軍事的雑学

新兵器ラッシュの中国、ロケットエンジン搭載の超音速無人偵察機「WZ-8」を初披露

中国が建国70周年を記念した軍事パレードで、未知の超音速無人偵察機「WZ-8」を初めて世界に披露した。

参考:China’s High-Speed Drone Is Rocket-Powered And All About Doing What Satellites Can’t

ロケットエンジンを搭載した超音速無人偵察機「WZ-8」を披露した中国

10月1日に行われた中国建国70周年記念の軍事パレードで、これまで一度もその存在を見せることがなく、世界にとって全くの未知の存在である超音速無人偵察機「WZ-8」を初披露した。

この超音速無人偵察機は、撮影された写真を見る限りエアインテーク(空気取り入れ口)が存在せず、海外メディアは、この機体は液体燃料を使用したロケットエンジンを搭載していると主張しており、最高速度は極超音速には到達しないもののマッハ3.5から4.5程度の速度を出すことが出来るだろうと推定している。

中国軍は、今回初披露した「WZ-8」の詳細な性能について明らかにはしていないが、海外メディアの情報を総合すると、この機体は中国空軍の戦略爆撃機「H-6N」の機外に吊り下げ式方式で搭載され発射(発進)され、液体燃料(燃料の種類は不明)を使用したロケットでマッハ4.0程度まで加速し高度4万メートルを飛翔するという。

動力を使用した飛行距離は1,500km~2,000kmで、燃焼後の無動力状態(高高度)からの滑空距離を考慮すると、最大で2,500km程度の飛行能力を持っていると見られ、さらに降着装置を備えているため、陸上基地への帰還と機体の再使用が可能と見られるが、搭載されたロケットエンジンまで再使用可能なのか、それとも使い捨てなのかは不明だ。

補足:超音速無人偵察機「WZ-8」は、米国の高高度偵察機A-12(SR-71 ブラックバートの原型機)の派生型「M-21」に背負式で搭載した、ロッキード・マーティン製無人偵察機「D-21」に似ていると言われており、過去にD-21で偵察飛行を受けた中国が、そのコンセプトを模倣したものではないかという指摘もある。

このような性能を考えると、超音速無人偵察機「WZ-8」は、人工島や軍事施設などを建設し西側諸国との対立をしている南シナ海、台湾や尖閣諸島のある東シナ海といった中国沿岸部での使用を念頭に置いて開発されたものだと推定される。

代表的な運用方法としては、中国自慢の対艦弾道ミサイル「DF-21(東風-21)」で中国沿岸部に接近してくる米空母を攻撃するため、超音速無人偵察機「WZ-8」で素早く偵察を行い、収集した位置情報を元に対艦弾道ミサイルを誘導するといった方法が真っ先に挙げられる。

高度4万メートルを音速の数倍早いスピードで飛翔する「WZ-8」を迎撃するのは非常に難しく、本当にこれが実用化されているなら、中国沿岸部へ接近する価値の高い大型水上艦(主に空母)にとって、中国の対艦弾道ミサイル「DF-21」の脅威は、数段増したと言えるかもしれない。

中国軍関係者によれば、今回の軍事パレードに登場した兵器は、全て実戦配備された兵器であると言っているため、海上を進む米海軍の空母打撃群が「WZ-8」を探知した時には、既に中国本土から対艦弾道ミサイルが発射された後という意味だ。

 

※アイキャッチ画像の出典:Vlad / stock.adobe.com

関連記事

  1. 軍事的雑学

    極超音速兵器開発で先行する露中への回答、米国、極超音速兵器「AGM-183A」のイメージを初公開

    米国のロッキード・マーティンは最近、極超音速兵器開発プログラム「AGM…

  2. 軍事的雑学

    日本のF-35導入費用が安くなる?米国、対外有償軍事援助の改革に着手

    アメリカ国防安全保障協力局は、米国製防衛装備品の価格競争力を取り戻すた…

  3. 軍事的雑学

    日本にも影響?ロシア製防空ミサイル「S-500」がNATOに及ぼす「衝撃」な影響

    もう間もなく実戦配備されると予測されているロシアの新型防空ミサイル「S…

  4. 軍事的雑学

    欧州に逃げ場はない? ロシア、極超音速兵器が欧州全体を射程圏内に収める

    ポーランドメディアは、ロシアが開発した極超音速ミサイル「KH-47M2…

  5. 軍事的雑学

    トルコのNATO離脱は許容不可、S-400導入に対する米国制裁は見せかけ?

    ロシアからのトルコ向け「S-400」の出荷は、7月12日に第一陣がトル…

  6. 軍事的雑学

    輸出交渉は最終局面? 韓国、アラブ首長国連邦に国産の「戦術弾道ミサイル」を輸出か

    韓国政府がアラブ首長国連邦(UAE)に韓国が開発した戦術地対地ミサイル…

コメント

    • oominoomi
    • 2019年 10月 03日

    軍事技術は民生用の延長線上にあるので、アメリカの技術水準を大きく凌駕したスーパー兵器の性能には、疑問符を付けざるを得ません。
    もちろん中国やロシアの技術を軽視するのは禁物です。が、「我々には対抗手段がない」とアメリカ軍が叫んで予算をせしめる、というのもソ連時代から見てきた光景です。

    • 匿名
    • 2019年 10月 04日

    WWⅡ末期のドイツの新兵器ラッシュを彷彿とさせるな。

    • 匿名
    • 2019年 10月 04日

    ロケットエンジンで降着装置付きだと実用性に疑問が出てくるからブラフだろう。

    • 匿名
    • 2019年 10月 04日

    ロケットエンジン使い切った後も滑空制御できるなら着陸も可能でしょうが、データリンクで情報をリアルタイムで通知するなら、基本はD-21と同じで機体は使い捨てでしょう。
    機体だけでなく制御ソフトウェアやデータリンク暗号鍵など重要情報の塊なので、回収がベスト、回収できずとも自爆と情報消去はマストです。

    • 匿名
    • 2019年 10月 06日

    DF-21Dは実射演習すら情報が無いんだけど、本当に終端誘導できんのかねえ。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

PAGE TOP