米国関連

中東諸国へのF-35A輸出が成立寸前、米国務省が議会にUAEへの販売を通知

米国務省は29日、50機のF-35Aを約104億ドルでアラブ首長国連邦(UAE)に売却することを議会に通知したと報じられており、このままUAEへのF-35A輸出が成立するのか注目を集めている。

参考:UAE could get up to 50 F-35s in $10B sale

国務省が議会にUAEへのF-35A輸出を通知、遂に中東諸国へのF-35A販売が実現か?

トランプ政権の仲介でイスラエルとの国交樹立を果たしたアラブ首長国連邦(UAE)は第5世代戦闘機「F-35A」購入を要請しており、UAEへのF-35A輸出に前向きなトランプ政権はイスラエルの関係に緊張をもたらしている。

イスラエル空軍が保有するF-35Iと同じ戦闘機をUAEに輸出するというのは、米国はイスラエルに約束した中東地域における質的軍事優位性(Qualitative Military Edge:QME)維持に反するため困難だとの見方が強くイスラエルも米議会の外交委員会も反対の立場を示していたが、イスラエルのネタニヤフ首相が先週「UAEに対する特定兵器の販売に反対しない」とF-35A輸出を容認する姿勢を示したため、UAEへのF-35A輸出が実現に向けて一気に動き出した。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Heather Leveille

米国務省は29日、50機のF-35Aを約104億ドルでアラブ首長国連邦(UAE)に売却することを議会に通知、議会から反対が出なければUAEへのF-35A輸出が事実上成立することになる。

当初、議会の武器輸出に必要な審査プロセスを管理している上院外交委員と下院外交委員会は米国がイスラエルに約束した「QMEの維持」に反するとしてUAEへのF-35A輸出に反対していたが、イスラエル自体がUAEへのF-35A輸出を容認したため議会はトランプ政権に梯子を外された格好となっており素直にUAEへのF-35A輸出を認めるのかは微妙だが、ここで議会が意を唱えてもトランプ政権は国家安全保障上の緊急事態を宣言すれば強行突破(事実上議会を無視)することが出来るので、イスラエルの後押しを失った外交委員会の抵抗は無意味だろう。

問題はトランプ政権がUAEへのF-35A輸出を、どうやってイスラエルに認めさせたのかだ。

出典:U.S. Air National Guard photo by Senior Airman Bryan Myhr

当初はUAEへに輸出するF-35Aに装置を取り付けイスラエルのレーダーに表示させる案などが浮上していたが、イスラエルメディアはUAEへのF-35A輸出を認める代わりにイスラエル空軍へのF-22販売を妨げている「障害(恐らくオビー修正条項こと)」を取り除くよう米国に要求したとも報じられており何が「真実」なのかさっぱり分からない。

補足:イスラエルメディアは最終的に中東でのQMEを守るためイスラエルはF-22取得を目指すと報じているが、恐らくネタニヤフ首相の真意はF-22を売れと言う意味ではなくF-22のように同盟国への輸出を前提にされていない高度で最先端の兵器(例えば輸出しないと言われている空軍の次期戦闘機や極超音速兵器など)をイスラエルが購入できるようにするための布石でないかと管理人は思っている。

果たしてトランプ政権はUAEへのF-35A輸出を認めさせるためにイスラエルへ何を与えたのか興味をそそられるが、大統領選挙で再選が微妙なトランプ大統領が空手形を乱発しているとも受け取れるため、仮にバイデン氏が米大統領に就任すればトランプ大統領が乱発した空手形の処理に苦慮することになるだろう。

因みに今回の国務省が議会に通知したUAEへのF-35A輸出の可能性は「非公式」扱いなので、国務省のホームページには通知内容が掲載されていない。

関連記事:イスラエル、UAEへのF-35A販売に同意する見返りとしてF-22を要求か?
関連記事:米国にとっては痛し痒し、UAEに続いてカタールがF-35A購入を要請

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Christopher Quail

陸上イージスの代わりに整備するイージス艦、AN/SPY-6がベストなのか?前のページ

UAVの次はUSV、トルコが武装した無人水上艇「ULAQ」を発表次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    F-35最大の欠点解消に向けて前進、ALISに代わるODINの評価は上々

    F-35の管理システム「ALIS」に代わる「ODIN:オーディン」がア…

  2. 米国関連

    生まれ変わった米戦車エイブラムス、最新のM1A2C/SEPv3配備が始まる

    米陸軍の第3旅団戦闘団「グレイウルフ」は29日、最新バージョンの主力戦…

  3. 米国関連

    トランプ大統領、ドイツが支払いに応じない限り駐独米軍削減実行を明言

    米国がドイツに駐留する米軍を削減するという報道が先週出たが、トランプ大…

  4. 米国関連

    米国、米日豪印によるクアッド同盟を発展させ「太平洋版NATO」設立を希望

    米国務省副長官のスティーブン・ビーガン氏は31日、クアッド(QUAD)…

  5. 米国関連

    戦闘機に搭載する兵器コスト、無誘導爆弾なら40万円、AIM-120Dなら1億円

    中々、知る機会の少ない航空機が搭載する空中発射兵器の調達単価を「The…

  6. 米国関連

    米空軍がF-15EをF-15EXで更新する可能性? どう考えてもノーチャンス

    米空軍がF-15EをF-15EXで更新するかもしれないという、ボーイン…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 10月 30日

    敵はイラン
    そのためなら何でもあり
    判りやすい

    4
    • 匿名
    • 2020年 10月 30日

    イスラエル……代わりにいったい何を約束させたんだ(恐怖)

    6
      • 匿名
      • 2020年 10月 30日

      トランプ「ま、約束守るのはバイデンの仕事だしw」

      3
    • 匿名
    • 2020年 10月 30日

    世界の石油需要(消費量)は頭打ちだから原油価格に依存している産油国の財政政策も転換を迫られている。現状の中東で石油依存が少ない国はUAEとカタール?くらいしかない。今後のサウジ・イランの経済没落と政情不安を考慮すればイスラエルどうのこうのと言っていられない。

    7
    • 匿名
    • 2020年 10月 30日

    もしも城売電氏が勝ったらどうするかは本当に気になる。

    2
    • 匿名
    • 2020年 10月 30日

    イスラエルはタダでは転ばないからな、見返りは相当良いものであることは確か。
    まぁ、こちらとしてはF-35Aが安くなるから大歓迎なんだけどね。なお、B型…

    • 匿名
    • 2020年 10月 30日

    UAEのF-35Aのデータが全てイスラエルに筒抜けになっているのだろう。

    1
    • 匿名
    • 2020年 10月 31日

    ついでにサウジアラビアにも売却してUAEとサウジアラビアが参戦しているイエメン内戦を早く終結させようという狙いですかね

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  2. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
  3. 軍事的雑学

    ロシア製戦闘機を買うと損をする? SU-30SMを導入したベラルーシの後悔
  4. 日本関連

    海外メディアも注目、横浜で護衛艦「いずも」の空母化工事が始まる
  5. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
PAGE TOP