北米/南米関連

ブラジル陸軍が調達予定の装輪自走榴弾砲、フランスのカエサルとイスラエルのATMOSが競合

ブラジル陸軍はトラックタイプの自走榴弾砲を新たに36輌調達する予定で、この需要を狙ってフランスとイスラエルが競合していると報じられている。

参考:Brasil iniciará el proceso para adquirir 36 camiones con obús autopropulsado en febrero

群雄割拠の装輪自走榴弾砲市場、フランスとイスラエルの提案内容はほぼ互角か

ブラジル陸軍は装軌車両タイプの自走榴弾砲×計136輌(M109A3×40輌/M109A5×56輌/M109A5BR×40輌)と牽引式榴弾砲×539門(M114×92門/M101×320門/M102×19門/L118×36門/Mod56×72門)を保有しているが、トラックタイプの自走榴弾砲を新たに調達する予定でフランスとイスラエルが競合していると報じられている。

出典:Rowielip / CC BY-SA 3.0 エルビット・システムズのATMOS

フランスのNexterは半自動装填アシストを備えているカエサル6×6とカエサル8×8、イスラエルのエルビット・システムズはATMOSを提案しており、155mm榴弾砲部分とトラック部分を分離して提供可能なATMOSの方がプラットフォームを自由に選択できるため有利(トラック部分を国内企業から調達できるという意味)と見られているが、ブラジル陸軍に採用された国産MLRS(Astrosシリーズ)のプラットフォームにカエサルの榴弾砲を統合したモデルを発表している現地企業のAvibrasが参加してくるとフランスとイスラエルの提案内容はほぼ互角と言えるだろう。

ブラジル陸軍は「砲兵師団と機械化旅団で使用するため36輌の調達を予定している」としか明かしていないがM109A5はアップグレード作業を進めており、M114、M101、M102を更新するためM198とM119(L118を米国がライセンス生産したモデル)を発注済みなので、新たに調達するトラックタイプの自走榴弾砲はM109A3の交換用である可能性が高い。

果たしてブラジル陸軍はフランスとイスラエルのどちらを選択するだろうか?

出典:Kalyani Strategic Systems Limited MArG/155-BR

因みに装軌車両タイプの自走榴弾砲については韓国のK9が海外市場の需要を席巻しているが、トラックタイプの自走榴弾砲はフランスのカエサル(計8ヶ国採用)、イスラエルのATMOS(計9ヶ国採用)、セルビアのノーラB-52(計5ヶ国採用)、チェコのShKH vz.77(計7ヶ国採用)に支持が分散、インドは安価なMArG/155-BRを開発して市場参入の機会を伺っており、米陸軍も新規開発する方向で動いているのでトラックタイプの自走榴弾砲市場は今後競争が激化するかもしれない。

関連記事:インド、155mm榴弾砲を4x4HMVに搭載した自走砲「MArG/155-BR」を発表
関連記事:サウジアラビア陸軍、トラック搭載の155mm自走榴弾砲「カエサル」を大量に追加導入か?
関連記事:イスラエル、アジアからトラックタイプの155mm榴弾自走砲「SIGMA」受注を獲得

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain カエサル6×6

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コメント

    • もり
    • 2022年 1月 18日

    よっしゃ!
    日本も出すぞ!いすゞのトラック!!

    9
      • ブルーピーコック
      • 2022年 1月 18日

      トントントントンヒノノニトン(謎の呪文)

      10
        • 名無し
        • 2022年 1月 18日

        よっしゃ!こっちはSKWの販促用youtube動画や!

        1
    • 匿名
    • 2022年 1月 18日

    カエサル自走榴弾砲っておいくらなんですか?
    ほかにもブルータス自走榴弾砲など、詳しい方教えてくださいorz

    1
      • 匿名
      • 2022年 1月 18日

      カエサルではないけど、韓国産兵器[K105a1]車輪自走砲なんていかがでしょう?
      105mmですけど、5000~6000万円と非常にお買い得ですよ

      【導入背景】

      「企業側」
      K-9自走砲の量産後、韓国軍側から新規火砲需要が無いため、旧式火砲改良事業に進出し事業の多角化を図り、その過程で韓国軍の中で淘汰されていっている105mm牽引砲の活用方法として、トラックに載せて自走砲化して、老朽化した4.2インチ迫撃砲を代替する提案をした。しかし、既に4.2インチ迫撃砲の代替するための120mm自走迫撃砲が試作品段階まで完了していたため、
      歩兵部隊の4.2インチ迫撃砲の代替として105mm自走砲
      機械化部隊の4.2インチ迫撃砲の代替として120mm自走迫撃砲
      として導入が決定する。

      「韓国軍側」
      砲兵の砲弾を155mmに統一したことで、牽引砲の105mm砲弾在庫が340万発溜まってしまう。
      これらは米軍からタダ同然で譲渡された老朽化した弾薬で、性能維持のための再生費用が120mmの新型迫撃砲弾の導入費用と同等な費用が掛かり、それらを早急に撃ち尽くす必要があった。
      また、アフガニスタン戦争での米軍の戦訓から、山岳地形では移動に手間取り、発射速度が遅い120mm~155m高火力/長射程砲より、低射程/低火力ながら、早い発射速度の105mm牽引砲の方が山岳戦での制圧能力が高かったことから、山岳地形の朝鮮半島での運用に有用と判断し、導入が決定。

      4
        • バンヴィー
        • 2022年 1月 18日

        バンヴィーホークアイ105mm自走榴弾砲もあるね。
        低反動で軽量化されたタイプね。

        1
      • ブルーピーコック
      • 2022年 1月 19日

      フランス語のWikipediaだとインドネシアに輸出されたカエサル37両で1億7000万ドルとあるので、単純計算と円換算で5億〜5億5000万円ですかね。訓練などの諸経費込みかは分かりません。

      ハンヴィー高機動車に105mm砲を搭載したハンヴィー2-CTホークアイの派生型かつ、155ミリ砲を載せたのがブルータス自走砲です。火砲はM-777の車載型のM-776。ホークアイは空輸を考えた作りと軽さ(6トン弱)になっているので、おそらくはブルータスも空輸で早く展開することを考えているのだと思います

      3
    • 戦略眼
    • 2022年 1月 18日

    M109A3の近代化改修では、だめなのか?
    何時も思うが、トラック式自走砲って、昔からあるが時間稼ぎとか、けちるとか以外にメリットが無いと思う。
    空輸するなら牽引砲の方が軽い。
    走破性と防御力なら装軌式。
    何にせよ、中途半端。

    1
      • 無無
      • 2022年 1月 18日

      現代の砲兵はヒットエンドランですよ、数発撃てばすぐ移動しないと位置を特定されて反撃を受ける。装輪式は問題も多いけど、展開と撤収が迅速に行える大きな利点がありますから、状況次第で生存性が高い
      あと、雨季と乾季で移動効率に大きな差のでる大国ですから、軽いタイヤ砲兵への期待もあるわけです

      12
        • stwm
        • 2022年 1月 18日

        このご時世に牽引砲で射撃したらすぐに射撃位置を特定されて、退避する間もなく破壊されて終わります。
        シュート&スクートには自走化が重要ですし、カエサルやATMOSが搭載している砲はM109A3のより高性能。
        トラックベースの自走砲は装軌式より安価なので数も揃えられる。

        6
          • 無無
          • 2022年 1月 19日

          それレス先ずれてると思うけど、索引砲も空輸という利点だけは棄てがたい

          3
            • ff3
            • 2022年 1月 19日

            空輸は航空優勢が前提
            でなければお荷物

      • 台湾大好き
      • 2022年 1月 19日

      道路網の充実による走破性のハードル低下もあるのでは? ブラジルはともかく欧州や都市部は原野なんて殆ど無いし、原野より人口密集地の方が紛争の可能性は高い。とうぜん道路はある。そしてトラック側の悪路走破性はずいぶん高まっている。
      そもそも装軌式じゃ絶対ダメな所は補給段列が展開する難易度は高いぞ。道路が必要? なら装輪でいいじゃないか。装軌式が無くなるとは思わないけどますます数は減るだろうさ。
      装軌式と牽引式の間で中途半端との声もあるが、一定の水準を満たせば両者のいいとこ取りができる。(安いは大正義、シュート&スクートはしたい)

      10
        • hiroさん
        • 2022年 1月 19日

        欧州に限らず都市部には原野は無いですが、欧州に原野(?)は沢山ありますね。
        東に行けば行くほど、人のほとんど居ない草原なり森林なりは増えますね。
        そもそも都市部に侵攻するにもそういった地帯を走破する必要があるわけで、反撃される可能性が高い段階では装甲に優れた装軌式は心強いのでは?

        1
          • 無無
          • 2022年 1月 19日

          ブラジルは、オーストラリアよりは小さいかくらいの大国で、国土にはさまざまな姿がある。
          ジャングルから山岳地帯、ステップ、湿地と国境も国内も一様ではない、都市部なんて国土の限られた面積でしかない。
          ブラジル軍がどの方面に配備を想定してるのか知らんけど、装軌式と併用するからには装輪式が有利な場面もあり得ると判断してる証拠でしょう

            • hiroさん
            • 2022年 1月 19日

            ブラジルではなく欧州に関するコメントなんですが?

              • 無無
              • 2022年 1月 20日

              そうですね、ブラジル話なのになぜが欧州地勢の説明の持ち出しが意味不明だったもんで
              逆に聞きたいくらい
              そこはそれは、ここはこれの次元だと思うけどな

          • rer
          • 2022年 1月 19日

          自走砲のは紙装甲
          見た目だけの安心感で満足ならそれでもいいかもね

          • 台湾大好き
          • 2022年 1月 19日

          仰ることは分かりますか、それ装軌式しか対応できない原野ですか? 可能性を出せばルーマニアとかベラルーシとかいくらでもだけど、それを以て装軌式でないとだめだとはならんでしょ。そんな原野で補給部隊も装軌にして対応するの?
          それにあくまで棲み分け、今まで極小シェアの装輪が増加しているし、今後もそうなるだろうって話だろ? 裏返せば装輪では駄目な泥濘地を持つ国だってあるんだから

          1
      • おわふ
      • 2022年 1月 19日

      まあ装輪式は必要なんですけど、日本の場合はM777 155mm榴弾砲も必要な気がします。
      チヌーク以外のヘリでも運べると展開力移動力が段違いなので。

      3
    • ガラパゴス
    • 2022年 1月 18日

    19式とか変に国産に拘ってるのあるけど、輸入した方がいいんじゃないの?
    これらの競合と比べて、大した優位性ないでしょ。
    コスパも良くないし。

    2
      • ブルーピーコック
      • 2022年 1月 19日

      トラック部分はドイツのMAN社製で、砲は日本製鋼所。清谷信一の記事だと去年の調達費用が7両で47億円。割ると6億7000万円ほど。
      対するカエサルはフランス語版wikipediaだとインドネシア向けもチェコ向けも、調達費用を台数で割ると5億5000万円くらいでした。

      装填は両方とも半自動装填式で(砲弾だけ自動。装薬は手動)、タッチパネルで撃てる機能あり。19式は舗装路面で撃てるという謎機能付き。個人的な感想で言わせて貰えれば、海外から輸入すべきと言うほど価格差は無いと思います。あえて不安を言うのであれば使用砲弾に関してですかね。

      8
        • 輸入派
        • 2022年 1月 19日

        カエサルは装甲化されて全員がキャブ内に入れるのに、19式の場合、装填手の二人は横にちょろっと乗るだけ。
        生存性が高いのはカエサルや競合でしょ。
        にもかかわらず19式の方が一億円以上高い。
        この手の装備品で、この差は大きいと思いますが。

        3
          • ブルーピーコック
          • 2022年 1月 19日

          装甲追加はチェコのタトラ製トラックを使ったカエサル 8×8からですね。あと、それで保護されるのは車両内の人間のみではないかと。無いよりはマシですが。
          具体的にはYou Tubeの動画を見てもらうとして、砲の操作には外に隊員が出なければいけないのはカエサル8×8もアトモスも同じです。砲の操作中の隊員に攻撃を受けたらナオキです。

          装甲付きで全員車内にしろというならアーチャー自走砲とか南アフリカのG6、ロシアのA-222(130ミリ砲)なんてのもありますが、どれもデカイし重い。アーチャーですら33トン。サイズも重さもC-2にギリギリかも。また本体と砲弾を別々に運ぶとか、FH-70の導入時のヘリ輸送の失敗そのままじゃないですかヤダー。

          あと価格ですが
          令和元年→7両で51億円。1両が約7億2000万円
          令和2年→7両で47億円。1両が約6億7000万円
          なので、今年の調達で価格がまた下がるなら価格差も縮まってくるのではないかと。
          というか、いい加減に一括調達しろや

          9
        • きっど
        • 2022年 1月 19日

        >あえて不安を言うのであれば
        何故車台が輸入品なのか、そこが最大の不安ポイントですね
        部品の補給にしろ、国内軍事企業の保護面でも、国産化するのであれば全部国産化した方が好都合でしょうに

        2
          • ブルーピーコック
          • 2022年 1月 19日

          当初は国産だったらしいのですが、予算や開発期間の問題で、信頼と実績のMAN社製トラックHXシリーズ(19式はHX2の右ハンドル版)に決まったようです。
          HX3は装甲追加やデジタルステルス対応らしいですが、どうな感じでしょうかね

    • 破軍
    • 2022年 1月 19日

    >19式は舗装路面で撃てるという謎機能付き。
    別に謎でもないでしょ。地盤が安定して大型トラックが運用しやすい舗装駐車場も運用出来る。流石に高架橋上で射撃は出来ないだろうが、下に安定した地盤がある道ならどこからでも撃てるならば味方にとって射点確保の容易になり、敵にとっては撃たれる機会増大する訳だし。

    運用面積拡大と装輪で展開の容易さを考えたら、敵にとっては嫌らしい兵器だけど19式使う相手なんて現状正規軍でしかないから、射程距離内に入る前とかにUAVでサクッとやられそうな気はする。

    3
      • ブルーピーコック
      • 2022年 1月 19日

      敵UAVに関しては、参考にした清谷信一の記事でもそう書いてありましたけど、護衛用の車両や無人機を随伴すれば良いだけの話のような。砲の運用で手一杯な隊員に何故に自衛までやらせる必要があるのやら。

      8
        • 破軍
        • 2022年 1月 19日

        誰も特科単独運用なんて一言も書いてないのにどうして、そんなストーリーとして確定するのか。

        現状の自衛隊が出来る有効なUAV対策を上げてくださいよ、即応性があるIM-SHORADみたいな護衛用装輪対空車両どこにありますか?カウンターUAVはどこの部隊で運用してますか。

        今無いなら19式をまともに運用する時にはないでしょう。その時に魔法のようにそんなカウンタードローン体制が構築されてるんですか。

        5
          • ブルーピーコック
          • 2022年 1月 19日

          仮定の話をしたのは確かですが、自分も無人機対策が出来てる国があるなら知りたいですね。出来る所があるなら真似ればいいので。
          雛形がまだ無いからこそ、ロシアのサンシェードなど、どこもアレコレやっているのでは

          5
    • 破軍
    • 2022年 1月 20日

    輸送機への搭載に関しては単純に重量だけではなく接地面の重量も重要で16MCVとか単純計算で1輪3t以上、アーチャーなら単純計算で1輪5.5t。だが普通に考えたら後部の方が重いだろうから6t以上掛かると思うので床がもたないんじゃないかと。

    • バクー油田
    • 2022年 1月 20日

    ブラジルって何で軍があるの?
    いや、軍ぐらい持つのは当然としても
    仮想敵はどこになるのか分からん。
    アメリカ?それとも国内の反乱鎮圧用?

      • FF-X7
      • 2022年 1月 20日

      ご存知の通りブラジルは南米一の大国でして。
      面積は世界第5位、人口は2億1300万弱で世界第6位。数字だけ見ればもっと存在感があっていいはずの国ですね。
      仮想敵国は以前はアルゼンチンだったようですが、フォークランド紛争以降は「ほぼいない」状態のようです。
      詳しくはこちらをご覧ください。
      リンク

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