ロシア関連

ロシア、第6世代戦闘機の開発はスホーイやミグでなくUACが担当

ロシア通信(RIAノーボスチ)は16日、ロシアの第6世代戦闘機やMiG-31の後継機と言われている「MiG-41」について触れた興味深い内容の記事を報じている。

参考:Илья Тарасенко: истребитель 6 поколения “МиГ” и “Сухой” создадут вместе

ロシアの第6世代戦闘機はスホーイやミグではなく露航空産業界の力を集結して開発

ロシアはスホーイ(Sukhoi)やミグ(MiG)と言った国内主要な航空機メーカーを国営企業「統一航空機製造会社(UAC)」に統合して開発や製造の効率化を進めており、今年初めMiGの最高経営責任者(CEO)イリヤ・タラセンコ氏がスホーイの代表も兼任することになり両設計局が合併するのではないかと噂されていた。

しかし、ロシア通信のインタビューに応じたイリヤ・タラセンコ氏はスホーイとミグを合併して新しい統一された設計局にするつもりはなく、UACの下で両設計局は互いの技術や経験を共有しながら今後も発展し続けると説明したが、第6世代戦闘機の開発に関してはスホーイやミグが単独で開発を担当するのではなく「UAC軍事航空部門」が開発を担当することになると明らかにして注目を集めている。

出典:Anna Zvereva / CC BY-SA 2.0

要するに、統一航空機製造会社に統合されたベリエフ、イリューシン、イルクート、スホーイ、ミグ、ツポレフ、ヤコヴレフ等の設計局が力を結集して第6世代戦闘機の開発を行うという意味だが、具体的にいつ開発するのかなどロシアの第6世代戦闘機については謎が多く、飽くまで噂レベルだが宇宙空間でも飛行を可能にするため水素エンジンに注目しているらしい。

補足:ソ連時代に開発したTu-155は液体水素を使用するエンジン「NK-88」を搭載して試験を繰り返した事があり、実用化までには至らなかったが同エンジンの開発経験やデーターが極超音速エンジンの開発の生かされてるらしい。

さらにイリヤ・タラセンコ氏は「PAK DP:遠距離迎撃将来航空複合体」の開発にも触れ、MiG-41と呼ばれている新しい迎撃機はMiG-31に基づいて開発されるだろうと明かした。このMiG-41と呼ばれる迎撃戦闘機の性能については諸説あるための何とも言えないが、概ねMiG-31の高速性能や高高度性能を受け継いだステルス機として開発され極超音速ミサイルを搭載して運用されると予想されている。

出典:Alex Beltyukov – RuSpotters Team / CC BY-SA 3.0 MiG-31BM

管理人的に特に注目したいのはイリヤ・タラセンコ氏がスホーイとミグの「ブランド力」に触れた点だ。

彼はスホーイとミグの知名度は世界中で確立されており、両設計局を合併することで新しいブランドを作るのはビジネス的にマイナスになるだけで不要だと考えている。そのためスホーイとミグはUACの下で事実上の合併状態と言えるが、形式上だけでも両設計局を残した形にして旧ソ連から引き継いだブランド力を保持するつもりなのだろう。

以上のことから現在のロシアの航空機開発は、オールロシアの下で進められていると考えて間違いなさそうだ。

ロシアの次世代防空システム「S-500」のコストは約8億ドルか?

余談だが、もう間もなく海外市場に投入されると噂されているロシアの次世代防空システム「S-500プロメテウス」のコストについて興味深い情報が出てきた。

ロシアの次世代防空システム「S-500」はS-400の後継ではなく、どちらかと言うと長距離迎撃用途に開発された防空システムで大型で高価な早期警戒機を遠距離から迎撃したり、弾道ミサイルの迎撃や低軌道の衛星を破壊する用途に向いておりS-400とは相互補完の関係にある。

出典:Dmitriy Fomin / CC BY-NC-ND 2.0

そのため海外市場では米国の防空システム「サード」と競合すると見られており、S-500のコストに関心が集まっていた。

露メディアは17日、次世代防空システム「S-500」の1ユニット(構成内容は不明)辺りのコストが7~8億ドルになると報じており、1ユニット辺り数十億ドルと言われている防空システム「サード」よりも安価であると主張している。

果たして、この情報が真実なのかは不明だが、そもそも1ユニットあたりの構成内容(レーダーやミサイルランチャーが幾つで構成されているのか)が不明なので米国のサードと単純比較するのは困難だ。さらに最近の防空システムはパトリオットやサードといったユニット毎に独立して運用することはなくなり、全ての防空システムを接続して一つの巨大な防空網として運用されるので1ユニットあたりの価格を比較しても無意味になってきた。

ただ次世代防空システム「S-500」が8億ドル(約800億円)というのはセールス的にパンチ力があるので、弾道ミサイルに対する防衛を検討している中東やアフリカの国には魅力的に映るだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:Anna Zvereva / CC BY-SA 2.0

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 7月 18日

    そもそもですが、ロシアが考える「第6世代戦闘機」の条件(要件)は何でしょうね?
    日本、アメリカ、ロシアの戦闘機記事で第6世代戦闘機に触れることが増えておりますが、具体的な性能・機能は手の内を明かせないので機密の扱いかもしれまん。大変興味があります。

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      ロシアもオホトニク等の無人機を開発している様に、無人機との連携は必須かと

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      機体の性能の向上はこれまでの延長にしかならないので、自分はAIを用いた機体外への機能拡張だと思います。それは無人機も含まれますし、他にもドローンやもしかしたら海上の小型無人船なども繋がってくるかもしれません。今戦闘機のこれ以上の機能向上を阻んでいるのは、他でもなくパイロットの肉体的、頭脳的な限界ですから。

    • 匿名
    • 2020年 7月 18日

    金かけて開発する程、高高度を飛行する迎撃機って今更ニーズが有るのかな?

    第6世代戦闘機の定義もまだハッキリ決まっていないよね…

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      高高度からマッハ3以上で飛ぶ大陸間弾道ミサイルを戦闘機に搭載し運用する戦術がトレンドになるかも知れない今、
      それを警戒できる高高度迎撃機の製作は仮に第6世代では無いとしても大きく間違ってはいないと思います。
      量産まではしなくても造れるというだけで強みになるかと。

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      「宇宙空間でも飛行可能」を言葉半分としても、高度40kmだの50kmだのと言った高空を自由に飛行できるとすれば、普通に戦闘機として相当にいやらしい存在だと思うけど。

    • 匿名
    • 2020年 7月 18日

    この前スホーイの新型が開発完了したばかりだがもう次か
    よく開発予算が出るものだ

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      日本の次期戦闘機だって、XF9エンジンの試作などで高高度高速戦闘能力を重視することが触れられているのでね
      そもそも、ステルス能力や極超音速兵器自体、現状の早期警戒防空体制を高高度から突破する為の物だし

    • 匿名
    • 2020年 7月 18日

    米空軍のデジタルセンチュリーシリーズの様に複数機種で構成されるが故の選択かもしれませんね。

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      なんだか、壮大なビジョンを打ち出したりせず地道に改良した新モデルを投入しつ、旧モデルの保守を切って世代交代させるロシア版「デジタルセンチュリー構想」みたいになったりして

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      デジタルセンチューリー構想は戦闘機そのものではなく、戦闘機の周辺に展開する無人機やドローン、各種ミサイルなどに適用されるべきだと思います。第6世代戦闘機は間違いなく機体外への機能拡張が必須になりますから、F-35を中心に据え、それこそ手を変え品を変え攻め手を膨大に増やすことが相手の対応力を飽和させることになるでしょう。

    • 匿名
    • 2020年 7月 18日

    ロシアは次々と新型機や改良機を出してくるけど西側は動きが遅すぎる、ぎかいや予算に縛られない国は楽だな。
    F-3でも無知蒙昧な財務省が細ごまとしたことに口を出してくるんだろう。
    予算枠だけ確保して後は防衛省にフリーハンドでやらせれば開発もずっと早く出来るはず、完成後に報告書を出すんじゃだめなのか?

    • 匿名
    • 2020年 7月 18日

    超高高度を極超音速で航行するなら薄い酸化剤でも燃焼できる水素燃料でしょうかね。
    MiG-41の用途を考えるにマッチしていない気がします。

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