ロシア関連

ロシア軍占領下のヘルソン当局、ドニエプル川北岸からの住民避難を正式発表

ロシア軍占領下のヘルソン当局は18日夜、噂されていたドニエプル川北岸地域からの住民避難を正式に発表して注目を集めており、住民が去った街や集落に大規模な防御要塞を構築するらしい。

参考:Гауляйтер Сальдо объявил про “организованное перемещение” населения на левый берег Днепра

この決定でロシア軍が得られる最大のメリットはドニエプル川北岸地域への民需物資輸送から解放される点だろう

ロシア軍占領下のヘルソン当局は18日夜、ウクライナ軍の大規模な攻撃が迫っているためドニエプル川北岸地域のベリスラフスキー地区、ベロゼルスキー地区、スニケリフカ地区、アレクサンドロフスキー地区からの南岸地域に組織的な住民避難を行うと発表した。

出典:Google Map 南部戦線の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ヘルソン当局が発表した住民避難の範囲はドニエプル川北岸地域のほぼ全域を示しており、この決定はウクライナ軍の攻撃から住民の命を守るためのもので「住民が去った街や集落に大規模な防御要塞を構築するためだ。南岸地域への避難およびロシア本土への移住費用は全てロシア政府が負担(一時的な宿泊先やロシア本土の住宅を無償提供)する」と述べている。

この地域の住民がどれぐらい数なのか、当局の発表した避難に応じるのかも不明だが、この決定でロシア軍が得られる最大のメリットはドニエプル川北岸地域への民需物資輸送から解放される点だろう。

出典:Google Map 水力発電所とノーバ・カホフカと接続する橋の状況

ウクライナ軍はアントノフスキー橋や水力発電所とノーバ・カホフカと接続する橋をHIMARSで攻撃することで敵の補給を妨害しているが、ロシア軍はドニエプル川に3ヶ所以上のフェリーポイントを運営しているためドニエプル川北岸地域への補給は維持されており、水力発電所とノーバ・カホフカと接続する橋は破壊されたものの、上記部分をロシア軍が埋め立てたため力発電所経由による輸送は可能だと見られている。

ただドニエプル川北岸地域への補給には民需物資の輸送も含まれるため、今回の住民避難でこれが不要になればロシア軍の兵站はそれだけ負担が軽くなるはずだ。

兎に角、ロシア軍はどんな手段を用いてもヘルソンを手放す気はないのだろう。

関連記事:来週中にもウクライナ軍がヘルソン奪還? 今のところ大きな動きはない
関連記事:ロシア軍が予備戦力を増強、ヘルソン州での組織的な攻撃を強化

 

※アイキャッチ画像の出典:Владимир Сальдо

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コメント

    • ido
    • 2022年 10月 19日

    大規模な要塞といわれてもどんなもか想像がつかないな。HIMARSで壊されそうだが。ウクライナ軍としては早めにドニエプル川北岸を全て解放して対岸に大規模な攻撃(HIMARSや榴弾砲、航空作戦含め)をしたいだろうなしかしもうここまでくると住民投票って何のためだったんだろうな。ロシアはクリミアの時のように行けるつもりだったんだろうか。

    5
      • けい2020
      • 2022年 10月 19日

      住民に避難命令を出して、従わない住民はスパイって事にするためかもです

      そもそも問題として、固定された要塞なんて迂回して補給路を塞ぐだけで良いわけで
      迂回して問題になるのは、要塞から出撃してきた時だけだし
      それが出来ないからこその戦略

      対岸への攻撃は点拠点以外を開放すれば問題が無いでしょう

      1
      • ナイトアウル
      • 2022年 10月 20日

       砲台は微妙だから堡塁、トーチカ辺りを幾つかと頑強な司令部を作る感じかね。ウクライナの最大火力に対抗するなら鉄筋コンクリートでも2m以上の厚みは必要だと思うし大規模な城みたいな物は作らない。精密誘導出来る兵器対策で大きな穴は開けないとかするかもな、射界が制限されそうだけど。

      1
    • ゼンハイザー
    • 2022年 10月 19日

    「南岸地域への避難およびロシア本土への移住費用は全てロシア政府が負担(一時的な宿泊先やロシア本土の住宅を無償提供)する」とあるが
    今までの生活基盤を手放して移住となるし
    ウクライナからの移民とのことなのでロシア国内での生活が厳しいのでは…

    命令する側は安全な後方で市民よりは間違いなく良い生活をし市民は割りを食う

    戦争したい人間こそ最前線に立つべき
    出来ないなら戦争をするべきではない

    10
      • kitty
      • 2022年 10月 19日

      避難って、どこに避難なんでしょうね。
      まあ、シベリアだってロシア本土ですけどwww。

      30
        • 名無し
        • 2022年 10月 19日

        いや、このパターンは、ワラどころじゃなくて、マジでシベリアなんじゃないすかね。

        36
          • 2022年 10月 19日

          避難(黄泉の国)だろう。穴掘って全部埋めたり、重石をつけて川に沈めて避難させる。

          2
        • モンパ
        • 2022年 10月 19日

        少数ずつ分散して各地に移住させ、ウクライナ人コミュニティをなくし、
        ロシア人に同化させようとするのでは。
        民族浄化。

        16
    • 無無
    • 2022年 10月 19日

    ご本人の真意は見えないが、こうやって裏切り者、売国奴の顔として拡散して記憶されていくんだね
    人間、どっちを向くにしろ振る舞いや生きざまには覚悟を以て向かわないと後悔するな

    23
    • bbcorn22
    • 2022年 10月 19日

    新しい司令官は少しはまともな判断ができるやつみたいで ヘルソンの放棄を検討中みたいだな。
    まあ 何とかしろと言われてももう戦力がないんだからできることは限られてる。
    現有戦力で確保できるところだけに絞らないと虻蜂取らずになる。
    とはいっても ヘルソンからの今となっては至難の業、撤退を成功させれば
    新しい司令官は有能ということになるだろう。
    プーチンとはどういう話になってるのか 興味深い。

    8
    • 通りすがり
    • 2022年 10月 19日

    どうせ志願しないと生活できない状況に追い込んで事実上の徴兵

    12
    • xyz
    • 2022年 10月 19日

    ドニエプル川西岸の確保は既定路線として、あとはいかに東岸に橋頭堡を作れるかだな。
    そしてヘルソンとクリミヤの接続地域を押さえる事が出来れば露助は完全に詰みだ。

    3
      • 2022年 10月 19日

      ドエニプル川西岸の戦いこそ天王山かも知れませんよ。
      ウクライナはここを奪還しない限り東岸へ渡れませんし、ロシアとしてもここを失えばヘルソンの占領が覚束なくなる。
      ロシアの兵器在庫は枯渇気味でも夏前に持ち込んだ大規模な戦力が全て消耗されたなんてことは無いでしょうからヘルソンにはその時の兵器が大量にあってもおかしくはない。
      ハルキウでの大躍進は浸透・迂回戦術が功を奏したものですが浸透迂回戦術が出来なくなったドエニプル川西岸はもう力押しか出来ないので相当な激戦になるのではないでしょうか

      10
    • ななし
    • 2022年 10月 19日

    クリミア大橋が爆破された後から子供に休暇だの旅行と称して、ロシアへ拉致してるからなぁ。
    民間人に配慮するなら露助が出ていけばよい。

    27
    • 2022年 10月 19日

    要塞化のために、街の住民全員追い出すって、ほんとに第2次世界大戦の時まで時間が戻ったみたいで心から気持ち悪い・・・。
    今は、ほんとに21世紀だよね・・・?

    33
      • 名無し
      • 2022年 10月 19日

      街の要塞化は、シリアで経験を積んだロシア軍にとっては、もっとも比較競争力のある分野なので。。。

      5
        • けい2020
        • 2022年 10月 19日

        シリアで相手したのは補給線への嫌がらせ程度のだったけど、
        ウクライナ軍は補給線を潰した上で、あえて徒歩逃げ道を残して
        キリングゾーン作るって実績わかってるのになぁ

        ロシア軍も新司令官も、ロシア政府も戦争をなめ過ぎなんだろう

    • ジャンコイ
    • 2022年 10月 19日

    がちがちに守りを固めるヘルソン攻めるのも姿勢としては大事だけど
    単純に、冬を待ってドニエプル川が凍ったら川を渡って
    背後に回り込むじゃタメなんか?

    9
      • けい2020
      • 2022年 10月 19日

      別に守りを固めてる所を攻める必要性が全くないからな
      それに川を渡らなくても、全体を要塞化なんて不可能で、点在する大きな街だけだろうから
      無視して補給を潰すだけで終わりかと

    • show the flag
    • 2022年 10月 19日

    10月15日露ライバー・レドフカ他はウクライナ軍が「ノヴァヤ・カメンカからドゥッチャニー – マイラブ – ノヴォグリゴロフカ線への攻撃を試みたが失敗した」と報じ、翌16日にはこの攻撃が威力偵察だったと見解を示し、陽動の可能性も挙げています。
    16日にはゼレンスキー大統領も攻撃に参加した部隊を「ヘルソン方向での協調行動と敵装備の効果的な破壊」と称えて威力偵察を認め、NASA FIRMSで当該地に生じた熱源が戦闘の痕跡の裏付けとなるなら、接敵が目的の戦術行動は成功といえるのでしょう。

    以降昨日まで目立った熱源は生じていませんが、ノーバカホフカまで約30Kmとなったロシアは火砲の射程からみると後退余地がありません。
    ウクライナの揺さぶりは古典的な外線戦術の一環なら、同時にヘルソン・ハリコフにわたる揺さぶりは近代的な間接アプローチ戦略であるように思えます。
    敷衍して戦争終結に至るプロセスでヘルソン奪還の国際的インパクトを見越しているならこれが現代的ゲラシモフドクトリンということになるのでしょうか。

    5
    • 通りすがり
    • 2022年 10月 19日

    つまりこの地域は理屈上、民間人が居ない地域になるわけだ
    これで心置きなくハイマースも榴弾砲も撃ち放題、空爆やりたい放題だな

    4
      • ななし
      • 2022年 10月 19日

      悲しいかなロシアにとってもそれは言えることで、本人の希望で残るのなら面倒は見ないって宣言したようなモノです。

      10
    • abs
    • 2022年 10月 19日

    ヘルソン市攻防戦で、この戦争の帰趨が決まりそうですね。
    いくら要塞化しても、内側に破壊工作員になれる住人を
    大量に抱えている状態ではロシア軍に有利かどうか判然としません。
    攻撃のタイミングに合わせて蜂起されるのは厄介です。
    かと言って全員を避難させればロケット砲の雨嵐でしょう。
    どうなるか。

    1
    • show the flag
    • 2022年 10月 19日

    一時ロシアのミリブロガーの締め付けが観測されましたが、現役に復帰したイーゴリ・ギルキン氏の投稿が途絶えた一方、軍属らしきウラドレン・タタルスキー氏は毎日記事を投稿しています。
    気になるのは彼がヘルソンの深刻な混乱に触れた投稿でクレムリンの影響下にあると思われるオンラインメディア、レドフカのヘルソン死守を訴える記事を紹介したことです。
    ヘルソンが危機的状況なら影響を最小限に報じるのが常道に思えますが、殊更重要性を叫ぶのは健全なジャーナリズムなのか、スラブ的な末期症状なのか判じかねます。

    ヘルソンでは数週間前から住民への休暇として実質的避難を進めてきましたが、避難勧告はこれの切迫を示しています。
    ただ、ヘルソンと同様に先にハリコフ戦線スバトボでもロシアが避難勧告を発していますが、市街を灰燼に帰すほどの攻撃を加え、占領地では悪逆非道の限りを尽くすロシアが人道的理由で避難を進めているとは私には思えません。
    守勢に立ったロシアが己を鏡に映して恐怖に脅えるならともかく、ヘルソンで滅茶苦茶をする≒退避勧告に応じないのは敵というレトリック、或いはトチ狂った兵器を投入する布石でないことを切に祈ります。

    7
    • ぽち
    • 2022年 10月 19日

    ホント、避難勧告に同意しない人々が心配ですわ・・・虐殺拷問シベリアしか思い浮かばない
    なんとかウクライナ側に脱出できるように、パルチザンと正規軍は知恵を出し合ってほしい
    残された時間は3日ないかも。ロシアが不利を声明するなんぞ、裏がありすぎ
    あの残虐司令官なので、占領地への非人道兵器投入も躊躇しないだろう
    その場合は、敵基地攻撃認可、戦闘機、アイアンドームをすぐに供与してくれ~

    へルソンは主要な官庁は南部へ脱出させているから
    市街戦と同時に脱出官庁・指揮所に長距離砲を浴びせて、機能不全にするべし
    (この10倍は賢い方法を考えていると思うが、なんだろう?)

    2
    • ナイトアウル
    • 2022年 10月 20日

    「マイラブ」って「ムィロヴェ」じゃないんか。

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