インド太平洋関連

パキスタン軍がT129/ATAK導入継続を明言、但しZ-10ME導入交渉は事実

パキスタン軍の軍統合広報局(ISPR/軍の公式な広報担当部門)のババール・イフティカル長官は7日、トルコの攻撃ヘリ「T129/ATAK」導入契約をキャンセルしたという報道は間違っていると明言した。

参考:Pakistan denies reports of canceling Turkish chopper deal amid US deadlock

トルコメディアが報じているISPRの主張を信じるならパキスタン軍はT129/ATAKとZ-10MEを両方を調達するため動いていることになる

トルコはイタリアのアグスタ(現アグスタウェストランド)が開発した攻撃ヘリA129を一部改良した「T129/ATAK」をトルコ軍向けに製造中で、AH-64EやAH-1Zといった米国製の攻撃ヘリよりも導入コストが安価なためパキスタンからT129/ATAKを30機を受注、しかし米国がS-400導入を理由に対ロシア制裁(敵対者に対する制裁措置法/CAATSA)を発動したため米国製の搭載エンジンを入手するための輸出承認が下りず、パキスタンと引き渡しを1年延期することで合意し国産エンジン「TS1400(1,400馬力)」への切り替えを急いでいた。

出典:Matt Morgan / CC BY-SA 2.0

しかし幾つのかの海外メディアは今月5日のISPR会見内容を引用して「パキスタンは正式にT129/ATAK導入契約をキャンセル、以前から関心を示していたZ-10ME導入のため中国との交渉を開始した」と報じて注目を集めていたが、ISPRの長官を務めるババール・イフティカル長官は7日「T129/ATAK導入契約をキャンセルしたという報道には根拠がなく、引き続き導入への努力を続けていく」と明言している。

5日の会見でISPRはパキスタンは中国と攻撃ヘリについて交渉中で「上手くいけば中国からもガンシップを入手できるだろう」と明かしたが、この発言を誤解した海外メディアが「トルコのT129/ATAK導入契約をキャンセルしてZ-10ME導入のため中国との交渉を開始した」という意味だが、今のところ「T129/ATAK導入契約キャンセルは誤報」という報道はトルコメディアしか報じていないため暫く様子を見てみないと何といえない。

出典:Peng Chen / CC BY-SA 2.0

ただトルコメディアが報じているISPRの主張を信じるならパキスタン軍はT129/ATAKとZ-10MEを両方を調達するため動いていることになる。

関連記事:パキスタン、トルコ製攻撃ヘリをキャンセルして中国とZ-10導入交渉を開始

 

※アイキャッチ画像の出典:MilborneOne / CC BY-SA 4.0 T129/ATAK

ロシアとイランが1月中に安全保障協定に署名、Su-35など約100億ドルの武器を調達か?前のページ

米メディア、カザフスタン問題はウクライナ問題におけるワイルドカードになる可能性も次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    本当に偵察用途?韓国、国産ステルス無人機の開発に着手

    韓国は、電波の反射を吸収する塗料や、機体形状を工夫しレーダー反射断面積…

  2. インド太平洋関連

    韓国、国産MLRS「天武」で新型ロケット弾を発射出来ない問題が浮上か?

    韓国が国産した多連装ロケットシステム「天武」が今年6月に新型230mm…

  3. インド太平洋関連

    露戦闘機導入を止めたバングラデシュの事情、タイフーンが最有力候補

    バングラデシュ空軍が進めているマルチロール機調達について「タイフーン導…

  4. インド太平洋関連

    韓国、8年以内に国産戦術輸送機を開発して海外市場に挑戦か?

    韓国メディアは5日、韓国航空宇宙産業(KAI)が軍用輸送機の開発を進め…

  5. インド太平洋関連

    目的は空母技術の売り込み? 英国が空母クイーン・エリザベスの韓国寄港を希望

    英国は中国牽制目的とは別の狙いで空母クイーン・エリザベスを中心とした空…

  6. インド太平洋関連

    台湾は防空壕の準備を開始、中国は福建省への地上部隊の移動を開始

    ペロシ米下院議長の訪問に備える台湾当局は防空壕の準備を始めたと報じられ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  2. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP