ロシアの無人航空機開発の一翼を担っているクロンシュタットのセルゲイ・ボガチコフCEO(最高経営責任者)は20日、謎に包まれていた小型の多用途無人航空機「ライトニング」について興味深い情報を明かした。
参考:Сергей Богатиков: рой ударных беспилотников планируется базировать на Ил-76
小型の多用途無人航空機「ライトニング」の主な用途は敵の防空システムを突破、大型輸送機Il-76による大量運用も視野に
国営通信のRIAノーボスチのインタビューに応じたクロンシュタットのセルゲイ・ボガチコフCEOは小型無人航空機「ライトニング」、トルコのバイラクタルTB2に対抗するため開発した中型無人航空機「オリオン」、新型の無人航空機「シリウス」について興味深い情報を明かした。
まず小型UAV「ライトニング」はSu-57のウェポンベイにも複数機搭載できるほど機体サイズ(全長約1.5m×主翼展開時の全幅1.2m/モックアップの数値)が小さく、モジュール式のユニットを交換することで複数の任務(偵察・監視、レーザー照準器を使用した精密誘導兵器の誘導、カミカゼドローンと呼ばれる自爆攻撃、囮役など)に対応できるプラットフォームだと予想されていたが、ボガチコフCEOの説明にればライトニングは「最近発表された新型戦闘機チェックメイトや大型輸送機Il-76からの運用も可能で群れ(スウォーム)制御によって敵の防空システムを突破することが主な用途だ」と明かした。
高度で高価な現代の防空システムは高価な迎撃弾を使用して空中の脅威を排除できるが、ボガチコフCEOは「対処能力の飽和こそ防空システムの最も脆弱な部分で100のターゲットに同時対応できる準備が出来ていれば100以下のターゲットに上手く対応できるが、仮に1,000のターゲットが同時に提示されれば対処能力は直ぐに飽和して機能しなくなる」と主張しているため、比較的小規模な防空システムにはSu-57やチェックメイトなどでライトニングを運搬、大規模な防空システムを突破するには大量のライトニングをIl-76で運搬することを考えているのだろう。
さらに興味深いのは「米国が開発を進めている空中回収に対応したグレムリンと同じように空中回収のオプション開発にも取り組んでいる」とボガチコフCEOが言及している点で、恐らく偵察・監視やレーザー照準器を使用した精密誘導兵器の誘導に使用するライトニングは空中回収され再使用することを考えているのかもしれない。
※GA-ASIが開発中のUAV空中回収方法
トルコのバイラクタルTB2に対抗するため開発した中型無人航空機「オリオン」については「同機のオプションには強力な電子装置があり迎撃ミサイルを無効化したり、地上の味方のために敵システムの妨害にも使用することができる」とボガチコフCEOは主張しており、オリオンは海外市場で競合するバイラクタルTB2よりも圧倒的にAI制御による自律運用能力が優れていて「大げさに言えばオリオンのオペレーターは画面に表示される情報を眺めてYESかNOのボタンを押すだけでいい」とまで言っている。
最後に開発が進められている新型の無人航空機「シリウス」についてボガチコフCEOは「双発機の衛星通信に対応した機体で将来的に有人機との協調=エア・チーミングに対応することを視野に入れて開発を行っている」と語り、調達コストや兵站への負担に配慮してシリウスの地上管制装置や搭載品はオリオンと共通化する計画らしい。
以上がクロンシュタットのCEOが明かした無人航空機の開発状況で、UAV開発で先行する国(米国、中国、イスラエル、トルコ)に遅れをとっていたロシアもUAVの種類やサイズ(オルラン10/30、エルロン10、タキオン、ライトニング、オリオン、シリウス、オホートニクなど)がようやく揃ってきたと言えるだろう。
但し、エア・チーミングに対応した無人戦闘機の開発だけは世界で最も実用化に近いのでロシアの兵器開発能力は依然として侮れない。
関連記事:ロシアも戦闘機に小型無人航空機を統合、Su-57のウェポンベイにライトニングUAVを搭載か
関連記事:ロシア、TB2キラーと名付けられた無人航空機「オリオン-E」の海外売り込みを開始
※アイキャッチ画像の出典:ロシア国防省 小型の多用途無人航空機「ライトニング」
チェックメイトのPVにも出てたね
防空システムを突破する最も単純な手は対処不可能な数で圧倒する事ですからね。
また飽和攻撃か
回収方法が面白い
これからいろいろな方法が出てくるだろうな
曳航索による回収というアイデア自体はさして目新しくはないですが、
策のキャッチ方法がなかなか簡素かつ洗練されてる感じですね。
ナチスドイツのV-1みたいな町工場でも作れるような単純な兵器の大量運用で相手の防空システムを飽和無力化するアイデアって誰でも一度は思いつくよね
思いつきが具現する時代になってしまいました
しかも味方でない側に
空中発射デコイはイスラエルアメリカでとっくに実用化され、百発単位で湾岸戦争に投入されとるよ
大量のデコイによる威嚇や欺瞞は紀元前からあるからね。
これやV-1の場合はデコイではなく無視できないレベルの攻撃力を備えてるので話が全然違うかと。
アメリカイスラエルには対応するuavは既にあるやん
コメ主じゃないから断言はできんが、
問題は西と東のどっちが先か、じゃなくて
「日本の敵が嫌な思いつきを具現化した」事が
問題なんだと思うけど。
問題、がかぶった。前の「問題は」無しで。
日本も普通に「防空システムの破綻を狙う」とか言えるようにならんとな
逆に日本側としては飽和攻撃は嫌ですね
本邦は弾薬調達、予備弾が少ないのが常にネックなので
結局、目に見える戦力の頭数は揃えても、それを支える兵站面で厚みが無いのです
だからこそ近年日本でもようやく敵攻撃設備に対する先制攻撃について議論されるようになったわけだからね
敵基地攻撃能力に付いては議論されていると思いますけど、先制攻撃の議論なんてありましたっけ?
P500・800系列のミサイル編隊運用に実績が有るロシアなら無人機編隊運用・開発も難しくない。非武装空域や無人地域の監視・偵察に向いた機材だと思う。
専守防衛に固執して先制攻撃の手段を持てなくなった日本はもう終わりやね😕
先制攻撃って正気かね?
敵地攻撃と区別ついて無さそう
先制攻撃ガーな人達の言説に惑わされてるか
そもそもその手の人なのか。
理想は防衛の為の先制攻撃だからなあ
やられる前に潰すのが一番こちらの被害は少ない
良い悪いはともかくアメリカロシア中国諸々…皆イチャモンつけた上で先制攻撃ばかりしてる訳で
そしてそれを日本が出来ないのも事実
まあ何も分かってないよな
先制攻撃が何たるかを
戦争行為自体が国際法違反でなんで先制攻撃など全く持ってナンセンス
アメリカが行っているのは大体に於いて国連決議に基づく武力行使
領土係争はグレー、ただし係争地以外への拡大は制裁必至とか
ゲームくらいにしか思ってないだろ?
ついでに先制的自衛権という言葉も知らなさそうだ
専守防衛を貫くならレーザー兵器かレールガンが何であれ
格安なランニングコストで遠距離から確実に仕留める兵器の開発待ったなしやね
攻撃隊の露払いとしてレーダーを攪乱するためなら、
もっと単純に長距離誘導ミサイルによる飽和攻撃でいいのでは?
ミサイルだと速すぎるのか?
戦場認識能力が高くないと移動する弾道ミサイル発射源とかに当たらん。
日本の場合、ミサイルのセンサーを利用する案も自衛隊で研究してたね。
徘徊兵器とか攻撃型ドローンとか言うと、憲法ガーって奴が出てくるし。
リンク
これに出てくる、ヘルファイヤに羽をつけて飛ばしとくような、、、っていう局地戦と、こことの話は別やね?
もっと規模の広いケースですね?