ロッキード・マーティンは14日、問題の多いF-35物流情報システム「ALIS」を開発中の「ODIN」で置き換えるとReutersが報じている。
参考:F-35 logistics system to be reinvented and renamed, official says
F-35の運用を支える問題の多い「ALIS」を「ODIN」で置き換えることが決定
F-35の運用や兵站支援を司る物流情報システム「ALIS」は、機体の運用状況や交換が必要なパーツや搭載機器の管理を支援するためのソフトで、F-35導入国(米軍を含む)全ての機体が「ALIS」を利用しているのだが全く機能しておらず、F-35の低い稼働率と高い運用コストの主犯と見られており、これまで何度かのバージョンアップ(修正)を行ったが問題は未だに解決していない。
代表的な例を挙げると、米海兵隊の第501海兵戦闘攻撃訓練飛行隊は所属機のF-35Bを整備する際、必要なスペアパーツをALISに入力し、いつ入手出来るかをチェックするとALISは「数年後」と回答したため、従来の方法「電話」で問い合わせた結果、ALISが予測したよりも数年も早くスペアパーツの調達に成功した。
さらに何十億ドルもの予算を投じて調達したF-35のスペアパーツの行方をF-35の物流情報システム「ALIS」が見失っており、一体どこへ納品され管理されているのか国防総省でさえ把握できないなどALISの問題を挙げればきりが無い。
F-35の操縦や整備方法のトレーニングを受け持つ米空軍第33戦闘航空団では、ALISに組み込まれたTMS(トレーニング管理システム)が機能しないため、今まで使用してきたノースロップ・グラマン製のトレーニング統合管理システム「GTIMS」を引っ張りだしてきたが、両システムの間ではデータの同期が出来ないため都度、データの二重入力を行わなければならず現場の兵士にとって負担になっており、このようなALIS使用で発生する追加タスクの総合計は年間4万5,000時間以上になると報告されている。
国防総省のエレン・ロード次官(兵器取得・維持担当)によれば、ロッキード・マーティンが開発した「ALIS」を同社が開発中の「ODIN」で置き換えると明らかにした。
このODINは「運用データ統合ネットワーク(Operational data integration network)」呼ばれるシステムで、F-35導入国が追加費用を支払うことなく新しいシステムに置き換えるとロッキード・マーティンが米議会に説明しているが、このODINが稼働するのは2022年12月(予定)で下院軍事委員会は「時間が掛かりすぎでODINの完成を待つ余裕はない」と言っている。
ODINはクラウドベースで構築され、高度なセキュリティ下でF-35のシステムとパフォーマンスに関する全データをリアルタイムでやり取りできように設計されているとしか分かっておらず、恐らく、以前から開発が進められていた「ALIS Next」と呼ばれるALIS再設計バージョンの名称を変更しただけのものかもしれない。
とにかく「ALIS」を「ODIN」で置き換えることは決定したが、問題は米議会が言うようにODINの完成までF-35の運用をどうするのかだ。
開発を急かしたところで良い結果が得られるとは到底思えず、だからといって問題だらけのALISでODIN完成までの2年間を戦うのは、F-35の運用コスト引き下げの問題を2年先延ばしにすると言っているの同義で、やはりALISに対しても何らかの対策を講じる必要がある。
果たしてロッキード・マーティンは、ALIS修正とODIN開発の両方を上手く進めることが出来るだろうか?
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by R. Nial Bradshaw
ふしぎの国の有栖川さんのALIS
アリスからおじんへ
Amazonの倉庫管理ソフトを使えば安上がりだぞ。
クラウドをやってるし。
その手がありましたか!
(^_^;)
情報システムのクラウド化と言っても、よっぽど設計がちゃんとしてないとALISより腐るでしょうね。
要件定義がうまくできてなければそれこそF-35のサプライチェーンが破綻し、北欧神話のラグナロック発生です。
アナログには勝てないか
csvファイル書き出しで
別のシステムへ取込みとか出来ないかなぁ
セブンとかコンビニの方が在庫管理出来てそう。
こういうシステムで言ったらトヨタあたりが得意そう
逆に銀行屋のシステム管理に任せたらとんでもないことになりそう(偏見)
先行者の辛さだな
F-3はこういう思考錯誤が少なく済む分ソフト開発費用を安くできそう
先行故の難しさと共に、大規模&多国籍な新規システムってのも要因になると思います。
日本の次期戦闘機だと、恐らくユーザーは日本限定、扱う機数も残念ながら少なく、兵站支援システムの負荷は小さめでしょうから、量を稼げない事の数少ないプラズマ要素かも。
日本の次期戦闘機は、試行錯誤出来る余地が乏しいので、開発上流での選択がより重くなる様です。
第6世代戦闘機開発では先行者、他国は数年遅れの開発スケジュールなので、他を参考に出来ない部分があり余計に辛いでしょうね。
改善という名のデグレードが起きそう。
新しい兵站システムにしたところで、機体毎にパーツが違う試作機に毛の生えたみたいなモノを量産してる時点でダメだろう。
AILLISみたいな自動兵站システムは、F35が完成してパーツの共用化が全て可能になって、初めて効果のあるものだ。
既に500機近くの、数機しか同じバージョンが無い状態で、バージョン毎に必要パーツが違う
F35の兵站システムなんて構築するのは無理だと思う。
F35の開発が完全に完了したら、そのバージョンに合った兵站システムを構築して
その以前に生産した未完成品は、兵站システムから切り離すしか無いだろう。
しかもABCの3タイプ必要とか、頭抱えるわな。
空自だと、せいぜいExcelとか使った泥臭い人力で、それなりに運用してしまいそう。
お…おでん…?
脆弱そうですね…
おとなしくIBMのMAXIMO使っとけって話