ロシア軍にとって安全地帯と考えられていたルハンシク市内の機械工場で爆発が発生、この爆発は何からのミサイル攻撃によるものだと言われているが、爆発現場周辺で米国製のADM-160の残骸が見つかっているのが非常に興味深い。
参考:Fragments of American decoy missile ADM-160 found in central Lugansk – agency
ルハンシクに対する攻撃はウクライナ軍の反攻作戦に関連した動きの一つである可能性が高い
これまでウクライナ軍の手が届かない安全地帯と考えられていたルハンシクの機械工場で爆発が発生、この爆発は何からのミサイル攻撃(ストームシャドウやGromだと主張する声があるもの確証はない)によるものらしいのだが、米国製ADM-160の残骸が見つかっているのが非常に興味深い。
Forgot to say.
US bait rocket ADM-160 has been found nearby 👀 pic.twitter.com/9qU9PAhdEf— Angry Cossack (@auto_glam) May 12, 2023
米空軍の空中発射式デコイミサイル「ADM-160MALD」はレーダ電波の反射波を増幅させる装置(アクティブ・レーダー・エンハンサー)を搭載し、あらゆる航空機の偽反射信号をシミュレートすることができ、航空機や巡航ミサイルと併用すると敵防空システムのセンサーは「本物の目標」と「偽の目標=ADM-160」と区別がつなくなり、防空シールドを貫通して目標に到達しやすくなるというシロモノだ。
しかし米国はADM-160のウクライナ提供を発表していないため大きな注目を集めている。

出典:U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. Samara Taylo ADM-160MALD
ADM-160Bの推定作動範囲は約900km(A型は460km以上)なのでルハンシクの機械工場に十分到達できるのだが、問題はウクライナ軍が何で攻撃したかだろう。
推定前線までHIMARSを近づければGMLRS弾で機械工場をギリギリ狙えなくもないが、ウクライナには150km先の目標を攻撃可能な「Vilkha-M」の改良バージョン、360km先の目標を攻撃可能な「ネプチューン」の対地バージョン、500km先の目標を攻撃可能な戦術弾道ミサイル「Grom-2」を準備中で、国防安保委員会のダニロフ氏は先月「ウクルオボロンプロムは新型兵器の開発やテストに従事しており、何らかの兵器のテストが行われるなら我々の領土で実施されるため、新型兵器のテストがクリミアで実施される可能性を否定できない」と述べている。

出典:GoogleMap
さらに英国が提供を発表した「ストーム・シャドウ」も既にウクライナへ到着している可能性が高く、噂されている攻撃手段が本当に準備されているなら選択肢は豊富で、クリミア大橋を破壊できる可能性があるストーム・シャドウ(鉄筋コンクリート製の建造物に対する破壊力を期待できるBROACHタンデム弾を搭載)を機械工場の攻撃に使用する可能性は低いと思われる。
因みに米軍の高官は「ウクライナ軍は待望の反攻作戦に向けてシェーピング(司令部、弾薬庫、砲兵システムなどを事前に破壊する地ならし的な戦術)を開始した」と明かしているため、ルハンシクに対する攻撃は反攻作戦に関連した動きである可能性が高い。
When you get this kind of cloud formation out of a detonation, something big went up.
Considering reports are saying this was a Geran-2/Shahed-136 drone, that is far larger than the warhead it can conceivably carry. https://t.co/rna5xoqbhR pic.twitter.com/jh17XfBMQ3
— Fennec_Radar (@RadarFennec) May 13, 2023
Holy hell… Khmelnitsky, Ukraine pic.twitter.com/d3hzUR8bwQ
— ayden (@squatsons) May 13, 2023
追記:13日にロシア軍の攻撃がウクライナ西部のフメリニツキーに着弾、大きな爆発が複数回確認されており、攻撃を受けたのは弾薬工場だと言われているが本当かどうかは不明だ。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Celeste Zuniga
ADM160のスノコ上のストレーキは機動性アップのために見えるが実際どの程度の効果か不明
昔はロシア製空対空ミサイルにも同様の機構があったが、最近は見かけない気がする
グリッドフィンと呼ばれる格子状の制御翼ですね
R-77などのAAMやロシア系弾道ミサイルに使われていて、大きさの割に効きが良いとかなんとか
民間でもスペースエックスの再利用出来る1段ロケットが着陸時に使ってたりしますね
小さい舵で正確に制御してるのを見ると効率いいんだなーと実感させられる
単純に面積辺りの舵面積が大きい訳ですから操舵効果は大きいでしょう。
ただ一方で構造上RCSは大きいでしょうし、遷音速域以上では造波抵抗源になりそうです。
だから超音速ミサイルであるR-77ではやめたんでしょうけど、ギリギリ遷音速のデコイミサイルであればメリットがデメリットを上回ったんじゃないでしょうか。
ルハンシクやベルゴロドまで攻撃の対象になり得る展開で、どこが反転攻勢の舞台になるか予測は不可能です。
重要なのは、今はウクライナが戦場を決めるイニシアティブを持っていると言う事実ですね。
3か月前に「ベラルーシから再度、侵攻してくるのでは」と言われた時、ウクライナは少なからぬ戦力をキーウ防衛に割く必要がありましたが、今はその何倍もの負担をロシアに強いている状況です。
このまま、決して焦ることなく念入りにロシア軍の防御の穴を探し、最小限の犠牲で最大の戦果を得られるよう願います。
やり方から見て、外した結果とは思えないので。
目標となった機械工場(?)では、何を作っていたのだろう。
占領地(?)の工場で、ロシア軍は何をしていたのかな。
気になります。
この手のデコイは湾岸戦争のF-117によるバグダッド爆撃時に活躍したイメージがある
後で判明するようにステルス機も無敵でも何でもないからデコイで対応側に負荷かけて攪乱するわけだ
しばらく対称戦がなかったから活躍の場が無かったけどロシアには効果大だろう
一方プーチンはト〇ンプとか保守強硬派を応援してアメリカをデフォルトに追い込もうとしてるのではないでしょうか
トランプ一味もアメリカが混乱したほうが利益になりそうですし
偽反射波を作るためにも、日頃のELINTが大切なんですね
レーダースクリーンに大量の国籍不明機が出現すると思うと胸熱
供与を公言されてない兵器がロシア領空を飛んでたなんて不思議だなー
どこからかエスコートジャマーも現れてくれないかなーチラッチラ
40年前のフォークランド紛争の時はエゲレスが御フランス産の”飛魚”にショックを受けて、今度は恐ロシアがアゾフ海に吹き荒れる”嵐の影”に怯える番になるとは。
どちらにも衝撃を与える仏さんは良いのか悪いのか?
ADM-160とフランスに関係があるのでしょうか?
分かり難くてスミマセン。ADM-160の話しでは無く、記事の下の方に書いてあるストームシャドウ(英仏共同開発)に関するハナシでした。
以前、ウクライナ軍に供与されたAGM-88 HARMが、思ったよりも戦果を上げていないという話がありました。
ジャンルとしてロシア製兵器がアメリカ等の西側兵器より優れているものとして挙げられることが多いのが、S-300、S-400、S-500の長距離対空ミサイルなんですよね。
HARMがいまいち効果的では無いとしても、それでアメリカが引き下がるわけが無いだろうという説は、それなりの人が唱えていました。
ウクライナにF-16等の西側航空機が供与されていないにしても、アメリカ軍の戦略は圧倒的な航空優勢を基盤にしていることが多いため、ロシア製対空兵器に優越性を与えるわけにはいきませんからね。
今回投入されたADM-160Bは、そんなロシア製(もちろん中国製も)対空兵器用に開発されたジャミング用飛翔体であり、実戦投入(それも供与という形で)が確認されたことは非常に興味深い。
あらゆる戦場は兵器の実験場でもありますが、各国がどのような兵器を投入しているかは、次の戦争に備えるためにも(特に対中国)重要と言えるでしょう。
西側陣営で1番データーを持っているIDFがこっそりとSAMハントでウクライナ軍を技術支援していると興味深いのですが、今回は米軍が全面に出ているのでありえないでしょうね…
兵器は運用次第
s300はTB2や自爆無人機にここ数年多数撃破されてる
S200でF16を撃墜したこともある
日本も川崎の無人標的機送るべきじゃね?
あれみ事実上のデコイ弾だし
地発型もあるからプラットフォームにも困らないし
何よりも武器じゃないから今すぐ送れる
露のS-300と相打ち出来たら儲けモンだろ
いいねぇ。ウクライナの民間施設や生活インフラを守る「防空訓練」のため、と言う名目で。
ウクライナ軍が防空訓練を「(国際社会が認めるウクライナ国内の)どこで」実施しようが日本は知ったこっちゃないしね。