ロシア関連

ロシアが追加発注した第4.5世代戦闘機「Su-35S」の中身はSu-57に近い?

ロシア国防省は25日、2015年12月に発注した50機全てのSu-35Sが空軍に引き渡されたと発表した。

参考:Минобороны получило многоцелевые истребители Су-35С

第4.5世代戦闘機で最も有能な戦闘機とも呼ばれるロシアのSu-35S

ロシアが開発した第4.5世代戦闘機「Su-35」はSu-27M(旧Su-35)をベースに開発された大型の多用途戦闘機でカナード翼の廃止、機体構成素材の変更、電波吸収材料の使用範囲を拡張することでレーダー反射断面積(RCS)がSu-27Mに比べて大きく低減、新たに採用されたPESA「イールビス-E(Irbis-E)」は最大400km離れた空中の目標を最大30目標まで同時追跡・最大8目標と同時に交戦することが可能で、合成開口モードを使用すれば地表の高解像度画像を取得することが出来るため地上目標の検出能力が飛躍的に向上(Su-27との比較)していると言われており非常に高い対地攻撃能力を備えていると推測されている。

ロシア空軍は今回の引き渡し完了を受けてSu-35Sを98機保有していることになるが、ロシア国防省は今年8月にSu-35Sを30機追加発注しているため最終的に128機まで増加する見込みだ。

因みにロシア国防省はSu-35Sの追加発注契約の規模は約700億ルーブル(約9億2,500万ドル)と言っているため、Su-35Sの調達コストは約3,000万ドル(約31億円:恐らく純粋な機体単価で関連費用は含まれていない)ということになるのだが、この追加発注分のSu-35Sは大きな変更が加えられると予想されており注目度が高い。

出典:Moose / stock.adobe.com

現在ロシアは第5世代戦闘機Su-57の量産機配備が始まったばかりだが飽くまで現在の量産機は「初期型」という位置づけで、この初期型をベースに大きな改良を施した「Su-57M」を開発中だ。このSu-57Mは2022年に初飛行を実施すると言われており、このプログラムの正式名称は「第二段階(セカンドステージ)Su-57」で開発関係者からは「Su-57M スーパースホーイ」と呼ばれている。

Su-35Sの追加発注分にはSu-57に採用されたN036ベルカレーダー複合体(機首と機首側面と主翼前縁外翼にアレイアンテナが計5つ搭載されている)やSu-57Mに搭載予定の新型エンジン「Izdeliye30もしくは派生型」が採用される可能性が高く、そうなると高度な防空システムで守られていない戦場環境下ではSu-57よりも効果的な働きを期待できるため米国のF-15EXと競合する存在なるかもしれない。

出典:ボーイングF-15EX

将来的にロシアの戦闘機ラインナップは第5世代戦闘機Su-57と第4.5世代戦闘機Su-35(+MiG-35)に集約されていくと思うので、Su-57とSu-35の違いは「ステルス」だけでアビオニクスやエンジンに関しては共通化していくことを考えているのだろう。

余談だがSu-35Sの調達コストが本当に3,000万ドル前後なら西側製第4.5世代戦闘機の半値ということになるが、機体の耐用年数が6,000飛行時間(30年)に設定されているため1万飛行時間を超えるF-15EXの半分という事になるので調達コスト的には一緒だとも言える。

ただ米国では戦闘機のメンテナンスコストは製造から15年経過すると毎年3%~7%づつ上昇していき、製造から30年経過すると大規模なオーバーホールもしくはアップグレードが必要になると計算されているため、長期間運用できる設計の機体の方が本当に経済的なのかは評価が別れる点だ。

現在米軍の装備更新や開発に資金が回らないのは長寿命化したレガシーウェポンの維持に資金が溶けているためで、米空軍がデジタル・センチュリーシリーズと呼ぶ新しい戦闘機の開発・製造・運用サイクルはロシア方式に近い考え方なのかもしれない。

補足:米空軍は次世代戦闘機開発の取り組みの一環として「デジタル・センチュリーシリーズ」と呼ばれる斬新な開発アプローチを主張しており、最も新しい戦闘機F-35Aのライフルサイクルは約50年(8,000飛行時間+)と言われているが、デジタル・センチュリーシリーズでは8年毎(以前は5年毎)に新しい戦闘機を購入して、16年毎に新しい戦闘機と交換していくサイクルを採用するため米空軍は毎年50~80機の戦闘機を購入し続ける必要があり、デジタル・センチュリーシリーズの戦闘機開発コストは25%、製造コストは18%増加してしまう。 しかしアップグレードコストは79%、維持コストは50%も削減することが出来るためライフルサイクルコスト全体で見れば約10%費用を節約することが出来るらしい。

関連記事:露メディア曰く、第5.5世代戦闘機相当の新型戦闘機「Su-57M」開発完了
関連記事:露Su-57Mに採用予定の新型エンジン、F135を超える推力性能を実現か?
関連記事:米空軍、次世代戦闘機のプロトタイプを製造して試験飛行中だと明かす
関連記事:米国が中国に勝利する条件、新技術開発のためレガシーウェポンの破棄

 

※アイキャッチ画像の出典:Dmitry Terekhov / CC BY-SA 2.0

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    平時ならば訓練で年間200時間前後飛べばの意識なら寿命30年、30年後の軍と空なんて誰も正確に予測できてないから充分でしょう
    我が国でもJRが車両の寿命半分、価格半分を掲げて更新を進めたが、別に鉄ヲタ以外からは苦情もないw
    ロシア思考に軍配

    14
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      ぶっちゃけ、F-4やF-15系が頑丈過ぎて長寿命だったから、アメリカや日本を含む欧米諸国が勘違いしただけの気もする

      17
        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        その2機は性能的にも時代を超えてたし、拡張する余裕も十分ありますし本当に例外的な存在ですね。
        普通ならとっくに陳腐化して「性能寿命」を迎えるはずが、なんだかんだ使えてしまうから、
        高額な一時金を要する買い替えに踏み切れず延命・維持にズルズル金を注ぎ込んでしまう。

        8
          • 匿名
          • 2020年 11月 27日

          というか、F15をここまで酷使する流れは予想できなかった。
          まあ冷戦終了、経済の停滞だの背景はいろいろあったが、正統派後継機と思われてたF22が門外不出扱いになり、しかもF35他、新思考のステルス開発が思いのほか手間取って遅れまくりで延命を強いられたもんな

          15
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      まだ209系の設計コンセプト誤解してる人っているんだな。あれは「従来車両の半分の経年で廃車しても、減価償却ができる」という意味であって、「車両自体の耐用年数」が短いわけではない。
      ちょっとぐらい調べてから物言ったらどうだ

      4
        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        鉄がきた(笑)そういうヲタはまかせるよ

        3
        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        調べるもなにも、そんな209系統のみの話題でなく、JRグループの方針として新幹線から通勤車両まで更新サイクル短くしてるのを、鉄ちゃんなら知ってるよね(笑)

        6
        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        鉄道車両の減価償却は13年では。
        一般車両は30~40年、新幹線は20年で廃棄しているので、14年以上使用できれば償却は終わっているのだが、他人を罵ってまで興奮するポイントはどこなんだろう?

        11
          • 匿名
          • 2020年 11月 27日

          そう、だから鉄ヲタは反社会扱いされて疎まれる
          熱意のはき違え

          15
        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        走ルンですとか言って馬鹿にしていた鉄オタさん、一般人に対してはこの対応ですよ。
        ※つか別に寿命半分、価格半分って間違ってないんだけど、、コンセプトの捉え方の話なだけで。

        3
        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        落ち着けよ鉄屑

        2
        • 匿名
        • 2020年 11月 28日

        現実にJRは寿命前でも次々と車両更新してるじゃん、一体誰に不満で熱くなるのか、君たち鉄屑の熱意にはついていけないよ
        これから君らを209って呼ぶからね

        1
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    >ただ米国では戦闘機のメンテナンスコストは製造から15年経過すると毎年3%~7%づつ上昇していき
    自動車税ならぬ飛行機税か

    1
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    Su-57のアビオニクスってそんなに優れてるのかな?
    F-35が大量の輸出契約締結と生産が進んでる中、輸出ゼロでロシア本国ですら調達が進まず、訳のわからない改良型がいきなり出てきて個人的にSu-57にあまりいいイメージが持てない

    2
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    つまりKFXが世界一という事ですね。

      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      座布団ぜんぶ没収
      立ってなさい

      30
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      飛ばない戦闘機部門第一位でいかがか。

      4
      • 第88独立狙撃旅団
      • 2020年 11月 27日

      「などと言っております、同志スターリン」
      「なるほどシベリア送りだ」

      14
      • 匿名
      • 2020年 11月 28日

      確かに撃墜されませんから最強ですよね。
      飛べずに。

      2
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    フランカーとイーグルどっちもいいよなぁ

    12
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      フランカーは優美で、イーグルは力強さを感じる。

      19
        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        両機に対する表現に100%賛同

        5
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    ~30年後~

    Su-35M「定年なので退役します」
    ロシア空軍「お疲れ様でした!」

    デジセン「もうすぐ退役です、余生は砂漠でゆっくりします」
    米空軍「もうちょっとだけ頑張ってね!」

    B-52「あのぉ」
    米空軍「お前はまだ働け」
    B-52「(´;ω;`)」

    17
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      B52とTu95は空の高齢化の象徴だよ、老兵は死なずと持ち上げていいものか

      2
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      ロシアの事だから姿かたちの似たSu-35の名を受け継ぐなにかが空を飛んでいるだろうよ

      1
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    おそロシアって感じやな(小並

    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    翼端にあんなミサイル?みたいなのを付けてステルス性は落ちないのかな、すべてにおおらかなロシアだからOKなのだろうか。
    それと高機動中はエアインテークの下の扉が開いて空気を取り込む構造なのは初めて見た。
    ロシア機のエンジンは相変わらずIzdeliye30系か、日本もこの先当分はXF9だろうけど。

      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      Su-35だからそこまでステルス性能は考えていないのだろう
      一応、アメリカ製のF-5とFA-18にも翼端の位置にサイドワインダーを取り付ける位置がある

        • 匿名
        • 2020年 11月 27日

        F-2もAAM-3つけてなかったっけかな

    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    ミグの霊圧が…消えた…?
    調達されるのはスホーイばかりじゃないか

    3
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      そりゃま魂魄自体が無くなってるのに霊圧もクソあったもんじゃないでしょう…

      6
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    大型双発機はその分耐久性も助長性も長く広い。
    大型のノーズは大型、大出力化するレーダーにも対応できる。大は小を兼ねる状態。
    大出力のエンジンはそれに応える発電力も持っているから最新鋭装備も積める。
    ただ、Su57のアビオニクス関連のレベルについて個人的に疑問に思っていて、F35程のものでは無い。
    エンジン開発が上手く行っていない事と合わせると「Su35SにはSu57と同じ装備が」と言うよりも、その逆の「Su57にはSu35Sと同様のものしか積めない」のではないかと。
    侮れと言うことではないけども、露空軍の懐事情も察するところがあるのかな

    4
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    動画でイズベスチヤの人が鞭振り回しながら話してて草

    1
    • 2020年 11月 28日

    余談だがSu-35Sの調達コストが本当に3,000万ドル前後なら西側製第4.5世代戦闘機の半値ということになるが、機体の耐用年数が6,000飛行時間
    ↑経済制裁でルーブル暴落したからドル表記だと低くなるだけ。
    あとユーロファイターの寿命は1500時間だからユーロファイターよりは四倍の寿命がある。

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