欧州関連

ウクライナが要求するパトリオット追加提供、ルーマニアが提供を検討

ウクライナへのパトリオットシステム追加供給は行き詰まりを見せていたが、ドイツに続きイタリアがSAMP/Tの追加提供に応じる予定で、ルーマニアのヨハニス大統領も7日「パトリオットシステムの提供を検討する」と述べた。

参考:Romania to Consider Sending One of Its Patriot Defense Systems to Ukraine

ルーマニアは「提供システムに対する金銭的な補填」と「追加システム取得までの保護」を要求する可能性が高い

ゼレンスキー大統領は西側諸国に「パトリオットシステムを7セット追加提供してほしい」と要請、提供候補に名前が挙がっていたギリシャは提供を拒否、米国も発表した支援パッケージにシステム本体が含まれておらず、スペインも本体ではなく迎撃弾の提供に留まり、これまでにシステム本体の提供に応じたのはドイツとイタリアだけだったが、ルーマニアのヨハニス大統領は7日「パトリオットシステムの提供を検討する」と述べた。

バイデン大統領と会談したヨハニス大統領は「パトリオット提供について話し合う用意があると伝えた。我々は保有するパトリオットシステムを提供できるかどうか、その見返りに何を得ることが出来るのかを国内で話し合う必要がある。何故なら防空システムなしで放置されるのを容認できないからだ」と述べため、ルーマニアがパトリオットシステムの提供国候補に浮上してきた格好だ。

ルーマニアは約40億ドルで弾道弾迎撃に対応したパトリオットシステム(PAC-2/GEM-TとPAC-3/MSEを運用)を導入、1セットが運用状態、残り3セットも運用に向けて準備が進められており、ヨハニス大統領は「この中から1セットの提供が可能かどうかを国内で検討する」と述べているのだが、恐らく「提供システムに対する金銭的な補填」と「追加システム取得までの保護」を要求する可能性が高い。

関連記事:ウクライナが要求するパトリオット追加提供、イタリアがSAMP/T提供
関連記事:フランスは強制力を伴う戦時経済へ移行、最初の行政命令をMBDAに命じる予定
関連記事:イスラエルが手放すパトリオットシステム、ウクライナに向かう可能性は低い
関連記事:イスラエル軍、数ヶ月以内に埃を被っていたパトリオットと別れを告げる
関連記事:誰がパトリオット提供に応じるのか? ウクライナへの追加供給は行き詰まる
関連記事:スペインもパトリオットシステム提供を拒否、少数の迎撃弾提供に同意
関連記事:ギリシャ首相、パトリオットやS-300のウクライナ提供に応じないと断言
関連記事:誰がウクライナにパトリオットを提供するのか? ギリシャは提供に否定的
関連記事:ドイツ、新たなパトリオットシステムを直ちにウクライナへ提供すると発表

 

※アイキャッチ画像の出典:MApN/CC BY-SA 3.0

立て直しに時間が必要なウクライナ軍、米支援到着後の小休止が理想的前のページ

ロシア軍は東部戦線のほぼ全てで前進、南ドネツク方面でも攻勢を開始次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    北欧4ヶ国が空軍戦力の統一運用で合意、欧州の大国に匹敵する運用規模

    ロシアの脅威を目の当たりしたスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デ…

  2. 欧州関連

    NATOに近づくフィンランドとスウェーデン、出ていくかもしれないフランス

    あれほどウクライナが望んだNATOにフィンランドとスウェーデンは加盟す…

  3. 欧州関連

    ベルギー企業の倉庫に眠るレオパルト1やSK-105、適正な価格で売却したい

    ベルギー企業の倉庫にはレオパルト1、ゲパルト、SK-105、VCC2、…

  4. 欧州関連

    プーマ歩兵戦闘車が故障した馬鹿げた理由、労働時間の規則を厳守したため

    ドイツ陸軍のアルフォンス・マイス中将はプーマ歩兵戦闘車が演習で故障した…

  5. 欧州関連

    ポーランドメディア、検討中のRedbackが10月にポーランドで発表される

    ポーランドメディアのDefence24は19日、ポーランド軍が導入を検…

  6. 欧州関連

    ルーマニアの最高国防会議がF-35A導入を発表、M1エイブラムス調達も検討中

    ルーマニアのヨハニス大統領が主催する最高国防会議は11日「空軍の近代化…

コメント

    • 774
    • 2024年 5月 08日

    提供が決まって現物がウクライナに届いたら起こしてくれ
    死ぬほど疲れてる

    28
      •     
      • 2024年 5月 08日

      支援疲れならぬ観察疲れ

      1
      • 戦略眼
      • 2024年 5月 08日

      起こす事は無いと思われる。

      4
    • F-117A
    • 2024年 5月 08日

    代わりに中SAM送ろうぜ

    6
      • 匿名希望係
      • 2024年 5月 09日

      退役するホークでいいやろ(まじめな顔で)

      3
        • SAM
        • 2024年 5月 09日

        台湾の大量のホークはどうなった?

        2
    • 支援
    • 2024年 5月 08日

    >「提供システムに対する金銭的な補填」
    米NATOに見返り要求が目的で古いセットをウクライナに提供するということか
    前からルーマニアはウクライナと国境紛争があり、積極的に支援する義理がない
    ルーマニア系のモルドバに対抗して沿ドニエストル共和国というロシア系ウクラ
    イナ人の勢力も居る

    8
      • 牛丼チーズ
      • 2024年 5月 08日

      その沿ドニエストルはウクライナ東部の親ロシア派と同じでむしろウクライナの敵側なのだが。

      24
      • 暇な人
      • 2024年 5月 08日

      モルドバもルーマニアとロシアに分割すべきなんじゃないかなと
      ソ連がルーマニアから分離独立させたようなところなんだからルーマニアに戻るべき
      ロシア系や少数民族はルーマニアに戻るよりはロシアのほうがいいだろうからロシア側に

      3
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 5月 08日

    ドイツ・イタリア「我らは無償で提供したのに、見返りを要求するとは…解せぬ」

    外交はしたたかであるべきですが、こういう温度差を見せられるとなんだかなぁという気持ちになります

    15
      • 戦略眼
      • 2024年 5月 08日

      小国だからね。

      10
      • nachteule
      • 2024年 5月 09日

       今更でしょ別に見返りを求めたウクライナ支援なんて初めてでは無いし、皆が皆「ロシアは悪!その為には無償奉仕も辞さずに協力すべき」とか思っているわけでも無いでしょ。

       それを言ったら無償で提供するなら提供する数は少なくても良いと言う話になるのかと思うけどな。米陸軍なんてようやく導入をしたようなルーマニアより100倍くらいの規模のパトリオットがあると思うが提供数はアレだけど、そこに対してなんだかなぁとか思わないの?

      5
    •  
    • 2024年 5月 08日

    >提供システムに対する金銭的な補填

    要はルーマニアが供与するんじゃなくアメリカが買い戻しを打診してるってことか。

    5
      • ido
      • 2024年 5月 08日

      買い戻しではなく提供した一基分の金をアメリカに要求しているのでは?それで新しいのを買うという感じ。

      6
    • マダコ
    • 2024年 5月 08日

    1セットがどうとか寂しい話です。桁が少なすぎて焼け石に水とは、まさにこのこと。

    6
    • たむごん
    • 2024年 5月 08日

    結局、対価なんでしょうね。

    ウクライナは、いつまでも無料で早く調達、これは期待できないという事かなと。

    8
    • 名無し
    • 2024年 5月 08日

    ドイツ、イタリア、ルーマニアか、次の国の名前が浮かんでくるな

    2
    • AH-X
    • 2024年 5月 08日

    前から思ってたんですがこのパトリオットの1セットで発射機何機分でしょうか?
    米軍ではレーダーと管制装置、発射機8基で1セットだけど自衛隊は予算不足その他の理由で発射機は5基で運用してるって話です。

    5
    • 2024年 5月 08日

    ウクライナが凹まされて1番困るのは東欧中欧だからね
    その辺から支援を得るのは道理としても妥当かと

    7
    • うくらいだ
    • 2024年 5月 08日

    検討なら自由ですよね
    なんなら自分も提供できるか検討してます

    8
      • F-117A
      • 2024年 5月 08日

      検討使の眼鏡の御方でしたか

      4
    • ふむ
    • 2024年 5月 08日

    ルーマニアに代替システム提供できるなら、スロヴァキアからアメリカのパトリオットとイタリアのSAMP/T引き上げてないと思うんですよね…

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
PAGE TOP