米国関連

米国防総省がF-35の受け入れ停止を発表、無許可の中国産部品が原因

F-35のエンジンに中国産のサマリウム磁石合金が無許可で使用されていることが判明、国防総省は国防省調達規則(DFARS)に違反する恐れがあるためF-35の受け入れを停止するよう命じた。

参考:Pentagon suspends F-35 deliveries over Chinese alloy in magnet

受け入れ停止措置が長引くようなら完成したF-35の引き渡しに影響ができるかもしれない

米Pratt&Whitneyが供給するF135にはHoneywell製のスタータージェネレーターが採用されており、この装置に無許可の中国産サマリウム磁石合金が使用されていることが先月19日に判明、これは国防省調達規則(DFARS)に違反する恐れがあるため国防総省はF-35の受け入れを停止するよう命じたらしい。

出典:public domain F135

問題のサマリウム磁石合金はHoneywellのサプライヤーが中国から調達したもので、磁気化作業は国内で行われているためF135やF-35の性能や安全に問題はなく、引き渡し済みのエンジンに使用されている合金を交換する予定もないが、今後製造されるエンジンのスタータージェネレーターには国内で製造されたサマリウム磁石合金が使用される予定だ。

国防総省や製造企業は現在、中国で製造された合金が「なぜチェックをすり抜け使用されたのか」を調査している最中で、DFARS違反に起因した受け入れ停止措置がいつ解除されるのかも不明だが、直ぐに各国のF-35運用や製造に影響を及ぼす可能性はないと報じられている。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Codie Trimble

ただ受け入れ停止措置が長引くようなら完成したF-35の引き渡しに影響ができるかもしれない。

因みに英国製射出座席の不具合に起因した米空軍のF-35A飛行停止措置は、全機の検査が終了して解除されている。

関連記事:英国製射出座席の不具合、英独に続き米国もF-35などに飛行停止を指示

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Mercedee Wilds

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コメント

    • ワゲワガメ
    • 2022年 9月 08日

    サマリウム・コバルトモーターは高いので、私の電動ガンには半額のLONEX
    1Jギリのバネで秒間15発程度だが自分には丁度いい。弾の節約にもなる
    動き回らずバイポットを据えて、MG42風に撃ちまくるのだ
    最高のストレス発散なのである

    3
      • 若者
      • 2022年 9月 08日

      おじさんさぁ…

      5
        • uta
        • 2022年 9月 09日

        当節、提供していた物を出し絞ることで相手にダメージを与えんとする手法が横行してますからね。
        こういうアコギなやり方は中国が世界に広めたんだろうな。
        高く付いても国内産、こういう感覚を我々国民が堅持したなら、産業は守られ、独歩の性能が維持出来るんだろう。
        一眼レフやビデオが世界規模で売れたのだから。

        2
    • 鼻毛
    • 2022年 9月 08日

    さすが米軍はロシアと違ってしっかりしてるなぁ

    20
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