中国軍は2月11日からシンガポールで開催される航空ショーに、新型コロナウイルスが猛威を振るう湖北省に拠点を置く部隊が含まれたデモンストレーションチームを派遣した。
中国の暴挙?新型コロナウイルスが猛威を振るう湖北省の部隊を海外へ派遣
シンガポールで開催される航空ショー参加のため中国軍のデモンストレーションチームが到着したが、デモンストレーションチームの機材や人員をシンガポールまで輸送したのは新型コロナウイルスが猛威を振るう湖北省に拠点を置く中国人民解放軍空軍第13輸送機師団所属の輸送機「Il-76」だ。

出典:Jim Gordon / CC BY 2.0
第13輸送機師団は武漢市を擁する湖北省に拠点を置いており、同機を運用しているのは湖北省の武漢市に駐屯する第38航空連隊と宜昌市に駐屯する第39航空連隊で、両市とも移動制限が行われている地域に該当する。
シンガポール国内で見つかった新型コロナウイルス感染者数は世界で3番目に多く、2月1日から過去14日の間に中国への渡航歴がある場合入国を禁止するなど厳しい措置をとっているにか関わらず感染者は増え続けており、航空ショーに参加を予定していた航空機メーカーや各国のデモンストレーションチームはウイルス感染を恐れて参加を見合わせている。
そもそも中国参加は主催者や利害関係者の事情によって直前まで公表されておらず、突然発表された中国軍参加の知らせにシンガポール国民や航空ショーに参加を予定している関係者は驚いている。主催者は派遣される中国軍の関係者には厳重な健康チェックや検温など予防措置が講じられ、シンガポール到着前に健康であることが確認済みだと話した。
中国が派遣するデモンストレーションチームは戦闘機「J-10」を装備した81飛行演技隊で、直前まで両政府間による協議が行われ最終的に中国軍参加が決まったらしい。
恐らく中国としては新型コロナウイルス感染拡大を避けるため航空ショー参加を取りやめるよりも、参加することで新型コロナウイルスの感染防止が適切に行われているところを世界に示したいという意図が透けて見えるが、シンガポールや中国以外の航空ショー参加関係者にとっては迷惑な話でしかない。
今の所、シンガポール航空ショーにF-22やF-35を派遣をする米空軍は辞退を表明していない。
※アイキャッチ画像の出典:Russian Ministry of Defence / CC BY 4.0 81飛行演技隊
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