ベラルーシのルカシェンコ大統領はAP通信のインタビューに対して「ウクライナでの戦いがここまで長引くとは思っていなかった」と語り注目を集めている。
参考:The AP Interview: Belarus admits Russia’s war ‘drags on’
我々は米国のようにウクライナと海を隔てている訳ではないので、隣国に対する核兵器の使用は受け入れられない
ベラルーシのルカシェンコ大統領は当初、ベラルーシとロシアとの対等な連合国家創設を目指して当時のエリツィン大統領と「ベラルーシ・ロシア連合国家創設条約」を締結、自ら連合国家の最高執行機関にあたる「最高国家会議」の議長に就任して両国の最高指導者に登りつめようとしたのだが、後任のプーチン大統領は対等な連合国家創設ではなく「ベラルーシの併合」を示唆した発言を繰り返したため両国の関係は悪化。
ロシアはベラルーシに供給していた天然ガスの価格を吊り上げるなど圧力を加えることで併合案受け入れを迫ったが、ルカシェンコ大統領は「両国の連合は対等な条件でのみ可能だ」と反発、最悪西側への陣営鞍替えも示唆するなど抵抗を見せていたものの2020年の大統領選挙で再選が危うくなるとロシアに協力を要請、結局プーチン大統領の後ろ盾で大統領選挙を切り抜けたルカシェンコ大統領はロシアの言いなりになってしまう。
因みに2020年の大統領選挙に関してウクライナの諜報機関が興味深い事実を最近公開しており、プーチン大統領はルカシェンコ大統領が再選に失敗して親欧米政権が誕生した場合に備え「ベラルーシ侵攻作戦」を用意していたらしい。
簡単に言うと共同軍事演習を名目にベラルーシ国内へロシア軍を派遣、所定の位置に配備が完了すると一斉にベラルーシの主要都市を抑えて国を乗っ取り親露政権を樹立するというもので「ルカシェンコ大統領が再選に成功したため作戦は実行に移されることはなかった」とウクライナの諜報機関は主張している。
少々話が脱線したがルカシェンコ大統領は「政権維持のためロシアの後ろ盾を失う訳にはいかない」という事情と「プーチン大統領の言いなりにはなりたくない」という事情があり、ロシアが主張するウクライナでの軍事作戦を支持、作戦に参加するロシア軍部隊のベラルーシ領の通過、国内の基地使用、ロシア軍兵士に対する医療提供などを行っているものの戦い自体への参戦は拒否していたが、AP通信のインタビューに対して興味深い内容の発言を行った。
ウクライナでの軍事作戦にさほど詳しくはないと前置きした上でルカシェンコ大統領は「ここまでロシアの軍事作戦が長引くとは思っていなかった。我々は米国のようにウクライナと海を隔てている訳ではないので、隣国に対する核兵器の使用は受け入れられない」と述べており、ロシアが核兵器を使用するかどうかについては「プーチンに聞いてくれ」と語っている。
さらにルカシェンコ大統領は「我々は戦争を防ぐためあらゆる手段を尽くしてきたし、現在も両国に対して停戦を呼びかけている。ウクライナとロシアの交渉は我々の仲介のもとで始まった」と主張して、ロシアの協力者ではなくウクライナとロシアの間をとりもつ「ピースメイカー」としての役割をアピールしているのが興味深い。
プーチン大統領と会談した際は「もしロシアが行動(ウクライナでの特別な軍事作戦)していなかったら数日後に我々は大損害を被るところだった。ウクライナはドンバスへの攻撃準備だけでなくベラルーシ攻撃の準備していたのだ。ベラルーシ人とロシア人は何が正しくて何が間違っているのか、誰が本当のことを言っているのか少しづつ理解し始めた。プーチン大統領はウクライナでの軍事作戦に踏み切ったことを誰にも言い訳する必要ない」と強烈なロシア支持をアピールするので正に風見鶏だ。
ただAP通信に対して「今回の戦いはウクライナがロシアを挑発(NATO加盟)したの原因でベラルーシの平和に役立っている」とも強調しており、ルカシェンコ大統領の置かれた微妙な立場をよく表している内容と言えるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:kremlin.ru
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まあ、ベラルーシからしたら核使われたら、絶対の自国にも被害が出るのでそれはやめてほしいということなんでしょう。
というより、ロシアがウクライナへ核攻撃を実施したら、その報復が必要になる
その報復先の最有力候補はベラルーシ
大国のそばにある国ってまじでろくな目にあわないね
結論から言えばルカシェンコは
内戦や戦争にベラルーシ国民が巻き込まれるのを防いでる
ウクライナが終わったところで引退して民主化すれば真の愛国者だろう
>ウクライナはドンバスへの攻撃準備だけでなくベラルーシ攻撃の準備していたのだ。
何言ってんのかさっぱりわからん。ウクライナが東部取り返そうするのはともかく、ベラルーシなんかにちょっかい出すメリットは何だというのか。
東部奪還で在ベラルーシ駐留ロシア軍がいたらそりゃ攻略するために(ついでに)ぶんなぐるよねっていう話しでは?
すげえ狸爺だぜこいつ?
要はロシアに対して、助けてくれてありがとう、としか言ってないですからね。それで自軍をウクライナに送らないで済んでいるんですから、中々狡猾だなと。
まあ一歩間違えればウクライナみたいに焦土にされかねないから、中々の胆力だと思いますが。
ロシア軍がウクライナで溶けるを歓迎している部分もあるかも?
ベラルーシ併合の余力が失われる訳ですから。
ある意味、ウクライナ様様ですね。
一応、ロシア軍基地の設置を断ったりはしてるから…
ただ、その後、自らの権力保護を理由に独裁化した結果、欧米との関係が悪化した結果
ロシアに接近するしかなかったという事情もある
欧米との対立化したためにロシアに接近するしかなかったけど、その理由は結局は、ルカシェンコの自分勝手な理由からきてるから、同情もできないけども
言うほど狸でもない。すっごいわかりやすい
スペインのフランコっぽい
ただフランコよりはドジでちょっと愛嬌がある感じ
ルカシェンコの他に、トカエフもフランコっぽい
プーチンより年上なので彼に対して上から目線で喋るとか。
ついでに身長も高い。
こんな変わり身してたら、今回の戦争で当初プーチンがゼレさんに対して画策したように
拉致or暗殺されて強制的に傀儡政権へすげ替えられそうになる懸念はないのだろうか…
織田信長と同盟していた頃の徳川家康みたいに、実態は家臣だけど建前上は対等って状態なんじゃないですかね。
直近に敵(NATO, ウクライナ)がいるので、ある程度言うことを聞いてる間は、そのままにしておいたほうが安心といえば安心ですから。
全然血が通ってなさそうなプーチンと違って、このおっさん(ルカちゃん)結構好きだから止めてほしい…
以前日本メディアのインタビューに答えた時もそうですが、頼まれれば西側だろうと愛想よく引き受けるらしいんですよね。ロシア入国禁止になった渡邉恒雄と似たタイプらしく案外長生きするのではなんて思ってます
とっとと引退して天下って趣味のアイスホッケーとか、出身畑の農業機械関連あたりの団体の理事長か名誉会長にでも収まってれば良かったのになあ、とは思う。
独裁者が椅子を降りないのは、権力を手放した瞬間にお礼参りが来ると分かってるからなんだ……
そう思うと損な生き様だな、独裁者って。何でみんななりたがるんだろうね。権力の味ってそんなに美味しいのかなあ。
独裁とは違うけど、
文在寅大統領が最後に検察捜査権を剝奪する法律を強行採決したのも、似たような理由なのでしょうね。
コイツより都合よく使える駒があるなら大統領選の時点ですげ替えてりゃよかった訳だからね。
肝のところで逆らわなければ多少表でピーピー囀るくらいは許容範囲なのかと。
どちらかと言えば今回の侵略にベラルーシ軍が不参加を貫けているのが一番の驚きだと思うんですが、それは多分ルカシェンコの政治手腕とかではなくて「ベラルーシからベラルーシ軍が居なくなったら今度こそベラルーシは民主化してしまう」という危機感をルカシェンコとプーチンが共有しているって事なんですよね。
2020年のベラルーシ制圧作戦計画が今回のウクライナ侵攻作戦のたたき台になってたりするんですかね。国内での共同演習の部分を国境地域での動員演習に置き換えたらかなり似通った陣立てになりますし。
他の記事で触れられていましたが、ナチスの進軍時に、ベラルーシは完全に蹂躙されたので「戦争は悲惨」と言うイメージなのに対し、ロシアではモスクワで止めたので「戦争は栄光」というイメージでズレがあり、両国の好戦性はかなり開きがあると言われていますね。
ベラルーシ国民の今回の戦争のイメージはかなり悪いらしく、ロシア軍に対するサボタージュやウクライナ側への義勇兵の参戦もあり、ルカシェンコが正式にロシア軍側で参戦しようものなら反政府運動がいよいよ本格化し、ロシア軍が鎮圧に向かおうとしても出す軍がないので止められないと言う綱渡りな状況に見えます。
「ロシアの後ろ盾が欲しい」はあくまでルカシェンコ個人のためであって、自らの保身のために国をロシアに売り渡したルカシェンコはベラルーシで極めて不人気だそうですね。軍部のクーデーター未遂もあったようだし、ベラルーシ軍もウクライナに参戦しろしろなんて言ったら今度こそ本当にクーデターが起きるのでできないのでしょう。
ルカシェンコの支持率3%ですからね
近頃、ロシアも悪いがウクライナも悪い。プーチンも大概だがゼレンスキーも危険人物だ、と喧嘩両成敗みたいな論調に無理矢理持っていこうとする試みが見られ、不快であると同時に注意が必要だなと。日本人わりとこういう論調に弱いというか賛同しがちな印象があるので。
しかし、左の人も右の人も二極化した構図がイヤですね。反米・反欧のカウンターがいつも親露・親中ばかり(あるいはその逆)になるのが。他に第3の選択肢がないのかと。
南米の反米左翼の国もそうだし、欧州の反EU右翼の政党も、だいたい向かう先は親露・親中の姿勢です。対する姿勢は親米・親欧の路線しかない。ベラルーシもウクライナもそう。永遠に2つの選択肢の間で引っ張り凧。
>日本人わりとこういう論調に弱いというか賛同しがちな印象があるので。
喧嘩両成敗な歴史がそれなりに長いですからね。
忠臣蔵とか、それが口実になってたし。
そうはいっても、中途半端は危険ですぜ。インドなんて核がなかったら、中パに押し込まれても誰も助けてくれないべ。
またそれ以外の国は金払いが良ければ何処だって良くて、問題は隣国関係ですから、そう云う意味では第三の選択肢かもしれない。
ただ日本で第三の選択肢なんてやったら日中戦争•太平洋戦争の二の舞いですぜ。
ロシア軍に領内から600発以上、ロケット、ミサイル撃たせておいて中立なんか成り立たない。
核はともかくとしても、ピースメーカーとか片腹痛い。
ベラルーシの立場が難しすぎるってのもあるし侵攻計画があったように
こいつじゃなくても誰かが結局はベラルーシの土地を貸してた結果には変わりないんだろうな
そう考えると戦後の責任はルカシェンコに擦り付けれるし、弱体化したロシアの横やりなくスムーズに民主化できるわけで
結果的に自国民の血を流さず責任も回避と国としてはおそらく一番マシなルートを辿ってると思う
大国の隣の小国、東西の通路、民主主義が機能していない、しかも自身は民衆にも軍隊にも人気なし。ベリーハードモードの中よくやってると思いますね。
問題はそれがベラルーシ国民にとっての幸福かどうか、未だ予断を許さないことですかね。
ウクライナ侵略の片棒担いだ責任をすべてかぶって処刑されるという大役が残ってるから
その日まで元気でいてね
この狸ジイは悪ではあるけど邪悪ではないといいう評価かなぁ
プーチンは今回の侵攻で邪悪サイドに行ったけどな
プーチンから説明された当初の作戦計画が完全に頓挫してる上に長期化は不可避な情勢と見てるんでしょう。
今後ロシアに全寄りするのはリスクが高いと判断し、当面は戦況がどちらに転んでも自身とベラルーシの立場をこれ以上悪化させたくない意図の表れでしょうか。
ロシア側に立った理由をウクライナに押し付けてるわけですが、後々状況によっては臆面も無く誤情報による誤解だったてな言い訳をやりかねない。強かに戦後の身の振り方を考えているのかもしれません。
経済制裁とEUのエネルギー依存脱却政策が大に効果を発揮する事態になればロシアの弱体化は誰の目にも明らか。一方で戦後も欧米の支援を受けるだろうウクライナの復興と軍事力強化は自然な流れかと。プーチンロシアによる圧力もかなり緩和され、ベラルーシは欧米融和策に転換するかもです。
とはいえルカシェンコ体制が温存されたままだとWW2後のスペインのように白眼視されるのは不可避だよな