昨年まで数機しかまともに飛行できなかった米空軍の大型爆撃機「B-1B ランサー」が大空に戻ってきたらしい。
参考:Ray Touts ‘Clean-Sheet’ Arsenal Plane, Hypersonics, B-1 Recovery, End of Bomber CAS
大空に戻ってきたB-1Bランサーは近接航空支援から解放され極超音速ミサイルの発射母機にジョブチェンジ?
B-1Bは超低空飛行から高速で侵入し爆撃を行うことを目的に開発された爆撃機だったのだが、実際の戦場で求められ役割は大量の通常兵器を搭載して戦場を超低空で何時間も飛行しながら、必要に応じて前線部隊に近接航空支援を提供することだった。特にアフガニスタンやイラクでの長距離近接航空支援任務はB-1Bの機体に大きな負荷を与え続け機体の構造的寿命をすり潰してしまった。
昨年、米国下院議会の委員会は「現時点で作戦任務を完全に遂行可能なB-1Bの数は一桁に過ぎない」とB-1Bの状況が悪化していることを認め、必要な訓練すら満足に行うことができず「B-1B搭乗員の練度を維持することが難しくなっている」と指摘しているにも関わらず、空軍が要求したB-1B補修費用については一部のみしか認めていない。
そのため空軍は疲労蓄積が特に酷い17機のB-1Bを早期退役させる計画を発表したのだが、肝心の議会がB-1B退役に反対しているため計画通り早期退役させるのか不透明な状況が続いている。
このように踏んだり蹴ったりのB-1Bだが、一部機体の補修作業が完了して再び大空に戻ってきたことが確認された。
空軍のティモシー・レイ大将は9日、空飛ぶ武器庫「アーセナルプレーン」のコンセプト実現のため爆撃機の中で最も搭載量が優れているB-1Bを極超音速ミサイルの発射母機として利用することを検討していることと、補修作業が完了したB-1Bの数が最低でも25機に達したことを明かした。
現在、B-1Bは月100回の出撃回数をこなすほど状況が改善され過去3年間で最も状況が良いとレイ大将は語っているが、再びB-1Bを近接航空支援に投入すれば補修した機体構造が再びダメージを受けるため近接航空支援からB-1Bを外すことを提案している。
要するに極超音速ミサイルの発射母機としてB-1Bを温存したい考えなのだろう。
ただ爆撃機のアーセナルプレーン構想(極超音速ミサイルの発射母機化)はロシアの方が先行しており、大型可変翼爆撃機「Tu-160 ブラックジャック」やターボプロップエンジンを搭載した爆撃機「Tu-95 ベア」、可変翼爆撃機「Tu-22M バックファイア」などをミサイル空母と定義して極超音速ミサイルの統合・搭載作業が進んでおり、中国でも旧ソ連製Tu-16をライセンス生産した大型爆撃機「H-6」への極超音速ミサイル搭載が進められている。
このような取り組みの目的は、長距離飛行が可能な爆撃機で大型の極超音速ミサイルを運搬することで攻撃範囲を拡張し運用上の柔軟性を高めるのが目的で、大型爆撃機を維持している国だけが用いる事ができる戦術とも言える。
恐らく技術的な発展を遂げて極超音速ミサイルが小型化されれば小型の戦闘機にも搭載可能になるだろうが、それまでは米露中のみが大型の極超音速ミサイルを航空機で迅速に運搬可能という訳だ。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Mary O’Dell
>ロシアの方が先行しており・・・
全世界規模で位置情報を含めた情報収集技術のあるアメリカならモノさえできればさらっと追いつくのではないでしょうか。
要は「極超音速ミサイル」というものは目標を何に設定しているかというところですね。
ロシアや中国では「遠距離の移動目標に確実」に命中させることは当面難しいと考えます。
B-1は爆撃機の中では群を抜いて美しい
優雅すぎて軍用機に見えない
美しい軍用機といえばB-1とスホーイ27。
米軍機最大の爆弾搭載量だから通常爆撃に酷使されたのか…
B-21レイダーが就役するまでは頑張って飛んでいて欲しい。
最高速度マッハ27?のアバンガルドやら水中を時速200kmで進み核津波を起こすポセイドンやら「特殊目的」潜水艦ベルゴロドとやべー兵器が目白押しのロシアに対することがホントにできるのか不安になってくるわ