米国関連

米国、6月にM1エイブラムを使用したウクライナ人の訓練をドイツで開始

米国のオースティン国防長官は「ウクライナ人が訓練に使用するM1エイブラムが数週間以内にドイツに到着する」と明かし、AP通信は当局者の話を引用して「5月末までに31輌のM1エイブラムがドイツに到着する」と報じている。

参考:Following Ukraine Defense Contact Group, Austin Reminds Members of Their Impact

M1A1が戦場に到着するのは年末になる見込みだが、オランダとデンマークが新たにレオパルト2の提供を発表

ウクライナへの武器支援を話し合うラムシュタイン会議が21日に開催され、米国のオースティン国防長官は「最近だけでも230輌以上の戦車や1,550輌以上の装甲車両をウクライナに届け、新しい9個旅団の編成が可能になった。米国が約束したM1エイブラムの納入スケジュールを加速すると先月に発表したばかりだが、ウクライナ人が訓練に使用するM1エイブラムは数週間以内にドイツに到着する」と明かし、AP通信は当局者の話を引用して「5月末までに31輌のM1エイブラムがドイツに到着する」と報じている。

出典:Public Domain M1A1

ドイツでの訓練は約10週間=2ヶ月半を予定しているため「8月中にM1エイブラムの訓練を終える」と示唆しているが、残念ながら数週間以内にドイツに到着するM1エイブラムは「訓練用の車輌」で、オースティン国防長官は「ウクライナに提供するM1A1は秋に到着する予定だ」と述べており、約10週間でM1エイブラムを運用できるようになったウクライナ人は「高度な戦闘演習」や「追加訓練」を受けることになるらしい。

つまりM1A1が戦場に到着するのは年末になる見込みだが、新たにオランダとデンマークが共同で「2024年初頭までに14輌のレオパルト2(保管中の車輌を改修したもの)をウクライナに届ける」と発表、今後の装備提供は今年ではなく「2024年の戦い」に照準を合わせている格好だ。

出典:Officier communication du 4e RCh/CC BY-SA 4.0

因みにウクライナへの到着が確認(到着予定分も含む)されているレオパルト2、チャレンジャー2、PT-91の合算値は145輌なので、オースティン国防長官が言及した230輌以上という数字がどこから来たものなのか謎だが、AMX-10RCを加えると175輌、年内到着のM1A1とレオパルト1まで加えると231輌になる。

追記:米国とオランダが改修資金を出しているT-72×90輌、スロベニアが提供するM-55S×22輌が計算に入って230輌以上なのかもしれない。

追記:ラトビアが備蓄分に残るスティンガーを全てウクライナに提供(数量不明)すると発表。

関連記事:米国、納品時間を短縮するためM1A2ではなくM1A1をウクライナに提供
関連記事:ウクライナにブラッドレーとAMX-10RCが到着、パトリオットも引き渡し済み

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Patrick King 

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コメント

    • 2023年 4月 22日

    今年は耐える年と戦略を定めたのかな?
    ウクライナに戦力が集結するのはいいけど、やっぱ現代兵器は一気に揃えるのは難しいんだね。

    6
      • ミリオタの猫
      • 2023年 4月 22日

      当然でしょう
      今年初め頃から155㎜砲弾供給の問題が深刻化した事で、自分は「今年のウクライナ軍の反攻は無い。今年はロシア軍の攻勢を受け止めて彼らの消耗を狙う方が良い」と考えていました
      それに現代兵器だけで無く弾薬・ミサイルさえも揃えるどころか戦時の追加製造さえ難しい(この問題も今回のウクライナ侵攻で明白になっています)し、訓練・維持するのも難しいのです
      現在の米・NATO諸国も漸くその事に気付いた様で、2024年以降の戦いを見据えた武器支援を始めていますね

      2
        • おわふ
        • 2023年 4月 22日

        肝心の航空機がないと、そろそろ制空権を失って大変ですよ。
        供給される対空ミサイルでは追いつきそうにないので。

        5
          • ミリオタの猫
          • 2023年 4月 22日

          とは言え、肝心のロシア空軍が活動を活発化させているのにバフムート方面以外では後方の補給拠点を爆撃していると言う情報は有るものの戦局を好転させる気配さえ無く、成果が出ているとされるバフムート方面ですらロシア軍は正面攻撃しか出来ていないので効果が薄いんですよね
          それにパイロットの訓練期間を考えると、今航空機を供与してもまず役に立たないので、もしも本当にウクライナ軍が航空優勢を失う可能性が有るのならNATOが空軍をウクライナヘ介入させた方が合理的でしょうね(現実にはそんな話も出ていないので、ウクライナ軍は未だ航空優勢を失っていないと思われる)

        • zeema4
        • 2023年 4月 22日

        守ってるだけだとロシア軍を消耗させる前に物量に乏しいウクライナ軍がジリ貧で力尽きるだけだと思うし、攻勢を受け止めて消耗を狙うのはバフムトで現在進行形で既に概ね達成している。
        国際社会に対しても反攻を成功させて早く戦争を終結させられるアピールをした方が軍民問わず支援のモチベーションにもなるし、反攻は確実に行われると思う。
        2024年以降の支援スケジュールは、その今年の反攻を見据えた上で来年もウクライナが継続して領土を取り返すor維持するための支援なんじゃないかな。

        10
      • nachteule
      • 2023年 4月 22日

       別に現代兵器に限らず使える兵器を揃えるってのが難しい。今のウクライナなんて武器を渡すにしても他国の都合が優先されて効率度外視・運用制限有り・他国が要らない古い物が大半・段階を経ての逐次供給とかされないよりはマシだけど相当に酷い。それにゲームみたいに揃えば戦力化が出来て楽だけど、現実はそこからがスタートなのもつらい所。

       イスラエルとかなんかまともな支援なんてなくて初期に戦車揃えるにもスクラップ収集したりイギリスから盗んだりと何でもありだし、フランスの政策でミラージュの輸出が止まるとかもあった。自国で何とかするにも品質や性能、価格やそもそも作れるかの問題もあり色々含めて兵器を一気に都合良く揃えるのが難しい。

      1
    • メルク
    • 2023年 4月 22日

    生産国すら違う車両をまとめて運用するのは大変ですね。

    訓練や整備、予備装備や部品の備蓄数を考えると本格的な反撃はもう少し時間が必要なのかもしれませんね。。

    4
    • RAAF
    • 2023年 4月 22日

    ラトビアも後にNATO基金で供出分の補填がされるのでしょうが全数を供与するという事で危機感が見て取れますね

    11
    • れんちゃ
    • 2023年 4月 22日

    提供済としているので確かにT-72改やM-55Sとかを含んでいる可能性もありますね。

    スティンガー等についても有効期限やブロックの違いとかあるし、いざという時には周辺国から融通もされる&そもそもNATOからの派遣部隊が別枠で装備もしているでしょうからね。一度まとめて引き渡して再調達や運用部隊計画を見直すんでしょうかね。

    4
    • mun
    • 2023年 4月 22日

    最もロシア軍の攻勢圧力の強いバフムート方面ですら戦況は膠着状態となっているようで
    ウクライナ軍の遅滞戦術は概ね成功していると言えます

    3ヵ月前は反抗作戦まで持たないのではと危ぶまれましたが、もう4月の後半です
    ウクライナ軍の戦力は着々と増強され、そして反抗作戦に向け温存されているようです
    また、このように来年以降の戦いに向けた長期的な計画も視野に入っている事も注目すべきでしょう

    当初、西側諸国はどこかでロシアは折れるだろうとの甘い期待を持っていました
    しかしロシアはとことんやる姿勢を崩さず、西側諸国の期待は裏切られました
    そのため、ロシアの部分的動員の効果を過少評価してしまい、今冬の劣勢を招いてしまいましたが
    現在はそれを受け、西側は対応を修正してきている段階という事だと思います

    12
    • hoge
    • 2023年 4月 22日

    本気でウクライナを勝たせたいならば、3桁は供与してほしいところですね。
    戦車の在庫が4桁あるのはアメリカだけなので。

    1
    • nachteule
    • 2023年 4月 23日

     内容とは関係無いけど同会議で米国はF-16提供には断固拒否したらしいから、陸上兵力でどこまでやれるか実験のつもりなのかエスカレーション絡んでウクライナに高性能な遠距離攻撃手段を与えたくないのか表向きの理由ぐらい出しても良いんじゃないかね。

    • 砂漠の狐
    • 2023年 4月 23日

    新規に9個旅団かあ。すごいなあ。

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