北米/南米関連

カナダはファイブアイズ拡張や日本加入に消極的、協定への署名だけでは不十分

カナダのサージャン国防相は日本のファイブアイズ加入について発言、ファイブアイズ構成国間で考え方に温度差があることを浮き彫りにした。

参考:Canadian defense minister talks fighter competition and geopolitics

ファイブアイズは単なる契約とは異なり、署名するだけで信頼で結ばれたグループの一員になれる訳ではない

カナダのハルジット・サージャン国防相はハリファックス市で開催された国際安全保障フォーラムに出席した際、米メディア「Defense News」の取材に対して幾つか興味深い発言を行なった。

1つ目は最近浮上したQuad(クアッド)と呼ばれる米日豪印の取り組みについてのカナダの見解と立場だ。

Defense Newsは「クアッドと呼ばれる米日豪印の取り組みについてカナダは何か役割を果たすつもりがあるのか?」と質問、これについてサージャン国防相は「クアッドが何を達成しようとしてるのか理解しており果たすべき役割の重要性についても知っているが、クアッドのみに注視するのではなく同盟国が協力してインド太平洋地域のパートナーをどの様に支援するのか考える必要がある」と語り、米日豪印によるクアッドよりも大きな枠組みで中国に対応すべきだと語った。

2つ目はカナダにとっての中国の脅威についてだ。

Defense Newsは「カナダにとっての中国の脅威は北極なのか?太平洋なのか?それとも経済なのか?」と質問、これについてサージャン国防相は第2次世界大戦後に予測不可能を排除するため国際的なルールに基づく秩序が設定されたが、中国は秩序から外れた「予測不可能性」を生み出すためカナダに脅威と懸念を与えていると説明した。

出典:US Embassy Canada / CC BY 2.0 2016年にハリファックス市で開催された国際安全保障フォーラムに出席したサージャン国防相

3つ目はファイブアイズへの日本加入についてだ。

Defense Newsは「ファイブアイズを拡大させる一貫として日本を加入させる案についてどう思うのか?」と質問、これについてサージャン国防相は非常に興味深い発言を行なった。

ファイブアイズとは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージランドの5ヶ国が締結した「UKUSA協定」のことを指しており、通信、電磁波、信号等を傍受する設備や盗聴情報を相互・共同利用するための協定だが、現在ではあらゆる問題を討議するためのフォーラム的な意味合いも帯びており、河野前防衛相がファイブアイズとの連携強化を言及して日本のファイブアイズ加入が噂されてきた部分だ。

出典:Public Domain UKUSA協定締結国

ハルジット・サージャン国防相はファイブアイズへの日本加入について賛成するとも反対するとも言及しなかったが、ファイブアイズというフレームワークについて「私達が結んでいる協定の中で最も信頼できるものの一つで、これは単なる契約とは異なり協定に署名するだけで信頼で結ばれたグループの一員になれる訳ではない。ファイブアイズに参加するには非常に厳格なセキュリティとガバナンスに関連する法律の整備が必要だ」と説明したが、ファイブアイズが他のパートナー国と協力関係を深めることについては否定しておらず議論の行方を見守ると言っている。

つまりサージャン国防相は5ヶ国で構成されたファイブアイズを拡張するのではなく、ファイブアイズと他のパートナー国が協力を深めるための取り組みを行うほうが混乱が少ないと考えているのだろう。

ファイブアイズの拡張や日本加入について英国は前向きな態度を示しているが、今回のサージャン国防相に対するインタビューからファイブアイズ構成国の全てが拡張や日本加入について前向きではないことを改めて浮き彫りにした格好だと言える。

 

※アイキャッチ画像の出典:米海軍 太平洋艦隊

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    カナダってアメリカの横にいるから入れてもらえてるだけで、ファイブアイズで一番いらん国だよな・・・

    15
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      こういう幼稚な発想やめません? 非常に見苦しいですよ。

      53
        • 匿名
        • 2020年 12月 02日

        カナダに対するやっかみはさておき、日米関係に続き、日英、日豪の関係も深化している

        これら三ヵ国がファイブアイズの中心的なら、我が国が遠くない将来においてファイブアイズに加盟するか、それに類する関係を結ぶことは十分に見込みのあることだと思う

        カナダはそれを見越した上で何かしらの思惑があるのではないだろうか

        15
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      ガバガバな日本よりは要るだろうな

      16
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      日本が極東の最前線で米海軍の第7艦隊を補う戦力としての役割を果たしてきたのと同様に、カナダは北米の最北端の防空を担ってきたんですよ。
      そうバカにしたもんでもないです。

      36
      • 匿名
      • 2020年 12月 03日

      対中国ってことで日本加入の話が出てるわけで、米英豪は日本ウェルカムな雰囲気なわけで、そうなるとカナダの存在感が薄くなっちゃうわけで、カナダとしては一言いっておきたいんだと思いますw

      5
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    特権は独占したいからね仕方ないね
    新規参入者は頑張ってもぎ取ろう

    19
      • 匿名
      • 2020年 12月 04日

      暗に「スパイ防止法つくって実際に運用する覚悟をしめせよ」っと言われてんでしょうね。

      4
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    個人的にも日本がファイブアイズに入るのは違和感がありますね。NATOの様な軍事同盟とは違い日本としてはハードルが低そうだけど、スパイ防止法の制定すら覚束ない現状、連携の強化が関の山でしょうか。

    35
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      スパイ防止法どころか、組織犯罪への対処すら甘すぎて米に怒られてる状況ですよ。情報・犯罪・金融において日本はガバガバです。

      25
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    日本の国内法整備が全くできていないことをカナダ側はよく把握されているということですね。
    確かに、日本がファイブアイズに駄々洩れによる迷惑を掛ける確率は100%だと思う。

    74
      • にわかミリオタ
      • 2020年 12月 02日

      同感です。

      16
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      特定秘密保護法で大分マシになったが、まだ不十分なので改正が必要だと思う。組織面なども整備しないと。
      しかし法令等整備しても英語圏の集まりではやはり浮いてしまうかも。

      17
        • 匿名
        • 2020年 12月 02日

        カナダにも当然あるスパイ防止法が日本にはないのですよね。
        そりゃあ心配されるのはわかります。

        14
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      その通りで、UKUSA協定の内容から言って情報管理に関する法制度の整備は必須である以上、今の儘では日本を入れるべきでは無いとするカナダ側の意見は傾聴に値する
      只、日本国内でこれらの法整備に関する議論を始めようとすると必ず、自称平和主義の左翼馬鹿が「戦争ガー」とか「軍靴の響きが聞こえる!」と叫び出すので、当面ファイブアイズへの加盟は困難と言わざるを得ないと思うのだが……

      44
        • 匿名
        • 2020年 12月 02日

        日本中の左翼が狂った様に大騒ぎする中で特定秘密保護法・平和安全法制を無事施行した安倍ちゃんはやはり偉大だったと思う。まだ不十分だけど…

        42
          • 匿名
          • 2020年 12月 02日

          安倍さんの場合は、北朝鮮や中国の脅威への対応と日米同盟の深化を進める必要性の存在と言う追い風が有ったとはいえ、よく特定秘密保護法や平和安全法制をまとめる事が出来たと思います
          只、此処から先が大変だと思いますけれど

          13
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    いやまぁ安全保障関係を中心とした国内法の整備をしないと加入は当然無理だろ

    23
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      そうだな、スパイ防止法もないのに入れてくれは虫がよすぎると思うわ
      国内法を5目国並に整備するのが先の話

      24
        • 匿名
        • 2020年 12月 02日

        とりあえず特定秘密保護法を改正して、特定秘密の探知・収集罪、外国への通報罪(最高は死刑か無期ぐらい)を新設しましょう。

        10
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    G7における日本とドイツのような立場か・・・。
    まぁ、仕方ないよね。

    7
    • にわかミリオタ
    • 2020年 12月 02日

    G7における日本とドイツのような立場かな・・・。
    まぁ、仕方ないよね。

    1
      • にわかミリオタ
      • 2020年 12月 02日

      2回コメントしてしまっています。
      申し訳ございません。

      3
      • にわかミリオタ
      • 2020年 12月 02日

      まったく関係ない話だが、F2後継機は、米英2ヶ国と協力するみたいだね。
      どちらかを決めるでは、自国主導ができないって声が自民党内でもあったらしいね。

      6
        • 匿名
        • 2020年 12月 02日

        本当はどっちかと腹を割った協力体制が作れりゃその方がいいんだけどね。
        どっちも大事なところで「最低限の協力」をしなかった前科があるから
        両天秤も止む無し。

        5
      • 匿名
      • 2020年 12月 02日

      君、コメント稼ぎかなんかだろ?
      ちょいちょい似た文面投稿してごめんってパターン化してるよ
      文章微妙に違うからダブクリって訳じゃないだろうし。

      2
        • にわかミリオタ
        • 2020年 12月 03日

        いえ、コメント稼ぎがよくわからないのですが、やましいことを思ってコメントしているのではありませんよ。
        匿名での投稿になってしまったので、少し修正してから再投稿した次第です。
        というより、今回がはじめてなのですが。

        6
    •  
    • 2020年 12月 02日

    ファイブアイズとは、アメリカが中東やどこかで戦争をするとなると、
    文句言いながらも一緒に従軍する国々で、(ベトナム戦争のイギリス不参戦とか例外はあるけど)
    日本は掃海活動とか燃料補給とか監視活動とかPKOとか、間接的な支援はするけど、
    一緒にはまず戦闘はしないでしょ。憲法的にも国民感情的にもあまり現実味が無い
    流石に日本に近い半島や台湾の有事なら、幾ばくか戦闘にも関与しようとなるかも知れないが。

    なので、ファイブアイズには対中とか対北の部門のみの、部分参加という形になるんではないでしょうか
    それだけでも日本の情報・安保・外交面での飛躍的進歩だと思うけどね

    21
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    機密保護法制の更なる強化は勿論、関連行政機関の体制整備や職員の意識も重要だと思う。それでも「ファイブアイズ」が「シックスアイズ」になるのは難しいかもしれないが、実質的な協力は深めよう。

    4
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    もしかしてG会議に対応し始めたのは、ファイブアイズに入るために大掃除を始めたから。
    と考えるのは流石に性急かな。

    5
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    まあ、入る必要もないし近しい位置にある国で十分でしょう。単なる友好国でも良いかもしれんレベル。
    権利は義務を伴うし、今の日本がアングロサクソンの価値観で動けるわけもなし。

    9
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    残当だよな。だって法整備してないもん。
    このまま仮に入れたとしても情報ダダ漏れでしょ。

    8
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    カナダ「ファイブアイズに参加するには非常に厳格なセキュリティとガバナンスに関連する法律の整備が必要だ」
    そうだ、だから日本はスパイ防止法が必要なのだ
    日本が自力で法整備できない腰抜けだから
    外圧に弱いという秘孔をファイブアイズがどついて
    仲間に入れるようにしてくれ、頼む!!

    12
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    普通に今のままでは不可能でしょう
    政、経、法、マスコミと満遍なくスパイがいるのに律する法が無いのだから

    8
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    インドの大臣かと思った

    1
      • 匿名
      • 2020年 12月 03日

      ホント、写真間違ってるのかと思ったよ。
      日本がグダグダなのは認めるけど、カナダも中国とズブズブなんだよな。
      ってゆうか、対中政策において国内足並みそろってるところ無し。
      すべてはこれからどう持っていくか。

      1
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    日本をファイブアイズに入れるってただのリップサービスだと思ってたけど
    カナダが真剣に受け止めすぎているだけでは?

    5
    • 匿名
    • 2020年 12月 02日

    カナダの態度を問う前に、そもそも日本にその意志と覚悟とそれに見合った法整備とを行う気があるのかを問うた方がいい
    未だに平和ぼけから抜け出せず、真剣に考慮すべき事柄をぼやかしたり先送りする政治家やそれを望む国民では、他国を説得することも出来ん

    17
    • 匿名
    • 2020年 12月 03日

    加入出来るほどファイブアイズって緩い繋がりじゃないと思うんだけどな
    あと日本の論外レベルの防諜網では参加することは厳しいと思う

    その手の法案から何から何まで全然整備されてないじゃないか

    6
    • 匿名
    • 2020年 12月 03日

    あくまでイギリスのリップサービスで真面目な話ではないと思ってた
    イギリスの関係国だらけのところに日本が入っても場違い感あるし
    国内の法整備の口実の一つとしてファイブアイズとの協力をアピールするのはいいと思うけどね

    4
      • 匿名
      • 2020年 12月 03日

      イギリスが国家戦略として日英関係強化をしている一環として進めている話だから信頼出来る
      イギリスはEU離脱後の国家の生き残りを極東のパートナーに求めた
      日英関係は安全保障と経済で急速に深まってる

      2
    • 匿名
    • 2020年 12月 03日

    そらそうでっしゃろ。
    日本が入れば、隣のどこぞの国が”入れろいれろ”と言い出すし、最後には”入れてくれると言った(気がする)”とか言い出すと相手にするのがめんどくさいし。

    2
      • 匿名
      • 2020年 12月 03日

      お約束の流れでそうなりまんな。そやけど、西側チームにコウモリ国家は入れられませんやろから、うちらも諦めたほうが世界平和のためでっせ

      1
    • 匿名
    • 2020年 12月 03日

    要するに日本の法整備をして話はそれからという亊だろ
    別に反対してる訳ではない

    4
    • 匿名
    • 2020年 12月 03日

    「ファイブアイズに入った」と言うことが重要ではなく、仮に入ったとしても、結局各国できる範囲で協力しあう形にならざるを得ないという、とても現実的な回答をしていると思います。
    日本の法整備に合わせて協力範囲も変わるだろうし、積み重ねた信頼関係に合わせて、同じく協力範囲も変わっていくと思います。
    日米豪英の関係者も、よくわかってるんじゃないですかね。

    日本がファイブアイズに入る入らない、の話がメディアで踊ったのは、多分に対中プロパガンダの意味合いが強いのでしょう。

    4
    • 匿名
    • 2020年 12月 03日

    中国の日本浸透工作が酷いので、裏舞台では当面はムリと言う結論は出ているでしょう。
    もっとも、日本の自立を阻害しているのは”彼ら”なんですから、この議論自体が茶番の
    ごときでもあります。むしろ、日本が自立を望むなら、ファイブアイズなど気にする
    必要もないのかもしれません。

    5
      • 匿名
      • 2020年 12月 04日

      ベトナムやモンゴル、インド等中国との緊張を強いられる諸国と独自の防衛情報ネットワークを形成する気概がないと、
      やがてかならず来る、安保の終了米軍撤退の日に対応できるはずがない

      1
    • 匿名
    • 2020年 12月 04日

    敗戦国日本、戦争アレルギーを植え付けられた結果自衛にすら拒否反応を起こすポンコツ国家になってしまうwwwww

    はぁ……

    1
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