米国関連

オスプレイの虚偽請求疑惑、司法省とボーイングが和解金支払いで合意

米司法省は29日「受注したオスプレイ製造契約の中で虚偽の請求と陳述をおこなったという疑惑を解決するため、ボーイングが和解金(810万ドル)を連邦政府に支払うことで合意した」と発表したが、ボーイング側は「責任を認めたわけではない」と述べている。

参考:Boeing to pay $8.1M to settle Osprey false claims allegations

検査未実施で生じる「オスプレイの品質や飛行性能に対するリスク」については良くわかっていない

オスプレイで使用される複合材のオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)作業に携わったボーイングの元従業員は2016年、内部告発条項に基づき「製造契約で義務づけられているオートクレーブの検査を実施していないかった」と民事訴訟を起こし、ボーイング側は元従業員の主張を法廷で否定していたが、司法省は29日「受注したオスプレイ製造契約の中で虚偽の請求と陳述をおこなったという疑惑を解決するため、、ボーイングが和解金(810万ドル)を連邦政府に支払うことで合意した」と発表。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Andrew Skiver

連邦政府は内部告発条項に基づき民事訴訟を起こした元従業員に150万ドル以上を支払い、ボーイングは元従業員の弁護士報酬(110万ドル以上)を負担する予定で、司法省は「請負業者が契約上の義務を遵守することを期待している。本日の和解は義務に違反し、政府の調達プロセスの完全性を損なう請負業者に責任を負わせるという我々の決意の現れだ」と、ボーイング側は「本日の和解は訴訟の長期化を避けるためのもので同社の責任を認めたものではない」と述べている。

因みに司法省は「訴訟は解決したもののボーイングに対する疑惑は依然として残っている」と主張しているものの、検査未実施で生じる「オスプレイの品質や飛行性能に対するリスク」については良くわかっていない。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Malcolm Kelley

サーブ、契約締結から約2ヶ月でポーランド空軍向けのAEW&Cを披露前のページ

米国防総省に選定された韓国製UGV、12月上旬にハワイで性能試験に挑戦次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    ボーイング、米空軍が調達計画している新しい戦術訓練機にT-7Aを提案することが濃厚

    米空軍が発表したT-7Aレッドホークとは異なる高度な戦術訓練機(Adv…

  2. 米国関連

    米国、ロシアが48時間以内に侵攻を開始する可能性をウクライナに通知

    米国のバイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に「ロシアが48時…

  3. 米国関連

    UAV配備を進める米海軍、アーレイ・バーク級にエアロゾンデを展開

    米海軍第7艦隊のアーレイ・バーク級駆逐艦に「Aerosonde」が配備…

  4. 米国関連

    米メディア、ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官の発言は対称的だ

    ゼレンスキー大統領は4日夜の演説に続き、NBC Newsに対しても「私…

  5. 米国関連

    米紙、フーシ派の問題解決には米国の力の限界を理解する謙虚さが必要

    ニューヨーク・タイムズ紙は「フーシ派に対する攻撃は米国が最も恐れている…

  6. 米国関連

    米空軍、中国に対して確固たる制空権を確立するには「マンハッタン計画」の再現が必要

    空軍協会主催のカンファレンスに登場したマーク・ケリー大将は「確固たる制…

コメント

    • 朴秀
    • 2023年 9月 30日

    まあボーイングだしやってたんだろうな
    自衛隊向けは大丈夫かな

    9
      • 兵長
      • 2023年 10月 01日

      大丈夫な訳がない(^-^;

      2
    • TA
    • 2023年 9月 30日

    ほんといい話題聞かんね
    わしはオスプレイは可変翼と同じく無理あるんじゃね、と思ってる
    みんな大好きF-14も結局消え去ったし高価なギミックは寿命が短い
    シンプルなものほど時の試練に耐えやすいのはあらゆる分野に言える
    チャレンジは買うんだけどね
    でもすくない予算をやりくりする自衛隊だと賛成派にはなれないが

    13
    • けい2020
    • 2023年 9月 30日

    ボーイングだし としか思わなくなるぐらい多すぎる、そのんな手抜きしてもコストなんて対して下がらん代わりに
    品質低下+信用低下による損失が膨れ上がったのが今のボーイング

    ボーイングの経営陣も管理職も企業信用の重要さを全く理解してないのでは・・

    20
    • ザコ
    • 2023年 9月 30日

    内部告発者がちゃんと保護される事に感動すら覚えますね

    50
    • マイクのテスト中
    • 2023年 9月 30日

    滅菌してどうするw
    オートクレーブ成形はCFRPの成形法の一種で加圧加熱しつつ真空引きすることで気泡や余分な樹脂を逃し十分な割合の炭素繊維と気泡のないうよく密着した樹脂で出来た複合材を作り出す方法
    複合材は物性値こそ金属より文字通り桁外れに優れているが設計、製造工程の差で全く実際の性能は変わってくる
    CFRPの成形法の中でも最も高い性能が期待できるがここがずさんだと某潜水艇みたいに設計を大幅に下回る強度でいきなり破壊ということも十分ありえる

    21
      • かんすけ
      • 2023年 9月 30日

      解説ありがとうございます。滅菌っなんか違うんじゃ無いか?と思ってパッと調べてもオートクレーブと言えば滅菌みたいな感じに最初に出て、コメント見て良かったです。

      6
    • ブルーピーコック
    • 2023年 9月 30日

    機械的な故障が原因の墜落は少ないと擁護したくても、こういうの出されるとなあ。
    一刻も早くV-280と交替した方が良いのかね

    4
    • りんりん
    • 2023年 9月 30日

    今度はセルビアとコソボがきな臭くなっていますね・・・。

    3
    • チェンバレン
    • 2023年 9月 30日

    >> ボーイングが和解金(810万ドル)を連邦政府に支払うことで合意した

    なんだこの金額は
    たまげたなあ…

    6
      • 2023年 9月 30日

      > 元従業員に150万ドル以上
      > 弁護士報酬(110万ドル以上)

      こちらも中々ですね

      3
      • shkk
      • 2023年 10月 01日

      オスプレイの発注主、国からボーイングに言い渡された示談の条件が810万ドルとはちょっと安い気がしないでもないが…

      不良率が測ってたときでも0%で、他の旅客機とかでも0%な工程だから「今回はこの程度で許したるわ」って感じなんでしょうかね?(本来は良くないんでしょうけど…)

      • 野戦先輩
      • 2023年 10月 02日

      連邦政府への明らかな背信行為で悪質な契約違反だからね。悔い改めて1145148101919ドル位は支払って、どうぞ。

      1
    • lang
    • 2023年 9月 30日

    そもそも国家的危機状態の米国&米軍が複雑な機体を開発運用するのはムリです

    フィリピンや中南米からリクルートしてきたグリーンカード兵士?を乗員として採用してるようですが
    事故起こしまくってる印象 オスプレイに限らず
    もはや末期的

    1
    • 牛丼チーズ
    • 2023年 10月 01日

    野獣万ドル…

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  3. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP