米陸軍はM777を置き換える機動戦術砲=Mobile Tactical Cannonプログラムの試作提案要求を公開し、競争試作に提案する自走砲を装輪式に限定した。これを受けて韓国のHanwhaは3月31日「K9MHを提案する」と発表し、K9MHの公式映像も初公開して注目を集めている。
参考:U.S. Army to issue prototype request for 155mm Mobile Tactical Cannon ahead of planned 2027 selection
参考:The case for the US Army to procure the KNDS RCH 155 howitzer
参考:Hanwha Plans Alabama Site To Support U.S. Production Of K9MH Howitzer It’s Offering To U.S. Army
参考:Welcome to the Unfair Fight: Hanwha’s Answer to the U.S. Army’s Mobile Tactical Cannon Requirement
夏までにM777を置き換える契約を誰が獲得するのかが判明し、この契約を獲得した勝者はM109A7更新においても有利な立場を獲得するだろう
米陸軍は大砲の射程拡張を目的にしたExtended Range Cannon Artillery=ERCAプログラムを立ち上げ、M109A7の車体、58口径155mm榴弾砲搭載の新型砲塔、射程延長弾の組み合わせで70km超の射程確保を狙っていたが、2025年度予算案の中で「ERCAの取り組みを停止した」と明かし、調達や兵站を担当するブッシュ陸軍次官補も「ERCAの試みは量産に移行できるほどの成果が得られなかったが、戦術火力の徹底的な研究において射程を拡張したプラットホームの必要性が再確認されている」「そのため開発済みのプラットホームや弾薬に関する情報提供依頼書(RFI)をまもなく発行する」と言及。

出典:Photo by Lance Cpl. Katherine Cottingham
米陸軍は2025年12月「新型自走砲の取得はM777を置き換えるためのもの」「まずはストライカー旅団戦闘団のM777を置き換え、機甲旅団および歩兵旅団戦闘団へと展開される」と説明し、メディアは「市場で入手できるものベースにする」「機動性はHIMARS並み」「防御力はM109A7並み」「制圧射撃の最大射程は58km」「精密射撃の最大射程は70km」「最小射程は4km」「最低でも3発以上のエクスカリバー砲弾を格納できること」「射撃速度は最低でも無誘導弾は分6発/誘導弾は分3発」といった条件を報じており、国内生産、米軍規格への対応、持続的な戦闘能力の保証、物流への負担とコストを削減する対策なども求められる。
Breaking Defenseは2026年2月「陸軍は待望の自走砲調達契約を7月までに締結することを目指している」「提案依頼書の発行から僅か10ヶ月後に契約を締結するというのは調達改革のスピード重視が反映された動きだ」「陸軍は2月下旬までにプロトタイプ提案のためのドラフトを、3月に最終案を公開する計画だ」「この競争入札に参加する企業は発表されていないものの入札参加を表明している企業は韓国のHanwha、ドイツのRheinmetall、米国に拠点を置くElbit America、同じくLeonardo DRSとKNDS Franceのコンソーシアムだ」「General DynamicsやBAE Systemsも潜在的な競争者と見られている」と報じた。
米陸軍はM777を置き換えるために装軌式自走砲を求めているのか、装輪式自走砲を求めているのかが不明で、HanwhaはK9の装輪バージョン=K9MHを、逆にKNDS DeutschlandはRCH155の装軌バージョン=RCH155-TRACKEDを発表していたが、米陸軍は機動戦術砲=Mobile Tactical Cannonプログラムの試作提案要求(RPP)を公開し、この入札に参加する企業は「装輪式自走砲のプロトタイプ(6両~12両)納入契約」を争うことになる。
つまり「M777を置き換えるため新型自走砲は装輪式に限定された」という意味で、米陸軍の野戦砲兵将校だったビル・コジアー元中佐はDefense Newsへの寄稿で「走行中でも正確な射撃が可能なRCH155を採用すべきだ」「RCH155は異なる装薬量と仰角で最大5発の砲弾を2秒以内に目標へ叩き込むことができる」「この能力はHIMARSの制圧射撃にかかる作戦コストを大幅に削減できる」「V-LAP砲弾を使用すればエクスカリバー砲弾を使用したM109A7の最大射程40kmを上回り、ヴァルカノ誘導弾を使用すればHIMARSで使用するGMLRS弾の射程に近づく」と述べ、RCH155を採用すれば砲兵部隊はHIMARSのように戦えると主張した。
Hanwha Defense USAも3月31日「米陸軍の機動戦術火砲(Mobile Tactical Cannon)に関する試作提案要求に対し、成熟した技術で構成されたK9MHを提案する」と発表し、4月10日に初めてK9MHの公式映像も公開して注目を集めている。
M777を置き換えるため新型自走砲の候補はKNDS Deutschland提案のRCH155、Hanwha Defense USA提案のK9MH、Elbit America提案のSIGMA、Leonardo DRSとKNDS Franceのコンソーシアムが提案するCAESARに絞られた格好だが、米陸軍の代表団がチェコを訪問して2022年のユーロサトリで発表したMORANAを視察しており、一部のアナリストは「米陸軍はM109A7並み防御力を求めているので軽装甲のCAESARは対象外だ」と主張している。

出典:Czechoslovak Group MORANA
トランプ政権の調達改革を反映して機動戦術火砲プログラムもスピードを重視しているため、おそらく各提案の評価に膨大な時間をかけることなく答えを出すと思われ、夏までにM777を置き換える契約を誰が獲得するのかが判明し、この契約を獲得した勝者はM109A7更新においても有利な立場を獲得するだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Hanwha Defense USA



















米軍にまで採用されたらいよいよ西側標準車になりそうだけど、トランプ政権との外交的な軋轢が不安要素になるな
米向け投資案の法案て進んでたっけ?
ストライカー旅団にC-130で運べない自走砲ってのは迷走だとしか思えない。その理由が「砲兵部隊はHIMARSのように戦える」に至ってはまったく意味が分からない。
HIMARSに150㎜弾を用意した方が話が早いような気がする。