軍事的雑学

2021年12月に初飛行予定、順調過ぎる米空軍「B-21 レイダー」の開発

米空軍のステルス爆撃機「B-21 レイダー」は、順調に開発が進んでおり、このまま何事も無ければ初飛行を、2021年12月に行う予定だとウィルソン空軍副総長が述べた。

参考:New B-21 Raider Stealth Bomber Scheduled To Make Its First Flight In Late 2021

開発中のステルス爆撃機「B-21」初飛行まで、あと863日

ワシントンDCで開催されたミッチェル研究所のイベントで、ウィルソン空軍副総長はB-21の初飛行について「863日後」だと話し、この発言内容が正しければ、現在、プロトタイプの組み立てがカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で開始されたと言われているB-21は、2021年12月に初飛行を行うことを示唆している。

B-21の開発は2014年に始まり、たった7年で初飛行を行う予定で、2025年頃には初期運用能力(IOC)を獲得すると言われており、開発開始から初期運用能力獲得まで、たった11年しかかからない、驚くべき順調さだ。

開発開始から運用開始まで19年間を費やしたステルス爆撃機「B-2」と比べると、余計、B-21の開発期間が短く感じられる。

出典:Public Domain Northrop Grumman B-21 Raider

B-21は、第2次大戦中、空母から陸軍の爆撃機を発艦させ東京を空襲した「Doolittle Raid(ドーリットル空襲)」から「レイダー」と名付けられ、B-2と同じ全翼機の形態で、通常兵器と核兵器の運用能力を持ち、基本的な運用は無人だがオプションによる有人飛行も可能な亜音速の長距離爆撃機として開発されている。

B-21の技術的な特徴は、凹凸のない完璧な曲線で構成された全翼機で、中国やロシアがステルス機の探知のため開発を進めている長波を利用したレーダーに対し、非常に有効なステルス性を発揮すると見られており、高度に防衛体制が構築された接近阻止・領域拒否(A2/AD)空域内でも、敵に気づかれず、ターゲットを破壊すことが可能になる。

B-2と同じようにエンジン全体を胴体へ埋め込むことで、ジェットエンジンの排熱を制御することができ、赤外線探知に対するステルス性も確保しやすい。

さらに、レーダー吸収材料や人工メタマテリアルを使った、新しいステルスコーティングの開発が行われ、B-21に使用されると言われているが、その詳細については一切、明らかになっていない。

米空軍が大型爆撃機の運用を諦めない3つの理由

米空軍は議会に対し312個ある飛行隊を、今後10年間で386個飛行隊まで増やすよう要請している。

その中でも、中国の軍事力増強に対応するため、圧倒的に「爆撃機」と「空中給油機」が不足しているとし、爆撃機編成の飛行隊を現行9から14(+5個飛行隊)、空中給油機編成の飛行隊を現行40から54(+14個飛行隊)と、大幅に増強したい考えだ。

米空軍は、ノースロップ・グラマンが開発中のステルス爆撃機「B-21」を100機程度調達し、2030年代までにB-2、B-1Bを退役させ、この新型ステルス爆撃機で更新する計画だったが、爆撃機編成の飛行隊が14個飛行隊編成に増強されるとなれば、この計画の大幅な修正が必要となるだろう。

現在、20機のB-2“スピリット”、62機のB-1B“ランサー”、76機のB-52H“ストラトフォートレス”、計158機の爆撃機を運用している。

出典:Public Domain B-2が47発のMark 82を投下しているシーン

もし、B-2とB-1を計画通り退役させ、同時に爆撃機編成の飛行隊を14個飛行隊へ増強させるなら、少なくともB-21が200機以上必要となり、仮に1機5億ドルとすれば1000億ドル(約10兆円)近い、莫大な予算が必要になる。

世界的に見れば、衰退する一方の大型爆撃機を、なぜ、ここまでの費用を掛けてまで米空軍は増強するのか?

これには、少なくとも3つも理由が存在する。

1つ目は、米空軍は航空機が失われる可能性が最も高いのは、空を飛んでいる時ではなく、航空機が駐機している基地が攻撃を受けた時だと考えているため、長距離飛行に向いていて、敵の攻撃を受けにくい基地から攻撃が可能な爆撃機が再評価されていること。

2つ目は、今後、米空軍の主軸となるステルス戦闘機F-35は、ステルス性を維持したたま携行できる兵器搭載量が少なすぎ、大型のスタンドオフ兵器運搬能力に欠けていること。

3つ目は、米空軍が主張する「プロンプト・グローバル・ストライク」を実行する手段として、ICBM、極超音速兵器、巡航ミサイルなど多くの手段がある中、爆撃機がもつ圧倒的な費用対効果(1時間という迅速性については疑問が残る)。

補足:プロンプト・グローバル・ストライクとは、1時間以内に、世界中のどこへでも、精密誘導による通常兵器での攻撃を提供するシステムのこと。

核兵器を使用するならICBMで十分だが、通常兵器に限定された戦争の場合、爆撃機が持つ汎用性は、未だ死んでいないという意味だ。

米空軍は、開発中のステルス爆撃機「B-21」は、爆撃機としても任務以外にも、偵察任務、電子攻撃任務、戦闘統制任務、対空長距離ミサイルを搭載して迎撃任務にも使用できると言っている。

 

※アイキャッチ画像の出典:pixabay B-2 Spirit

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