北米/南米関連

アルゼンチン、フォークランド諸島の領有権を外交交渉で回復したいと表明

アルゼンチンではハビエル・ミレイ新大統領が誕生したばかりだが、同国の外務省は3日「マルビナス諸島(フォークランド諸島)の主権を外交交渉を通じて回復したい」「英国との二ヶ国間交渉を再開する用意がある」と表明した。

参考:The Question of the Malvinas Islands: Argentina Reaffirms its Legitimate Sovereignty Rights

フォークランド諸島周辺の海底には大きな油田が存在する可能性があるため、外交交渉で同諸島の問題が解決するかは謎

アルゼンチン外務省は3日「独立当初からマルビナス諸島(フォークランド諸島)に主権を行使しており、スペインから継承したアルゼンチン領を英国が1833年に占領した。これらの領土に対する主権行使の回復はアルゼンチ国民の永続的かつ放棄できない目標だ。国連もマルビナス諸島の問題をアルゼンチと英国の主権紛争に関わる特殊な植民地的状況で、原住民の利益を念頭に置きながら当事国同士の交渉を通じて解決させるべきだと述べている。アルゼンチンは国連決議に従い二ヶ国間交渉を再開する意志を改めて表明する」と発表。

出典:User:Tom L-C/CC BY-SA 3.0

さらに「アルゼンチンは自国の権利行使を回復する唯一の手段は外交交渉であるとの信念の下、マルビナス諸島問題に関する主権紛争の平和的解決を可能な限り早く実現するため、国連事務総長に委ねた仲介ミッションに改めて関心を表明する」と述べ、国連仲介の下で英国との二ヶ国間交渉再開を希望している。

因みにフォークランド諸島周辺の海底には大きな油田が存在する可能性があるため、外交交渉で同諸島の問題が解決するかは謎だが、国連仲介という正攻法なので無下には出来ないだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:Cancillería Argentina

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コメント

    •    
    • 2024年 1月 04日

    元々フォークランド諸島には大した戦略的価値がなかった為、イギリスにはアルゼンチン移譲論があった
    しかし紛争でそれも無くなった
    住民はイギリス系ばかりなので、住民の意思を尊重すればアルゼンチンへの帰属など論外だろうな

    45
      • 無名
      • 2024年 1月 04日

      まあ、デフォルトがしょっちゅうあるアルゼンチンよりかは、住民もイギリス領のままを望むでしょうしね。
      イギリス他にも海外領土幾つもあるけど、ジブラルタルとかもそういう感じでしょうし

      そういえばフォークランド紛争って西側同士の近代化された軍隊同士の戦争なんでしたっけ。

      32
      • kitty
      • 2024年 1月 04日

      竹島もそんな感じですね。
      漁業資源が少し絡むけど、日本と韓国の経済規模からすれば、争うほどのものではなかったのに。
      強奪さえしなかったら、国交回復時にたぶん委譲したでしょう。

      9
        • のー
        • 2024年 1月 04日

        そう思います。
        それと実効支配してる側が煽ったらあかんでしょうと。
        そりゃ日本側も煽られたら、対応するしかない訳で。
        韓国側が自分で領土問題を演出してしまってます。
        尖閣諸島みたいに、粛々と実効支配を続けていくのが良いやり方だと思います。

        31
        • 名無し
        • 2024年 1月 05日

        >>強奪さえしなかったら、国交回復時にたぶん委譲したでしょう。

        いや何で?
        地元漁民ガチギレするからないでしょ

        15
        • ヒュー
        • 2024年 1月 05日

        韓国が竹島を占領したのは朝鮮戦争の米軍の統制下のときです。
        韓国のナショナリズムによるところもあるでしょうが、米国も日韓分断統治の為に打ち込む楔として都合が良いので止めなかったのでしょう。
        戦後は日韓ともにアメリカの従属国ですからたとえ韓国の占領がなかったとしてもこの争いがなくなることは米国が望まないので解決はしなかったと思います。

        3
      • ヒュー
      • 2024年 1月 04日

      ここ見ると香港返還は中国の外交の用意周到さと長期的スパンが凄すぎて驚く

      6
        • とも
        • 2024年 1月 04日

        今回の交渉は、アルゼンチンがBRICSの加入を土壇場で拒否したことや、ウクライナに大統領が訪問したことと関連性があると見れば、
        ハビエル・ミレイ大統領も西側陣営に接近して根回しを事前にしてるかもしれない

        2
        •  さ
        • 2024年 1月 05日

        そもそもよほどおかしなことをしない限り、期限切れで普通に帰ってきたのでは?
        そして現政権になって、全てがぶち壊しになってることに凄すぎて驚きます……

        5
    • Ard
    • 2024年 1月 04日

    どこの誰が一度侵攻してきて、経済の逼迫したアルゼンチンの支配下に入りたいと願うのか
    無理です

    53
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 1月 04日

    まずは穏健に外交交渉を、という話なのでしょうけれども過去の経緯を考えると国民感情が高ぶって外交交渉(物理)が始まりかねないのが気になります
    流石に過去とは互いの国力や状況が違うので、そう簡単に変な事にはならないでしょうけど

    17
    • ras
    • 2024年 1月 04日

    政権内によほどの右派でもいたりしなければ、ただの保守派支持のためのポーズでしょうね

    7
    • さめ
    • 2024年 1月 04日

    子供の頃にフォークランド紛争を学んで、まあ「フォークランド」紛争の名前からもわかるとおりアルゼンチンが侵略者イギリスが被害者という文脈で大雑把に学んだわけだけど
    世界地図を見直してみたらフォークランドとんでもないところにあって「いやそもそもなんでイギリスがこの島の領有権もってんねん」て思ったあと「それ言ったらヒスパニックが南米にいること自体あれか」と思い直した記憶がある

    まあ法的には武力による現状変更を試みたアルゼンチンが一方的に悪いんだろうけど、その法というのも過去の帝国主義による簒奪の結果を旧帝国主義国家が維持する方向にしか働かないので、それらの国が各種法規を全面に出した主張をしてもそれが正義であるとは到底思えんのよねー
    そういう意味で当時の日本政府がアルゼンチンにも一定の配慮を見せたのは正解だったと思うわ
    ということで俺はフォークランド・マルビナス紛争と読んでる(´・ω・`)

    33
      • kitty
      • 2024年 1月 04日

      こちらで、
      リンク「フォークランド戦争史」NIDS

      が読めますが、
      >6月2日、今度は国際連合安保理の場においてスペインとパナマが独自の即時停戦案を提出したのである。
      >そして2日後の安保理でスペイン、パナマ、ポーランド、日本、アイルランド、中国、ザイール、ウガンダ、旧ソ連の9カ国が停戦案に賛成したため、パーソンズは拒否権を発動して停戦案を封じ込めざるを得なかったのである。

      この国の中に入る違和感半端ない。

      5
      •      
      • 2024年 1月 04日

      実態としてはイギリス系住民が元々多く住んでおり、アルゼンチン側がスペイン時代の帝国主義論理を振りかざしてる格好だと思われるけどな

      9
        • さめ
        • 2024年 1月 04日

        いやそりゃあーた、少しは文脈読んでくれよ、レス返すんならさ(´・ω・`)
        「そもそも」イギリス系住民がその島に入植をはじめたきっかけや背景考えると別にイギリスにも正当性はないな、と言ってるんわからんかな
        幸か不幸か先住民族がいなかったから虐殺とかは起きなかったとされてるけど、だからといって「はいここわーくにのね^^」って流れでイギリスが領有を始めたこと自体、今となってはおかしいよね、と
        まあそれいったら現存するすべての国境線が恣意的な背景に基づくものだし今からどうこう言えた話ではないけど、少なくとも一方的な正義や悪といった考えはちょーっと色々と見落としすぎてはいやせんか、と

        ちなみにここを真面目に考えようとしてるのは知りうる限りオーストラリアとニュージーランドくらい
        先住民族との対話や補償を推進しているが、やはりというかなんというかこの政策も国内で分断を生んでいる

        26
          •    
          • 2024年 1月 04日

          現在進行形で帝国主義の論理を蒸し返してんのはアルゼンチンという話ね

          遡れば北海道だって沖縄だって似たようなもんで、国際秩序が定まった現在と過去も一緒くたの論理には同意できませんなという話

          11
            • さめ
            • 2024年 1月 04日

            その「国際秩序が定まった」背景を含めた話をしてるのであって別にアルゼンチンの軍事進行を肯定してるわけではない
            文意を把握できないならレス返さないでほしいのだ

            18
              •    
              • 2024年 1月 04日

              >その「国際秩序が定まった」背景を含めた話をしてるのであって

              だから過去の経緯はどうあれ、過去も含めた背景を一緒くたにした論理には同意できませんね、と言ってるだけだが理解できんかな

              10
          • 名無し
          • 2024年 1月 05日

          >>幸か不幸か先住民族がいなかったから虐殺とかは起きなかったとされてるけど、だからといって「はいここわーくにのね^^」って流れでイギリスが領有を始めたこと自体、今となってはおかしいよね、と

          今となっても全く何もおかしくないね
          おかしいのは貴方の歪んだ認知じゃないの?

          8
    • スペイン領セウタ
    • 2024年 1月 04日

    ジブラルタルと同じく住民投票で逃げきりましょう

    5
    • 無無
    • 2024年 1月 04日

    イギリスは決して譲らないね、石油資源以外にも将来の南極資源開発の中継地としてフォークランド諸島の可能性に含みを持たせているから
    同じく南極に領有権を主張しているアルゼンチンを牽制する目的もある

    5
    • もり
    • 2024年 1月 04日

    まぁ持病持ちとは言え第5世代戦闘機積んだ世界第3位の有力空母持ちの現イギリスと軍事力でいがみ合うとかアルゼンチンにはもう無理だしな

    4
    • たむごん
    • 2024年 1月 04日

    トルコのF16調達が、アメリカ議会にストップされた事を思い出しました。
    アルゼンチンは、F16をデンマークから調達する事が決まっていましたが、最後まで推移を見守りたいと思います。

    資源開発するのであれば、輸送距離が短い程、基本的なコストを減らす事ができます。
    アルゼンチンに、パイプライン輸送する経済合理性はあるのですが、外交的になかなか難しいのでしょうね。

    • ブルーピーコック
    • 2024年 1月 04日

    イギリス外務省
    「住民が望むなら移譲を考えるよ」

    フォークランド住民
    「移譲には反対」

    1960年代だとこうだったが、2013年のフォークランドにおける住民投票では英領維持への支持率99.8%。軍事的侵略以外だと、もう結果が見えてる。

    9
      • ras
      • 2024年 1月 04日

      この既に取り決めたガイドラインに反する形でイギリスは国内を説得できないでしょうし、実際フォークランド紛争を蒸し返すならばアルゼンチンに可能なのは武力しかないですね
      まあ、親米政権がそれを行うことはまあないでしょう。ゼレンスキーのような180度転換がなければ……

      ちなみに上で比較されている香港も99年租借の解決も、魅力的な中国市場を敵に回せないという経済条件だけでなく、返還なければ水供給を止めるなどの脅しが一因とされてますね

      3
    • general
    • 2024年 1月 05日

    誰が好き好んでデフォルト常習犯のダメ国家に帰属したいと思うんだ

    7
    • 555
    • 2024年 1月 09日

    帰属したくなるくらいアルゼンチンを繁栄させるしかない

    3
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