イスラエル軍兵士は4月「現在の戦争は政治的・個人的な利益のため行われている」「即時停戦による人質解放」と公開書簡の中で訴えて注目を集めたが、Haaretzは27日「再びガザ地区の戦闘停止を求める公開書簡が準備されている」「これまでに約1,200人分の署名が集まっている」と報じた。
参考:Germany threatens ‘steps’ against Israel over Gaza, escalating criticism of war
参考:Netanyahu’s ‘Incomprehensible’ War Has Broken the Barrier Against Criticizing Israel in Germany
参考:Israeli Officers, Reservists Prepare Another Open Letter Against War in Gaza
結果がついてこないガザ地区への攻撃拡大、毎日のように報じられる民間人の犠牲、欧州まで背を向け始めた戦いは政治的に限界を迎えているのかもしれない
イスラエルとハマスは1月に成立した限定的停戦の後続措置=第2段階合意に至らず、3月にはガザ地区への攻撃を再開、5月18日には約6万人を動員してガザ北部と南部で大規模な地上攻撃を開始し、この作戦過程で多くの民間人が犠牲になり、EUのフォンデアライエン欧州委員長はヨルダン国王との会談中「イスラエルがガザ地区での軍事作戦を拡大し、逃げてきたパレスチナ人の避難施設となっていた学校など民間インフラを標的にし、子どもを含む民間人を殺害していることは忌まわしい」と批判。

出典:Petteri Orpo
これまでイスラエルを強力に擁護していたドイツでさえ立場を変更し、メルツ首相は26日のWDR Europaforumで「率直に言って、この国がどのような目的を追求しようとしているのか理解できない」と、27日もフィンランドで「もうイスラエルによるガザ地区への大規模な軍事攻撃に何の理論性も見いだせない」「この点において私は(ガザ地区への攻撃再開を)非常に批判的に見ている」「今起きていることは理解できないと公言しなければならない時が来た」と発言したため、イスラエルでは「欧州でさえ我々の側から立ち去ろうとしている」とショックを受けている。
Times of Israelは「EU委員長はガザ地区に対する攻撃を「忌まわしい」と、欧州最強の擁護者だったドイツも「ガザ地区に対する行動は理解できない」と発言してイスラエルへの批判を強めている」と、Haaretzは「メルツ首相はイスラエルへの批判は非公開でのみ行うと誓っていたが、今回の発言はイスラエルに対する方針転換を明確に示している」「ドイツが具体的な措置を講じてくるかどうかは不明だが、一つだけ確実なのはドイツが厳重に守ってきたイスラエル批判に対する壁に亀裂が生じたということだ」と報じ、ある意味「タブーされてきたイスラエル批判」がドイツで起こったことに驚いているのかもしれない。

出典:Israel Defense Forces
さらに2023年10月から動員されている予備役らは先の見えない戦争に疲れて果てており、空軍の予備役兵は新聞に掲載された公開書簡の中で「現在の戦争は安全保障上の利益ではなく、主に政治的・個人的な利益のため行われている。戦争継続は宣言された目的の何れにも寄与せず、人質、兵士、罪のない人々の犠牲を増やすだけだ」と政府を批判。
イスラエル国防軍は「空軍で勤務経験をもつ者が後になって任務への不信感を表明するなどあり得ない」「公開書簡に署名した大部分は現役の予備役ではない」と述べて書簡の著者を永久解雇し、この書簡に署名した250人以上の予備役や退役軍人についても処分すると説明していたが、イスラエル参謀本部諜報局の8200部隊も新聞に掲載された公開書簡の中で「この大惨事に政府は責任を取ろうとせず、危機を解決する具体的な見通しがないことも認めない。我々は全国民があらゆる場所で行動を起こし、戦闘停止と引き換えに全人質の返還を要求するよう呼びかけたパイロットに賛同する」と表明。
שוב אותם מכתבים: פעם בשם טייסים, פעם בשם יוצאי חיל הים, ופעם בשם אחרים.
אבל הציבור כבר לא קונה את שקרי התעמולה שלהם שמהודהדים בתקשורת:
המכתבים האלה לא נכתבו בשם חיילינו הגיבורים. הם נכתבו על-ידי קומץ קטן של עשבים שוטים, שמופעלים על-ידי עמותות במימון זר שמטרתן אחת – להפיל את…— Benjamin Netanyahu – בנימין נתניהו (@netanyahu) April 11, 2025
イスラエル軍の中でも超エリート部隊=8200部隊出身者は退役後に国際的なIT企業やシリコンバレーで創業して重要な地位に就くことが多いため影響力が大きく、ネタニヤフ首相も直接「これは英雄の兵士によって書かれたものではなく、少数の過激派、つまり騒々しい無政府主義者で世間知らずの年金受給者に書かれたものだ」「兵役拒否を奨励する者を排除すると誓う」と反論して激怒したが、Haaretzは27日「現役や予備役を含むイスラエル軍の将校らはガザ地区の戦闘停止を求める公開書簡を政府と参謀総長宛に準備中だ」と報じた。
“彼らはガザ地区の戦闘について「国家の安全保障に役立たず不道徳な政治戦争になっている」「戦争継続は国民の圧倒的多数の意志に反し、人質、兵士、罪のない民間人に死をもたらし、戦争犯罪を犯している可能性すらある」「現在の作戦はガザ地区占領を、イスラエル社会でも少数派が望む救世主的ビジョンを実現するためのものだ」と言う。この公開書簡は全部隊の現役及び予備役将校に配布され、これまでに約1,200人分の署名が集まっている。この書簡は4月のものと同じ人々が書いている”

出典:Israel Defense Forces
要するにガザ地区の攻撃再開に反対し、即時停戦を求める軍人の数は4月よりも増加しており、ネタニヤフ首相も「今日か明日には人質解放に関する重大発表を行う」と約束しながら実現しないため、人質の親族からは「無責任な発言で我々を気持ちを弄ぶな」と批判され、首相関係者は「これは人質解放を諦めないという意味」「もしそれが今日達成できなくても近いうちに達成したい」と弁解して人質の親族をさらに怒らせている。
どれくらいのイスラエル人が戦争継続を支持しているのか不明なものの、主要メディアの論調を見た範囲では「いつまで戦争を続けるつもりなのか」「このアプローチで残りの人質が帰ってくるのか」「戦い続ければ本当にハマスを殲滅できるのか」という雰囲気で、結果がついてこないガザ地区への攻撃拡大、毎日のように報じられる民間人の犠牲、欧州まで背を向け始めた戦いは政治的に限界を迎えているのかもしれない。
関連記事:イスラエル政府は兵役延長を発表、軍人は即時停戦による人質解放を訴える
関連記事:イスラエル軍は物資不足、兵士らは装備や物資の供給をボランティアに依存
※アイキャッチ画像の出典:Israel Defense Forces
ネタニヤフのためだけの戦争ですからね
停戦したら吊るされるから止められないでしょう
イスラエルが近隣になくて本当に良かったと思います
ネタニヤフのための戦争でネタニヤフの支持率は低いけど、ガザ侵攻自体は大多数のイスラエル国民が支持している。例え停戦になったとしてもイスラエルによる入植とアパルトヘイト、ジェノサイドは続くから期待することはない。
イスラエルは政治的に限界は近そうですね、国内での厭戦感情の蔓延に欧州でも支持が厳しい段階に来ているがアメリカの支持あればこのまま突っ走るつもりなのでしょうか。
ロシアウクライナ両国も大概なことやってるとは思うけど、イスラエルに比べるとまだ多少の配慮が見受けられるレベルに見えてしまうので各国が支持出来なくなるのは当然としか言い様も無い。
トランプもだいぶ不満持ってるらしい
戦争を止めて”ヒーロー”になりたいのに止めないから
一瞬、サウジも軟化の兆しが見えていた矢先のこれなので、余計怒ってそう
まさに仰る通りで、兵糧攻めを丸ごとやってる状況ですからね…
欧米の二枚舌、西側メディアのお題目が空虚になり、『力による現状変更を許さない!』これが建前になったり色々と浮き彫りになったなと感じています。
人道的なことを抜きにしても、Operations Research的に、無駄な戦闘は行うべきではないのですが、そういう計算すら今のイスラエルには不能になっているのでしょう。
有能な軍人ほど嫌気が刺すでしょうね。
最早ネタニヤフのネタニヤフによるネタニヤフの為の戦争ですよね。
ネタニヤフによるネタにしか思えないけどネタにすらならない戦争ですね…
欧米のイスラエル非難はいつも口先だけに思いますが、果たして行動に移す日はいつになるのでしょうね…
日本は、ガザ紛争にてイスラエル外交支持しなかったのは、本当に英断でしたね。
ドイツ・EUなど欧州は、イスラエルの攻撃を強力に支持して武器供与しただけでなく、日本に圧力までかけてきたわけですから(長崎原爆異例の共同ボイコット)、今さら正義面せずに反省して復興に責任を持つべきです。
追記です。
長崎原爆慰霊の共同ボイコット
>長崎原爆異例の共同ボイコット
アメリカの中東への介入能力がこのまま低下していったら、イスラエルは存続できるのだろうか?
あの地域でイスラエル政府が崩壊したらどうなるだろうか
どちらの勢力にも関わるべきじゃない
トランプよノーベル平和賞を取るならこっちの方が簡単だぞ
ネタニアフさんもヨルダン川西岸でも事を起こしていますし、ガザ・レバノン国境・シリア国境のゴラン高原と兵力資源を分散させすぎと素人の当方も愚行しますので、ガザへ集中させて短期決戦で進めないと、時間が経てば経つほど内政・経済・外交と破綻しそうですね。
人質返還交渉そっちのけで右派政党の機嫌取りにガザ侵攻だけやっていればそう言われますな。
ロシアのプーチンもそうだけど、ネタニヤフがあれで穏健寄りって時点で停戦は厳しそう
大規模な地上作戦や空爆を長期的に行うのが予備役動員と兵器供給の両面で不可能とはイスラエルもわかってそうですが、そこで出してる解が兵糧攻めなんですよね。文字通りの全滅は今のところ目的にしていないと一応信じていますが、「自発的な」住民移住が起きるとワンチャン勝てるということなんでしょうか。
さすがに国際的圧力もあって厳しくなってくると、今度は食料配給をイスラエルの支配下に置こうとする。おそらく配給場所を限定することで人を移動させたり、顔写真などの情報を集めて人の動きを調査したりするつもりなのでしょう。
ヘブライ語?ってどれも一緒に見えるな、読める気しないわ
なんならハマスの戦闘員ごと人質やってないか?
武力で解決しない(他の手段でも解決しないが)ことは明白なのに延々と資源を無駄にしてるだけですからね。
従軍経験のある議員はあんまりタカ派にならないって話を思い出した。
一般化しすぎかもしれないが現場で頑張ってる人間はうんざりしてるのに
後ろにいる人達だけが乗り気っていう現象は世界中どこでも起きてるんだろうな。