米国関連

DF-17開発に携わった中国人技術者の米国亡命、中国の実力を推し量るチャンス

亡命した中国人技術者が米国の極超音速兵器開発に大きなブレークスルーをもたらす可能性は低いが「米国よりも先行すると自称する中国の軍事技術がどこまで真実なのかを検証する絶好の機会になるだろう」と米メディアが報じている。

参考:China’s Hypersonic Missile Data Analyzed as Chinese Rocket Scientist Defects to US
参考:傳頂級火箭專家出逃 專家析中共超音速導彈

果たして米国に亡命したとされる中国人技術者は我々にどのような真実をもたらすのだろうか?

中国の極超音速兵器開発で重要な役割を果たした中国人技術者は「極超音速兵器開発に関する情報と引き換えに自分と妻子の亡命」を英諜報機関に要求、MI6はCIAと協力して彼と家族をドイツ経由で米国に亡命させることに成功したと英メディアが先月26日に報じていたが、これについて米メディアは「彼がもたらす情報で米国の極超音速兵器開発が大きなブレークスルーを達成する可能性は低いが、米国よりも先行すると自称する中国の軍事技術がどこまで真実なのかを検証する絶好の機会になるだろう」と報じている。

出典:CCTV中国中央電視台のスクリーンショット

中国のDF-17を含む極超音速兵器開発で重要な役割を果たしたと主張する中国人技術者は自身の昇進が見送られたことに腹を立て昨年9月末に香港の英諜報機関に接触、極超音速兵器開発に関する最新の情報を引き渡す見返りとして自分と妻子の亡命を要求した。

この連絡を受けたロンドンのMI6は直ぐに情報に精通した工作員を香港に派遣、彼が提供した情報と亡命の意志が本物であることが確認できたためMI6はCIAと協力して彼と家族をドイツ経由で米国に亡命させることに成功、この件に詳しい関係筋は「中国人技術者がもたらした情報を元に米英は対極超音速兵器の防衛計画を大きく前進させることができる。中国がシステムを調整して米英に流出した情報を無効化するには少なくとも2年はかかると見ており、この分野における2年という時間は余りにも長い」と述べたらしい。

出典:Alex Beltyukov / CC BY-SA 3.0

米メディアは中国人技術者の亡命について「この事件は中国共産党にとって恥ずべき事件だ」と指摘したが、彼がもたらす情報で米国の極超音速兵器開発が大きなブレークスルーを達成するという見方についてはやや楽観的だと主張して「1995年に謎に包まれていたMiG-25を操って旧ソ連のパイロットが亡命したのと同じで、米国よりも先行すると自称する中国の軍事技術がどこまで真実なのかを検証する絶好の機会になるだろう」と報じている。

特に中国が実施する極超音速兵器の実験に関する情報は匿名の情報源が多く、着弾位置や標的の種類に関しても具体的な情報が少ないか曖昧なものが多いので「中国が主張する軍事技術の発展を信用できない」と強調したが、米軍は敵の能力を過小評価するのは危険だとも警告し「中国の極超音速兵器に中国共産党が自慢するような能力が備えているか別問題として、今後も継続した観測を続ける必要がある」と主張しているのが興味深い。

出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Juan Torres

恐らく偵察衛星を含むISRプラットホームを駆使して米軍は中国の極超音速兵器の実験を観測しており、一般向けには公表していない情報を掴んでいる可能性があるが、結局のとこ実戦で使用されるか実物を入手して分解してみるまで正確なことは分からないので中国の極超音速兵器の実力を過大なのか本物なのかを答えを知っているのは中国だけだ。

果たして米国に亡命したとされる中国人技術者は我々にどのような真実をもたらすのだろうか?

関連記事:DF-17を開発した技術者が米国に亡命、中国が対策を講じるのに2年かかる計算

 

※アイキャッチ画像の出典:MDAA HGVのイメージ

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

墜落したF-35Cはルソン島の西海域、日本がサルベージ作業に関する航行警報を発表前のページ

エジプトがK9導入、1,900億円規模の契約を韓国と締結次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    オーストラリア空軍、開発中の無人機「ロイヤル・ウィングマン」が初飛行に成功

    西側諸国で開発が進められている有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機のトップ…

  2. 米国関連

    米国務省、ウクライナへの多連装ロケットシステム供給が始まっている

    米国務省のビクトリア・ヌーランド次官は「米国の新しい支援パッケージに多…

  3. 米国関連

    米国が中国に勝利する条件、新技術開発のためレガシーウェポンの破棄

    超党派の連邦議会議員で構成された「Future of Defense …

  4. 米国関連

    アフガニスタンで旅客機墜落は誤報? 米空軍の戦域通信中継機「E-11A」が墜落

    ポーランドのF-35導入契約に関する話題や、アフガニスタンで民間旅客機…

  5. 米国関連

    米空軍、ボトルネックだったF-22とF-35の戦術情報共有に成功

    米空軍は14日、F-22とF-35が初めて戦術情報の共有を直接行うこと…

  6. 米国関連

    SPY-6やベースライン10を採用したアーレイ・バーク級駆逐艦、戦力化は最速でも2024年後半

    米議会調査局は今月17日、議会へ提出した報告書の中でAN/SPY-6や…

コメント

    • すっぱい
    • 2022年 2月 01日

    >この連絡を受けたロンドンのMI6は直ぐに情報に精通した工作員を香港に派遣
    007テーマ曲が頭の中で流れ始めたw

    17
      • もり
      • 2022年 2月 01日

      流石英国
      諜報戦では今だ世界屈指よの

      日本に足りないのはこう言う公表出来ない汚い分野よ

      27
        • 無無
        • 2022年 2月 01日

        公表されてないならば、無いとも断定できない。
        ただ、欧米マスコミのなかには公安をハイレベルな秘密警察と評価し、対中国の情報力は高いとする説もある
        国民が最も知らないだけかもね

        21
          • もり
          • 2022年 2月 01日

          あの猟銃管理ガバガバ公安委員会が…?
          対中はアメリカじゃなくて日本頼れとか頓珍漢な事言ってた海外軍事研究員みたいだな

          5
            • 無無
            • 2022年 2月 01日

            そっちの公安と違う公安
            オウムに潜入してた連中等

            14
              • ブルーピーコック
              • 2022年 2月 01日

              公安調査庁ですね。特別高等警察の流れをくむ組織で、オウムや朝鮮総連、左派の過激派、国際テロ組織などを調査しているれっきとした情報組織です。
              民主党の事業仕分けで消されそうになったあたり、ちゃんと仕事はしているかと。

              8
              • ダヴー
              • 2022年 2月 02日

              諜報機関って対外工作担当と国内防諜担当があって、公安は防諜の方の組織よね。
              日本に欠けているのは対外工作の方だと認識してるが違う?
              ちょうど記事にあるMI6やモサドみたいなの。

              7
            • hiroさん
            • 2022年 2月 01日

            いわゆる公安警察と呼ばれる組織ですね。
            警察庁警備局が全国を直轄していて、警視庁だと外事第三課が中国、外事第四課が北朝鮮を担当しているとか。
            小説顔負けの秘密組織で、警視総監や道府県警本部長も実態を知らないらしいです。
            まぁ、知ってておちゃらけているんでしょうが。

            10
    • くらうん
    • 2022年 2月 01日

    >中国のDF-17を含む極超音速兵器開発で重要な役割を果たしたと主張する中国人技術者は自身の昇進が見送られたことに腹を立て

    考え方によっては、完成したDF-17の性能が解放軍の期待を下回るものだったから昇進が保留された可能性もあるのかな。

    8
      • TT
      • 2022年 2月 01日

      それだったら昇進出来なくても納得出来そうなもの。
      成果をきちんと出してるのに昇進出来なくてこそ、不満も大きくなるのでは。
      しかし、技術者の待遇をケチるもんじゃ無いですよ。結局属人性が高い物なのだから、不満を持って転職されたら簡単に情報は漏れるのに。

      14
    • 無印
    • 2022年 2月 01日

    この事件を見て思ったのは、残された亡命技術者の同僚達は、一生をほぼ軟禁状態で過ごす羽目になるんじゃないの…
    亡命を防止するには自由を完全に奪うしかないよね、兵器を開発するだけのマシーンにされるのでは

    8
      • くじら
      • 2022年 2月 01日

      ヴェネチアのガラス職人みたいになるのかね、島の中で一生過ごす、みたいな

      その点ロシアの軍需産業は上手く生態系が確立されてるのかもしれん

      13
        • 無無
        • 2022年 2月 01日

        今でもロシアには複数の閉鎖都市が存在し、外国人に見せたくない研究がされてますよ、昔ほど厳しくはないけど、研究者や技術者は監視されてる
        中国も、例えば四川には外国人立ち入り禁止エリアがあり、やはり軍関連施設があるという。

        9
      • A
      • 2022年 2月 02日

      特に親類縁者はまずいことになるだろうね。

    • トクメイキボウ=サン
    • 2022年 2月 01日

    これで極超音速兵器の探知・迎撃技術が進展するといいな、少しばかり希望的観測になるがこの技術者からの情報でSPY-6、7の性能が向上したら日本も恩恵を受けられるし(多分)

    にしても前々から思ってたがこれからは中国から技術を盗む時代なんだなぁと実感しました

    24
    • ポン
    • 2022年 2月 01日

    これ、アメリカも軍事費増やしたいだろうしどちらにせよ上手くできてるって言いそう

    1
    • bon
    • 2022年 2月 01日

    ベレンコ中尉が亡命したのは1976年だぞ。1995年だとソ連もなくなっとる。

    7
      • 伝説のハムスター☆☆☆
      • 2022年 2月 01日

      これってさ、妻はどんな気持ちなんだろう
      会社辞めたと言ったら凄く驚かれるのに、中国が秘密にしてる兵器アメリカに売ったわとか笑
      心臓が飛び出るってレベルじゃない恐怖だろうな笑

      まぁ検証した結果、迎撃は不可能ではないし必中半径もがばがばな事を祈るよ‥そうであってくれ~

      6
        • 伝説のハムスター☆☆☆
        • 2022年 2月 01日

        ミスった
        他人の所に書き込んでしまった

        2
      • 無無
      • 2022年 2月 02日

      年月間違いは置いといて、あの亡命で明らかにされたのは、ソ連極東では軍インフラすら未整備な貧しい環境であること、Mig25の簡素だが実用的な構造、優れたエンジン、しかし欠陥や遅れた面、何よりも我が国の防空システムの欠陥をソ連がすでに知悉していたことが衝撃的でしたから。
      今回はガセネタでなければ、中国軍の真実のみならず中国が西側をどう把握しているのかを知る絶好の機会になるでしょう
      中国の極超音速兵器成功は、我々にはスプートニクショックの再来でしたが、
      彼等にはお返しにミグ亡命ショックの再来をご馳走したい

      3
    • 成層圏
    • 2022年 2月 01日

    >自分の昇進が見送られ腹お立て

    これどういうこと?そんなことくらいで命の危険まである亡命するのか?
    それとも、これがきっかけになっただけで、以前から中国が嫌だったのかな?
    あるいは、汚職などで粛清の対象になったから、別の理由で逃げたとか?

    何にしても、謎な感じ。
    まぁ、亡命ってこんなもんかもしれない。したことないけど。

    7
      • 2022年 2月 02日

      わざわざ英諜報機関に接触してるって事は、前々から考えてたことなんでしょうね。
      じゃないと諜報機関に接触どころか存在を知ってるのもおかしい話ですし。
      理由はテキトーなんじゃないですか。

      4
        • 無無
        • 2022年 2月 02日

        先にMI6の工作員から連絡先を知らされてたということでしょう、一般人がどうやって探せる相手でもない
        つまりは亡命した彼が不満分子だとあらかじめ知られていたとは、中国の内部にも西側情報機関が食い込んでいる証拠です

        5
    • 334
    • 2022年 2月 01日

    技術者冷遇からの報復的寝返り・・・
    どこの国も似たようなモンなんだねぇ
    まあ家電とミサイルじゃ重要度が桁違いだけど

    3
    • 8bm
    • 2022年 2月 01日

    参考記事が大紀元(大紀元はさらにデーリー・エクスプレスの記事を紹介)だと信憑性が…。
    本当に中国人技術者はアメリカに亡命したんでしょうか?

    3
      • ブルーピーコック
      • 2022年 2月 01日

      英DailyMailも報じてますし、EurAsian Timesの英字記事では名前や経緯も載っていました。まあ、本当かどうかはこれから分かりますよ

      1
        • 8bm
        • 2022年 2月 01日

        DailyMailはウィキペディアですら「信用できない情報源」扱いなのでますます信憑性が…。
        とりあえず真偽が分かるまで騒がない方が良いですね。

        4
    • 狂信者
    • 2022年 2月 01日

    出どころがイギリスの時点で単なる嫌がらせニュースとしか思えないが
    一般人に真相真偽など分かるわけないし、あれこれ想像して楽しむネタですね
    わざと偽情報掴ませて対策ミスリードさせて邪魔するってのもある

    6
    • 佐々籐士郎
    • 2022年 2月 03日

    ベレンコが亡命したのは、1976年ですよ。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  3. 日本関連

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  4. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
  5. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
PAGE TOP