米陸軍は戦場の指揮官と兵士をネットワークで繋げる統合戦術ネットワーク/ITNの開発を進めており、今年6月にITNを搭載したストライカー装甲車によるデモンストレーションを披露して「もはや兵士は降車後に周囲の状況を確認したり敵を探す必要はなくなった」と主張している。
参考:In a couple years, soldiers in Strykers can learn enemy locations before exiting the vehicles
従来と変わらない戦場認識力のまま将来の戦いに挑めば革新的な正面装備を幾ら揃えていても活かせない
ストライカー装甲車には「統合戦術ネットワーク/integrated tactical network(ITN)」サーバーや戦場通信用のWi-Fi機器などを統合、各兵士の胸部にはITN用端末が装着されていて戦場の指揮官はITNで経由で戦場状況の情報にアクセスできるためストライカー装甲車から降車する前に「目標はどこで敵はここに潜んでいる」と各兵士に指示することが出来る=つまり兵士は降車した瞬間から「最も有効な戦闘行動を開始することが出来る」という意味で、各兵士の端末経由で指揮官は一人ひとりの位置をリアルタイムに把握できるため「状況に応じた優れた判断を素早く下せるようになり全体の戦闘効率が向上する」という寸法だ。
このデモンストレーションに参加したザック・シーツ軍曹は「これは戦場で何が起こっているのか知るためツールが全て揃っていてWi-Fiと無線通信の切り替えも簡単(Wi-Fiはストライカー装甲車の車内で各兵士の端末とITNサーバーが通信するためのもので降車後の端末は無線通信に切り替わる)だ」と語っており、他の参加者も「このツールは新兵(二等兵)でも容易に使いこなすことができる」と新しいネットワークに好意的な感想を述べている。
中国やロシアといった先進国との戦いにおいて最も重要な要素に米陸軍は極超音速兵器などの新兵器調達や正面装備の更新を掲げているが、これと同じぐらい重要だと主張しているのがネットワークの近代化や戦場認識力の拡張で米陸軍はネットワークの近代化に2021年度だけで17.6億ドル/約1,920億円(2022年度は約23億ドルを要求)も投資している。
但しネットワークの近代化だけで今回実演した降車戦術が可能になる訳ではない。
このような降車戦術を可能にするにはネットワークの近代化の他に無人機などを活用した情報収集・監視・偵察(ISR)戦力の充実、収集した膨大な情報を瞬時に整理して統合する情報処理技術の存在が不可欠で、こういった分野への投資が将来の戦いで勝敗をの鍵を握る「戦場認識力の拡張」に繋がるのだ。
因みに今回のデモンストレーションは遠い将来に実現するかもしれない技術のコンセプトを披露するといった類のもではなく、ネットワークの近代化の一貫として進めている統合戦術ネットワーク技術(ITNの開発自体は2010年代前半に始まっている)をストライカー装甲車に適合させるための重要なステップで限りなく実用化に近づいていると言っていい。
英国も無人航空機や無人水上艇を組み込んだハイブリット戦の実用化を具体的に進めており、アプローチこそ異なるものの両者に共通するのは「戦場認識力の拡張」によって如何に効率的な戦闘を実現させるかという点だ。
つまり将来の戦いにおいて戦場認識力で敵に遅れを取れば、幾ら革新的な正面装備を沢山揃えても活かせず終わってしまうのだろう。
関連記事:英国、無人航空機や無人水上艇を組み込んだ海兵隊のハイブリット戦を公開
※アイキャッチ画像の出典:public domain
これ自衛隊にも売ってくれんかな?というか自衛隊ってこういうの研究してる?
してるけど防衛秘密で非公開か、我々のリサーチ不足……であると切に祈りたい。
簡単なやり方ですが、96式装輪装甲車の側面に設けられた外部視察用窓は、防御面
で批判されますが、目的としては、降車時に兵士が周囲状況が分からずキョロキョロ
しない為に乗車中の外部視察能力を上げる為のものです
ハーフトラックの様な視界の良いオープンキャビン型から、兵士が目隠し同然に
押し込められるM113やBMPの様な密閉キャビン型の装甲車が主流になってから、
降車時に兵士にいかに素早く周辺状況を把握させるかは、ずっと大きな課題
だったのです
96式装輪装甲車の外部視察用窓もその答えの一つですから、考えてはいるでしょう
してなきゃヤバいからしてて欲しい
降りたとたんに地雷踏んだり石にけつまづいたり、いきなり頭を撃たれたり
戦場ってのはアクシデントそのものですよ
あんまり期待しすぎないように
この記事の内容を呼んでピンこないということは私自身の理解が足りないのか、そもそも記事に書かれている内容が大したことがないのか、、、多分前者なんだろうな、、、
このブログにフィクション持ち出すと拒否反応抱く人が一定数常駐してるの知った上で書くけど、完全に『マージナル・オペレーション』シリーズに出てくるIイルミネーターが具現化した形
後方にいるオペレーターが戦場認識しつつリアルタイムに前線の戦術指揮出来るんで、将来的には前線部隊を陸戦型ドローンで部分的に無人化することも視野に入ってくるんじゃないかと。ネックになるのは電子妨害くらって指揮連絡が途絶したケースかね?
あの話の設定では、戦場情報は後方指揮官が一括管理してたのでは?この記事は複数センサーノードからの戦場情報をネットワークシステム上で共有し、破壊目標を各シューターに割り当て、戦場制圧を目指すNIFC-CAの地上版の話だと思うのだが…
お願いEMPが流行るのかな
この手の持ち運び可能な機器でもEMP対策ってできるのだろうか
戦闘機に始まり戦車もAPCもSA化して下車班も続くが歩兵個人レベルとなると実際問題個人技量によるな。
上部からあれこれ伝達より車載全周カメラをHUDで共有したほうがいいな。
銃眼世代でないAPCは座席も内向きで外部は班長以外は下車時までなんもわからん。
正直、戦場認識力の拡張がなんなのか良く分からん。偵察をしっかりしましょうってこと?
複数人が別々の車で死ぬほど渋滞したり入り組んだエリアをラジオやトランシーバーからの情報を頼りにしながら160ページぐらいある地図と睨めっこしながら運転するのと
カーナビで渋滞情報を表示させながら運転するのするぐらい違う
FPSのゲームやった事ある?
「どこそこには確実に敵がいる」「敵勢力の規模はこのくらい」「敵は〜を持っている(敵は〜で武装している)」あるいは「この周囲には敵がいない」という事が戦闘前に味方部隊同士でリアルタイムに情報共有できていればその後起きる戦闘や行軍に活かして万事有利に事を進められるよね?
まあFPSで例えるのは厳密には違うかもしれないが方向性としてはそんな感じだと思う
個人的に思うに同数の集団同士で戦うとき
火力が勝るほうが勝ち、火力も同等なら
機動力が勝るものが勝ち、機動力も同じなら
賢く動く、つまり情報優越を持つほうが勝ると理解した
火力に劣る敵に情報優越によって敗北する可能性がある、って〆だと思うんだけど。
火力と兵力に勝る敵が情報的優位に立てば、相手は悲惨な結末しかないと読んでもいい
我が国の現実はそっちを心配しないとね
いかにも日本人的な考えやなあ
>>つまり将来の戦いにおいて戦場認識力で敵に遅れを取れば、幾ら革新的な正面装備を沢山揃えても活かせず終わってしまうのだろう。
マージナル・オペレーションで見た
陸自や海自のエリート部隊の画像見ると、ちょっと大丈夫かな?個人装備貧弱すぎないか?海外各国との軍事演習ついて行けてるんかな?余計な心配と思いますが少し気になっていました。
艦船や戦闘機とは違う陸戦個人装備に詳しい方、もっともっと自衛隊はこんな凄いんよ、世界に負けてないアピールしてくれると助かります!ここはコメ欄がとても勉強なるので。。。
不必要に自虐的になる必要はないけど、ここで日々他国の取り組みを見てると「自衛隊は本当に凄い」何て言えなくなない?
自衛隊は繰り返し同じ課題を研ぎ澄ませて研鑽して行く事には長けてても、他に先駆けて新しい事を取り入れたり自ら生み出すことは不得意だから心配になるよ。
FPSでもアクションゲーでもいいけど画面の右下や左下あたりにMAPが表示されてて
さらに敵の位置と味方の位置が表示されてりゃめちゃくちゃ戦いやすくなるよって感じでしょ
敵の大体の位置と数が分かるだけでも全然違うからなぁ
こういう装備持ってるのと持ってないのとでは絶望的な差が出るだろうね
みんな貧乏が悪いんや
あれば劇的な効果を発揮するのは分かるが、故障したり破損させられたりしたら戦力ガタ落ちだから、結果的には従来の訓練も重要だよねって話。
ヘリでランディングゾーンに降りるとか降車のタイミングとか上手く図れるようになって被害は減るよね。突発的な襲撃は難しくなりそうだし、代わりにクレイモアとか地雷とかセントリーガン、1000mごえのスナイプとかセンサーとかにとらわれない戦い方とかされそう。