軍事的報道

英国主導のテンペスト参加に傾く日本へ圧力? 日本の次期戦闘機「F-3」を巡る米英の戦い

米国の「Military Watch Magazine」が日本の次期戦闘機「F-3」開発プログラムについて、日本は英国が主導する「テンペスト」プログラム参加に傾いているが、トランプ大統領が米国企業との共同開発を選択するよう政治的な圧力を行使していると報じている。

参考:Japan to Chose Between British and U.S. Contractors for Joint Sixth Generation Fighter Program: Washington Puts Political Pressure to Go American

米国は日本が「テンペスト」プログラム参加に傾いていると認識し政治的圧力を行使?

日本は第5世代戦闘機「F-35」を100機以上導入する予定だが、これとは別にF-16をベースに日米で共同開発した戦闘機「F-2」の更新や、ライセンス生産したF-15Jの内「Japanese Super Interceptor(JSI)」と呼ばれる近代改修を受けないF-15Jを更新する可能性もある、日本独自の次期戦闘機「F-3」開発を行う予定だと報じている。

出典:ボーイング 米空軍が導入予定のF-15EX

補足:米国務省は10月29日、日本が運用中のF-15Jを「Japanese Super Interceptor(JSI)」仕様へのアップグレードパッケージ販売を45億ドル(約4,900億円)で承認した。今回、米国務省が承認した内容は、98機のF-15Jを「Japanese Super Interceptor(JSI)」にアップグレードするため、AN/APG-82(V)1やAdvanced Display Core Processor II (ADCP II)Mission System Computer、AN/ASQ-239(DEWS)電子戦/妨害システム、関連するソフトウェアやサポート、トレーニングが含まれている。

ただし日本は単独で次期戦闘機「F-3」の開発を行うのではなく、欧米の防衛企業と共同して開発を行うことを希望しており、最有力候補に挙げられるのは英国が主導する第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムに、日本が参加し、開発された技術や機体を「F-3」開発に転用するシナリオだ。

引用:BAE Systems 第6世代戦闘機「テンペスト」

英国が主導する第6世代戦闘機「テンペスト」は、プログラム参加国が独自性を盛り込むための概念が取り入れられており、日本が「テンペスト」プログラムから得られた技術や機体に、日本独自のエンジンやアビオニクス、搭載兵器を統合することで日本独自の戦闘機に仕上げることが可能だとアピールしている。

しかも、日本のF-3プログラムと、英国のテンペストプログラムはよく似た開発スケジュールで開発されるため、日本がテンペストプログラムに参加しても、2030年前後の運用開始が可能だ。

そのため米国では、日本は米国企業との共同開発ではなく、英国が主導する「テンペスト」プログラム参加に傾いていると見ており、トランプ大統領が米国企業との共同開発を選択するよう日本に政治的な圧力をかけていると報じている。

出典:public domain YF-23

日本の次期戦闘機「F-3」開発には、ステルス戦闘機F-22やF-35を開発したロッキード・マーティン社、日本も導入したF-15や艦載機のF/A-18を開発したボーイング社、YF-22(F-22の原型)に破れたYF-23やステルス爆撃機B-2を開発した経験を持つノースロップ・グラマン社が名乗りを挙げている。

米国は欧州の技術やハードウェアを採用すれば、米国製の兵器や技術の統合を制限する可能性について言及し、日米間の相互運用性を確保するには米国企業との共同開発がベストな選択であることを強調していると言う。

ただし、統合の制限について具体的な範囲は明確にしていないため、どの程度の制限が加わるのかは未知数だ。

2020年に本格的な開発に着手すると言われている日本の次期戦闘機「F-3」について、日本が明確な方針を示さない限り、米英を巻き込んだ綱引きは水面下で続くことになる。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain YF-23

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    防衛省などが出してる様々なものは、日本主導で事実上国産の様な流れを示してるが、正式発表してるわけではないからなぁ。
    ただ本来は国内のマスコミがその辺りを報道する必要があるけど、共同などは中・韓よりの報道か自分たちの願望しか報道しないし。
    自称軍事評論家(竹とか)たちも、つい最近まで様々な理由を付けて国産無理と言い続けてたしな。
    去年、エンジンが開発成功発表の数日後に発売されたJ-Wingで、偉そうに評論家連中が日本にはエンジン開発無理と延々と垂れ流してたのが本当に印象的だった。
    5chのスレとかの方がまだ新しい情報が手に入るとか、どういう事?って感じ。

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    心配しなくてもどうせ欧州機は永遠のかませ犬だから・・・
    国家間の関係とか運用基盤もだけど、地味にアドーアの悲劇のトラウマずっと尾を引きずってるし

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    そもそも将来戦闘機は国内で新規開発になったのだから米英両国とも参入できる余地はほとんどないのでは?

      • 匿名
      • 2019年 12月 14日

      「国際協力を視野に、わが国主導の開発に早期に着手する」が政府の見解なので、F2開発時のGDの位置付けまでは入り込む余地があるかと。
      F2の主契約者は三菱だけど、ワークシェアリングで40%を米国が得ています。

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    これはアメリカがイギリスをどういうポジションにしたいかで変わるでしょうね。案外すんなりと譲る可能性もあるでしょう。

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    F-2でいかれ放題だったから、共同開発するならテンペストだろうな。

      • 匿名
      • 2019年 12月 13日

      それがスケジュール的にF-3とか時期が全然合わなかったり。テンペストは順調に開始してもかなり先の話なので。

      • 匿名
      • 2019年 12月 13日

      三菱F1「せやな」

    • 通りすがり
    • 2019年 12月 13日

    昨年11月に中期防で日本主体開発を明記した直後にも海外発のニュースソースでロッキード、ハネウェル、BAEなどが共同開発にすべきなどと圧力をかけてきていたが、今回も開発予算が100億円程度付いた翌日に早速米英の航空機メーカーが脅しをかけてきている。特に日本に一方的に技術移転させて米国は一切の技術移転を拒否したロッキードだけは全力でF3の開発から完全に排除すべき。やつらは日本から欲しい技術だけを盗むと公言している。F2開発の二の舞だけは絶対に避けるべき。

      • 匿名
      • 2019年 12月 13日

      激しく同意。実際レーダーや主翼の整形技術なんかはタダ同然で持っていかれたと。

      • 匿名
      • 2019年 12月 14日

      FSXの時、GDから得るものが少なかった様に思えるのは、当時の日本の技量が高かった影響もあるかと思います。

      当初DoD担当官やGD担当者は、F16のデータは技術変更提案として用いられる想定だった様です。
      一方三菱は、技術変更提案ではなく参考データとして使用する計画で、単なるF16の小改修機ではなく作り直しに近い規模の開発を志向し、そして実行しました。
      もし現実のF2ではなく、GDのSX3案程度﹙翼面積はF2と同じですが﹚でF16改修機に留まっていたら、GDから得たものの評価は現在とは違っていたかもしれません。

      ただ、開発開始前に行われた日本各社の技術者に対するGDでの技術トレーニングなど、日本もGDから相応のものを得ている様です。
      FSXの最初の審査会の後、GD担当者に箝口令が出た様ですが、それが無かったらもっとノウハウの流入があったのでしょうね。
      ちなみに箝口令ですが、審査会の際に日本人技術者が回答出来なかった質問に対して、GD技術者がF16の事例をあげ判りやすく回答した様ですが、
      その中にF16の非開示情報も在ったため、審査会後にGD担当者に箝口令が出たとの事です。
      そして以降GD技術者の関わり方が消極的になったと。

    • ファッツ
    • 2019年 12月 13日

    ?pre-Msip機はF-35A・Bで置き換えととうの昔に防衛省から発表有ったはずでは…。向こうの勘違いだろうか。

      • 匿名
      • 2019年 12月 13日

      今回の記事であがってるJSIは、F-15J Pre-MSIP﹙99機﹚ではなく、F-15J MSIP﹙102機﹚の内98機で予定されてる近代化改修の事です。
      今年の10月29日に米国務省が承認した、APG-82換装などのマルチロール機化プログラムです。

      • 匿名
      • 2019年 12月 13日

      「近代改修を受けないF-15J」だから、JSIの98機ではなく、J MSIPの残4機とPre-MSIP 99機が対象ですね。
      ごめんなさい、見落としていました。

      • 匿名
      • 2019年 12月 15日

      F4EJ 63機とPre-MSIP 99機の計162機に対して、F35A/Bが147機なので、Pre-MSIPの内1飛行隊分﹙20機前後﹚位はF3に回す余地があるかも?
      22大綱→25大綱→30大綱で戦闘機は、約260機→約280機→約290機と定数が増えているし。

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    未だにテンペストプログラムとか、、もはや意味不明だけど、英国としてはF-3製造に参画したいのは間違いないと思う。広範囲で技術情報開示は行うが、、(日本の資金で)共同設計して成果物もお持ち帰り、F-3の他部品の製造にも参画できるのであれば、英国にはかなりのメリットでわ。こんな感じで無人機分野でも共同開発できるなら、英国案推し。

      • 匿名
      • 2019年 12月 14日

      テンペストが好みから外れる形なのは横に置いて、
      英国面に墜ちそうなのが難点。

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    テンペストに当てつけyf23をベースに!?とか勘違いしそうなサムネはいかん。

    いや、あり??

    pre15、いくら改修してもフレームそのものが寿命なのでは?

    • 匿名
    • 2019年 12月 13日

    共同開発だ日本主導だと言われてはいるが
    米空軍との相互運用性が要求にもある以上戦闘システムや電子戦システムには米企業を噛ませざるを得ないだろうな

    •  
    • 2019年 12月 13日

    >英国が主導する第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムに、日本が参加し、開発された技術や機体を「F-3」開発に転用するシナリオだ。

    それぞれ技術を持ち合って、一緒に研究開発はするけど、テンペストとF-3とそれぞれ機体は別々に作るという事か。
    まあするとしたら、そうなるんだろうな。必要とする戦闘機像が日本と英国(+伊)では、だいぶ違うんだろうし。

      • 匿名
      • 2019年 12月 14日

      将来戦闘機の一案﹙恐らくバーチャルビークルの「航続性&ウェポン重視型」﹚の空虚重量が20t超との話しもあったように、日本は大型機を志向してるので、仰るように英国とは「必要とする戦闘機像」がだいぶ違うのでしょうね。
      後発組または開発能力ナシ組の中で「必要とする戦闘機像」が日本に近いのは、豪州位かも?

    • 匿名
    • 2019年 12月 14日

    F-15のフレーム寿命は比較的長い方だと思ったけど、スクランブルとか増えてて、酷使されて予想以上にこれからの劣化が激しくなりそう
    まさに実戦で米軍が色々酷使しててえらいことになってるし
    F-15系列の生産が続いていれば、機体構造の部品交換出来そうだけど、予算とタイミングがどうなるか
    共同開発ならロッキードのF-35の開発経験は侮れないけど、色々条件で有利に出来そうなのは、ステルス機がなくて、軍用機部門がどうなるのかの瀬戸際のボーイングかなぁ
    英国はまともな軍用機の開発能力が怪しいし、英国面が怖いわぁ

    • 名無し
    • 2019年 12月 14日

    テンペストはねーわ、いくらなんでも遅すぎる。

      • 匿名
      • 2019年 12月 20日

      そういうことやね
      F-3必要次期5年遅れとか無いわw
      国産主導って耳にタコができるくらい正式に言われているのにはっきり言ってブログ主って知的障害者?って思ってしまうw

    •  
    • 2019年 12月 16日

    アメリカの外交圧力にいいかげんうんざりしてるんだろ
    F-2の開発、F-22の購入拒否、最近は攻撃ヘリの開発もリーク攻撃でぽしゃった

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