米国関連

失敗が許されないボーイング、米空軍向けに製造したF-15EXの初飛行に成功

ボーイングは今月2日、米空軍向けに製造したF-15EXのプロトタイプ1号機の初飛行に成功したと発表した。

参考:Boeing marks maiden flight of the U.S. Air Force’s new F-15EX

H5見出しb

米空軍はF-15C、F-16C/D、A-10等の第4世代戦闘機を全てF-35Aで更新する計画だったが開発に遅れが生じたため既存機の運用期間延長を検討しなければならなくなった。そのためF-16C/Dは構造補強や搭載レーダーのアップグレード(AN/APG-83への換装)などが進められており、A-10は老朽化した主翼を新たに製造したものに取り替えるなど対策が講じられたが、最も老朽化が進んだF-15Cについては新たにF-15EXを導入することに決定した。

出典:U.S. Air Force courtesy photo

これを受けて国防総省は昨年7月、取引上限が最大230億ドルに設定されたF-15EXに関する契約をボーイングと締結して正式にF-15EXを8機発注したが、本格的な量産は2021年に引き渡される2機のプロトタイプによる試験後に設定されており、今回発注した8機全ての引き渡しが完了するのは2023年の予定だ。

補足:取引上限額230億ドルというのは飽くまでも可能性の話であり調達を約束したものではないので注意が必要、現在承認されている予算は8機分12億ドルのみ

ただ国内では依然としてF-15EXの調達に反対する勢力が一定数存在するためボーイングとしては一刻も早くプロトタイプを製造して評価試験をパスする必要があり、正式発注前からボーイングはプロトタイプの製造を開始していた。このような努力が実り正式発注からたった7ヶ月間でプロトタイプの初飛行に漕ぎ着けることに成功する。

ボーイングは今月2日、米空軍向けに製造したF-15EXのプロトタイプ1号機が90分間に及ぶ初飛行を行い「最大9Gの負荷に耐えられることを確認した」と発表した。

F-15EXのプロトタイプはセントルイス工場に併設されたセントルイス・ランバート国際空港で引き渡し前の各種テストを行い空軍パイロットによる評価テストに備える予定だが、同じように海軍パイロットによる評価テストを受けているF/A-18E/Fの最新モデルBlockIIIは空母環境でのテスト中に深刻な欠陥が見つかり、BlockIIIの主要機能だったコンフォーマル・フューエル・タンクの採用見送りが囁かれている。

海軍は中国やロシアなどが開発を進めている長射程のミサイルから空母を守るためコンフォーマル・フューエル・タンクを採用したF/A-18E/F BlockIIIの作戦半径の拡張に大きな期待を寄せていたのだが、これだダメになるとBlockIIIは新たにIRSTを組み込んだ増槽を採用する関係でBlockIIよりも作戦半径が短くなるためボーイングは青ざめているはずだ。

果たしてF/A-18E/F BlockIIIはどうなってしまうのか現時点では不明だが、空軍の評価試験を控えたF-15EXが同じ様な失敗に直面すればボーイングの戦闘機部門は崖っぷちに追いやられることになるだろう。

関連記事:青ざめるボーイング、テスト中のF/A-18E/F BlockIIIに深刻な欠陥
関連記事:米空軍がF-15EXをボーイングに正式発注、プロトタイプ引渡しは2021年

 

※アイキャッチ画像の出典:ボーイングF-15EX

英国、トルコにクイーン・エリザベス級空母の設計図売却と建造支援を提案か前のページ

トルコ、第5世代戦闘機「TF-X」完成までF-16のアップグレードで凌げるか?次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    トランプ大統領、駐独米軍の一部をポーランドに移動させると発表

    トランプ大統領はポーランドのドゥダ大統領と共同記者会見を行い、NATO…

  2. 米国関連

    米国、日本に続きインドネシアに対して「V-22 オスプレイ」販売承認

    米国と日本しか採用してこなかった輸送機「V-22 オスプレイ」だが、3…

  3. 米国関連

    米海軍、設計上の欠陥を理由にフリーダム級沿海域戦闘艦の受け入れを停止

    米海軍は設計上の欠陥を理由にロッキード・マーチンが建造しているフリーダ…

  4. 米国関連

    爆速で完成する米空軍の無人戦闘機、プロトタイプ引き渡しは5ヶ月以内

    米空軍が開発を進める無人戦闘機プログラム「Skyborg(スカイボーグ…

  5. 米国関連

    米海軍、ノルウェーの秘密基地を再稼働させてロシアの聖域に挑む

    米海軍とNATOは秘密基地「オーラウスヴァーン基地」を再稼働させ、再び…

  6. 米国関連

    墜落事故が続く米空軍、今度はF-15Cが墜落してパイロットが死亡

    在欧米空軍に所属する第48戦闘航空団のF-15Cが15日、北海上空で通…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    仮に失敗しなくても政治的な事情でプロジェクトポシャるとか全然ありそうだから困る

    いくら素性のいい戦闘機とはいえ、今さら新造ってどうしても中途半端な感が拭えないし

    12
    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 2月 03日

    もうすでに崖っぷちって感じもするけどなぁ。
    F-15EXが同じ様な失敗に直面したら、今度こそ終わりそう。
    果たして自力で崖から戻ってこれるのか

    23
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    F-22も同じくらいの価格じゃなかったか

    2
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      追記
      ミサイルキャリアーとしての利点こそあれど、今さらそこまで高騰した高価な4.5世代機を取得するのはどうなんだろうか
      ボーイング救済案だとしても流石にこれは途中で打ち切られる気がする、もしそうなったらボーイングの最期かな

      15
        • 匿名
        • 2021年 2月 03日

        研究開発の人件費が高いし調達数も少ないしで少しも安くなる要素ないんですよね
        製造は製造で自動車みたいに中国に作らせる訳にもいかない
        国内の工業の空洞化はやってはいけないことだったのだと、今更身をもって気づくことになるとはね
        もう思い切ってトヨタと協業してはいかがかなと(投げやり)

        7
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      それぞれがなんのコストを指すかあやふやだけど、F-22よりは確実に安いと思う

      4
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      この記事の8機の価格、F22と同じに設定されてますし、量産時はF22以上。

      双発大型機というとこが同じなので、生産数F15の144機とF22の196機、ステルスの違い。
      つまり、開発期間にかかった以前より高騰してる人件費を生産数で割れてない無いのが高い要因でステルス素材、形状ってコストに目に見えて影響しないのでは?

      1
        • 匿名
        • 2021年 2月 03日

        米国さん、日本と異なりインフレしてたのでは?

        2
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      F22よりは維持費やすそうなのがメリットかも

      3
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    やがて戦闘機部門はロッキードを中核とするオールアメリカ体制に移行しても、その引き金を引くのは吸収されるボーイング自身
    すでにメーカーというより国家間の競争という状況になってるから、遅かれ早かれと思う

    2
      • アカ狩り
      • 2021年 2月 03日

      朝日新聞も新聞より不動産収入の方が多いのだから、ボーイングも何か副業すればいいじゃないか。

      3
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    >ボーイングの戦闘機部門
    只今T-7を絶賛開発中なんだが・・・

    もしボーイングがポシャったら、
    部門毎に売却されそうですね
    (丸ごとだと金額がパナイし公取がうるさそう)

    5
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      ぽしゃる前に航空機部門を1ドルで売却して、航空機の部品を使った家具屋になるだろうよ

      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      T-7の開発にはサーブが噛んでますし、仮にボーイングが潰れてもサーブが儲かるだけかもしれませんね。

      1
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    せめて価格が劇的に下がってればなぁ…。
    機体寿命はそんなに長くなくていいし、最前線に出る機体でもないんだから
    性能向上より調達・運用コスト削減に注力すればまだしも可能性があったと思うんだが。

    1
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    調達OKならJSI用の不足部品もまとめて補充できそうかな…?

      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      逆、EXにJSI用の部品とられてるからむしろ価格が上がり納期が延びる。

      3
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    インテイクや尾翼に角度付ける改造案をきたいしたんですが、やはり無理ですね。

    1
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    国がボーイングに公的資金投入しても自社株買いに使われるのがオチなんやろうな

    2
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    F-3はF-22のステルス性と空戦能力にF-15以上のミサイル搭載能力を加えたバケモノ機になるだろう。
    そうなるとデジタルセンチュリーのような粗製乱造の機体とはレベルが違う、アメリカ空軍に最適な機体になる。
    LMとロッキードのライセンス生産兼の奪い合いになるだろうから日本は出来るだけ有利な条件になるように行動すべき。
    同時にC-2もライセンス生産されることになるだろう、C-130の上がC-17ではどうにも使い勝手が悪い、アメリカは航機工場の稼働率と就職率が一番の問題なのだから自国の設計などと呑気なことを言っていられなくなってくる。
    上手くしたらC-2がFAAの耐空証明を取っ手民間転用さえ考えられる、大量の荷物の迅速な積み降ろしにあれほど最適な機体は無いのだから。

      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      釣り針デカすぎ

      32
        • 匿名
        • 2021年 2月 03日

        いくらなんでも「LMとロッキード」は酷過ぎる。

        16
          • 匿名
          • 2021年 2月 03日

          LMってなんの略なんだろう

          1
            • 新・にわかミリオタ
            • 2021年 2月 03日

            Lockheed Martin
            頭文字をとって、LMですね。

            1
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      どこかの掲示板でお願いします…

      18
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      妄想するだけなら楽しいね

      16
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    まあ既存の技術の組み合わせだしドジることはないだろう(フラグ)

    2
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      今のボーイングに既存の技術残ってるかな?

      7
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      スパホ・・・

      7
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      E型にちょっと手を加えるだけだし楽勝だな

      2
        • 匿名
        • 2021年 2月 03日

        つーかSAやQAほぼそのままじゃろ。

        2
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      737MAXもそうだそうだと言っています

      1
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    試験飛行用の塗装もしてない組み立てそのままの、ホントに大急ぎだったように見える

    • ソソソナス
    • 2021年 2月 03日

    いまさらF15なんて購入するのは予算の無駄だよ。当初の予定通り全てF35に置き換えたほうが維持管理費が安く済む。F15EXなんてザク最終生産分と同じだよ。余力があるうちに全部ドムであるF35系統に変えたほうが良い。米国だけでなく同盟国もF35にすれば維持管理も安価で楽になる。

    3
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      >全部ドムであるF35系統
      ドムっていうよりゲルググじゃね…?

      2
        • 匿名
        • 2021年 2月 04日

        突っ込むところそこ?

        6
    • イーグルクロウ
    • 2021年 2月 03日

    ついにFー15EX祝、飛翔!!!

    キミが空を舞うのを待っていた!!

    これからも「20世紀最強の空の覇者」として君臨してくれ!!

    Fー15イーグル バンザイッ!!!

      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      試作のF-15Aの初飛行から50周年に新型EXが飛んでしまうという冷戦が終結してなければ見れなかった現象が発生中です。もちろん日本に初めて飛んで来た時は記録しに行きそうな感じですか?

    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    テスト上手くいくといいなぁ…(予算すら計上できないF-15Jを見ながら

    2
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    これが上手く行かないとF35の維持費で予算圧迫しちゃう、勿論自衛隊も……

    2
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    JSIの予算が計上されないのは改修にあたってボーイング側に問題があったという噂……
    つまりこれは、「ボーイングが『JSIの改修ができないからEXを買ってクレメンス、お代はお安くしますから』って言ってるから対地攻撃にウェイトが置かれたF-15EX買いますわ。かーっ!対地攻撃能力は要らないんだけどなー!かーっ!」とか宣いつつF-15JをF-15EXで置き換えようとする空自の陰謀だったんだよ!!!11!

      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      お安くなるんですかねえ

      7
        • 匿名
        • 2021年 2月 04日

        まだF-2再調達した方が手を加えやすい分だけ『マシ』だとおもう。

        3
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      それなら、国内防衛産業にF-15Jの魔改造させた方がF-3の開発のときに困らないんじゃ?
      F-4のときの魔改造よろしくやってくれないですかね……ホント。

      5
        • 匿名
        • 2021年 2月 03日

        J型もといC型ベースだとE型みたいに爆装するための大規模な補強がされてないから独自に改造するにしてもできることは限られてくるね

        1
  1. URLに記入しましたけどこの記事パクッてyoutubeに上げてる奴がいるね
    このブログ無断転載禁止だったと思うけど

    3
      • 匿名
      • 2021年 2月 04日

      何となく若い人間の様な気がする、見るの疲れるし人気があるようには見えないし、さりげなく接近して誰か師匠になってあげてください。

    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    コンフォーマル・ウェポンベイに、V字のステルス垂直尾翼形状
    推力偏向ノズルに、カナード翼も付けようぜ!

    何を買おうかカタログを見ている時期が一番楽しい、あるあるだと思います。

    1
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    F-15C/Dの後継機はF-22Aだったはずなのに何故か退化してしまった。

    2
      • 匿名
      • 2021年 2月 05日

      「冷戦終わったから国防費削減な!」って感じだったけど結果的にF-22を予定機数調達してF-15を早々に退役させてた方がトータルでは絶対安かったよね…

      2
    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    操縦席横の膨らみ、涙袋のように見え、今一つ好きになれない。

    • 匿名
    • 2021年 2月 04日

    初飛行なのに脚引っ込めてハイレートクライムするっていうのが
    いかにもアメリカ的ですねぇ。
    開発順調アピールなのかもしれませんが。

    デジタルFBWはF-15E1(F-15SEデモ機)で開発継続してたから
    問題無しってことなんですかね。

      • 匿名
      • 2021年 2月 08日

      サウジ向けのF-15SAとカタール向けのF-15QAがデジタルFBW搭載の量産機になるのと、サウジ向けは引渡しが始まっているのでFBW自体の問題は少なそうです。
      EXとレーダーやデジタルコクピットなどアビオニクスがほぼ共通なのがQAですが、QAは2020年4月に初飛行したばかりなので、カタールへの引き渡しまでEXの状況は予断を許さないでしょうね

    • 匿名
    • 2021年 2月 06日

    F-15EXがカタール向けのF-15QAとほとんど変わらないですからね。
    QAにトラブルが出なければEXもQAとの差異以外は大丈夫でしょうが、QAも2020年4月に初飛行したばかりなのでカタールへの引き渡しまでは予断を許さないでしょう。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊す…
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 軍事的雑学

    ロシア製戦闘機を買うと損をする? SU-30SMを導入したベラルーシの後悔
  4. 軍事的雑学

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  5. 軍事的雑学

    打つ手なし? ドイツ軍兵士は一般的な乗用車を「プーマ歩兵戦闘車」と思い込まされ訓…
PAGE TOP