独立系の露調査メディア「Агентство」は27日、DMG MORIは「ロシアからの撤退」「ウリヤノフスク工場の操業停止」を発表したにも関わらず、操業を続けて露軍需産業や制裁下の露企業に製品を売り続けていると報じている。
参考:Российский ВПК продолжил получать немецкие станки после начала войны
ロシアでの活動を継続して同国の軍事的潜在力を支援しているという理由で国際的な戦争支援リスト入り
ロシア人ジャーナリストのロマン・バダニン氏が立ち上げた独立系調査メディア「Агентство」は27日、2022年3月にDMG MORI(DMG森精機)は「ロシアからの撤退」と「ウリヤノフスク工場の操業停止」を発表したものの「現在も操業を続けてロシアの軍需産業や企業に製品を売り続けている」と報じている。
DMG MORIは2015年にロシアのウリヤノフスク州に工場を建設、主な顧客にはロシアの軍需産業企業(ロステック傘下のユナイテッド・エアクラフトとユナイテッド・エンジン)が名を連ねており、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まると「ロシアからの撤退」と「ウリヤノフスク工場の操業停止」を2022年3月14日に発表したらしいのだが、Агентствоは「そのようなことは一切起こらなかった。DMG MORIのロシア法人=DMG MORI RUS LLCとUlyanovsk Machine-Tool Plant LLCは所有者(ドイツのDMG MORIに雇用されたロシア人が代表者)を変更することなく操業を続けて最低でも200台の工作機械を組み立てた」と指摘。
さらにDMG MORI RUSは子会社を通じてウリヤノフスク工場が組み立てた工作機械、中国企業やインド企業から調達した工作機械や部品を「ロシアの軍需産業企業」や「欧米の制裁下にある露企業」に販売して利益を上げており、Агентствоは「DMG MORI RUSの親会社=DMG MORIは我々の質問に無回答を貫いた」と報じている。
因みにウクライナ当局は9月20日、ロシアでの活動を継続して同国の軍事的潜在力を支援しているという理由で「国際的な戦争支援リスト」にDMG MORIを登録したが、ウリヤノフスク工場は傘下企業のGILDEMEISTER Beteiligungen GmbHに所有権があるため、リストに登録されたDMG MORIは「ドイツ企業」と表示されている。
さらに英国人弁護士は「2022年2月以降もDMG MORIがロシアで活動しているという事実だけで制裁に違反していることにならない。重要なのは同社がロシアで何をしているかで、もしDMG MORI RUSがDMG MORIの管理下にあり、軍事向けの最終製品や技術の輸入を続けているのであればドイツのDMG MORIは規則に違反していることになる。もしDMG MORI RUSが制裁下にある組織や企業に直接もしくは間接的に製品を販売しても規則に違反する」と指摘し、この様な行為は「ドイツで犯罪行為だ」と付け加えた。
追記:ウクライナメディアも「世界最大の工作機械メーカーがロシアの軍需産業をどのように支援しているのか暴露された」と報じ始めている。
関連記事:116社の西側企業、ウクライナ侵攻直前まで露防衛産業企業に製品提供
※アイキャッチ画像の出典:public domain
ランセット自爆ドローンの製造に、日本のファナックと韓国のヒュンダイの産業機械が使われていると8/5にDEFENSE EXPRESS誌が既に報じている。
我が国の産業機械の技術がロシアの軍需製造に使用されている事実はもっと広く共有され、重く受け止められるべきだろう。
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ファナックは、そもそも世界シェアの高い会社ですから、いつ・どこから・どの製品が使われているのかという事でしょうかね。
自爆ドローンに使えるくらい、コスト競争力と正確性を兼ね備えている優秀な機械ということでしょうか?(数値制御ならある程度の国の物なら使えるような…。)
例えば、スコップは庭の園芸に使うのに優秀な道具ですが、塹壕を作るのにも使える道具であるというような話の気がするんですよね。
ファナックは、そもそも世界シェアの高い会社ですから、いつ・どこから・どの製品が使われているのかという事でしょうかね。
自爆ドローンに使えるくらい、コスト競争力と正確性を兼ね備えている優秀な機械ということでしょうか?(数値制御ならある程度の国の物なら使えるような…。)
例えば、スコップは庭の園芸に使うのに優秀な道具ですが、塹壕を作るのにも使える道具であるというような話の気がするんですよね。
かつての東芝やダイキンのようなココム違反的な事例なのか、北朝鮮の平壌兵器製造所(元は東京砲兵工廠の所属)のように遺産を再稼働させたのかは、詳しくは続報か捜査が無い限りは実態が分からないでしょうね。
連帯責任は避けられないにしろ、森精機側が指示or黙認していたという事態になるのは勘弁してほしいものですが
半導体製造でも最重要の製造装置である露光装置を中国へ輸出しててさらに伸ばすのを当て込んでいるニコンもいるよなあと思ったけど、ニコンとDMG森精機って業務提携してるんですよね。
たまたまかもしれませんし、いまだ確定した事実として対露支援と認めるほど明らかな情報とは思っていませんが、ああお前らそういう仲なんだねって見えてきちゃう。
ちなみにニコンにとって一番強力な半導体露光装置であるArF液浸半導体露光装置は、中国企業SMEEが同じくArF液浸のものを今年内にも発売するかと報じられています。これも中国についての報道なんで不確定感が強く、どこまで行けているのかあるいは思った以上の成果を挙げているのか何とも言えませんが。しかし本当に中国がArF液浸半導体露光装置の国産化に成功しているのなら、重要製品を一時売って利益を稼いでも遠からず同等製品を作られさらには抜かされるというパターンに当てはまってしまいます。
ArF露光装置は今後売れない装置なので、EUV露光装置を作れなかったニコンは主要プレイヤーではないです。
EUVの露光や反射板含め中核の光学やアセンブリは幸い米欧企業のため、ニコンの制裁違反は技術的な問題はないところです。
20工程以上ある半導体製造の工程で露光で7nmをやれてたとしても、無駄金が多くなってるだけです。
スパコンなど最先端半導体に使えないだけで波長の広い露光機の需要は旺盛みたいですよ
比較的枯れてるだけに米の安保を理由とした制裁からは逃げやすいけど、中国の猛追もすごいというなかなか難しいところ
EUV露光機はF-22やNGADみたいなもので、強力ではあるけどそれで全てをまかなうことは現状無理ですね。
F-16への需要が旺盛なだけでなく4~4.5世代機の新規開発すら行われているのと同じく、EUV以前の半導体露光装置への投資は旺盛です。
F-35のプロセッサ更新の話題は先日このブログでありましたが、これまではPowerG4で、今度はARM資産を使いTSMCによる6nmプロセス製造適用製品に更新ということです。
しかし6nmだとArF液浸のマルチパターニングで製造なんとかなる範囲ですし、効率が悪くとも戦闘機に載せる量は作れるでしょう。
だいたい、我々が普段電子機器を使っていて「これはEUVによって作ったプロセッサを使っているな」と実感できるような差は無く、兵器ではさらに古いプロセスを適用するものなのでArF液浸を中国が製造装置から国産化するのに危機感を覚えないのは鈍いと思います。
ハイエンドだけ見て語ってる人って本当に社会生活営んでいるのか疑問に思うことがあります。世の中見渡してもこんな古い技術がいまだ現役どころか新規製品としてまとめられて発売されているのかということが多々あります。
これは仰る通りです。
最新のiPhone、mac、その他スマホPC関連が多いでしょうかね。
小型化が必要な物、高速演算が必要な物は、省電力と高速化の両立が求められます。
モーターなど、他で電力を多く食う物がある場合、最新の微細化技術競争が、それ程重要にはなりません。
(テスラは例外ですね)
むしろ、枯れた技術の方が、コスト競争力や信頼性で優位だったりします。
それはずっと前から言われて共有されてますよ
ただ今回のは現地事務所・工場を動かし続けるという悪質なものだけど、ARM Chinaの例(現地社長が中国の法令に必須な印鑑を持ち出したためARM本社の統率を受けなくなった)もあるから続報を待つしかなさそう
*日本政府はちゃんと調査するよろし
別にロシアだけで無くFANUCは西側軍需企業ですら見かけるメジャーな物なので、それがどうしたとしか。それ言うなら中国ですら使われていそうだが。
FANUCが無ければ物が作れない訳では無いし、最悪は人海戦術でもいける。FANUCが駄目ならスピードが落ちようが別のメーカーの選択肢はあるし手作業とかで効率や歩留まりが悪いなら力任せの対応すれば良いだけ。超精密な製品を作っている訳で来ないだろうし、たかだか産業ロボットの輸出云々とかで対応出来るのは効率だけの話でしか無い。
FANUCロボットの作業スピードや耐久性は値段だけの事はあるので製造に関してはプラスである事は間違いない。
工場は止まっていても「アフターサービス」に問題があるということですかね…
故障したパーツを修理・販売し続けたり、他社製の代替品を見つけてくるようなことをしているのかもしれない。
ウーン…過去の報道と元記事を見比べると、そもそも撤退なんてしていなくてただ「縮小」しただけと言えば概ね説明はつくんだけど「工作機械200台を組み立てた」というАгентствоの独自情報が謎。
2022年3月3日”時点では”工場従業員を休業していて、5月中に解雇。言葉遊びみたいだけど、例えば3月4日から5月末までの最大3ヶ月弱操業できた可能性が…?
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DMG森精機は、ロシア従業員270人を解雇しているようですね。
工作機械の組み立て工場の約200人と、モスクワにある販売・サービス拠点の約70人です。
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疑問が3点ありまして。
(1)誰が工場を動かしているのか→全員、解雇されている
(2)誰が何を仕入れ・出荷したのか→日本からの出荷は止まっている
(3)ロシア事業は年間70億円程度しかない→在庫・半製品を200台分も置いていたのか?
200台もの工作機械の部品・半製品が、置きっぱなしだったとなると、やや疑い深く感じています。
解雇されたロシア人が、勝手に中国やインドから仕入れてやったというのなら、納得感はありますが…。
いち早く従業員を解雇して撤退したのは偽装だったのかね。もしくは工場の所有者であるギルデマイスター側の独断なのか。
ボストーク通信を訳したらしいJSNの古い記事だと『ブランド名を「DMG森精機」に統合したが、工場はギルデマイスターの100%子会社である』らしいが
調べても森精機とギルデマイスターが経営統合してるのは分かるんですが、
どこまで元ギルデマイスターの子会社に対して実際の指揮権持ててるのか分からないですね
日経の株価は堅調なようだけど、ドイツの会社が制裁対象だと空売りしても火傷するだけか・・・
マスメディアに改めて意見を送ったり、ど素人さんの地元議員に連絡して直接会い、DMGの不正を指摘するのは良いと思います。
あまり行儀は良くないですが、空売りするなら火元があるならしっかり燃やしてから空売りするのが良いです。
この工作機械も同じだと思うのですが、例えば、ロシアへの集積回路輸出は、ウクライナ戦争以降、中国からの輸出が1.5倍くらいになっています。
だから、こういうもののロシアの輸入はたぶん中国経由とかなんでしょうね。ロシア経済はわりに通常運転ですからね。日本の場合は、石油を止められたらアウトで、その日本帝国の致命的弱点はないようです。
石油や肥料の輸出も同じで、インドのロシアからの輸入が8.5倍くらいになっていますね。インド経由か、先進国が輸入先を切り替えて、途上国がロシア産を買うとかになっているかも。そうでなくては、カゾリンとか高騰しますからね。
ただ、ロシアからの石油の輸入は、ドイツやイタリヤやベルギーやチェコやクロアチアなども増えていますね。
EU向けの天然ガスは、ノルドストリームの破壊で激減していて、アメリカ産の輸入が増えていますね。日本のロシアからのサハリン天然ガスは変化ありませんね。パイプは破壊されていませんしね。
ロシアからの肥料の輸入は、ドイツは3倍に増えていますね。イスラエルは6倍くらい、インドは4.6倍に増えていますね。フランスやベルギーも増えていますね。結局、原料が限られているのと価格ですね。
ロシアの原油や肥料の生産もそれほど落ちていないので、どっかへ回っているのですね。ロシアの兵器生産も続いているので、こちらも集積回路とかは、逆にどっかから回ってくるのですね。
ちなみに、ロシア所在の日本企業の、撤退済みと撤退を決定は、まだ数%程度です。
とにかく、世界情勢は複雑怪奇なのではなく、世界情勢は複眼思考で見なければいけないと思います。
仰る通り、是々非々ですね。
岸田首相の地元、広島ガスは、ロシア産ガスの依存度が40%程度だった記憶があります。
ガス代も月5万円以上になってたでしょうね、ガスの長期契約を契約破棄して、高値な時にスポット調達していれば。
ウクライナ支援も、高インフレの中で無理な制裁で調達を絞りすぎれば、インフレ加速により支援金額を減らさざるを得ないという矛盾した状況になっています。
もしくは、制裁をしない他国の競合他社に負けたり、国内経済に余力がなくなります。
日本人の多くは、インフレで生活の余裕がなくなっているのではないでしょうかね?一部の富裕層などは、変わらないのでしょうが。
インドは、インフレの抑え込みに成功しており、経済成長と投資の好循環を生み出していますね。
>日本のロシアからのサハリン天然ガスは変化ありませんね。パイプは破壊されていませんしね。
これは誤解されやすいややこしい事案ですが、やらかしているのはドイツ法人傘下のロシア法人のようですね。
主に責任があるのはドイツ法人の方で、日本法人は巻き込まれた形だと思います。
ご返信ありがとうございます。
この会社も現地生産の部分が目立っただけですね。
しかし、集積回路もこのような工作機械も、他国を経由すれば、わかりません。
例えば、日本の会社が同じ工作機械をタイに売ってタイが中国に売って、中国がロシアに売ればどうしようもないと思います。
だから、この記事はメディア案件として大きいのであって、実質案件とてしては、それほど大きくないと思います。
先のコメントで、ロシアのEU
向け天然ガスはノルドストリームの破壊で激減したと述べました。しかし、陸のウクライナ経由の方は、パイプは破壊されてなく、ウクライナやEUにも供給されています。
しかし、ロシアとウクライナの契約が25年末までで、20年前からガスの抜き取りや未払いでさんざん揉めているので、25年で契約更新はないかもしれませんね。