親ロシア政権が支配するカザフスタンで爆発的な広がりを見せている反政府デモはプーチン大統領の計算を狂わせており、特にロシアと同じ権威主義的な政府構造をもつ国(ベラルーシとカザフスタン)で立て続けに発生した情勢不安がロシア国内に飛び火するのを恐れているとBreakingDefenseが指摘している。
参考:Kazakhstan revolt adds new variable to Russia’s plans for Ukraine
カザフスタンの事態はソ連崩壊後の独裁国家が抱える典型的な欠点を示しており、永遠の愛や永遠の忍耐などというものは存在しない
昨年末からプーチン大統領はウクライナ周辺に10万人規模のロシア軍を展開させて武力行使の危機を作り出すことに成功、これをテコに米国やNATOと交渉に乗り出そうとしていた矢先にロシアが最も信頼していた親ロシア政権が統治するカザフスタンで反政府デモが爆発的な広がりを見せており、トカエフ大統領は旧ソ連末期から30年近くカザフスタンの権力者として振る舞ってきたナザルバエフ前大統領(後継者のトカエフ大統領に権力を譲っても安全保障会議議長に収まり引き続き影響力を行使していた)や親族を全ての役職から解任することで民衆の不満をなだめようとした。
しかし小手先の改革(全ての権力を剥奪されたナザルバエフ前大統領や親族は国外へ逃亡)で民衆の不満をなだめられる時期はとうに過ぎ去っており、トカエフ大統領はロシアなど旧ソ連諸国で構成された集団安全保障条約機構(CSTO)に集団安全保障条約の第4条に基づく軍の派遣を要請、さらに「不満を平和的に解決する要求(ガス価格抑制や前大統領の追放など)を全て受け入れたにも関わらず家に帰らない2万人の群衆達は盗賊やテロリストで、十分な準備を行い武装した犯罪者とこれ以上交渉しない」と述べ、7日の朝には抵抗する群衆に「事前警告なしでの発砲」を治安部隊や軍に許可したため加速的に死傷者が増え続けている。
#Kazakh telegram channels report more than 30 protesters killed. Firearms are used against citizens. #Russia has sent several thousand troops, several hundred more from #Belarus and Tajikistan.
Blood of Kazakhs on the hands of the #Kremlin.#Kazakhstan #Алматы pic.twitter.com/QR30VFXVkV— Inna Sovsun (@InnaSovsun) January 6, 2022
⚠️18+. Кадры убитых при событиях в Казахстан pic.twitter.com/f6ywzd2rIR
— BashKarma (@KarmaBash) January 5, 2022
ロシアと同じ権威主義的な政府構造をもつ国(ベラルーシとカザフスタン)で立て続けに発生した情勢不安が飛び火するのを恐れているプーチン大統領はカザフスタンの要請に応じて直ぐにロシア軍を派遣、精鋭の空挺部隊を反政府デモの民衆に占拠されたアルマトイ国際空港奪還に向かわせ2,000人以上の兵士や装備を74機の輸送機を動員してカザフスタンに送り込んでおり、カザフスタン政府も国内のインターネットや携帯電話のネットワークを遮断しため「反政府デモの民衆に勝ち目はないだろう」とロシアのアナリストは見ているが、問題は派遣したロシア軍に大きな人的被害が出るケースだ。
カザフスタンの支配権を親ロシア政権に取り戻す戦いでロシア軍兵士が大勢負傷したり死亡すれば、多くのロシア人は正当性が怪しく反政府デモの民衆よりも遥かに強力なウクライナとの戦争で息子を失うことを躊躇う=プーチン大統領の行動を支持しなくなるという意味だが、元駐ウクライナ・ウズベキスタン大使を務めた米国のジョン・ハーブスト氏は「もしCSTOが初期展開で失敗するようなことがあればプーチンはジレンマに陥る」と見ているのが興味深い。
ジョン・ハーブスト氏は「CSTOが鎮圧に失敗すれば民衆主導でカザフスタンに改革志向の政権が誕生する可能性が高く、当てにならないロシアやCSTOを失望したトカエフ大統領が中国や上海協力機構に助けるを求めると中央アジアにおけるロシアの立場は悪化するしかない」と述べており、ウクライナ周辺に展開させた兵力を維持して米国やNATOとの交渉=ロシアの安全保障を優先するか、ウクライナ周辺に展開させた兵力をカザフスタンに差し向けて中央アジアにおけるロシアの地位を守るかのジレンマにプーチン大統領は直面すると見ているのだが、これはCSTOによる鎮圧が失敗した場合の話だ。
どちらにしてもプーチン大統領の選択肢はカザフスタンの反政府デモが早期に鎮圧されるかされないかで大きく様変わりし、もしトカエフ大統領が率いる親ロシア政権が倒れるようなことになれば力の空白を狙って米国、中国、トルコが動くことが予想されるためウクライナ問題におけるワイルドカードになるかもしれないとBreakingDefenseは指摘している。
因みにロシアで唯一プーチンの軍門に下っていない独立系ラジオのエコー・モスクヴィ(モスクワの声)は「カザフスタンの事態はソ連崩壊後の独裁国家が抱える典型的な欠点を示しており、永遠の愛や永遠の忍耐などというものは存在しない=幾ら国民に人気があっても長期間権力の座に留まると国を自分の財産、国民を自分の下僕と見なし始め何千人もの寄生虫や役立たずに囲まれ、こういった状況を永遠に国民が容認することはないという意味」と語っており、ナザルバエフはルカシェンコよりも5年、プーチンよりも10年早く権力の座についたことを考えると2人に残された時間がどれだけあるのか計算出来ると指摘した。
関連記事:カザフスタン暴動は海外勢力の関与が原因、ロシアと対立するウクライナが暗躍か
※アイキャッチ画像の出典:President of Russia
いま軍事的にイキってる中国やロシアに惑わされて、全体主義や独裁制に優位を認める人は、本当にそういう世界に住んでみたら良いよ
ソ連時代のアクネード
ソ連が国境を自由化したら残るのは我々夫婦だけだねと語るブレジネフに対して、いいえ、あなただけですよと返すブレジネフ夫人
軍事的に全体主義や独裁制の方が効率的で優位だと認めるのと、そういう世界に住みたいかは別問題でしょ。
その通り、だが奴等をのさばらせると、結果的にはこちらもそうなるよ
政治はしばしば愚か者が主導権を握るから
「のさばる」と「優位」に大して違いはないんだけど。
もしかして「優位」と「優越」を混同してない?
そうやって話の方向ずらされてもな
そうだね。
優位≒「(少なくとも短期的には)効率的で強い」と主張するだけで「優れてる」とか「正しい」とか「あるべき形」とか言ってる訳でもないのに
何で「じゃあ住んでみろ」となるのか意味が分からない。
其の「意味」は理解するべきだ。
国家とは国民の生活の基盤だ。国民から要求される最重要課題は「安定」だ。
専制的な故に軍事的に優位な国家。民主的な故に軍事的には不利な国家。此の側面だけでは「国家」は測れない。
此のスレ主は、どちらが国家の安定に適しているのかを問うている。かと思う。
考察に値する良質な提言かと思うが、如何だろうか?
意味がわからないのに絡んでくるほうがわからないんだが
誰も君らが全体主義者だの言ってないのにね
何かこだわりあるの?
今伝えられてるのは6日のアルマトイでデモ隊が少なくとも30人が死亡
3000人以上拘束、治安部隊側は10人以上が死亡
7日にトカエフ大統領が治安回復の声明を発表
CSTOの平和維持部隊は、カザフスタンに到着しているが武装勢力の排除には従事していない。
これが事実なら早期鎮圧は完了し、派遣したロシア軍は人的被害どころか
参加すらしていなかったということになりますね。
TikTokに動画が挙がってるけど、アルマトイ郊外でロシアが派遣した治安部隊とカザフ軍の元兵士が交戦しているらしい。
其れが事実なら、「元兵士」と云うより「現役兵士が反政府勢力に参加している」と解釈するべきだろう。
カザフスタンの国土は広大。反政府勢力に賛同する都市が現れれば事態は劇的に変容する。そうなれば、中華の東トルキスタン(ウイグル)への波及も考えられる。
あれ? もしかして面白い話なのでは?
カザフスタンの立地じゃ西側による反政府軍の補給が難しいから泥沼化は無理っしょ
しかしロシア軍の一般兵達は大変だなぁ
一方では全面戦争の危機で死ぬ確率が高いし、もう片方はエスカレートすることは低いとはいえ死なないとは限らんし…新年早々戦場とかブラック過ぎるんよ
アゼルバイジャンからカスピ海経由でトルコ製のドローンが、、、
とかはないかな。
面の皮でしかなかったトカエフが一転して君主ナザルバエフをスケープゴートにして亡命にまで追い込んだ展開は魅せられましたね。ですが、国民からしてみれば両者とも旧体制で甘い汁を吸っていた特権階級の象徴でしかなく、独裁者の首をすげ替えただけでは一度着火した民衆の沈静化には弱い気もします。
かといって、形式上の民主的な手続きを構築して民衆代表と政府の合意形成をはかるというような芸当は今やカザフやロシアには難しすぎるし、軍事力で火点を鎮圧していく以外の解決法は無いのだろうなと思います。難しいのは、暴動が発生しているのが国境地帯などの一部地域ではなく国内の主要都市部であることと、それがロシアよりむしろ中国に近い東部にあること、そして一時的にでもカザフ全体をロシアの統治下に置いてしまうにはカザフスタンは大きすぎるということですよね。
ロシアが気にしているのは間違いなく中国の目でしょう。今の所中国に動きはありませんし、本当にイスラム過激派が関与していない限りは派兵もしないでしょう。だいいち史上最も好ましい蜜月関係を崩してまでグレート・ゲーム的緊張を作るほど中国も傲慢ではないでしょうが、このままロシアの政治的支配が弱っていけば既に経済的影響力を盤石にしている中国が中央アジアの政治的支配にも手を伸ばしてくるのは必然でしょう。これは両者の覇権闘争云々ではなく、ロシアにその力が既に無いことによる仕方ない現象ですが、ロシア人は快くは思わないでしょうね。
カザフスタンは領土や資源に恵まれている
中央アジアの地域大国だから露中米(とEU)
といった超大国にとってカザフスタンに如何に
影響力を及ぼせるかは中央アジア諸国への
影響力の大きさとほぼ同意義だからな。
そしてハートランド説は大袈裟に感じるが、
それでもユーラシア大陸に覇権を及ぼすために、
その心臓部である中央アジア5ヵ国に影響力を保持
しておくことは重要なことには変わらない訳だし。
その国にとって民主化は必ずしも最善だとは
言えないが仮にカザフが民主化すれば逆ドミノ理論
のように他の中央アジア(白亜の北朝鮮トクルメン、隠れ独裁国家タジク、そして上記よりはマシだが
結局独裁的なキルギスとウズベクも)にも波及して最終的にはCIS(NIS)諸国全域に民主化運動が波及する可能性が高い。そして最後に行き着くところがロシアだろうな。このような「色の革命」第二弾(実は米国が煽動していた説があるが)とも言えるような大規模な民主化運動が旧ソ連圏に波及したら、仮に民主化が失敗したとしてもロシアはソビエト連邦崩壊時の
ように大きく国力を削がれるだろうね。
プーチンにとっては割と危機的状況かも知れない。
影の支配者ナザルバエフ出国亡命のうわさ
現状維持のためにロシアが引導を渡したのか
続報を待とう