壊すれば、支えを失って倒れる。
どこも隣国とはこんなもんだな
大抵は仲が悪いし「傍から見たら」とんでもなく低レベルな喧嘩してる
まぁ仲が良かったら別々の国に別れたりしないからな
そういえばお隣もその北側の国がダム造って云々ってありましたね。
どうなったんだか。
国際条約に署名していなければ、もともと拘束されることはない
こういう時、条約締約国が足抜けすると相手国への強い圧力になる
エジプトとしてはやるなら一刻も早くやる必要があるな
時間がたてば経つほど下流の被害が大きくなる可能性が高くなって、やりたくてもやれなくなる
ダムバスターズさん…
古代エジプト王朝の頃は北はシリアから南はエチオピアあたりまで勢力圏だったな
そうなんだが、
それを言うとかつては日本も朝鮮半島に勢力を
みたいな主張が
よく見たらエジプトに限らず下流域の殆どの国々から顰蹙買って揉めてるのか。中国やトルコみたいな真似してるな。
仮に攻撃するとしたら使われそうな空港がある地域が表示されているのは意図しての事なのか。エジプト南部のアスワンから出撃すると直線距離で1400km越え、隣国スーダンの協力を得られるならハルツームからで560km位で攻撃するとしたらハルツームからじゃないと現実的ではない。ダム攻撃するにはどうしても他国の領空飛ばなきゃ無理だから他国の協力の下か、領空侵犯してまで攻撃出来るのかって話になるが、そこまで足並み揃えられるかな。
ダム破壊に関してはやる気があれば出来るとは思う。エジプトには滑走路破壊用爆弾のデュランダル/GBU-27 2000ポンド爆弾/マーヴェリック/ヘルファイアがあるから。順番としては交互になるかは分からないが、貫通力に優れる爆弾で大穴開けてHEATで穿孔させていく感じになるんだろう。仮にやるとしても、いくら生存権に関わるとは言えそこまでやるかの規模になりそうなのがな。