アルゼンチンは老朽化した攻撃機A-4ARの後継機を巡ってロシアのMiG-35と中国のJF-17が競合する可能性があったのだが、英国がJF-17のアルゼンチン輸出を阻止するかもしれないと報じられている。
参考:Britain Could Block Pak-Chinese JF-17 Jet’s Sale to Argentina
英国がアルゼンチン輸出に動く? JF-17に採用されている英国製コンポーネントが射出座席だけならクリア可能
アルゼンチンは老朽化した攻撃機「A-4AR ファイティングホーク」を更新するため韓国航空宇宙産業が開発した軽戦闘攻撃機「FA-50 ファイティングイーグル」を8機~10機程度調達することを予定していたが、同機に採用されていたマーチンベーカー製の射出座席などが英国の武器禁輸措置(フォークランド紛争以降に英国がアルゼンチンに課した禁輸措置は現在も有効)に抵触するため輸出許可が得られなかった。

出典:Photo by ROKAF(2013)/ CC BY 2.0 FA-50 ファイティングイーグル
この問題についてアルゼンチンのロッシ国防相は「帝国的な傲慢さの現れだ」と英国を非難、韓国側は「今後も輸出許可問題を解決するための努力を行う」と述べたがアルゼンチンはA-4ARの後継機としてロシアにMiG-35導入(単座10機+複座2機)に関する見積もり依頼を正式、ここに中国が割り込みパキスタンと共同開発した戦闘機JF-17を提案しているらしいのだが問題はJF-17にもマーチンベーカー製の射出座席「PK16LE」が採用されている点だ。
要するに韓国のFA-50と同じように英国が禁輸措置を盾にアルゼンチンへの射出座席輸出を容認しなければJF-17の輸出に赤信号が点灯するという意味なのだが、中国は韓国とは異なり射出座席を国産化しているため英国の禁輸措置を回避してくるのではないかと管理人は予想している。

出典:Aldo Bidini / GFDL 1.2
中国はロシア製射出座席に依存していたが国産の射出座席「HTYシリーズ(HTY-1~HTY-8まで開発されHTY-3からゼロゼロ射出に対応しているらしい)」の開発に成功、Q-5やJ-7以降の中国軍機はほぼHTYシリーズの射出座席を採用しており、JF-17の射出座席を国産のHTYに置き換えるの非常に容易なはずだ。
では何故、JF-17に中国製のHTYシリーズではなくマーチンベーカー製の射出座席「PK16LE」が採用されているのかというと、中国がパキスタンに輸出したQ-5(輸出型はA-5)やJ-5(輸出型はFT-5)に搭載していた中国製射出座席(HTYのどのタイプなのか不明)が何度も緊急射出に失敗したためパキスタンは同機の射出座席をマーチンベーカー製のMk.10に換装した過去があり、中国と共同開発したJF-17も中国製のHTY-7かマーチンベーカー製のMk.16のどちらを採用するかで揉めたが結局同機を導入するパキスタン側の意見が通りMk.16(後のPK16LE)が採用されらしい。

出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17
つまりパキスタン空軍向けの機体にはマーチンベーカー製の「PK16LE」が採用されているが、これをアルゼンチンに輸出するなら当然FA-50の失敗を中国側も知っているので中国製のHTY-7に換装されたJF-17を提案しているはずで、逆にマーチンベーカー製の射出座席をそのままにしたオリジナルのJF-17の輸出を提案しているならアルゼンチンが門前払いしているだろう。
ただJF-17に射出座席以外の英国製コンポーネントが含まれていると話が変わってくる。
英国は韓国のFA-50以外にもF-16やグリペンのアルゼンチン輸出を英国製コンポーネントが含まれていることを理由に尽く阻止してきたので、JF-17も射出座席以外に英国製コンポーネントが含まれ中国製に置き換えられない場合は同じ運命を辿ることになるため西側企業が製造するコンポーネントを採用していないロシア製が唯一の選択肢になってしまう。
果たして中国のJF-17には射出座席以外にも英国製コンポーネントが含まれているのだろうか?
関連記事:韓国、武器禁輸措置に引っ掛りアルゼンチンへのFA-50輸出が頓挫
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※アイキャッチ画像の出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17
パキスタン向けとはいえ中国機に英国製部品使われてるとは知らなかった。
おフランスは中国にミサイル売ってるし割とフリーダム
リンク
ロールスロイススペイもライセンス生産しとるよ
中ソ対立の頃は、敵の敵は味方で中国と西側諸国の協力が進んだ
天安門でご破産になったが
天安門以降で盛んに中国と協力進めてきたのがエアバスユーロコプターを要するフランス、ガスタービン供給してるドイツ
やっぱり、ね。
ロシア製でも、今時はちょっとしたセンサーなんかに西側の部品を使っているかも。
かつてソ連は原潜建造に日本の工作機械を輸入してたよね
おかげで東芝がぶっ叩かれた
東芝は密輸だったが、冷戦終結後は多数の工作機械をスホーイやミグに供給してる
現在はどうか知らんが
なつかしい
内部告発した熊谷独って、現在ツィッターでハイキング中のドイツ人とよく会話すると皮肉られている熊谷徹と間違える
実際、戦闘機ではSu-35Sが一部の部品に西側製品を使っていた為に、クリミア併合問題に伴うウクライナと西側からの制裁で輸入が途絶えた事がある
只、その後はロシア製部品への切り替えが進んだので問題は解決されたけど
後、ロシアは輸出向けの兵器なら西側の部品を取り入れているケースが結構あるのでググって見ると面白いかも
ウクライナ絡みなら、T80が一時期使用不能になってたよね。
特にディーゼルエンジン装備のT-80UDは、ロシア軍では既に退役に追い込まれたと聞いています(ウクライナが部品代を釣り上げた為)
現在ロシア軍が使っている最新型のT-80BVMはガスタービンエンジンですが、これは北極圏で使用する場合ガスタービンの方が寒さに強くて始動性も良好で有る事が評価された結果だそうです
>何度も緊急射出に失敗したため…
って、凄く怖いね。
そりゃパキスタンもマーチンベーカー製の射出座席への感想を要求するわと
パキスタン側の対応も納得ですね
むしろ、中国が柔軟な対応をした点に驚きますけどね
パキスタンは中国にとって1番のお得意様なので、中国はパキスタンと兵器の共同開発をする際に、パキスタンの要求をちゃんと聞き入れていますよ。
まぁ、約50~60年前の機体(Q-5やJ-5)に搭載されていた射出座席のお話なので、今は流石に問題解決していると思いますけどね。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、って少し違うか。
やはり彼の国は執念があるな
阻止って、イギリスに実効性を伴う何が出来るのかな、
アルゼンチンには経済制裁?
中国には何も出来ないでしょ?
我が国で開発した部品である、と居直られたら、何か中国に圧迫をかけられるものがあるのかな?
それ国産化したって言えるのか?
仮想敵国にmig35配備される事態になるなら素直に練習機モドキ買わせてた方がよかったんじゃね?
全国産じゃなければ国産を名乗れないと?
他国産のコンポーネントを使うのがダメなら我が国も自国産戦闘機は開発できてないことになりますね
君は思考が短絡的過ぎる
何故この記事を読んで「戦闘機」の国産化だと思い込んだのか常識的に考えて「射手座席」のことだろう
そういうことでしたか
JF-17に外国産コンポーネントが含まれていたことでイギリスに輸出の妨害を食らうという記事です
私は全国産化し、他国の妨害を受けないものでなければ国産化したとは言えないんだと捉えました
あなたもだいぶ言葉が足りてなかったのを理解してください
「だろう」っつってるんだから上の人はコメ主とは別人だろ。
第三者として射出座席な話だと十分読み取れる、という意見だろう。私も同じ意見だ。
つまり
>あなたもだいぶ言葉が足りてなかったのを理解してください
足りないのは貴方の読解力の方だと思うよ。
FA-50ってマーチンベーカー製がダメなら、アメリカのグッドリッチ製にすればいいだけの話では?
モノにもよるが、同じ機体でも国ごとに射出座席が違っていたはずで、FA-50の輸出がOKならアメリカが射出座席だけ輸出できないとはないだろう。
イギリスの射出座席がやり玉に挙がっているけど、中身がキメラな装備、なおかつ制御するシステムの箱ははどこどこで、ソースコードが別の国とか複雑に絡んでいるから、どこかがが入っかかればそこだけこうすればいいと言うものではないのでは?
FA-50は射出座席以外にも降着装置や電子機器の幾つかを英国から輸入して使用しているから、マーチンベーカー製をグッドリッチ製に変更するだけでは済まないのよ。
あと簡単に変更すればいいだけというけど変更後の性能確認や実証テストの費用や手間を考えると少数導入だと変更コストが合わないじゃないの?
後半はともかく、前半はコメ主と同じ事言ってる様に見えるんだが。