アーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦、俗に言う「DDX Next」についてマイケル・ギルデイ海軍大将が言及したことに注目が集まっている。
参考:The US Navy is eyeing a next-generation destroyer from a new design
ズムウォルト級駆逐艦の呪い、アーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦も「枯れた技術」で構成される?
米海軍は当初、アーレイ・バーク級駆逐艦の建造を62番艦「マイケル・マーフィー(DDG-112)」で打ち切って新たに開発したズムウォルト級駆逐艦を調達する予定だったのだが、調達コストが40億ドルを超えるズムウォルト級駆逐艦を疑問視した議会の反対によって同艦の調達は3隻で打ち切られてしまい、米海軍は再びアーレイ・バーク級駆逐艦の調達を再開することになった。
ただ30年以上も改良や装備の追加が続けられてきたアーレイ・バーク級駆逐艦の基本設計は限界に近いと言われており、これ以上の拡張を行うのなら船体自体の再設計が必要だと言われている。
そのため米海軍は新たな後継艦を探す必要に迫られているのだが、マーク・エスパー国防長官が発表した艦隊再編計画「Battle Force 2045」ではアーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦については何も触れていない。
しかしDefense Oneが主催したイベント「State of the Navy」に招かれたマイケル・ギルデイ海軍大将が、アーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦について言及したため大きな注目を集めている。
ギルデイ海軍大将が話した内容をまとめると、海軍は駆逐艦にもっと多くのミサイルを搭載することを望んでいるがアーレイ・バーク級駆逐艦FlightⅢは追加を受け入れるだけの余裕がないため、FlightⅢの次は新しい船体=新設計の駆逐艦を採用することになるというもので、大きさについて「ズムウォルト級駆逐艦よりも小さい」らしい。
さらにズムウォルト級駆逐艦開発の失敗(搭載機器やシステムの大半を新規開発したことで開発スケジュール遅延とコスト高騰を招いたこと)を踏まえ、新設計の駆逐艦はひとまず既存の技術だけで構成して、時間をかけて能力のアップグレードや新機能を追加してく手法を採用すると言っており、ギルデイ海軍大将曰く「アーレイ・バーク級駆逐艦の成功に習う」と説明しているのが印象的だ。
アーレイ・バーク級駆逐艦の設計は意外にも保守的で、先に開発したタイコンデロガ級巡洋艦が採用したAN/SPY-1、イージスシステム、Mk.41垂直発射システム等を踏襲して手堅くまとめられた設計だが、アップグレードを通じて新しい機能や装備の追加により性能の維持・向上に成功している。
要するに「アーレイ・バーク級駆逐艦の成功に習う」という意味は、こういった部分を指しているのだろう。
果たしてギルデイ海軍大将が明かしたアーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦「DDX Next」が本当に実現するのかのは不明だが、艦隊再編計画「Battle Force 2045」で2045年までに500体制を打ち出している関係上、無駄に浪費できる予算は海軍に無いので恐らく「DDX Next」はアーレイ・バーク級駆逐艦をベースに船体を1万トン程度に拡張したものに成るのではないだろうか?
因みに昨年、タイコンデロガ級巡洋艦の後継艦の話が浮上した際にも「実証済みの技術のみで構成して開発期間短縮とリスク軽減を図る」と米海軍は言っていたので、DDX Nextとタイコンデロガ級巡洋艦の後継艦は1本化される可能性もなくないが、枯れた技術ばかりを強調するのを見るとズムウォルト級駆逐艦の開発失敗は海軍に相当なトラウマを植え付けてしまったことが伺える。
関連記事:枯れた技術でまとめた手堅い設計、米海軍がタイコンデロガ級巡洋艦の後継艦を開発
※アイキャッチ画像の出典:public domain アーレイ・バーク級駆逐艦 デルバートD.ブラック
信じて送り出したズムウォルト級が就役の遅延と単価の上昇にドハマリして、海軍にアへ顔ピースビデオレターが送られてきてきたからね。
そりゃあ、トラウマになるよね
そりゃあ確かにトラウマになるけど草生える
イェーイ!海軍くん、見ってるぅ~~???
普段何読んでるんですかwww
なんかもー本邦のFFM30でよくね?(棒)
FFGXのプロジェクト進んでいるのでそれはないかと(マジレス)
さすがに30FFMだとアーレイ・バーク級の後継としては力不足だと思いますけどね。
初期艦はVLS後日装備じゃなくて最初から32セル、ミサイルフリゲートとして48か64セル版を作って欲しい
三菱重工がDSEI JAPAN 2019に、’FMF-AAW’と銘打った30FFMの拡大型(DDGタイプ)を提案していますね。
満載排水量7000~8500t.前甲板にVLS64セル。
30FFMをそのままストレッチしたような形態です。
作って欲しいですけど、二桁護衛隊の増強をはかる海自に7000t級の防空フリゲートを増備できる余裕があるのか…
ある程度、対艦対空性能を強化して欲しい
信じて送り出したズムウォルト級が就役の延期と単価の上昇にドハマリして、海軍にアへ顔ピースビデオレターが送られてきてきたからね
そりゃあ、トラウマになるよね
しまった、直ぐに反映されないから二回入力したら二重コメントになってしまった。
申し訳ないですけど管理人さん、二つ目のコメントの削除をお願いします
それよりも、極超音速ミサイルや飽和攻撃に対し役者不足になってしまっている現状の防空システムをどうするのか、そっちの見通しが定まってないことの方が重大に見えます。
ワークホースにそんな大役担わせたら、ズムウォルトの二の舞になるだけだろ…
超音速兵器等の、ゲームチェンジャー的な飛び道具への対処も重要だけど、足元を固める事はそれ以上に重要だよ
もう少し時間は掛かるが対策は鋭意進行中でしょ。代表的なのは高出力レーザー兵器ですね。
今後建造される艦艇は枯れた技術でも良いから必要な発電余力を持たせるんじゃないかと。
レーザー兵器って露光時間で打撃力が上下するのと、出力が最大になるまでに多少の時間がかかりがちって特性があるから、そういう意味で防空兵器としてどこまで有効なのか疑問。
対艦巡航ミサイルレベルなら対応できると思うけど、投光できる時間の短い超音速兵器や1発への対処時間が限られる飽和攻撃へ対応できるレベルでの高出力化って大気圏内でできるのだろうか…
というか、そもそもなんで極超音速兵器の話になってしまったし…
極超音速ミサイルに対しては、現状のSM-6でもある程度は対処可能なようです。
イージス艦単艦の同時対処能力を飽和させ得る有力な敵に対しては、NIFC-CAが決め手になるでしょう。
海自は「まや」型でようやくCECの搭載を始めたばかりですが、米軍はずっと先行しています。
フライト3のSPY-6に統合されたイルミネーター機能とESSM Block 2で飽和攻撃の問題は大幅に改善するでしょ。
また極超音速兵器だって、極超音速滑空弾であれ、極超音速巡航ミサイルであれ、艦隊防空ならともかくヘッドオンの標的となる個艦防空を突破できるとも思えない。
アーレイバーク級よりミサイルを積みたいなら本文に書いてある通りアーレイバーク級をベースの拡大版で良いのでは?
余裕の有る大き目サイズで冗長性を良くしておけばバージョンアップや改修もやりやすいだろうし長く使えるし生産出来る。
艦の外観はアーレイバーク級より更にステルス性能を重視するだろうからズムウォルト級程極端じゃ無いにせよ結構変化するかも。
船体の拡大は間違いないとして海自のあたご型→まや型みたいな印象になるかも
ズムウォルトの船体設計を枯れた技術に入れるならズムウォルト擬きの可能性も残るかな
ただ、求められる機能を順に詰め込んでゆくと、またアーレイバークと同じ道に
それだけアーレイバークの設計は優秀だったのでしょう。
次も手堅くってのは良い判断と考えます。
追加追加で価格高騰して打ちきりのパターンなら
負の連鎖だよ
70隻以上作った船を、打ちきりパターンって。
どんだけ作れば打ちきりと言われなくなるんだろ。
2000隻くらいじゃないですか?
あ、さすがに0一個多いか。
ア〜レイ〜
ですね
>DDX Next」はアーレイ・バーク級駆逐艦をベースに船体を1万トン程度に拡張したものに成るのではないだろうか?
次期駆逐艦はアーレイ・バーク級を大きくするってことはタイコンデロガ級巡洋艦に近づくんですよね。
基本的なことですが現在のアメリカ海軍で巡洋艦と駆逐艦のすみわけ(仕様の違い)ってなに?
船体を共通化してコスト削減出来ないんですかね。
VLSのセル数の違いくらいでは?
ズムウォルト級の計画元となったDD(X)を拡張してタイコンデロガ級の後継となるCG(X)を開発する予定でしたが、計画肥大化で頓挫しましたからね。
タイコンデロガ級は船体余裕のあったスプルーアンス級駆逐艦に、イージスシステムを載せて巡洋艦を名乗らせた経緯があります。
アーレイ・バーク級はさらにイージスシステムに最適化した船体を再設計した駆逐艦なので、そういう意味ではこの2クラスで発展・スパイラルを回しています。
ズムウォルト級から持ってくるなら統合電気推進(IPS)でしょうね。
ズムウォルト級のステルス船体は一番艦が増設アンテナだらけになったし、イージスシステムを載せられるようにするのも一苦労なので、安上がりでIPSが載せられるアーレイ・バーク級の発展型船体、という要件になりそうです。
タイコンデロガ級の後継も同じ船体を使ってイージスシステムのグレードと兵装で違いを付けるくらいでしょうか
ご丁寧な説明ありがとうございます。
元は同じなんですね。
ですからこのブログが好きです。
大切にしたいです。
タイコンデロガってアーレイバークより小さいらしいっすよ
まや型のwikiだったかにが排水量9750tを超える軍艦は一律で巡洋艦になるとか書いてあった。
基準排水量か満載排水量なのかは忘れた。
枯れた技術=開発済の装備であれば、
ズムウォルトの装備品も採用可能?
MK.57VLSが採用できればヘリ甲板左右舷側に置けるだろうから、
ミサイルの弾数を増やすには有効だと思うけど。
Mk,57 PVLSは船体を工夫できればVLSの被弾軽減にも使えるので、ズムウォルト級の当初予定通り128セル積めればズムウォルト大将も浮かばれるかもしれません。
ズムウォルト級はイージスシステムのオープンシステム・後継版を作ろうとして頓挫しているのでMk.57 PVLSとイージスシステムの統合は未実施のはずです。
次世代イージスCG/DDGのイージスシステムのソフトウェア開発工数削減のためにMk,57統合費用すらケチるかどうかも気になるところです。
PVLS後日搭載にすると、VLS未搭載で早期退役したタイコンデロガ級ベースライン0/1艦みたいなことになりそうですし最初から載せて欲しいところです。
統合電気推進(IPS)はレールガンやレーザー兵器など今後の拡張のことを考えるとMUSTで載せると思うのですが。
アーレイ・バークを潜水でくめようにしろ!
戦闘艦のコンセプトを描ける人材が居なくなっているのかも
次期フリゲートもイタリアの設計だし
米軍に求められる要求水準が高すぎるのかも
全世界展開、そして核戦争から人質奪還作戦までやれって話をどう船に詰めこむのか
中国の055型駆逐艦みたいに大きく作るべき
目指すは排水量15000t
さすがに30FFMだとアーレイ・バーク級の後継としては力不足だと思いますけどね。
初期艦はVLS後日装備じゃなくて最初から32セル、ミサイルフリゲートとして48か64セル版を作って欲しい
アーレイバーグってVLS100セルくらい積んでるはずだけどまだ足りんの?
自衛隊と違いトマホーク積む必要がある上に、一部の艦は途中からBMD任務が追加されてSM3を積まされて、さらに今後極超音速巡航ミサイルも追加される可能性やタイコンデロガの後継を担う可能性とか考慮してるのでは。
対潜や艦隊防空を次期フリゲートに任せてSM2とアスロックを減らすとかすれば、90セルで足りそうな気はするけど。
ズムウォルトは近未来的なデザインで好きなんだけね、コストは仮想敵に勝る強敵だな・・・
初代プレステ時代を彷彿とさせるローポリゴン具合が大好きなんだけどね…。
船舶のステルス性はほどほどにしないとキリがないからなぁ
最近の軍艦の不具合の話を目にすると新型艦の開発はそんなに難しいのかと感心する
米海軍だけでなく独英韓など各国の不具合の話がこのブログの過去記事で読める(露骨なダイマ)
米軍の場合注ぎ込んだ額が大きすぎたんだろうなぁ(無論国防予算自体も桁違いだが)
新技術の導入を欲張りすぎた結果ですかね、
従来艦に一つづつ導入してノウハウを得てから導入すれば可能だったと思います。
まあネイビーホリデー明けには起こりがちなのではないかと思います。
そうですな、緊張緩和というブランクから新冷戦時代への過渡期ですね
新技術と言うか国対国の正規戦からゲリラ相手の非正規戦への対応のために開発してたら
また中露への対応が必要になってドタバタしてるって感じかなぁ?
フリーダムやインディペンデンス、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルクなんかは
モロにその転換点で使いようが無くなってるし…
それやると似てはてはいるけど仕様が違う艦が何隻もできてしまうから、維持・整備や乗員の練度面でマイナス。
実験艦やプロトタイプ艦を用意できても、大金掛けた船を実験・試験だけさせとくのも昨今も難しい。
タイコンデロガ級からアーレイバーグ級を建造したときに技術的に保守的で軍備としては大成功したのに
なぜフリーダム級やインディペンデンス級やズムウォルト級にあんな大金と新技術をぶっこんで
トラウマ級を増産してしまったんだ?
久々の新型艦を建造するとなると張り切っちゃたのかw
まあ、そのことを踏まえて次世代艦を開発するみたいだから楽しみだ
トラウマ級、云うなし(笑
ズムウォルト救済案
・艦種をミサイル巡洋艦(CG)に変更
2番艦・3番艦の装備変更 (後日1番艦も同様に改修のこと)
・AN/SPY-4 Sバンドレーダー開発及び搭載
・スタンダードSM-2 広域防空能力付与
・スタンダードSM-3 弾道ミサイル迎撃能力付与
・垂直発射式アスロックVLA 対潜能力付与
・Mk.32 短魚雷発射管 防御用魚雷発射能力付与 (Mk.50魚雷、Mk.54魚雷)
・AG155mm砲用 GPS/INS誘導弾LRLAP搭載
・AG155mm砲用 非誘導弾ASuWP開発及び搭載
・Mk.44ブッシュマスターII×2をMk.110 CIGS 57mm砲×2 に変更
・7m高速型複合艇(RHZB)を11m級RHZBに変更
・AIMを高温超伝導モーター式に変更
4番艦から40番艦の装備変更(後日1~3番艦も同様に改修のこと)
・VLSのセル数を80から200セルへ増強、場合により艦の全長の拡大
・ソナーにAN/SQS53を改良した低周波ソナーを加え、高周波、中周波、低周波の3種ソナー複合式を開発及び搭載
・スタンダードSM-6(RIM-174 Standard ERAM)運用能力付与
・乗員+航空要員 100名以下で運用可能へ
これでとりあえず使える艦になるはず
41番艦から80番艦の装備変更(後日1~40番艦も同様に改修のこと)
・電磁加速砲を開発し、AG155mm砲1門を電磁加速砲に変更
・艦種をミサイル巡洋艦(CG)から電磁加速砲戦艦(BBR)へ変更
・近接防御用レーザー砲を開発し、MK.110 57mm砲×2を近接防御用レーザー砲×2に変更
81番艦から100番艦の装備変更(後日1~80番艦も同様に改修のこと)
・電磁加速砲を2門に変更
・指向性レーザー兵器の開発及び搭載
・非接触型充電器の開発及び搭載、無人航空機および無人艦艇も合わせて改良
こんな感じにすれば良いのではなかろうか
そう言えばタイコンデロガ級巡洋艦の後継艦でも同じ方針だったんじゃありません?アーレイバーク級の後継艦が大型化するなら被っちゃう可能性が。いや、むしろ開発を統合してコスト削減を図るかもしれません。
ミサイル重視ならサンアントニオ級の後ろを取っ払ってミサイル艦バージョンでいいのではないかな。
自衛隊もそろそろ艦名尽きてきたし、青森と盛岡から一字ずつ取ってもりもり級はありだと思うんだが。
バーク級の完成度は高いのでこのままベースとし艦橋構造物を大型化、指揮能力を強化する旗艦級を新造すればいいと思います
現在の駆逐艦レベルでも、発電量は戦艦大和を大きく上回っているというではないですか。
いかに電子機器が軍艦の最重点になっているかの現状と、この値は大きくなりこそすれ逆はない。
レーザー、レールガンなど予想される新機軸のすべてが大電力を前提としている、アーレイバーク当時の概念では追いつかないほど電気的な課題が増えてると思います
アーレイバーク級を枯れた技術で可能な限り省力化して船体を伸ばして12,000トン程度の規模にして推進方式を統合電気推進にして余裕のある発電容量にしておけばリスク最小で数十年は基本的に変更せずに使える船体になるだろ。
とにかく枯れていないチャレンジングな技術を枯れさせるために実戦配備を求められていない実験艦を建造するというならば理解できるが、実戦配備するつもりで多数建造する予定の艦級にいきなり全く新しい技術を、それも幾つも同時にインストールするなんてのは狂気の沙汰。
ズムウォルト級駆逐艦もフォード級空母もその狂気の沙汰をやっちゃって莫大な建造費を浪費しちゃったからアメリカ海軍はが会からの信用を失ったのはむしろ当然だ。