米国関連

ウクライナ軍のパトリオットシステム、レーダーは無事で損傷具合も軽微

米CNNは17日「米国はウクライナからパトリオットが損傷したと報告を受けてチームを派遣したが、最も重要なレーダーは無事で、損傷具合も非常に限定的なため戦場から撤去する必要はない」と報じており、損傷したパトリオットは現在も稼働中らしい。

参考:Patriot system has minimal damage following Russian attack near Kyiv on Tuesday, US officials say

パトリオットシステムを破壊したという表現は「システム全体が破壊された」という間違った印象を与えるため大騒ぎになったのだろう

ウクライナ軍のザルジニー総司令官は「ロシア軍が16日午前3時30頃、MiG-31Kからキンジャールを6発、黒海の艦艇からKalibrを9発、地上発射型ミサイルを3発発射したが、計18発のミサイルは全て空軍の防空部隊が撃ち落とした」と発表、しかしロシア国防省は「キーウ周辺に配備されていたパトリオットシステムをキンジャールで破壊した」と反論、CNNも米当局者の話を引用して「ロシア軍の攻撃でパトリオットシステムが損傷した可能性が高い」と報じたため大きな注目を集めた。

出典:kremlin.ru / CC BY 4.0 キンジャールを搭載したMiG-31K

CNNは「火曜日に行われたロシア軍の攻撃でパトリオットシステムは完全に破壊されていないものの損傷した可能性が高く、米当局も被害の程度を調査中で、この結果次第でシステムを完全に引き上げて修理するのか、現地でウクライナ人が修理するのかが決まる」と報じていたが、CNNは17日「米国はウクライナからパトリオットシステムが損傷したと報告を受けてチームを派遣したが、最も重要なレーダーは無事で、損傷具合も非常に限定的なため戦場から撤去する必要はない」と報じている。

パトリオットシステムはレーダー、管制システム、アンテナ、発電機、ランチャーといった主要コンポーネントを別々に配置するため、1発や2発のミサイルが直撃してもシステム全体を破壊するのは困難で、本ブログの読者なら「レーダーや管制システムといった部分さえ無事なら機能を維持することが可能だ」と理解していると思うが、パトリオットシステムを破壊したという表現は「システム全体が破壊された」という間違った印象を与えるため大騒ぎになったのだろう。

出典:Photo by Sgt. 1st Class Jason Epperson

因みに撃ち漏らしたミサイルで損傷したのか、撃ち落としたミサイルの破片が運悪く命中したのか、どのコンポーネントが損傷したのかは不明だが、CNNの取材に応じた米当局者は「損傷したパトリオットシステムは稼働中だ=機能を維持しているという意味」と述べているため、損傷したのはランチャーの可能性が高い。

追記:CNNは「損傷したのは発電ユニットと電子装置の一部だ」と報じている。

関連記事:ロシア国防相、ウクライナは常にミサイルの種類を間違って識別する
関連記事:米当局、ロシア軍の攻撃でパトリオットシステムが損傷した可能性が高い
関連記事:ロシア国防省、パトリオットシステムをキンジャールで破壊したと発表
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関連記事:米国防当局、迎撃されたキンジャールの標的はキーウ郊外のパトリオット
関連記事:米国防総省のライダー准将、パトリオットによるキンジャール迎撃を確認
関連記事:パトリオットによるキンジャール迎撃成功、ロシア軍から確実な攻撃手段を奪う

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Eugen Warkentin

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コメント

    • ブルーピーコック
    • 2023年 5月 18日

    ゲームだったらまとめて破壊できたのにな。
    パトリオットを破壊したなどと、その気になっていたロシアの姿はお笑いだったぜ。

    46
    • ズマ
    • 2023年 5月 18日

    ケーブルやアンテナの類を損傷したかもしれないが、修理可能でもどこか損傷すると全体が機能不全になりかねない
    ミサイルとはつくづくシステムと認識させられる

    16
    •  
    • 2023年 5月 18日

    待て!今回の損傷は軽微とする!

    21
      • paxai
      • 2023年 5月 18日

      アメリカとしては主力の輸出兵器でもあるからセンシティブな問題なのかなあって。

      7
      • 帝国海軍中佐
      • 2023年 5月 18日

      さすが宇垣参謀長!
      帝国海軍は強い…!

      24
      • あらら
      • 2023年 5月 18日

      審判は宇垣中将だね…

      8
      • のー
      • 2023年 5月 18日

      なるほど。
      バレないように、こっそり新品と入れ替えるんですね。わかります。

      6
        • TA
        • 2023年 5月 18日

        パトリオットのサブスク化w

        3
    • 無無
    • 2023年 5月 18日

    威力偵察として攻撃かけて、パトリオットは相手に負えないって判断したかな?
    逆にキンジャールがポンコツだと認定されたか

    7
      • 鳥刺
      • 2023年 5月 18日

      「破壊」のプロパガンダの後の再攻撃の動きが鈍いので、ロシア側もシステムの除去が困難という事は認識したのでしょう。キンジャールは保有弾数が少ないですし。

      5
    • 2023年 5月 18日

    まあ大事なかったんなら何より。
    幾ら英独が最近とんでもなく支援を増やしたと言っても、現場にあるパトリオットが重要なのは変わりない。

    35
    • 半分の防衛費の国から
    • 2023年 5月 18日

    やはり、攻撃時のドローンが撮影した映像を公開するとかしないと、信用してもらえないよね、取り敢えず致命傷になりかねないのは迎撃に成功していると解釈して良さそうですね、ロシアさんは映像付きで発表して欲しいですね‥

    参考
    カミカゼドローン、ランセット大活躍

    リンク

    1
    • すえすえ
    • 2023年 5月 18日

    パトリオットがらみのニュースを見て思ったのはパトリオット思っていたより自分にとっては優秀と感じた

    うちの国にも導入しているので使えるということが分かってよかったよかった

    55
    • ペコペコ
    • 2023年 5月 18日

    ロシア軍は8基のパトリオットミサイルシステムを破壊したと公式発表したようですが…どうですかね

    9
      • KNOB CREEK
      • 2023年 5月 18日

      HIMARS「提供数16台に対して俺は44台撃破されてるらしい」
      ブラッドレー「俺に至っては提供すると発表された翌日には撃破されたぞ」

      64
      • 匿名
      • 2023年 5月 18日

      なんなら破壊されたパトリオットの画像が親露派の間で出回ってるらしいですが、
      ウクライナにドイツが供与した輸送トラックなんですよねそれ
      (車体後部の形状が明らかに異なり、雨よけの幌と荷台がついてる)

      もしかしたらロシアでは運転席の後ろに荷物を載せて運んでいく車のことをパトリオットと呼ぶのかもしれないですね

      35
        • 2023年 5月 18日

        偽の戦果を敵側にもたらすことで、分析の負担を増やし、戦略を誤るなど、複雑な対応を強いることが出来る、、、のか?
        外野(親露)はあれですけど、、、

        5
        • 台湾大好き
        • 2023年 5月 18日

        まぁ補給こそ戦争の要ですからね。トラックを愛国者と呼ぶのは間違いではないのかも☺

        33
          • 2023年 5月 18日

          ソ連へのレンドリースでスターリンだかフルシチョフだかが大喜びしたのは意外にもトラックだった。

          9
            • 戦略眼
            • 2023年 5月 18日

            補給段列は助かるし、工場はSU-76に回せたしね。

            1
    • 分析
    • 2023年 5月 18日

    レーダーがやられなかったのは幸いですね
    パトリオットも飽和攻撃には限界があり被害を受けるという戦訓と同時に、
    推定3-4台の発射機で30発余りのミサイル攻撃を概ね受け切ることが出来るのが実戦で証明されたとも言えますね
    日本は一個高射中隊あたりで12台の発射機があるはずなので、1中隊の局所防衛で100発までならほぼ防げる事が実戦でハッキリしたのはプラス要素ですね

    37
      • たら
      • 2023年 5月 18日

      ロシアは色々な手を使って攻撃をしているようなので,アメリカは実戦データが取れて喜んでいる人が多そう。日本もデータを活用できると良いなあ。

      15
    • チェンバレン
    • 2023年 5月 18日

    よかったー!!
    不幸中の幸い、朗報と言ってもいい

    朝から気分がいい
    ありがとう!

    19
    • 山田さん
    • 2023年 5月 18日

    ランチャーの位置をSNSなり、スパイなりから特定することは出来たので攻撃したが、命中精度の問題から小破に留まった。
    より重要なレーダーの位置などは、ミサイルの発射等視覚的に分かり易いものがないため不明であり、攻撃出来なかったと。

    ロシアがやたらメタら市街地攻撃しているのも、ひょっとしたら重要ななにかがあると、勘違いしてのものなのかも知れませんね。

    5
    • 58式素人
    • 2023年 5月 18日

    発射機の数が増えると良いと思います。
    PAC3のもの。SANP/Tとは別に。
    飽和攻撃に耐えるためと、損害の予備のために。

    6
    • みい
    • 2023年 5月 18日

    そもそも政治的な意図での攻撃だ
    キーウ再侵攻をするというならともかく、現時点で射程30kmしかない防空専用のパトリオットを破壊しても、それはパトリオットを破壊したというだけで戦況にはなんの影響もない。パトリオットが守っている弾薬庫を破壊したかったというなら分かるがな

    7
      • ななし
      • 2023年 5月 18日

      むしろ無敵なはずのキンジャールがあっさり全部撃墜って事実の方がよほど政治的にやばい結果になってしまったという

      21
        • k.ziro
        • 2023年 5月 18日

        戦勝記念式典の打ち上げ花火なんで惜しまず撃ちましょうね

        1
        • Artillery
        • 2023年 5月 18日

        全弾撃墜じゃないから損傷したのでは…?

        3
          • Minerva
          • 2023年 5月 18日

          全弾撃墜してもその破片で損傷することはありえる
          かつて北朝鮮の迎撃にPAC-3が市ヶ谷に展開した時にマスメディアが何度も解説したために割と広く知られています

          2
    • らっく
    • 2023年 5月 18日

    まぁ、そうとしか発表せんわな。という話に一喜一憂するのはいかがなものか。弾薬庫の爆破と違ってミサイルシステムの損傷なんて一般人にはそれが核になる重大な部分の故障なのか、容易に代替しうる末端の破壊なのかの区別などできないし。

    6
      • 2023年 5月 18日

      プロパガンダしたいなら、初めから損傷したなんて言わなきゃいいだけでしょ。
      むしろロシアの方が脊髄反射的に撃破したと発表したように見える。

      9
      • 名前
      • 2023年 5月 18日

      本当に破壊されてるのならば、破壊されたパトリオットが守っていた地域を執拗に攻撃すればいい。キンジャールは素通りになるはずだ。
      現実にはそのような攻撃は行われてないのだから、対弾道ミサイルの防空アセットはまだ生きているとロシア自身が考えていると思う。
      今のところウクライナの主張を疑う材料はない。
      一般論だが、ウクライナに厳しい状況を想定をしさえすれば、現実主義と言うわけではない

      16
    • ミリオタの猫
    • 2023年 5月 18日

    個人的には、ここ数日の間にロシア軍がキンジャール等によるキーウ方面へのミサイル・ドローン攻撃を行うかどうかで、パトリオットが被害を受けたかどうかについての真相がある程度見えてくると思います
    仮に今日明日にでもロシア軍が攻撃を再開するなら、少なく共ロシア軍はパトリオットに対してある程度の戦果が得られたと考えていると見なせるでしょうし、逆に暫くの間キーウへの攻撃が行われないのであればキンジャールはパトリオットに対して効果が無かったと見る事が出来ると思います

    17
    • AAA
    • 2023年 5月 18日

    無傷でしたと発表しないからロシアから証拠出せるくらいには被害が出てるはず
    軽微な被害をどこまで広げて解釈するかだな

    1
      •  
      • 2023年 5月 18日

      まあ着弾観測されてるし無傷でしたはさすがに無理があるしね

      1
        • 2023年 5月 18日

        親露派の主張する着弾観測されたバージョンの動画って、明らかに形が違う別種のトラックの破壊映像って話じゃない。
        いつものロシアムープでないかな。

        3
    • 山田さん
    • 2023年 5月 18日

    アメリカがもう直ったって発表しましたね。
    この速度感を見るに、本当にノーダメージだったみたいです

    2
    • れんちゃ
    • 2023年 5月 19日

    コアとして重要なのは反射波受信部と管制システムで、元から狙われる可能性の高い発信部分やランチャーなどは交換し易い部類になるかと。重要な修理は不要という事なので、スペアパーツやシステムチェックで簡単に対処可能な部分が破損しただけなのかな?

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