米国関連

ウクライナに約束したHIMARSは20輌以上、ATACMS提供を否定せず

米国のオースティン国防長官は「約束していた12輌のHIMARSをウクライナに引き渡した。この12輌は同盟国やパートナーがウクライナに約束した20を超えるHIMARSの一部だ」と述べ、16番目のウクライナ支援パッケージに「4輌のHIMARSが含まれる」と明かした。

参考:US to send more HIMARS precision rocket systems to Ukraine in latest package
参考:Союзники Украины пообещали передать ей более 20 HIMARS – Пентагон

ATACMSをウクライナに提供する可能性を除外しなかったオースティン国防長官

ウクライナへの武器支援を調整する第4回ラムシュタイン会議の冒頭、米国のオースティン国防長官は「約束していた12輌のHIMARSをウクライナに引き渡した。この12輌は同盟国やパートナーがウクライナに約束した20を超えるHIMARSの一部だ」と述べ、今週中の発表される16番目のウクライナ支援パッケージに「4輌のHIMARSが含まれる」と明かした。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. William Chockey

今のところHIMARSをウクライナに提供しているのは米国だけ(12輌+16番目の支援パッケージ4輌=計16輌)だが、NATO首脳会議に出席したバイデン大統領は「ウクライナは米国以外からもHIMARSを受け取ることになるだろう」と述べていたため、これがHIMARSで使用する弾薬ではなくHIMARS本体を指しているならルーマニア(56輌保有)が提供に応じるのかもしれない。

さらにオースティン国防長官は「米国は最終的にATACMSのような長距離兵器をウクライナに提供するのか?」という質問に肯定も否定もせず、ただ「現在提供しているHIMARS弾薬の射程は80kmもあり、これまで手が届かなかった目標への攻撃機会をウクライナに提供している。HIMARSと現在提供している弾薬の組み合わせは非常に上手く機能している」と述べたため、将来的にATACMSをウクライナに提供する可能性を除外していないと海外メディアは報じている。

出典:Public Domain

これまでの経験から「ラムシュタイン会議で合意された内容は段階的に発表される」はずだが、決まった内容を全て公表しないため一般人が会議の全容を知るのは不可能だ。

しかし今回の会議では「提供した武器や装備の保守状況改善に対する取り組み」と「新たにウクライナ軍が運用を始めたHIMARSやMLRSで使用するロケット弾の消費率を検討して生産量と供給量が需要をカバーできるか」などが話し合われるらしく、この結果に基いて追加のHIMARS提供タイミングが決まるのかもしれない。

追記:リトアニアはウクライナにM113とM577の追加提供をラムシュタイン会議で発表すると報じられている。

関連記事:どんどん増えていくHIMARS、まもなくウクライナへの追加提供を米国が発表
関連記事:ウクライナ国防相、武器支援に関して非常に良いニュースがあると予告

 

※アイキャッチ画像の出典:Graphics by Lance Cpl. Stephanie Varela III Marine Expeditionary Force

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コメント

    • 戦略眼
    • 2022年 7月 21日

    生かさず殺さずだねえ。

    3
    • 無無
    • 2022年 7月 21日

    ロシアには打つ手がない
    ここで戦術核を持ち出せば、西側による戦闘機戦車以上の全面的支援の口実にされかねない
    数年の長期戦でロシアはどうなるだろうか

    6
    • ido
    • 2022年 7月 21日

    20輌を越すと1輌くらいの損失なら問題なくなるから運用方法が多少雑になりそう。まあ、ATACMS提供は早くしてほしいね

    4
    • すえすえ
    • 2022年 7月 21日

    アメリカ最近舐められてるけどやっぱ強いわ
    高いけど兵器の性能は文句なくいい
    ウクライナでの活躍見ると
    アメリカ自身は物量もかなりあるしな

    17
      • G
      • 2022年 7月 21日

      ロシアの空軍・海軍がほとんど戦果を出せない戦場が形成されているというのことも大きいですね
      ただ陸戦主体の戦場でこれだけ支援があっても半ば膠着状態ということで、逆に考えますと空軍・海軍の規模が大きく、それら主体で台湾や日本に侵攻してくる可能性のある中国の脅威度の高さを改めて思い知らされますが……

      5
        • すえすえ
        • 2022年 7月 22日

        中国が侵攻してきた場合を考えるとげんなりですなぁ

        台湾にしろ日本にしろ間に海があるのが気休めにはなるけど
        一度に揚陸できる戦力が限られるので

        1
        • 7743
        • 2022年 7月 22日

        歴史的に見ても陸上の戦闘というのは小規模の小競り合いが続いて膠着状態に陥ることが多いです。
        なぜなら、陸軍というのは比較的小さなユニットでも存続することが可能で、相手の攻撃しづらい場所に部隊を隠匿することが可能だからです。仮に勝利を収めて進軍しようにも、補給部隊を押し上げるのには時間がかかるため、簡単に前進できません。また、訓練が容易なので、戦力の補充がしやすく、仮に損傷を受けても再編を繰り返すことで戦線を維持することは可能です。

        一方で海軍というのは、一部でも損傷すると活動は困難となり、また戦闘となって、沈没すると一度に大量の熟練兵を失い、継戦能力を大きく損ないます。勝利した側は一気に制海権を取り、戦線を押し上げることも容易です。

        なので、海軍主体となる中台戦争は、ウクライナ戦争とはまた違った展開を見せるものと思われます。

        1
    • makumaku
    • 2022年 7月 21日

    米国防長官がHIMARSロケット弾の(最大)射程距離を80キロメートルと公表しましたが、
    条件次第では100キロメートル(60マイル強)ほど飛ぶようです。
    リンク
    実際にやるか(やったか)どうかは別として、緻密な気象観測とペンタゴンの支援があれば、
    こんなことも可能なのだろうと思います。

    3
    • 名無志野
    • 2022年 7月 21日

    これまで重装備を提供してこなかった(できなかった?)ルーマニアが動くか気になりますね

    4
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