露独立系メディアのМедузаは昨年「部分的動員には動員解除に関する具体的な期限が定められておらず、兵士の妻や親族は無期限動員に反対している」と報じていたが、AP通信は「ロシア当局は動員された男性を契約兵士と交代させろと要求するグループに『外国の工作員』というレッテルを貼った」と報じた。
参考:Wives of mobilized Russian soldiers hold rare protest at defense ministry demanding their return
この部分について騒がれるのはクレムリンにとって都合が悪いのだろう
ゼレンスキー大統領はロシア軍の侵攻に対応するため昨年2月24日に戒厳令を発令、この枠組みの中で動員している18歳~60歳までの男性は「60歳に達した者」「軍事医療委員会が医学的に不適合と判定した者」「裁判所から自由や権利の剥奪を伴う判決を下された者」「近親者を介護する必要性があると認められた者」「妊娠した者」などの特定条件に当てはまる者以外、基本的に動員解除が認められていない。
シンプルに言えば「動員されると五体満足の状態で家族の元にいつ帰れるのか分からない=手足を失うなど服務に適さない体にならないと動員が解除されない」という状況が続いており、ウクライナ各地では兵士の親族らが「他の人間が戦争に行く時が来た」「勝利の責任(負担)は平等であるべきだ」「軍人にも家族がいる」「1人だけで戦争に勝つことはできない」と訴えて動員解除を要求、ゼレンスキー大統領は不満の高まりを受けて対象者の復員(動員解除)を指示。
5月18日に発効した動員法改正案には当初「復員に関する規定=動員から36ヶ月間が経過した兵士の復員」が盛り込まれていたものの、この規定はシルスキー総司令官の要請で削除され、年末までに復員と動員を直接関連づけた新しい法律が制定される予定だが、どういった条件で動員された兵士の復員が認められるのかは分かっていない。
動員された兵士の復員はロシアでも問題になっており、ロシアの独立系メディアのМедузаは2023年11月「動員された人々の妻や親族は無期限動員に反対する嘆願書を発表し、国は戦争に動員された人々と家族に背を向けていると訴えた」と報じ、この話の内容を要約すると以下のようになる。
“プーチン大統領は2022年9月21日に部分的動員を発表して関連法令に署名、ショイグ国防相は10月28日に計画された動員が完了したと発表したが、プーチン大統領は動員終了に関する関連法令に署名していない。さらに部分的動員に関する関連法令には「動員解除」に関する具体的な期限が定められておらず、この動員で駆り出されたロシア人は事実上「戦争が終わるまで故郷に戻ることができない」という意味だ”
“ロシア下院のグルリョフ副議長は9月7日「特別軍事作戦のために動員された人々の交代は「新たな動員」が必要になるため実施しない。動員が続けば多くの人々を長期間訓練しなければならず重要な労働力を失うだろう。そのため契約軍人を募集している」と、カルタポロフ国防委員長も9月15日「動員された人々は特別軍事作戦が完了すれば帰国できるだろう。彼らにローテーション(動員解除のこと)の提供は想定しておらず、6ヶ月勤務する度に休暇(15日間)を取る権利がある」と述べた”
“動員開始から1年後(今年の9月頃)、戦争に駆り出されたロシア人の妻や親族は大規模な帰還要求(動員解除)を求めて活動を開始したものの、各地の集会開催は当局が拒否し、このような話題をネット上で議論していた女性の家には警察官がやってきた。彼らは動員された人々の帰還を求める嘆願書への署名と服務期間の設定を訴えており、この国を揺るがして政治的状況を不安定にすることには関心がない”
要するに部分的動員で駆り出されたロシア人は「ウクライナの動員」と同じ様に「服務期間」が未設定で、グルリョフ副議長もカルタポロフ国防委員長も「動員された人々は戦争が終わるまで帰国できない」と述べているため「新たな動員」が必要なローテーションを提供する気はなく、動員された人々の妻や親族が実質的な無期限動員に抗議しているものの「当局が活動を潰している」という意味だ。
この問題についてAP通信は4日「約20人の女性グルールがロシア国防省の前で座り込み、動員された夫や兵士の帰国を求める珍しい抗議活動を行った」「女性らはベロウソフ国防相との面会を求め、動員された男性を契約兵士と交代させて帰国させることや、帰国が実現するまで勤務時間に制限を設けるよう要求している」「この抗議活動を受けてロシア当局は当該グループに『外国の工作員』というレッテルを貼った」「この手法は反対意見を封じ込めるためクレムリンが用いる常套手段だ」と報じた。
女性グルールが求めている「動員された夫や兵士の帰国」は「部分的動員で招集されウクライナに送られた人々の動員解除」のことで、新たな動員を行わないなら「契約兵士と交代させて帰国させろ」という意味だが、ロシア当局は外国の工作員というレッテルを貼って抗議活動を潰そうとしているのだ。
義務的徴兵(年2回)で召集された新兵は国外作戦(特別軍事作戦が実施されている地域は徴兵者の勤務地域から除外)に派遣できないため、義務的徴兵を終えた人々を契約軍人として採用してウクライナに派遣しているが、この供給量は戦闘で発生する人的損失をカバーできても「部分的動員で招集された人々」を解放できる量ではなく、この部分について騒がれるのはクレムリンにとって都合が悪いのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
何処でも同じだなあ。
ウクライナが発表するロシア兵の損失が本当なら22年に動員された兵士の多くは棺か車椅子で帰国している筈なのだが?
実際のところ死んでたら知らせが来るのかな。
外国の工作員の旦那は生きていても、死体になって帰ってくるのがロシアしぐさな気もするから、逆に生きているのかな。
英国参謀総長によると、6月末でロシア軍の戦死・戦傷者は50万人になるらしい。
英国の二文字だけで
信ぴょう性が8割引くらいになりますね…
州によっては知事などが戦死者が出るたびに名前付きで発表して哀悼示していたりするそうなので戦死したら知らせが来ると思います
戦場で死者の数をカウントしてたら只の阿保やし
そんなもん、適当にでっち上げた数字やろ
実際問題として、自国の兵士が戦死か逃亡したのかも判断するのが難しい状況で、敵国の損失なんて調べようがないでしょうね。銃殺死体だけならいざ知らず、焼夷弾から爆撃、砲撃を受けた死体なんて欠損だらけで自軍の兵士か敵国の兵士か判断できない上、数える事もままならない。
戦死だと連絡を受けているウクライナ兵士(またはロシア兵士)の家族の元に、数年後にはひょっこり本人が戻ってきた、なんて話が報道されると私は考えてます。
敵が何人いて何人を死傷させたかは前線でも机上でも重要な情報で、精度は別としてカウント・推計しないことはありえないです。
動員解除(ローテーション化による一時帰国も含む)を拒絶する理由の一つがそれなのでは。
宇・露双方とも敵の損害たる死傷者数を誇張しているのは当然としても、ロシア兵の死傷者数はクレムリンが国内向けに発表している人数より恐らく多い
そこで動員兵達が一時帰国という事になれば、仰る通り大勢が「棺か車椅子で帰国」となるので損害規模を誤魔化し切れなくなり、反戦世論が盛り上がりますよね
気になったのは男性なのに妊娠した者?
都合の悪い人間に外国の工作員ってレッテル貼りは自分たちが普段から外国に工作しているからそういう発想になるんだな。
恐らくは一般的な退役要件から引用しただけでは?
ウクライナのように大問題にはなっていないものの、ロシア人も自分や親しい者が動員されるのは嫌がりますね…現在のところ小さな規模にとどまっていますが、拡大すれば特別軍事作戦の正当性にも関わる問題なので早く収束させるべきでしょうね。
鞭のみで抑えられはしないでしょう。飴、すなわち一部に対する動員解除を認めることも視野に入れるべきだと思います。勿論条件を厳しくしないと戦闘能力が下がってしまうので、あくまでも一例ですが軍需工場での労働、扶養家族の存在などを条件にして戦場から帰還を認めるというのはどうでしょうか。
不足する兵員は契約軍人や外国人傭兵で賄えば良いのでは。これも費用が必要なので財政規律の問題はまた出てきますが、優秀な中銀に頑張ってもらいましょう。契約軍人確保のための愛国心醸成の強化をするべきですね。
たぶんだけど部分動員で集められたのは短期訓練の志願兵では代わりの利かない将校や下士官や高技能の兵種(砲兵・戦車兵等)がメインだったんじゃないかな?
単なる歩兵の兵卒なら囚人兵でもいいわけだし。
将校や下士官や砲兵・戦車兵の経験者が民間に30万人もいるかなあ。
過去に徴兵された人が将校や下士官やってたとは思えないし、砲兵や戦車兵も徴兵された人間がやるかなあ。
この動員は、日本で言えば予備自衛官の人たちのことですよ。過去に軍に所属して経験を積んでおり,かつ、予備役として定期的に訓練を受けて登録しています。なので,囚人兵とは違ってかなり専門的な能力と技能を持っています。
そしてその性質上、下士官が多いので。たいていは現場を支える中心的人物になってますから、なかなか動員解除は難しいでしょうね。
日本のメディアに取り上げられた奥さんは、夫が軍の医療機関で働いてるそうでした
実際の戦闘にはプーチンさんは希望者以外は戦闘に参加させないと約束してるそうで
ロシアでこの問題が大きくならないのもそのせいと思います
拉致問題をNHKがクローズアップしてユーチューブに上げたら
コメントが大荒れで、急いでロシア側の損害状況を併設した動画に上げ直してましたから
公的な資料は知りませんが、私もそう思います。ベテランも多く、召集解除ができないのだと思います。
ロシアの動員というか、正確には予備役の召集は一昨年秋のこの30万人の1回だけです。これによってロシア軍側は、兵士の数が、ウクライナ軍の1/2から1/3程度に改善しました。
ただ、彼ら予備役は職業軍人扱いのようで、交代や契約兵のような期間がなく、非常に損をしている人たちです。不公平ですね。
動員の時のロシア側からの投稿動画とかで、家族に別れを告げるシーンとかは、意外に年配の人が多い感じでした。少佐とかの階級の人もいました。
この時に多くの別れの動画を見ましたが、そのうち何人が生きているのでしょうか。ウクライナ側の兵士もそうですが、日本にとっても一刻も早い停戦が望まれます。
このロシアの唯一の動員の時、ロシア側に近い情報では、工兵や建設関係のベテランが多いとのことでした。動員解除で戻った人の情報もありましたが、まだ戦っている人がいるので、一部なのか間違いかもしれません。
ウクライナ軍のザボリージヤでの大攻勢の時に1両で数両のウクライナ軍を撃破した戦車がありました。たまたまウクライナ側のドローンが撮影していて、外部に出てしまった例のやつです。その戦車兵のチームは勲章をもらいましたが、彼らは、この1回目の動員(召集)の人たちです。
2回目の召集はまだなく、1回目の人たちはずっと戦い続けています。ロシアは一般人の動員や追加召集はやっていません。できないのかもしれません。契約兵に頼っていますが、ロシア軍の兵力面ではそこからくる弱点はあると思います。
一般市民にとって、戦争は何のメリットもないですね。
政治家や上級国民、その子息も、まず前線に行かないでしょうから(イスラエルは珍しいのでしょうね)。
バイデンもトランプもベトナムに行ってないしな
ジョン・マケインはベトナムで捕虜になってたけど、大統領選挙で負けちゃったから。
まあ勝ち戦なら一般市民(兵士ではない)にもその恩恵が僅かながらも降ってくるかもしれませんが…
現場の下っ端兵士にはマジで戦争で良い事はないと思いますね。
特に現代は。
中世以前なら敵国の財産や女を奪って自分のものにするだのあったでしょうが、今はそんな事は不可能です。
勝ち戦でも流れ弾1発で死にますし、五体満足で帰れたとしても、精神的なショックや戦友を失う経験は、給料だけで貢献に答えていると言えるのかどうか…
ロッキードマーティン株持ってるけど毎月の飲み代になってるくらいには儲けてますよ
貴方も前線に行かれるのが良いと思います
最前線でも半年生き抜けば無罪放免のワグネルのフェアさが際立つなあ。
ワグネルの元囚人兵はプリゴジンはアフリカで生きてると信じてるらしい。
プリゴジンが帰国して招集をかけたらいつでも応じると。
どんな忠誠心なんだ!
案外情に厚かったのかもしれない
ウクライナでもドネツク世代と呼ばれる司令官たちは情の厚さが特徴らしく、その辺の人間性が無ければ兵をつなぎ留めれないのかも
プリゴジン、なんだかんだ前線に近い位置、現場近くにいた印象があるんですよね。
刑務所で、囚人に呼びかける姿も堂々としていたなと。
プリゴジンの息子が、ワグネルを引き継いだと言われいましたが、今どうなっているのでしょうね。
プーチン大統領が、パトルシェフ息子の重用、ボルトニコフ(FSB長官)息子の重用、エリツィン一族の保護などを見ていると、上手く取り込むのか気になっています。
アーサー王かな?
きっと近い将来、乱れたロシアを正すためにクルスクに乗ったプリゴジンが帰って来る
そう信じてるのかもしれません。
徹頭徹尾権力者の庇護下で繁栄してきた組織が、囚人の活用という政府の助けありきの策で好き放題してただけなので、比較対象としては不適切かと。ロシアのPMCという字面だけで既にフェアではありません。
私の毛根は動員解除されてご帰宅しています。
シェルショックで、毛髪が異常になっているようです…
新兵の補充がなさそう
再動員には応じてくれなさそう
招集された毛根達はバフムートへ派遣されました。帰ってきたのは空の育毛剤だけです
帰ってこない同胞を返せと抗議した毛根達も当局よって不毛の頭部へ動員されることでしょう
ロシアは動員兵30万人の待遇をあえて悪くすることによって志願兵を確保しているフシがある
実際ロシアのSNSやらでは動員されるくらいなら志願しようって話が広く言われてて、当局も志願兵が確保できているからと追加動員は行っていない
たぶん狙ってそういう世論を形成したんだと思う
返すということは戦死がバレる。返さなければまだ戦っているかもしれない。
そうでないと良いな。
このような権威主義な所は恐ロシアですね。ロシア女性は集まれば結構な影響力を持つのですが、まだ十分に醸造されてない感じがします。追加動員があと2,3回もされれば厳しくなると思いますが、だからこそ動員を広げず戻ってこれないと。
戦争を遂行する国にとって「戦争反対!!」みたいな自国民の声はくそほど邪魔くさいけど自分の夫や息子が車いすで帰ってくるか黒い箱に詰められて教会に贈られる可能性があると考えると反対もしたくなる。
レッテルというか外国メディアから取材費名目で金貰って、ロシアの外国の代理人法にひっかかっただけでは?
実際に戦っている兵士の家族の声を黙殺はおろか口を塞ぎにかかるとは、どんな愛国プロパガンダも空しく響きますね。
結局プーチン一派の都合だけで、国民も兵士もどうでもいいのでしょう。
「この手法は反対意見を封じこめるためクレムリンが用いる常套手段だ」
流石にロシアも今の時代自国民のマジョリティの一般人のデモ隊に発砲して皆殺しとかは無いか
プーチンはロシア帝国の前近代社会とは無縁だったしスターリンと違い戦争と政敵の暗殺はしても革命や内戦の経験は無いしそこらへんは線引きしてるのかな?
ロシアの独立系メディアメデゥーサって今ラトビアにあって外国の支援受けてからなあ。
外国の工作員呼ばわりされるのはしゃーないかと
朝日新聞が中国韓国に移って情報発信してるようなもんだし
外国の工作員は抗議活動してた人たちに向けたものでは?
自然発生的なものではなくて、外国から動員手当などが出されているとみているのでしょうね。
沖縄のデモみたいなものかと
なるほど。それでしたら一理はあります。わりとよく見る構図でもありますね。
外部支援があるからデモしてるのか、火種があるから外部支援が来たのかは判断難しいところですが。
どんな支援を受けたら国防省前での座り込みなんてやる気になるんですかね…
政府側の人間でさえ一人一人の身の安全を保証できないでしょう(忘れた頃にFSBが勝手に始末、みたいな話よくありますし)