北米/南米関連

海上哨戒機不足に悩むアルゼンチン、ノルウェーから中古P-3Cを4機購入

アルゼンチンは排他的経済水域の監視や保護に不可欠な海上哨戒機が不足していたが、米ディフェンスメディアは「ノルウェーから中古P-3Cを購入することで合意した」と報じており、4機の中古P-3Cを6,700万ドルで購入するらしい。

参考:Argentina buys P-3 Orion maritime patrol aircraft from Norway

最初の2機は10月上旬までにアルゼンチンへ到着する予定

アルゼンチンは老朽化したP-3Bを更新するため米国と交渉、2019年に中古P-3Cのアルゼンチン売却を承認したが、この機体の改修費用はアルゼンチンが確保していた資金を越えていたため取得を断念、機体の亀裂や腐食の問題で飛べなくなったP-3Bの改修を試みているが、まだ飛行可能な状態のP-3Bは1機もなく、海上哨戒機不足を何とかするためS-2Tの現役復帰も計画されているらしい。

出典:Martin.Otero/CC BY 2.5 アルゼンチン海軍のP-3B

このような取り組みと平行して代替機の模索も続けられ、アルゼンチンはP-8Aを導入したノルウェーに接近、余剰となるP-3Cの購入協議を2022年末に開始していたが、米ディフェンスメディアは9日「4機の中古P-3Cを6,700万ドルで売却することで両国が合意した」と報じており、最初の2機は10月上旬までにアルゼンチンへ到着する予定だ。

ノルウェー空軍のP-3Cは2009年から2016年にかけて寿命延長と近代改修が行われたため、腐食していた主翼や水平尾翼の部品は新しいものに交換され、ミッションシステムも新しいものに交換されており、排他的経済水域の監視、管理、保護の強化に役立つと期待されている。

関連記事:アルゼンチンはF-16をデンマークから取得か、 バイデン政権が売却を通知

 

※アイキャッチ画像の出典:Mark Harki/CC BY 2.0

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コメント

    • NNS
    • 2023年 9月 09日

    F−16の購入に続き、P-3の導入も上手く行けばようやく航空戦力の立て直しに弾みがつきそうですね。(海軍航空隊のシュペルエタンダールの現役復帰は頓挫した模様)
    英の横やりが入らなければ、あとは問題の資金ですが。

    6
      • マサキ
      • 2023年 9月 09日

      やっぱ、アングロサクソン(米英)と敵対しちゃだめね。
      根本が戦闘民族だもの。

      6
    • ミリ飯食べたい
    • 2023年 9月 09日

    自衛隊の中古機も販売できればもう少し予算の積み増しができそうですけどね

    4
      • 匿名希望係
      • 2023年 9月 09日

      普通に現役機のパーツとりに使われてるだろうから>退役機
      フレームとかは余るだろうし。アルゼンチンが積み替えれば現役機になれるか?

      7
      • エマノン
      • 2023年 9月 10日

      米国経由なら売るのも可能な気がする
      余剰機を全部部品取りで取っておくわけでもないだろうし

      1
      • 戦略眼
      • 2023年 9月 10日

      そうですよね。
      日本独自仕様もあるとは、思いますが。

    • 樺太
    • 2023年 9月 09日

    かつて世界には4種類の国があると言われた
    先進国と途上国、アルゼンチン(先進国からと途上国になった国)、日本(途上国から先進国になった国)である

    躍進著しいアジアにおいては日本に続く国が出てくるだろうが、日本はアルゼンチンになってはならない

    哨戒機の分野でもで見ても、型遅れの中古機を漁ることなく、国産の次世代機へ進んで欲しい

    19
      • 南極1号
      • 2023年 9月 09日

      ノーベル賞を受賞したアメリカの経済学・統計学者のサイモン・クズネッツの言葉だそうです。
      なかなか面白いですね。

      15
    • チェンバレン
    • 2023年 9月 09日

    なんでアルゼンチンすぐデフォルトしてしまうん?(´・ω・`)

    20
      • バーナーキング
      • 2023年 9月 10日

      歴史を流し見る限りそもそもの発展が「特大のバブル」だったんじゃないですかね…

      3
    • エレクトラ
    • 2023年 9月 09日

    「排他的経済水域の監視や保護に不可欠な海上哨戒機」とだけ聞くと中古のC-130でも良いのでは?と愚考。
    引用元の記事で
    「この国に毎年26億ドルの損失をもたらしている違法漁業は、今後はより新しくより高性能な(海上哨戒機)の支援によって防止され、より効果的に戦うことになるだろう。」
    も初見な凄い話でした。
    購入した機体はアメリカでオーバーホールされた後にアルゼンチンへ引き渡されるそうですね。

    5
      • YJ93
      • 2023年 9月 09日

      対潜能力はともかくとしても、やはり洋上監視レーダーくらいは必要ということではないですかね。

      16
      • うー
      • 2023年 9月 09日

      2016年だったか、アルヘンの沿岸警備隊が、違法操業してた中国漁船を撃沈させてたね。

      漁船も沿岸警備隊もどえらく気合入っとるのお、と思った記憶があったけど、そっか26億ドルかぁ…

      そりゃ気合も入るわ…

      13
      • ASW
      • 2023年 9月 09日

      哨戒機という専門の機種が各国に存在するわけですし、半端な別機種の使い回しでどうにかなるものではないと思います。求められるものが違いますから。
      それはそれとして、我が国も違法漁業でそれなりに損失を受けていますが、哨戒機を違法漁業の対策に持ち込めるとなるとやはり効果も違ってくるものなんですかね。

      6
      • ブルーピーコック
      • 2023年 9月 09日

      長時間任務の居住性・快適性が担保されるなら選択肢に入るのでは。P-3が人気だった理由でもありますし、

      1
      • エマノン
      • 2023年 9月 11日

      C-130と違ってP-3は対艦ミサイル・魚雷も使えるから
      (アルゼンチンが使えるかは知らないが)

      2
    • 58式素人
    • 2023年 9月 09日

    昔読んだ本(出典忘れ)ですが、アルゼンチンには英国から多数の移民があったとか。
    その本の中では、新大陸で米国に次ぐ大国になる可能性があるとのことでした。
    WIKIを読むと、現在、アルゼンチン人の構成は、(非公式に)96%が白人、
    さらに白人のうち、約60%がイタリア(主)/スペイン系とか。
    残りはアングロサクソン/ケルト/ゲルマン(含フランス)/スラブ系みたいです。
    なんで今みたいになったのでしょうね。
    この記事には、真面目な人が苦労をしている、という印象を受けます。

    6
    • ブルーピーコック
    • 2023年 9月 09日

    南極に物資輸送していたヘリ(ロシア製Mi-17)も飛べなくなったらしいし、何なら飛ばせるんだ状態になってきたな。

    1
    • 無名のミリオタ
    • 2023年 9月 10日

    新大陸で二位ねぇ・・・

    アングロサクソン国家で英語圏の優位を生かして優秀なインド系と中華系を呼び込めているカナダ

    単純に人口が新大陸二位のブラジル

    これらに勝てるとはとてもとても。

    さらには脱中華の恩恵を受けるメキシコまでいるしな。

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