B-2爆撃機や、エアフォースワンなど大型の軍用機以外で、最も高価な軍用機は一体なんだろうか?
F-22よりも高価な小型軍用機は存在するのだろうか?
世界で最も多くの軍用機を開発し保有している、間違いなくアメリカ空軍だ。
2017年時点で、米空軍は5369機以上の軍用機を保有し、406発のICBMを運用中で、170機もの軍事用衛星を管理し、年間1,610億ドル(約17兆5,300億円)もの予算を与えられている巨大組織だ。
これだけの巨額の予算を持つ米空軍が、これまで開発してきた軍用機の中で最も高額なのは、1機21億ドル(約2280億円以上)とも言われているB-2爆撃機と、1機19億ドル(約2060億円以上)もする最新型のエアフォースワンだ。
補足:最新型のエアフォースワン1機19億ドルというのは、新しく3機導入する内の2機分の価格で、ボーイング内で保管されていた民間航空機向けの747-8を改修することにしたため、機体を新規製造して調達するよりも価格が10億ドル以上安くなったと言われている。
B-2爆撃機も、エアフォースワンもエンジンを4基搭載した大型機だが、では小型の軍用機のなかで最も高額なのは一体なんだろうか?
価格が高いと、常に批判を受ける最新のステルス戦闘機「F-35 ライトニングⅡ」を抑え、最も高額な小型軍用機の座を死守し続けているのは、1機1億5,000万ドル(約163億円)という値札を付けたステルス戦闘機「F-22ラプター」だと考えた方は、残念ながら不正解である。
価格が公表されている軍用機の中で、F-22よりも高額な、1機500億円という現実離れした機体が存在していた。
米海軍(米海兵隊)が開発を行った、米国大統領専用ヘリコプター「VH-71 ケストレル」だ。
1961年から運用が続くVH-3Dや、比較的新しいが、キャビンが狭く使いづらいVH-60Nを更新するため、新しい米国大統領専用ヘリコプターを開発することになり、ロッキード・マーティンとアグスタウェストランドが提案するEH101をベースにした「US101」案と、シコルスキー・エアクラフトが提案した「H-92」案が検討されたが、最終的に勝利したのは「US101」案だった。
2005年にロッキード・マーティンと機体の開発と試作機製造のため17億ドルの契約が結ばれ、最終的に28機の米国大統領専用ヘリコプター「VH-71 ケストレル」を調達するために掛かる費用は、約61億ドル(約6,600億円)と見積もられていた。
そもそも、この時点で1機あたりの調達価格が2億ドル(約230億円)を超えている。
その後、完成した「VH-71 ケストレル」の試作機を米海軍に引き渡したが、パフォーマンスの満足できないとして、1,900項目以上の修正や改良を要求し、開発スケジュールは破綻しコストは上昇を続け、最終的に28機の「VH-71 ケストレル」を調達するために掛かる費用が130億ドル(約1兆4000億円)を突破するだろうと見積もられ、1機あたりの調達価格は4.6億ドル(約500億円)になった。
もし130億ドルの予算があれば、価格が高騰している「ジェラルド・R・フォード級空母」を1隻購入でき、価格の高騰で調達が3隻で打ち切りになった「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」なら4隻、B-2爆撃機なら6機、F-22なら85機も購入できる。
結局、余りにも高価になりすぎたため、2009年6月米海軍は「VH-71 ケストレル」開発のキャンセルを発表したが、その時点で、米海軍は44億ドル(約4800億円)もの予算を投資し、9機の「VH-71 ケストレル」が完成していたが、カナダが捜索救助ヘリコプター「CH 149」のスペアパーツ取りとして、たった1億6400万ドル(約178億円)で9機全てを引き取って行ったので現存する機体はない。
最新型のエアフォースワンもそうだが、米国大統領専用機となると、なぜここまで価格が高くなるのか、もはや理解の範疇を超える。
※アイキャッチ画像の出典:US Air Force / Senior Airman John Linzmeier
「パフォーマンスの満足できないとして、1,900項目以上の修正や改良を要求し」
この辺りなんて利権絡みのマッチポンプと邪推したくなりますね。大統領専用と謳えば価格を吊り上げても他との比較も困難な上に追加の特別装備で説明も可能で、やり易いことこの上ないでしょう。人が行う以上は完全なクリーンはあり得ませんし、組織が巨大化するほど腫瘍も巨大化するもので。アジア圏とはまた違った腐敗がありそうです。
日本も簡単な行政サイトの立ち上げに何億も予算付いてたりするけど、なんでそんなに高くなんの?と問われればやれ人件費がだの調査が膨大でだの理由をあげるんだろうけど、問題は安くあげようという発想がそもそも存在していない部分にあるんだよなぁ。
公共事業はある意味民間への還付という側面もあるけど、その恩恵は狭い範囲で終わっちゃうしな。
しかし、アメリカのこういった兵器開発失敗はもう「よく聞く話」レベルのような気がするけど、その責任は誰かとってるんでしょうかね?持ち前のチャレンジャー的風土で失敗は付きものとしてあまり叩かれないのかね?
VH-71は機体の開発と試作機製造に17億ドルの予算、エアウルフは10億ドル。従ってエアウルフを大統領専用機にしたほうがお得。アメリカが核攻撃されたとしても、大統領自ら敵地にマッハ1+で乗り込み報復核攻撃が行えるのが最大の利点。その際はきっと、今日が本当のインディペンデンスデイ!とか言いながら突撃する。あの性能でこの価格なのは悪魔的天才モフェット博士がほぼ一人で作ったので人件費が掛かっていないからでしょう。
日本に翻って❗天皇陛下が乗られると、考えれば理解出来るかと。