米国関連

開発に手間取るT-7A、米空軍はIOC宣言を2027年から2028年に延期

鳴り物入りで登場したT-7Aは新型射出座席が設計通りに機能せず、飛行制御用のソフトウェア開発が難航し、構成部品の品質問題にも悩まされ、2026年から2027年にIOC宣言がずれ込むと予想されていたが、空軍は予算案の中で「2028年にずれ込む」と明かした。

参考:Air Force Delays T-7 IOC Another Year, Slashes 2025 Production
参考:Air Force’s T-7 trainer delayed another year

T-7Aの遅れはパイロット育成に重大な影響を及ぼしている

米空軍とボーイングは2018年に次期高等練習機=T-7Aの契約を締結、2022年後半までにマイルストーンC達成、2023年に量産機の引き渡し開始を予定していたが、T-7Aの特徴の1つ=従来よりも対応できる体格条件の範囲が拡張された新型射出座席が設計通りに機能せず、飛行制御用のソフトウェア開発が難航し、構成部品の品質問題にも悩まされ、2023年4月「T-7AのマイルストーンC達成は2025年2月、IOC宣言は2026年から2027年春にずれ込むだろう」と報じられていた。

出典:PHOTO BY Bryce Bennett

空軍とボーイングは特にソフトウェアの完成度について意見の相違があったものの量産型プロトタイプを2023年11月に受け入れたが、空軍は提出した予算案の中で「IOT&E完了とマイルストーンCは2025年5月を予定」「ローレイト生産の開始は2026年4月を予定」「IOCに向けたテストと評価は2026年1月に開始予定」「IOC宣言は2028年を予定」「2025年度に計上する調達資金は14機分から7機分に削減する」と明かしている。

IOC宣言が2027年春から2028年に延期されるということは「それだけ一般部隊でのT-7A運用開始が遅れる」という意味で、Air&Space Forces Magazineは「この決定は空軍のパイロット不足問題を悪化させるだろう」と指摘。

出典:U.S. Air Force photo/Senior Airman Tristin English

ケンドール空軍長官や第19空軍司令官は「T-38のエンジン修理が難しくなって稼働機が減りパイロットの訓練が難しくなっている」「900人以上のパイロットが訓練待ちを経験し、200人以上のパイロットは訓練用の機体が空くまで9ヶ月以上も待ちぼうけをくらった」「この様な環境下で年1,500人のパイロットを育成するのは不可能だ」と訴えており、T-7Aの遅れはパイロット育成に重大な影響を及ぼしている格好だ。

因みに空軍は2026年と2027年に各23機分、2028年と2029年に各36機分の資金を供給する見込みで、2024年度予算案で提示された取得コストは2,178万ドルだったが、2025年度予算案で提示された取得コストは1,972万ドルに値下がりしている。

関連記事:デジタルエンジニアリングの落とし穴、誰もT-7Aの完成時期が分からない
関連記事:芳しくなくT-7Aの開発状況、量産機引き渡しは2023年から2025年以降に変更

 

※アイキャッチ画像の出典:PHOTO BY Rev Hess

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コメント

    • LLLLL
    • 2024年 3月 14日

    何かアメリカの航空産業、失態続きね!!
    (´・ω・`)

    12
      • 戦略眼
      • 2024年 3月 14日

      ボーイングが、だろう。

      40
        • 長久命の長助
        • 2024年 3月 14日

        アメリカの航空産業の衰退というべきだと思う。
        企業の統廃合が進んで、一つの企業に負わせるものが大きくなりすぎた。
        その結果の体たらくが現状だと思う。

        ある程度の分散がないと、健全な競争が生まれないと思う。

        12
    • ブルーピーコック
    • 2024年 3月 14日

    個人的に、機体より金を飛ばすのが得意な会社のイメージが付いちゃったなあ。
    これで旅客機のセールスが安泰だったら、まだ救いがあったんだが。

    46
    • 名無し
    • 2024年 3月 14日

    T-38の再生産で良かったんじゃね?としか思えない

    12
      • Whiskey Dick
      • 2024年 3月 14日

      だからロッキードがケツ持ちするT50(若しくはFA50)を採用するべきだったと。
      かつての戦闘機の名門マクドネルダグラスの技術者はもう引退してるだろうし、あの会社の民間機部門の悪い癖(開発費をケチって素性の悪い設計を使い続ける)がボーイングに引き継がれてしまった。

      23
        • ストレッチマン
        • 2024年 3月 14日

        それよりはM-346の方がいいのでは…

        10
          • Whiskey Dick
          • 2024年 3月 14日

          T7Aは超音速飛行が可能な機体なので、アメリカ空軍の性能要求に超音速飛行が入っていると思われます。世界的な流れとして超音速の訓練は実戦機で行うようになったので、超音速練習機(日本のT2など)は衰退しました。超音速飛行に拘らず、曲芸飛行に使えれば良いと考えるならM346もアリです(性能的にはT4の後継にピッタリ)。

          7
    • すえすえ
    • 2024年 3月 14日

    こっちもボーイング。。。あかんね
    民間機も不具合多発(´・ω・`)

    開発力が落ちてる

    22
      • ななし
      • 2024年 3月 14日

      そりゃボーイングは「給料が高いから」という理由でベテランの開発技術者を解雇しちゃう会社だから

      47
        • 安全度MAX
        • 2024年 3月 14日

        ついでに熟練工も解雇して、結果ドアが吹き飛ぶ旅客機の出来上がりと

        43
    • 思い付きだけど
    • 2024年 3月 14日

    練習機といい、空中給油機といい、ボーイングのトラブルが続きますね。昔ならエンジニアがちゃっちゃっと手を入れて図書を改定して・・・と済ませていたのでしょうが、図書の電子化が手間取った気がします。

    5
    • 2024年 3月 14日

    とりあえずFA50を1ダースほど緊急購入してお茶を濁したら良いと思うけどそうはならないのだろうな

    8
      • 匿名希望係
      • 2024年 3月 15日

      空軍は入れたがっているみたいよ。

      1
    • ガテマヌ
    • 2024年 3月 14日

    空自のT-4後継に間に合うのか心配。そもそも決まった話でもないですが

    1
      • 匿名希望係
      • 2024年 3月 15日

      どう考えても避けるでしょ。
      正直信用度に関してはT-50未満よ。>T-7A

      4
    • 朴秀
    • 2024年 3月 14日

    ボーイング「税金おかわり(真顔)」

    資本主義のいいところってダメな企業が潰れることなんですけどね
    民間企業として利益を追求しつつ
    公的部門並に潰れない
    最高の会社ですねボーイング

    27
    • 牛丼チーズ
    • 2024年 3月 14日

    ひとつ前の記事に続いてボーイングの失敗記事か…
    空軍の要求もアレだけどボーイング最近やらかしすぎでは。
    民間機部門もドア飛ばしてるし…

    10
    • すっとこどっこい
    • 2024年 3月 14日

    もうボーイン愚って、民間機も軍用機もまともに開発できない劣化版マグだネルダグラスになっちまったような。
    マグだネルダグラスという毒を飲み込んで七転八倒しているボーイングを見ると気の毒としか言いようがない。ご愁傷様。

    7
      • hage
      • 2024年 3月 14日

      その2社の合併は、冷戦後の軍事企業再編を行ってたペンタゴン主導で進められたんだけど、
      当時の青写真としては民間機に強いボーイングと、軍用機に強いMDを合併させれば、
      当時既にデカくなっていたロッキード・マーティンに対抗できる企業になって競争が生まれるよ、やったねタエちゃん。という感じだった。

      まあ結果はご覧の有様だけど。

      13
    • jiki
    • 2024年 3月 14日

    T-7Aの射出機問題は小柄な女性パイロットの射出で体が損傷するなどが原因らしい
    対策が終われば日本人にもそのまま使えF-35Aパイロットの訓練に最適でしょう
    航空自衛隊は時期練習機にT7Aを採用すべきです、独自開発の時代は終わりました

    3
      • 匿名希望係
      • 2024年 3月 15日

      その座席が開発完了したら別にT-7Aにこだわる必要がない件
      というかF-35ですら現行のACES5なんだから欠片も影響受けないどころか練習機だけ対応してどうすんだよ。
      アップグレードできるにしてもそれ相応のコストと時間もかかるぞ。

      9
      • けい2020
      • 2024年 3月 15日

      F-35とT-7Aは同じ射出座席、これで問題が起きてるならT-7A機体の問題なのでは

      7
    • NEXT
    • 2024年 3月 14日

    T-7Aの射出機問題は小柄な女性パイロットの射出で体が損傷するなどが原因らしい
    対策が完了すれば日本人にもそのまま使えF-35Aパイロットの訓練に最適でしょう
    航空自衛隊は時期練習機にT7Aを採用すべきです、独自開発の時代は終わりました

      • 牛丼チーズ
      • 2024年 3月 15日

      こんなグダグダでいつできるかわからない機体を買うのはなぁ…

      3
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